5187 クリエートメディック ゆったりと配当(+成長のおまけも) by ono

2018年12月27日

3500社の上場企業から将来の10倍銘柄を両手で掬い上げようとすると、指の隙間からこぼれ落ちる企業も少なくない。

投資において重要なのはリスクとリターンを検討すること。

10倍を見込むのは難しくても、リスクが極めて小さければ投資対象にすることができる。

 

そんな企業をご紹介。

 

クリエートメディック5187

簡単に指標を見てみると

時価総額109億円

PBR0.8倍

配当利回りは3%

大企業でPBRが1倍を下回る企業には将来的な減損リスクや業績悪化リスクが内在することがある。同社にもあるのだろうか。

 

〇シリコンカテーテル

 同社は1978年に国産初のオールシリコンフォーリーカテーテルを製品化した。フォーリーカテーテル市場では国内シェア40%程度のトップシェアを誇る。自己導尿用カテーテルでは2位の30%弱。ともに泌尿器系のカテーテルである。

 

フォーリーカテーテルとは“尿道用の膀胱留置バルーンカテーテル”のこと。

簡単に言うと、病気、ケガなど何らかの障害により、尿を排出できなくなった患者の尿を排出させるためのカテーテル。膀胱にカテーテルを挿入し、膀胱内でバルーンを膨らますことで排出させる。同社のカテーテルの素材はシリコン製。

 

カテーテルの素材は主にシリコン製とラテックス製(ゴム)に大別される。

 

〇シリコンとラテックスの比較

ラテックス製の強み:償還価格、患者負担ともに安い

 シリコン製>ラテックス製 2倍以上の差がある

シリコン製の強み:

 アレルギーの心配がない

 撥水性が高く、長期留置の際に異物の付着が少ない=長期留置が可能

 柔らかいがコシがあり、挿入操作が容易

といった特徴がある

 

アレルギーリスクが問題視されるようになったのがまさに同社が国産初として製品化した1978年ごろ。順調に売り上げを伸ばしたが、その後、シリコンコーティングをしたラテックス製カテーテルが開発され、現在はシリコン製とラテックス製は3:7程度と依然ラテックス製が多い。ラテックス製は大手の営業力が強く、シェアは動きにくくなった。

 

とはいえ、アレルギーリスクがなくなったわけではない。また、シリコンコーティングしたラテックス製カテーテルの価格は、シリコンカテーテルと同等近くなったため、依然シリコン製が優位ではあるようだ。

 

〇用途

 同社のシリコンカテーテルが使われる用途は

 泌尿器系、消化器系、外科系、血管系など

 特にフォーリンカテーテルを開発したということで泌尿器系に強みがある。血管系は主に他社へOEM提供している。

 

〇業績変動リスクをどう見るか

 2年に一度の薬価改定が気になるところだ。

カテーテルでも、血管系は1割以上引き下げられる場合がある。血管系以外は1回に1.5%程度の引き下げにとどまる。血管系カテーテルの市場規模は2600億円以上、過去5年間で年平均10%程度成長してきた。血管系以外はその10分の1程度にとどまる。大手企業は血管系でシェア拡大を狙い、開発競争が激しい。入れ替わりも早い。OEM販売している血管系は改定の影響を直接受けることはない。

また、カテーテルの価格はカテーテル単独で売る場合、原材料費を参考に決められるが、

キットとして関連製品をセットで売ると、“手技”として評価されるため、引き下げがない。

 

〇今後の見通し

・国内市場の安定化

 国内は高齢化により排尿が困難な患者が増えている。前立腺がん患者の増加などもあり、市場は緩やかに成長している。2014年12月期には不採算であった血管系カテーテルをやめ、2015年12月期は国内、海外の既存客の在庫調整が重なり、減益要因となった。今後は得意とする泌尿器系に注力する方針で業績は安定するだろう。

・新興国市場が成長を牽引

中国が前年比20%程度伸びており、売り上げに占める海外比率が20%を超えてきた。中国には2002年から進出しており、子会社を設立し大病院(3級病院)向けはほぼカバー。今後は2級病院以降にも広める方針。長期的には新興市場の伸びが期待できる。

 

〇中計の見直し

 2017年12月期の第3四半期業績を発表し、中国向けは会社想定以上で進捗している。国内は第4四半期に偏る傾向にあるため、会社計画は達成する見通し。利益率が高まり、営業利益ベースでは発表済みの中期経営計画に近い水準となるため、計画は上方修正されるだろう。

 

小型株は高成長株が選好される傾向にあり、そこから漏れてしまった企業の一つなのかもしれない。

 

〇配当利回り+緩やかな成長

安定配当 35円を継続

配当性向は60%程度

減益となった2015年12月期も配当性向100%の配当35円を維持しており、

今後成長が見込まれる中で減配リスクは小さいと言えるだろう。

配当利回り3%+緩やかな成長

が期待できる

 

2018年12月27日銘柄研究所

Posted by ono