株式投資の勘違いの数々 by yamamoto

2019年10月6日

万歳!機関投資家が買っている!

個人投資家の皆様とお話をしているときに、ふと、彼らが色々勘違いしているなあと感じる時があります。おこがましいですが、少し書いてみます。

「機関投資家が買っている」

どうしてわかるの?

「だって、JPモルガンが大株主になっているもん」

ご注意ください。

外資系などの証券会社が株主になっているということはプライムブローカーといって、貸し株をこれだけ貸しているということ。つまり空売り玉。ヘッジファンドに貸しているんです。

みなさまは機関投資家が買うと嬉しいのでしょうか。

株式の需要と供給とは、直接的に株価にインパクトを与えます。ですから需給の見えるところを一生懸命にみて色々考えている方々が多いのでしょう。情報を上手く活用できるといいですね。

今は運用会社の統合が進んでいるので、様々な投資戦略が株を保有します。確かに、独立系の投信であったり、光通信であったり、フィデリティであったりすれば、それはロングオンリーの可能性が高いのです。私が前に勤めていたマングループなどはコンピューター売買もあれば、ロングショートもあれば、多数の商品を扱っているので投資家主体としては判別ができません。

そういうことを知りたがる人々は、誰々が売っている、買っているという情報は、一体、どう活用されているのでしょうか。

うまい人が買ったら、自分も買って、うまいが売ったら、同じタイミングで自分も売るという戦略なのでしょうか。

それとも誰かが買ったからもうこれ以上はその方は買わないはずだという売りの戦略なのでしょうか。

多分前者なのでしょうか。

このように売買の基準を自分で持たないで他者の行動に合わせる人、いますね。

後追いでも儲かると考える? ブームを買い場を勘違い

ビットコイン。みんなが儲かっている。

だから買い?だと思うのでしょうか。だから自分は距離をおく!!!と考えるのでしょうか。

需給要因というものはファンダメンタルズには関係がないものです。

株式投資というものは、街の会話で「投資で儲かった」と話す人がいたらもうピークです。

普段株の特集をしないような雑誌が株の特集でもやってみようかという時期にはもうピークですよね?

ブームを買い場と思うのは危険な勘違いです。

業績がよくて株が下がって驚いて… 

業績が良いのに売られてみたり、上方修正なのに下がったり。あるいは、業績絶不調な企業の株だけが上がったりする現象をみて、個人投資家の方は時々混乱される場合があるようです。

業績がよいと株価が上がり、PERが低いと PERが上がるかもしれないなどと思う人々は投資というものがあまり理解できてはいないのかもしれません。

シナリオとか、何々だから何々。AだったらBなどという理屈は株式投資の世界には存在しません。

業績が悪いのに上がるのは、市場参加者がみんな業績が悪いことを知っているからで、当たり前の話です。

みんなが業績が悪いことを知っているのに、どうして空売りするのでしょうか。危険ではないですか?

東京エレクトロンが下がりません。空売りがすごいですね。みんなが空売りをしているのは、業績が悪いからでしょうね。

しかし、それって、全員が知っていることですよ。

決算の進捗率とかで売買する人がいましたが、今どうしているのでしょうか。どこで何をされているのか。

こういう進捗率というものや業績がさえないということは、決算を見れば誰でもわかることです。

誰でもわかることを根拠にして、売りとか買いとかの判断をするのはやめた方がよいのでは?

みんなが知っていることで株価が動くことはないです。

そして、みんなが持っている株は上がることはないです。

イベント日程を確認して何かが起こるかもしれないと身構える… イベントが株価を動かすと勘違い

あ!大変だ。今日は雇用統計だ。今日はSQだと日程をしっかりと抑える人がいますが、非常に几帳面ですね。

感心してしまいます。ズボラな私などは、SQとか13日の金曜日とか仏滅とかは全く気にしません。ああ、金曜日だから反対売買で下がるかもしれないぞなどと考えたことは1日もありません。中には、考えて予想していくうちに当たるようになる方もいらっしゃいます。私の友人にはかなりの確率で雇用統計を当てる人がいます。何十年も飽きないでやっているので流石によく当てる。私には逆立ちしてもできない芸当です。

相場は毎日あるので、相場のイベントをチェックすることは投機には有利かもしれませんが、投資では不利になります。イベントなんて忘れていいですよ。米国の大統領選挙も忘れてよいし、私には政治に重大な感心がありません。もうわかりますね。みんなが感心を持っているからですよ。全くみなくても何も問題ない。政治動向が全くわからなくても全く問題ない。それは皆がこぞってみているからです。みんながみているところは投資には全く関係がないし、使えない材料です。

イベントは株価と関係ありません。

  短期投資 長期投資
注目するところ

株価

SQ

製品そのもの

サービスそのもの

分析 株の需給 ファンダメンタルズ(数年間の業績見通し)

投資判断の基準

他人の出方

他人の意見

イベント

シェア

ビジネスモデル

バリュエーション

みんなが知っていることであれば知らなくても株では損をしないのです

自分だけが知らないのは恥ずかしいことですよね。日常では。株の投資では他人が知っていることを知らないでよいのです。

みんなが知っていることを知らなくても何も問題はありません。

なぜなら、みんなが株価をすでにつけてくれているからです。

それではどうしましょう?

みんなが知らないようなことで自分を含めて一部だけが知っていることがあれば、それは投資では有利です。

なぜなら、十分に株価が織り込んでいないからです。

したがって、みんなが知っていることになりそうなものは出来るだけ関わらないようにするというのが投資人生の過ごし方になります。

これは私の場合。ファンドマネジャーの基本的な生活態度です。

まず経済番組は見ません。ニュースの類。モーニングサテライトとかブルームバーグは見ない。多数が使っている端末は使わない。ブルームバーグ端末使わない。みんなが読んでいるものは読まない。日経新聞は取らない。日経電子版は取らない。経済誌は読まない。ダイヤモンドや東洋経済や日経ビジネス。読まない。日経ベリタス読まない。私の場合は、企業訪問ができるので企業と直接会う。そもそも雑誌や四季報を読む必要がないのです。

逆に、誰も読まないものを読みます。数式がたくさん書いてある専門書。

これは読み応えがあります。

グロース銘柄発掘隊の月額1万1000円の高額な週1のレポート。絶対に読みます。

十二銘柄で構成されている小月FMのポートフォリオは見ます。パフォーマンスはダントツにいいですね。

私の銘柄と1−2銘柄被ってはいますが。

日本共産党の機関紙赤旗。最近人気がなくてますます価値が出てきました。企業のすごい暗部が書かれています。ファクタよりすごい。

これはブラック企業に引っかからないために必要です。自民党の重鎮達も赤旗は取っていますよ。自民党の本当のライバルは共産党だからです。他の野党は懐柔できる可能性があるから。懐柔できない意見を読むのです。英語や中国語や外国語が読める人は有利ですね。海外雑誌を読んでみては。。。トランジスタ技などの趣味の雑誌も尖った解説があります。金型の専門誌などもあります。こういうマニアックなものは多数が読まないので読む価値があります。

みんながやらないことをやるのです。勝ちたいならば。

  多数派がやること 少数派しかやらないこと
雑誌購読

日経新聞

東洋経済

ダイヤモンド

四季報

聖教新聞

赤旗

理学や工学の論文

特許広報

長編小説

ドキュメンタリー

ミーティング オフ会で投資家同士で集まる

経営者と会う

工場見学

株価 毎日チェック 月か年に数回のチェック
情報源 twitterなど毎日チェック 企業への直接訪問

常識で株をやろうとする勘違い 常識は通用しない….えー最も経済成長の高い国のETFは….???

人口が減少する 全国で空き家がすごい。だから?

個人の勘違いで多いのは、ありえないぐらいの単純シナリオで世の中を両断していること。

株式投資っていうものは、例外を見つけるものです。内燃機関って将来性ゼロだよね。その前提に立てば、エンジン関係の企業は全部売りになってしまいます。本当にそうなのか。エンジンが生き残る部門は全くないのか。内燃機関に優しい国はあるのか。例外を探すのが基本です。

日本ってだめだよね。不動産なんて危険だよね。空き家だらけだよ。もう地価は上がらないよ。

そりゃそうかもしれませんが、東京の片田舎だってガンガン値上がりしていますよ。

多数派の宗教を信じないことです。世間一般の常識を信じないこと。大まかにはそうかもしれませんが、必ず例外があるからです。

つまり、神は細部に宿る。detailsが重要なんですよ。1分間で説明できるような経済常識振りかざして投資なんかできません。成熟市場の中でガンガン成長している企業が山ほどあるのに。細部を見ましょう。簡単に物事を片付けないでほしいですね。毎日、何本論文が世界で発表されていますか? 新発見だらけの世の中で、一日でどれほどのディーテイルを調べましたか?

逆に、常識で買うと失敗します。成長分野の投資です。混み合っています。ライバルが沢山いるので失敗してしまうのです。

失敗したら他人のせいと勘違い 

持株会で株価が下がって、経営者のせいや会社のせいにする人が多数います。違いますよ。自分のせいです。買ったのは自分ですから。

失敗したらなぜ失敗したのかを検証しなければ進歩はありません。

これが個人の最大の勘違いです。

全て自分のせいです。嫌な思いするのも、誰かに騙されるのも、株価が下がったのも、ご自身の考え方がぬるいからです。全ては自己責任です。損したのは他人が悪いのではなく自分が投資が下手だからです。上手くなりたいならば、学ぶしかないです。他人の意見と自分の意見を比べてみて、多数派ではないことがわかり、合理的な判断であると思えるなら勝負してみてはどうでしょうか。そういう方は学ぶので上手くなります。

成功したのは実力と勘違い…ただ運がよかっただけ

成功したら自分はうまいと思うかもしれませんが、単なる運です。偶然です。

成功したらうまいと思うのは勘違いです。たまたまですよ。たまたま。

頑張りましょう!

少数派は居心地良い

サラリーマンって嫌だなと思えば、やめれば、すぐに少数派。

株の専業投資家のみなさまは必死に勉強するので儲かります。自分の頭で考えて、他人に影響を及ぼそうともするので戦略家でもあります。

株の専業投資ができる人は少数派ですよ。だから勝つ。

混んでいる時間に混んでいるサービスを受けるのは多数派です。

少数派になるためには、ある程度、会社のルールも柔軟に破るか変える必要があります。お昼は12時と決められていて、エレベーターやレストランが混むならば、ルールを変えて11:20から昼休みするとか。映画は休日に見ると混みます。映画を見るから有給を取る。これは少数派ですから仕事もうまくいきます。その代わり夜や早朝や休日に働けばよい。

専門バカになるぐらいの専門を鍛えるとその分野で勝てます。なんでも知っている人は何にも知らないのと同じ。

予想をして外れる人をバカと呼ぶのではなくて、予想できない自分の能力の低さを嘆いて欲しいのです。予想する人は少数派。予想できる人も少数派です。他人の予想を読んで信じるのではなく、自分の予想のための参考として活用して欲しいのです。

まずは、拙くても、ご自身の第一歩を。自分の言葉で自分の意見を表明することです。

2019年10月6日成長株投資

Posted by 山本 潤