負ける確率を著しく高める信用取引

成長株を長期で自己保有

■ 無理はいけない

サッカーの試合。点差がついての終盤。

負けているチームは、どんどん攻めて、闇雲にシュートを打とうとします。

点を入れなければ負けてしまう状況。 最後の最後は、ゴールキーパーまで前線に出てきてシュートを狙ったりします。

終盤とはいわず、試合開始から最後まで、攻めて攻めて攻めまくり、 走って走って走りぬくことが可能であれば、観ている側として、これほど楽しい試合はありません。

また、いつも全力疾走できるような身体能力がチーム全員に備わっているのであれば、 そのチームは多分、負けるようなことはないでしょう。

ところが、 人間はそのようには出来ていません。 人は無理を続けることができません。 90分間、全力疾走できないようになっているのです。

同じことが株式投資にもいえるのです。

■ レバレッジとは制約

無理をすれば、無理した部分に疲労がたまり、それを避けようとすれば、他の部分に新たな無理が生じていきます。 1度ぽっきりなら、24時間働き続けることは可能でしょう。 100時間働き、10時間休み、また100時間働くことを繰り返すシステムは機能しません。 人間にとっての無理とは身体能力を超えた運動や労働時間の長さなのでしょうが、 株式投資にとっての不利は、制約の多さです。

■ 投資における制約は負ける確率を高める

信用取引は、残高を超えた投資が可能であるために、投資家に手っ取り早く金持ちになれるという可能性を提供します。 投資において制約は、勝率を著しく下げる「敗北の方程式」です。

(投資における成功の秘訣は、制約がない状況下をつくること)

■ 信用取引これだけ不利

信用取引における制約は以下のとおりです。

1)金利コストの制約

短期金利が大きく1%を割り込む中で、外債並みの金利を払っている:

たとえば、レバレッジ(=運用額÷元手)が3倍の場合、2%の金利を払えば、元手に対して年率6%の金利コストがかかることになる。 年率6%近いコストを払って、取り引きを続けることは死を意味します。 余分なコストを払ったものが勝てないのは明白です。

2)時間的な制約

6ヶ月など、反対売買の期間が設定されている: 投資において、株価がランダムウォークすると仮定すれば、いつかは買いコストを上回る。 ただし、その確率の前提は、「投資期間が無制限に長い」ことです。 投資期間が短ければ短いほど、勝率は下がっていきます。

3)資金的な制約

余裕資産のほんの1%しか投資していない場合、買いコストから30%下がった時点で、追加投資を3%することができます。  大きく勝つ確率がぐんと高まります。

しかし、余裕資金の300%で投資した場合、買いコストから30%下がった場合、余裕資金のほとんどは消滅してしまいます。

余裕資金と投資額との関係で勝率は計算できます。 余裕資金に比べて投資額が小さい人が勝ち、大きな人が負けるようにできています。

4)精神的な負担

余裕をもって相場を見ていれば1%程度の株価のブレなど、へっちゃらです。 信用取引をしているために、1%程度の上げ下げで気分が影響を受け、判断力も鈍っていきます。 仕事にも身が入りません。 これでは、なんのために投資をしているのかわかりません。

■ まとめ

株式市場とは、 「性急な結果を求める投機者から余裕をもった長期の投資家へ富を移転するシステム」です。 (・・・これが言いたかったことです・・・)

個人投資家のみなさまにおかれましては、現物取引をしていただきたいものです。 予想される反論: このコラムを読んでみなさんはどう思われましたか?

■ 金利コストがどれだけ収益率を落とすか知りたい人は?

今1000円の株価は、明日にはいくらになっているでしょうか? 一番、高い確率の分布は1000円のあたりにあります。 今日トヨタの株価が6000円であれば1分後も6000円である確率がもっとも高い。 同様の計算を続けていくと、2分後も5分後も24時間後も、6000円が期待値となります。 今日6000円の株価が1分後に2000円になることはありえません。 1年後も2年後も3年後も、いま、6000円のトヨタ株の期待値は6000円なのです。 金利コストが年率5%かかるなら、5年後は、資産は4分の3になってしまう計算になります。

■ 時間的な制約について知りたい人は?

株価の変動幅は時間の平方根に比例するというリスクと時間との関係があります。 現在X円の株価の将来の期待値は大まかにX円です。 時間を無限にとれば、もし、その株価に上方のドリフト率が存在すればX円からの乖離は年を追うごとに大きくなっていきます。 ドリフト率がプラス、年率二桁であれば、長期で保有すれば株価はほぼ確実に買いコストを上回ります。(ドリフト率をROEの高さと置き換えてもよい)

■ 資金的な制約が勝率をどれだけ落とすか知りたい人は?

レバレッジを3倍かければ、株価は30%下がれば全資産がふっとぶ計算になります。 個別株の変動率は30-40%近くあるため、30%下がる確率は、結構あります。

勝率は制約がなければ高いが、制約があれば低くなります。

制約がない人と制約ばかりの人が戦うのが株式市場。どうして不利なことをするのでしょうか?

信用取引の勝率はとても低くなります。

■変わらぬメッセージ:長期の読者に感謝

99年に始まった億の近道は、16000人程度の読者で成り立っています。 長期間購読を続けていただいた読者が多い、古い読者が多いことが特徴です。 このコラムでは、多くにあるようなことは行いません。 つまり以下のことはやりません。

●手っ取り早い情報(証券会社の格付けの変更など)

●何を買うべきか

●投資指南

●お勧め銘柄

●マーケットをどうみているか

わたしたちは「タダなのにすごいことが書いてある」コラムを志向しません。 また、編集に時間をかけることもできません。

わたしたちが伝えたいことは、

●若い世代がワーキングプアにならないためにすべきこと

●株式市場は手っ取り早く儲けようとする投資家を貧乏にするという教え

●株式市場はゆっくり考え賢明に投資するものに富をもたらすという教え などです。

いわば投資の実務家としての哲学や歴史観・人生観です。

わたしたちが目指すのは、みんなでリテラシーを高めあう社会、技術革新の恩恵をみんなで共有して みんなで協力して調査を行う緩やかな連携です。

Enjoy Every Moment!

by 山本 潤 (やまもと じゅん)

<著者紹介> 億の近道に2000年3月に執筆を開始。 およそ17年間執筆してきました。 継続は力です! 念願の独立を果たす。 日本株ロングショートのヘッジファンドマネージャー。

「インベストメント―米系バイサイド・アナリストの投資哲学と投資技法」(2001年北星堂)  「投資家から「自立する」投資家へ」(2003年パンローリング)

「マンガ ファンダメンタルズ分析 入門の入門」(2004年パンローリング)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し  ては御自身の責任と判断で願います。)

負ける確率を著しく高める信用取引” に対して1件のコメントがあります。

  1. メルロ ポンティ より:

    奥の近道とみんなの運用会議との関係、山本さんと石川臨太郎さんは、同一人物?わからないことがいっぱいありますが、そのうちわかって来るのでしょうか? 奥の近道は購読しないと理解できないのでしょうか? 書かれてる文章に、今までに無い輝きを感じているのですが、どのようにすればいいのかが今ひとつわかりません。

    1. ono より:

      ありがとうございます。
      山本は億の近道を運営するイノベーターズフォーラムの理事をしており、
      設立初期から億の近道メルマガを執筆しております。
      石川臨太郎さんは以前、企業分析の勉強を一緒にした友人で山本とは別の人物です。
      石川さんはその後、ご自身で勉強を続け、素晴らしい投資家になりました。
      メルマガの内容を読んでいただくとわかると思いますが、分析の切り口や企業に対する見方など、独自の視点を持たれています。

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