4054 日本情報クリエイト 下方修正と併せて自己株取得を発表(2023年6月期第2四半期フォロー)

 

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説明会の書き起こしはこちら

https://finance.logmi.jp/377793

 

ポイント

通期見通しと3カ年計画の下方修正を発表

株主に配慮した自社株買い

計画達成に向けて生産性向上を重視

専門部署による人材育成

不動産DXを進めるために顧客密着

リアルネットプロ社とのシナジー効果発現を目指す

 

<業績>(単位:百万円)

2023年6月期第2四半期累計業績はは売上高1,776(前同比+17.7%)営業利益127(同-65.4%)で増収減益となった。QonQ(第1四半期との比較)で+8.0%と増収を確保した。

ストック部分の売上高の積み上がりと、商品セグメント別では仲介ソリューションのリアルネットプロ社(以下リアプロ社)の売上上乗せが寄与した。営業利益は人材採用を積極化したことにより固定費負担が大きくなった事に加え、円安によるクラウドサーバーの原価増が重なり減益となった。

〇商品セグメント別四半期推移

管理ソリューションはストック部分の積み上げ、仲介ソリューションはリアプロ社の売上が上乗せとなった。

<中期経営計画の見直し>

〇通期見通しと3カ年計画の下方修正を発表

足元の状況を踏まえて進行中の2023年6月期の通期見通しと中期経営計画の修正を発表。積極採用した新人営業人材の育成に苦戦してきたが徐々に成果が現れたことで今後の見通しを反映させた。

 

*会社資料より

当初計画に対して売上高をほぼ1年後ろ倒しとする計画。

営業人員の増加により無償の業者間物件流通サービス不動産BBの顧客化が進み顧客数の見通しを顧客数は3,000から4,000に上方修正した。有償サービスの顧客数増加についても徐々に成果が現れているが顧客数の見通しについては下方修正を行った。

〇市場との対話:自己株式取得を発表

下方修正の発表と合わせて自己株式取得を発表した。

取得株式数:20万株を上限とする(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 約 1.4%) 

取得総額:2億円を上限とする

取得期間:2023年2月16日~4月28日

下方修正の発表と併せて自己株式の取得を発表するのは市場との対話、特に株主を意識したもの。現在の同社の流動性を考えれば通常であれば自己株式取得の実施は考えにくい。今回の場合、事前に投資家に伝えていたメッセージと異なる悪材料の影響を緩和させる意図がある。ガバナンスが効いており、市場を意識している企業では実施されることがあるが、中小型の企業では実施される例は少ない。

市場では長期的な将来業績に対する自信と、立て直す覚悟があるというメッセージと捉えられた。発表した翌日2月15日の株価の下落幅は限定的で、2月16日には発表前の株価を回復した。

 

また、説明会資料の冒頭で代表メッセージを掲載。中小型では下方修正を一方的に発表する企業が多い中で丁寧な対話を考えた開示である。

<通期業績見通し>(単位:百万円)

下方修正後の2023年6月期の会社見通しは売上高3,750(前期比+22.8%)、営業利益300(同-20.0%)増収減益の計画。営業人員の増加が売上につながらず営業減益の見通し。

第2四半期累計業績の進捗率は50%を下回るが、ストック部分が積みあがりと新人営業の戦力化が徐々に進んでいることから、通期見通しは達成可能と考えている。

<成長に不可欠な人材・顧客・商品>

中期経営計画を発表し成長に舵を切った。下方修正となったが変わらず成長に必要な取り組みを続けている。同社が目指す不動産プラットフォーム構築に不可欠な3つの要素である人材と組織とプロダクトについて整理する。

①人材

同社は3カ年計画を発表し、積極的に営業人材の採用にし、計画前のほぼ倍の営業人員となった。必要な人材の採用はほぼ終了した。採用した人材は20代、業界未経験者が中心である。人材育成のための専門部署を立ち上げ、早期戦力化に注力する。

②顧客

効果的に顧客をサポートできる組織の再編を進めている。

不動産業界のDX化を進めるために多くの企業が参入するが思うように思うように進んでいない。特に地方、中小企業はDX化が進んでいない。要因はリソース不足と顧客別に違った課題を持つこと。同社の対象顧客である小規模の不動産事業者はリソース不足が顕著である。現状が非効率であっても、効率化のために新たなシステム導入をする際にワークフローを変えることに抵抗がある。その抵抗を乗り越えて顧客の課題を解決につなげるのが地域密着、顧客密着のコンサルティングである。導入時に顧客との対話により課題を把握し、解決に必要なサービス・プロダクトの導入を提案する。

同社は全国に29拠点を開設し、地域密着の対話型コンサルティングを提供する。

”地域密着コンサルティングが当社の競争優位性”

法人向けソリューションのコンサルティングでは、顧客と導入後のイメージをしっかりと共有すること、導入後もサポートを継続して行えることが、顧客にとっての安心感や信頼獲得に繋がる。当社はこれまでも地域密着型のコンサルティングを実施することで信頼を獲得しており、自社の強みとしている。

*同社資料より

 

また、導入後の支援を行うシステムアドバイザーを全国に配置、自社コールセンターによるリモートサポート等の後方支援も実施し、導入後も安心して利用できるサポートを実現する。

 

採用した営業部の人員の一部を営業サポートチームへアサインした

2022年6月期4Q → 2023年6月期2Q

営業部(営業) 113 → 105

営業部(SA) 35 → 41

③商品

既存プロダクトの機能向上と新たなプロダクトの投入を計画する。

電子契約サービスの契約者数の増加、電子入居申込の普及、不動産BBのリニューアルとリアプロとの連携

・電子契約サービス

 電子契約・電子入居申込の普及に向けて啓蒙活動を推進

・不動産BB

 無償提供するサービス不動産BBをリニューアルし、有料オプションのCRM(見込客管理機能)と内見予約機能をリリース。地域限定で提供していたが、2023年1月以降、全国のユーザーに提供を開始する。

・リアプロ社との連携

前期に経営統合したリアプロ社と共に不動産DXを推進、サービス間の連携により顧客の生産性向上に寄与することを目指す。グループ内のコミュニケーションを強化するため2023年4月には東京オフィス統合を進める。リアプロとの製品間連携について2つのリリースを発表済み。

2022年11月21日 製品間連携 第1弾 物件データ連動

月間アクセス数 2,600 万 PVの業界最大級の業者間流通システム「リアプロ」と、賃貸管理システムの「賃貸革命」で物件データを連動させる。両システムを活用した更に円滑で効率的な業者間流通・賃貸管理業務が可能になる。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS81668/7a7a19ee/0bbe/4a69/8ef3/14040e65fc05/140120221121569097.pdf

*業種間流通システム「リアプロ」について

管理物件の情報管理を行う「リアプロ管理」と公開された物件資料を閲覧する「リアプロ仲介」の 2 つのサービスを軸としたリアルタイム業者間物件流通を可能とするクラウドサービス。

全国仲介店舗数約 38,000 店舗、月間アクセス 2,600 万 PV、約 670 万件の物件が流通する業者間流通システムです。

2023年2月27日 製品間連携第 2 弾「不動産ホームページ連動」

「リアプロ管理」に登録している物件データが、日本情報クリエイトが提供しているWebManagerPro3を利用して作成した自社ホームページにそのまま掲載できる。利便性が高く、リアプロ管理を利用する顧客へWebManagerPro3の導入をすすめるクロスセルが可能となる。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS81668/c774248f/4764/4ed6/92cc/48458e88c177/140120230227518238.pdf

             

上場後も新たなチャレンジを続ける同社の成長に期待し、応援する。

<バリュエーション>

時価総額 100億円
株価 705円(2023年2月27日終値)
会社予想EPS 16.16円
会社計画PER 44.2倍
配当利回り 0.7%

 

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成長株投資, 銘柄研究所

Posted by ono