2820 やまみ フォロー いよいよ富士山麓工場稼働開始で関東圏進出加速

2019年12月10日

イニシャルレポートはこちら
https://double-growth.com/2820-yamami/

2019年8月13日に
・2019年6月期決算
・中期計画の見直し
が発表され、株価は下落した。

ポイント
・関東の営業を進める中で当初の想定よりも時間がかかりそう
・長期では悪くないタイミングかもしれないが
 第1四半期の発表数字に注意が必要
・高付加価値商品を拡大させるのに利益率が低下する予想は保守的過ぎる

<業績>

〇2019.6期業績

2019年6月期
売上高 10,881 前期比 +3.6% 
営業利益 941 同 -4.2%

物流コスト、光熱費増に加え、
新工場稼働のための人員獲得による人件費増が影響し、
第4四半期が-27.6%の大幅減益で
通期で増収減益となった。

〇2020.6期予想

・売上は保守的に
・費用はすべて織り込む

売上高 12,500 前期比 +14.9%
営業利益 631 同 -33.0%

ポイントは3つ

①関東圏の営業を通して商品戦略を一部変更

 8月20日に新製品発売のリリースが出された。
後述の中期経営計画の見直しの中でも説明するが、
これまで順調に関東圏での営業が進められてきたが
その中で顧客の新たなニーズがあることが分かった。
*8月20日リリース参照

その対応のために一部設備投資を追加したため減価償却負担が大きくなった

②おからパウダーの販売開始

 関西工場に生産設備を追加。
おからパウダーについては
同社以外に大量生産できる企業は少なく、価格競争にはならない市場環境。
また、豆腐と原材料原価を共有できる商材である。

今期の予算には5億円の売り上げを織り込んでいる。

12億円売れる量はあるが販売の進捗を見極めつつ追加で市場に投入する方針。

今回減価償却費増の要因となったが、販売量次第では利益貢献は大きくなる可能性がある。

*これまではブームに乗るようなものは作らない方針だったため販売していなかった。
豆腐製品の生産の過程で
30t~40tのおからが生産される。

これまでは飼料として非常に低価格で販売していたが、
食用になるとkgあたりの単価が数十倍になる。

限界利益率は80%以上になるのではないか。

おからは健康食の材料として安定した引き合いがある
主な特徴は
・繊維質 キャベツの30倍
・たんぱく質
・低糖質
など

③コストは100%織り込み

人件費、運送費、償却費など想定されるコストは織り込む
償却費については
上記設備投資増を含め前回予想比 2.2億円の負担増となった。

<中期経営計画の見直しについて>

 業績発表とともに中期経営計画を見直した。
2020.3期の減益予想だけでなく、中計で見直した金額にも
疑問を持たれた投資家は多そうだ。

まず売上高の下方修正の要因は
①既存商品の置き換えに時間を要する
②高付加価値商品に注力する
ということで売上見通しを最低ラインを計画に載せたこと

①既存商品の置き換えに時間を要する

関東圏の営業状況については順調であり、新しい商品の導入は非常に好調とのこと。
関東圏の大手スーパーほとんどと取引が開始されている。
おからパウダー、カット焼き豆腐などこれまでにない商品は、
7割程度の店舗では棚が確保できている状況。

しかし、想定と異なったのは、
豆腐、油揚げなどすでに他社が棚を確保している商品については
入れ替えに時間がかかりそうということで、保守的に見積もり、
中計の売り上げを下方修正した。

既存商品の置き換えに向けては、
まず、春夏の棚替えの時期をターゲットに営業を強化する。

②高付加価値の商品群を提供

価値が提供できる商品を作る方針
関東圏の営業により新しい商品のニーズをとらえ、新しい商品の発売を開始。

8月20日にリリースされた
80g×2個パック、4個パック
少量のパックは手間がかかり、大量生産できるメーカーがない
小さいパックを大量に生産できる同社の強みを生かすことができる

例えば、
特売品で300g 30円~35円
というニーズは引き続きあるが価格のみの商品は受注しない。
少量消費のニーズが高まっており、
80g×4P 80~85円
で売ることができる。
同じ量でも少量パックにすることで価格が違う。

高価格の商品でこれまでにない棚を確保しているが、
売り上げ成長については保守的に見積もった。

次に利益の下方修正について

〇設備投資額の積み増し

 上記の営業状況を反映し、関東圏での商品展開を一部変更し、
他社が提供できない商品を提供するための設備投資を追加。
設備投資額が重ねて上方修正された背景
37 → 49億円

当初計画に対して追加となった設備
・カット4P豆腐設備 5億円(富士山麓工場)
・建屋および構築物の一部 4億円(富士山麓工場)
・食用おから設備 3億円(関西工場)
具体的には
・自動化のためのロボット追加
・成形機
・新商品の包装機械
など他にはないものを提供するために追加した設備。

<富士山麓工場の採算について>

8月末からスタート
1年目は2割程度の稼働率
 売り上げ20億円程度で採算がとれる見通し
2020.6期9.8億円の売り上げを見込む。
来期2021.6期中には採算ラインを超える売り上げを達成する計画。

製造ラインの自動化への投資をするが
生産後の移動、配送につながる部分では人手を要するため
当初は固定費として人件費の負担が大きくなっている。

<ハウス食品との提携>

ハウス食品グループ本社が同社の242,800株(発行済み株式の3.5%)を取得し、
資本業務提携をした。

 今回紹介されたのは
協業第1弾として
「乳酸菌L-137」が入った厚揚げおよび豆腐を発売する。

 時価総額4000億円のハウス食品との業務提携に期待した投資家が多いと思うが
現時点では物足りない印象。

米国で豆腐事業を行うハウス食品だが
豆腐事業では生産技術ではやまみが先行しており、
ハウス食品が学ぶ立場であろう。
ハウス食品の販売ルート活用も期待したいが
新商品の開発は時間を要するため早期の貢献は期待しにくいのではないか。

<第1四半期の発表には注意したい>

 発表済みの内容はある程度織り込んだと判断したならば、投資をしてもよいだろう。
注意していただきたいのは第1四半期の業績発表。
7-9月は売上利益ともにもっとも低い四半期であり、
減価償却の費用負担が大きくなるため、あまり良い数字は出てこないだろう。
市場のどう反応するかはわからないが注意したいところだ。

2019年12月10日銘柄研究所

Posted by ono