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2018年12月27日

3277 サンセイランディック

久しぶりの訪問取材

前回レポート執筆時株価936円
足元の状況は大きく変わっていないと思われるが確認のため取材

個人投資家の方に聞いても、IR担当の方の評判は良い。
訪問取材、電話取材ともに対応は非常に丁寧、説明はわかりやすい。

イニシャルレポートはこちら
https://double-growth.com/3277sansei_landic/

投資する際は常に具体的にビジネスをイメージして
リスク・リターンを考えなければならない。

改めて特徴をおさらいしよう。

〇特徴

同社は不動産販売事業と建築事業があり
不動産販売事業の中でも主力ビジネスは
底地と居抜き
特に
底地販売
の扱い高は国内トップシェア
底地販売は
”低下している価値を手間をかけて本来の価値に戻す”
社会問題の解決が同社のビジネス

不動産セクターではあるが、
多くの不動産ビジネスで行う、
”仕入れ→バリューアップして高く売る”
というビジネスとは性質が異なる。

その特徴は
・バリューアップの不動産ビジネスに比べて時間がかからない
 仕入れからほぼ1年以内で販売まで終了
 底地ビジネスの場合、売る相手は基本は借地権者である。
 より高く買ってくれる買い手を探す必要はない。

〇参入障壁・他社に比べた優位性

・権利処理など手間がかかる
 →底地に関わる借地権者との交渉等、一軒一軒個別に対応が必要で
 それらを短期間で処理するためのノウハウの蓄積がある。
・権利処理が複雑な物件も多い
 →場所をこだわらず、居抜きや底地を一括で扱ったり、飛び地を扱ったりと
 権利処理が複雑な物件を受けることが可能
・(情報源としての)取引先との信頼関係が重要
 →情報源は信託銀行、証券会社等。
 過去の実績から大手との良好な関係を築いており、
 同社に情報が集まっている。

<結論>

いきなり結論から入る
・未達で見栄えが良くない決算であり、市場で評価されないのは仕方がない
・売り上げ利益だけで判断する or 第1四半期だけで判断するのは早計
・将来利益は仕入れで見ることができる

〇業績

 実績としては連続増収増益を続けているが計画比未達はネガティブにうつる

 居抜きの売上成長が顕著である。
 しかし、居抜きは特に市況に左右される面が大きいため、
 利益率が高い底地販売の順調な成長に期待したいところである。

 

 第1四半期は底地が計画比未達となった。
 販売が第2四半期の見込みとなったためとのこと。

 

 足元で大きな変化はないが、計画に対して未達であることは理由はどうあれ、ネガティブである。

過去の実績を見ると

・連続増収増益

しかし

・計画比未達であることが多い。
このような状況では
”強気の計画をたてる傾向がある企業”
とみるのが投資家目線であり、
バリュエーションは上がりにくい。

しかし、
投資家は”強気の計画”ととらえたとしても
会社側は
現状見えている物件+想定される”期中仕入れ&期中売却”
で会社計画をたてる、という考えであり、
”強気の計画”と思うのは投資家の勝手な言い分である。

保守的な予想を出せば出したで、
投資家は”保守的過ぎる”というのであるから
投資家はなんと自分勝手だろうか。

あくまでも四半期の業績に一喜一憂することなく自然体で同社の状況を判断したい。

以下で同社の状況を確認する。

〇未達の要因は仕入れの時期

 会社計画を立てるうえで物件ごとにおおよその予定を立てることができる。
棚卸資産の仕入れが順調に進んでいるが、12月仕入れが多く
第1四半期に販売を予定していた物件の販売が第2四半期にずれ込んだ。
おおよそ1年で計上するビジネスの特徴を考えれば、大きな問題ではない。
取引手続きが長期化したりしていることはないとのこと。

〇底地の仕入れ残高は高水準

 仕入れが順調であることは同社の状況を確認するうえで最も重要なポイントである。

 第1四半期では販売用不動産の残高が121億円と過去最高水準となっている。
 特に底地は70億円超であることが確認できた。
 居抜き、所有権に比べて底地は利益率が高い。(粗利3割程度)

 第2四半期以降、今期中に多くの案件の販売が進捗する予定であり
 収益性は大きく改善する見通し。

 また、足元の仕入れ環境は良好で、年間仕入計画104億円に対しても23億円と
 順調に積みあがっている。

〇地域拡大の進捗

 成長シナリオの一つは地域拡大。
 現状確認のメモとして書き留めておく。
 名古屋、九州などで成果が表れてきている。
 両地域ともに進出後10年程度。
 ・名古屋では競合が少なく、短期で情報量が増えている模様。
  底地があまり出ない地域で居抜きが多い。
  名古屋は契約が終わると更地にする文化があるとのこと。
 ・九州は地元の人間以外に情報を出さない地域性があるらしく、
  全国住宅産業協会 九州支部に入り、さらに地道に地域での活動を続けてきた成果が
  出てきたようである。
 ・大阪は後発でまだ弱い。時間がかかりそうとのこと。

〇建築事業

 売り上げ規模は大きくなく、現在わずかに赤字の状態。
 他社と比較したとき、強みが見えない。
 同事業には22名の社員が担当している。
 投資家の勝手な意見だが、現時点で強みが見えず、
 将来的にも大きな成長が期待しにくい事業に
 22名もの精鋭を当てるのは少し残念な気がする。

〇成長のボトルネックは何か

 案件数は豊富で、成果があがっていない地域での成長、業務フローの効率化など、
 現時点では利益成長のボトルネックを気にする必要はなさそうだ。

 ただ、あえて考えるとすれば、
 将来的にボトルネックになりえるのは社員数ではないかと考えている。
 現在の社員数、単体133名、連結155名である。
 ”顔が見える範囲の社員数を意識しているため、今後は積極的な採用をしない”
 という考えのようだ。

 少数精鋭で、増収増益を実現し、成長を目指すのが同社の今後の戦略である。

 当面は営業方法の改善や業務フローの効率化などで、増収および利益率向上を
 達成し、利益成長を実現することは可能だろう。
 しかし、将来的に改善が頭打ちとなったとき

 社員数が成長のボトルネックとなりかねない

 ことも頭の片隅に置いておきたい。

 反面、

 量を追わず、質の向上を続けることも重要

 である。その中で新たな成長の道がみえてくることも多い。

 すべてのことには裏表、両面がある。
 様々な角度で同社を注視していきたい。

〇長期的な成長戦略

 同社のビジネスは不動産に関する問題解決を行うもので、
 権利処理等の手間のかかる物件を扱うのが基本である。
 中計に記述した次のような問題で同社の出番がくれば
 新たな成長のシーズとなるかもしれない。
 ・空き家問題
 ・所有者不明の土地
  都市部でも存在する
 ・持ち分の細分化問題
  相続の2代3代となると3人持ってると複雑
 ・家屋の耐震化問題
 ・老朽化した市街地の再開発
  デベロッパーが手を付けない、権利関係が複雑なところの再開発
 ・木造住宅密集地域への対策
  木造密集地域(略して木蜜地域)の問題
  下町の路地伝いの火事の時など。
  区でも権利がからむので整理がすすまない

〇財務リスクの心配は小さい

 仕入れの進捗とともに有利子負債が増加傾向にあるが、
 財務リスクはあまり気にする必要がない。
 前述のとおり、どの事業も多くの物件が、仕入れから売り上げ計上まで
 1年以内に終了する。
 一件一件が少額であり、回収リスクが低い。
 大型の場合では案件ごとのプロジェクトファイナンスとなるため
 その点もリスク要因とはならない。
 単純な数字では判断できない点も把握しておこう。

2018年12月27日銘柄研究所

Posted by ono