4327 日本エス・エイチ・エル   by yamamoto 訪問取材の感想

2018年12月27日

会社訪問。

数十年前にリクルートが創出した新卒市場。

採用のためのテストには彼らのSPIしかなかった。

だが、SPIはどちらかといえば、危ない新人を排除するためのもので、夜大男が襲ってくる夢をみますか?のような性格テストであった。

そうではなくて、職務上の判断力をテストするためのものがSHLのOPQであった。これらはイプラティブ方式と呼ばれる独特のもので、性格というよりは、適性を30の尺度で判断するものである。

この20年でリクルートのシェアは100%から50%まで低下した。リクルートのシェアを奪ってきたのがSHLであった。

親会社へのロイヤリティが2.5%から9%に5年間で上がるので、値上げに動かざるを得なかった。

やはり、取材で明らかになったのは、値上げは予算にいれていない。

だが、2Qには大きな売り上げの伸びが想定される、ということで、短期的には株価は大丈夫と思われる。下値があまりないと考えている。

長期的には、不安要因もある。まずは、格安のテストがIT企業により普及し始めていること。

誰でもビックデータを扱える時代なだけに、長期視点での確信度合いを得るには至らなかった。

(11月14日取材後の感想)

— 4327 日本エス・エイチ・エル 決算説明会ノート 2017/11/2 —
プレセンテーター:奈良社長、三條常務、中村常務

日本エス・エイチ・エルの説明会に本日出席し、最初に質問を行った。
値上げを打ち出したのに、その効果を業績に入れていなかったためだ。
会社側は値上げ効果を予想にほとんどいれていないことを認めた。
その一つの質問と回答のやりとりで、説明会にいったわたしの目的は達成された。

さて、この会社は、学生の採用活動における適正検査テストを企業に代わり代行している。シェアは3割程度と聞いている。企業の採用意欲強く、ビジネス環境は良好。

CEB(SHLブランド)はグローバルで適正検査を展開。
取材は後日行うので、業績のポイントだけを書く。

ポイントは、ロイヤリティの増加を嫌気した売りが一巡し投資のチャンス。
なぜならば、値上げによる「倍返し」が実現しそうだからだ。

これまで2%だったロイヤリティが2017/9末には5%に上昇。
今期(2018/9)も6%台になり、これが今期予想の通期で5000−6000万円の減益の要因になる。
ところが、1月より2割のWeb商品等の値上げを打ち出す。
会社側はこれによる客離れは起きないとしている。

むろん、キャンペーンなどで早期契約更新をすれば据え置き等の施作をとるからだが、値上げは、中期的には売上の2割にあたる5億円程度の増益要因になる。

ロイヤリティが前期末5%から数年後に9%までトータルで4%上がっても、
値上げを20%するのだから、コストアップ要因(4%)の5倍返し(20%)ということだ。

今後は、インターナル売上が増えていくだろう。企業は既存の社員を育てなければならない。
そこで、採用ではなく、社員の能力開発、昇進昇格に向けた人材育成の方向性を打ち出す。
現に、大企業中心に、同社は前期で昇格関連の売上が前々期2.1億円から前期は3.4億円まで大幅に増加した。
数社に採用されただけでこのインパクトである。
この既存社員育成というフォローの風は長期的に同社に有利に働く。

今期の会社予想は、保守的だ。
採用社数が順調に二桁近い数で伸びていることや、
中小企業から大企業まで学生の採用意欲が強いことから、
今期の同社の第一四半期(10-12月)や第二四半期(1-3月)は前期比増益を予想する。

たぶん、マーケットは、前期上期のロイヤリティ料率2.5%から今期料率6%台への4000万円程度の悪化は計算がすぐにできるから上期の減益を織り込んでいる。
アナリスト諸氏はコストアップという目に見えるものを信じ、需要という目に見えないものを信じない。そこに、付け入るチャンスがあり、投資家にとっての収益機会が生まれる。

トップラインは上期を中心に数億円の伸びが見込まれるから、限界利益率が極めて高い同社の場合、増収だけで十分にコストアップは吸収し、お釣りがくる。

2割の値上げに対して、値上げ効果は会社予想にほとんど入っていない。

つまり、要点は、この会社の今期は、数量増加、価格上昇のダブルのプラス効果が見込まれる、ということ。

だから、上期の業績を再度評価する展開になると考える。

配当利回り3%以上で下値不安なく、当面の下値を確認できれば、買いの候補となる可能性がある。

11月14日に訪問取材を予定している。
80%を超える自己資本比率。
配当性向5割。
トップラインの伸びが中期的に継続する予定。
値上げができるというブルーオーシャン。
3%超える配当利回り。
これらから、現段階では取材前だが、長期投資には適していると考えている。
16日のみんなの運用会議のメルマガに間に合えば、買いにする可能性はある。
それまでに株価が上がってしまえば、しないかもしれない。

by yamamoto

2018年12月27日銘柄研究所

Posted by 山本 潤