6194 アトラエ 本決算フォロー by yano

2019年2月7日

 

本日、アトラエの決算説明会に行ってきました。
11/9に本決算を発表し、その後3営業日連続で20%も下落し、今日はさすがに5%反発して下げ止まって、少しほっとしました。
マザーズで時価総額がまだ小さく、株価の乱高下が派手ですが、長期で有望な企業なので長い目でみたいと思います。

決算説明会は30~40人くらい集まっていました。
通常、この規模の決算説明会では1人か2人質問する程度ですが、今日は、7~8人も質問していて関心度の高さはうかがえました。

■今回の決算のポイント

17/9期
売上 18.3億円(前年比+39.5%)
営業利益 5.6億円(前年比+43.6%)
営業利益率30.6%(前年比+0.9%)

営業利益は会社計画を14%上回って着地した。

18/9期会社予想
売上 22.5億円(前年比+22.9%)
営業利益 6.6億円(前年比+18.9%)
営業利益率 29.6%

決算後下落したのは、18/9期予想で営業利益予想が成長率で市場の期待ほどではなかったことと、第4四半期(7-9月)に売上4.8億円(前年比+27%)、営業利益1億円(前年比▲9%)と3ヶ月で見ると営業利益が減益となったことが要因だろう。
今回の説明会のミッションはそこの事実がどうなのかを確認すること!
あとは重要KPIの数字が公表されるから、そのトレンドに変化はないのかチェックすることだ。

■第4四半期7-9月については心配なし

売上が第3四半期の伸び率に比べてやや鈍化して見えるのは、同社は入社のタイミングで売上計上しており、日本企業は中途でも4月入社が多く、第3四半期に売上がよる傾向にある。また9月の入社が一部10月にずれたこともあったようで、この点はまったく心配ないそうだ。
営業利益の方は、第4四半期に先行投資として50百万円かけたことが大きな理由のようだ。
これがなければ、25%程度の営業増益となっていた計算になる。第3四半期までで進捗率が高く、18/9期の増益に向けて調整が働いた可能性が高い。

■18/9期の予想の前提が保守的ということが判明

17/9期売上実績
Green成功報酬売上13.7億円  
Green初期設定売上4.4億円   
成功報酬売上は入社人数に連動し、初期設定売上は新規登録企業数に連動する。
入社人数は1946人、新規登録企業数は692社だった。
平均単価を試算すると、成功報酬で70万円、新規設定で63万円となる。

18/9期売上予想
Green成功報酬型17.7億円(前年比+29%)
Green初期設定売上3.9億円(前年比▲12%)
新規事業78百万円(前年比+634.3%)

今期予想では、初期設定売上が減少する計画となっているが、会社側に質問すると、何かマイナスに予算を立てる理由があるわけではなく、保守的にしたということ。その理由は、同社は新規企業の獲得にプッシュ営業をしているわけではなく、掲載したい企業からの問い合わせで新規を獲得しているからだということだった。
だから700社の新規登録企業の獲得をたった38人の社員で成り立たせているのだ。サービスが価格面でもパフォーマンス面でもすばらしいからプッシュ営業が必要なく、無駄な人件費がかからない構造であることに改めて感動した。

 

■重要KPI

入社人数 17/9 上期 888人(前年比+46%)
        下期 1058人(前年比+31%)
新規登録企業数17/9 上期 331社(前年比+23%)
          下期 361社(前年比+25%)
転職市場自体成長したが、市場成長を大きく上回る成長率に同社がシェアをとっていることを確認できる内容となった。
先日のレポートでIT中心に大手がクライアントと紹介したが、今回異業種でニトリやソニーやホンダなども顧客となっているとコメントがあった。同社の累積顧客数は5000社に達する。異業種からも企業数が増えていて、IT・WEB以外も依頼があれば載せているとのことだ。

■限界利益率

同社の変動費は広告宣伝費のみ。基本的に人手がかかるビジネスではないので、人件費や開発費などの固定費の増加は限定的だ。
広告宣伝費は、同社は後発ということもありウェブ中心にかけていく必要があり、17/9期も前年同様売上比で42%かけた。18/9期も42%かける方針。
つまり限界利益率は58%程度。
この業界は広告宣伝比率は高め。たとえばエンジャパンも売上比25%程度かけているから、中長期的には下がっていくだろうが、まだ会社が小さいうちは他社に負けないようにどうしても売上比では多くかかる。
これは売上を獲得するための先行投資でもあるから、ケチっても仕方ないし、広告費をかけても限界利益率は高い。

 

■新規ビジネスのマネタイズが18/9期中に本格化

Weboxは社員の自主的な貢献意識を月に1回の簡単なウェブアンケートで定量的に定点観察するサービス。1社員につき月300円のストックビジネス収入。すでに様々な業界の大手から中堅まで198社が導入。
18/9上期中に単月黒字化を目指し、下期には利用企業者数500社、人数5万人を目指す。
月商15百万円レベルということになる。この事業でのライバルはいないので、組織改善サーベイのデファクトスタンダートを目指す。代理店が売りたいという興味を持っているところがあり、今後は代理店販売で一気に加速する可能性がある。
YentaはFacebookを活用して人脈を活用したいビジネスパーソン同士を1日10人紹介し、マッチングさせるアプリ。個人向けのため多くは無料で使っているが、法人向けプランを立ち上げてサービスの深掘りを進める。

 

■新居社長の印象

理想とビジョンを持って、社会をより良いものに変えたいという意識が高く、とてもスマートな方でした。株主として安心して経営を任せて、ついていきたいと思える方でした!
Greenのビジネスモデルだけでも力強いのに、それに加えて、Webox、Yentaと今後の第二、第三の期待の事業を創造する発想力を持っていらっしゃる。
今回2回目となる全社員に特定譲渡制限付き株式を配布したことも、全社員を大切にする社長の人柄が見て取れる。
これが本日の最大の収穫でした~

■バリュエーション

大体3期予想しています。
2020/9期 売上40億円 営業利益15億円 純利益10.5億円 EPS268円
時価総額220億円
2020/9期予想PER20.9倍
ROE 25%

 

2019年2月7日銘柄研究所

Posted by 矢野