大企業は結構本気で変わろうとしているのではないか?

2018年5月15日

社歴の長い大企業が結構本気で変わろうとしているように感じています。「プレミアムフライデーの導入」のように表面的なものではなく、複雑な社内手続きを簡素化したり、部門のサイロ化を解消しようとしたり、組織文化そのものに手を入れてきています。

注: トヨタやパナソニックを例にあげますが、この2つが買いである、ということではありません。

パナソニックでは社内で普段着OKになった、という記事

「勝てるか ジーンズをはいたパナソニック」という記事がよくシェアされているようです。私は中小企業にしかつとめたことがありません。社員や、記事を書いた記者には申し訳ありませんが最初にこの記事を読んで何かのジョークなのかと思いました。

私の前職はWeb系のプログラマーでした。例えば「スーツに社員証の着用が鉄則で、忘れれば上司から強く叱責され、なくすと始末書を求められたという。」というところ、以前の職場では、だれかがジャケットでも来てこようもんなら「合コンですか?」とみんながからかったものでした。

パナソニックの記事でも

「服装が変わるだけで生産性が上がるかどうかは疑問だ」(という声もあるが)・・「いまごろ服装自由化といって冷笑されるのはわかっている。でもそこまでしても変わりたい、スタートアップに憧れている」(という声もある)

とあります。

服が仕事するわけじゃなくて、人が仕事するわけだし、営業じゃないなら人に合わないので服装なんかどうでもいいだろう。そう思ってました。

トヨタの決算説明会で感じたこと

先週、トヨタの決算説明会をWebでみました。

内容は「これまでの反省」が多いように感じました。その上で「変わっていかなきゃいけないし、変わっていってる」というもの。これもちょっと聞くとよくある決算説明会です。しかしこの決算発表ははちょっと違いました。反省は自社へのかなり的確な批判に満ちており、例えば

  • 社内はサイロ化してて会社全体を見ているのは社長しかいなかった
  • ムダとりとか言ってるけどトヨタ生産方式をきちんとやってるのは工場だけだった
  • 経営会議も色々事前準備してたくさん資料を作って、国会答弁みたいなことやっていた

ということ、民間企業なのに役所みたいなことをしていたようです。

そのうえでさらに、

「自動運転は5年前には話題にもならなかった。それがクルマに入り込むようになった。 先が見えるサーキットでのレースではなく、山道を通り抜けるラリーのように、先が見え なくてわからない状況でも対応していく組織でないといけない。」

ということを述べてい ました。

加えて、決算短信は場中発表。決算発表と同時に決算説明会をYoutubeで生中継をしていました。短信の発表と同時に決算説明会をやった企業は聞いたことがありません。質問をした参加者の中にはアナリストや新聞記者以外にも、招待されたとおもわれる株主もいました。

パナソニックの記事でも、

「社員のアイデアを素早く商品化して小ロット生産で市場に出し、顧客の声を聞きながら 完成度を増す。・・・米グーグルやデュポンが取り入れて成果を上げた「20%ルール」の ように、社員に本業以外の時間や機会を与えて新しいアイデアや発想を促したい・・・ 「従来は社員が疲れて商品化にたどり着かないケースが多かった」・・・根回しにも細心 の注意が必要だった・・社内メールのCCに30人くらい入っている」

ということが書いてありました。

トヨタの決算説明会のことを考えると、ここからも

「もう役所みたいなことはやめよう。柔軟に素早く仕事をしよう」

という気持ちが伝わってきます。

大企業は変わらないと思っていたがそうではない

パナソニックやトヨタの例を見るにつけ、「30人にメールをCCする」のように役所のような業務プロセスが多かった大企業。そういう組織がいずれは社歴の若い身軽な新興企業のように行動の早い組織になっていくかもしれない。そう感じています。

こうした改革が株価や業績に反映されるのはかなり先かもしれません。まだまだやり始めだし、やってることも基本的なことです。しかし「何をいまさら」と思うのは間違いです。 大企業が変わるとその下の中小企業も変わってきます。嫌でも変わらないといけません。

これは大きな変革の波なのではないかと感じています。

2018年5月15日コラム

Posted by 古瀬雄明