MSワラントは許されません! 市場は誰のものなのでしょう? by yamamoto

MSワラントは許されない

日本の株式市場がとても悪い状況にあります。年初来安値が全市場で1000を超える日々です。

この地合が悪い中、昨日上場したソフトバンク通信子会社が大きく公募価格1500円を割れて終値はなんと1200円台。それ以外にも、ひとりの投資家として看破できない動きがありました。

プレミアグループ株式会社(7199)がMSワラント発行を決議。決議後の二日間で株価が3割下落。希薄化分の11.5%を大きく上回る下落となりました。

リンクスリサーチのアナリストがプレミアグループに今回の調達手段であるMSワラントがいかに既存投資家の不利益になるかを伝えることがわたしたちができる精一杯のことでした。

これに先立つ10月にわたしたちは東京で長期投資家アイルさん主催の個人投資家ミーティングを後援し100人近い人たちを集め、プレミアグループのIRご担当者と3時間にもわたる質疑応答を行いました。アイルさんにもご迷惑をかけたばかりか、座談会でDAIBOUCHOUさんなどにも参加していただきました。ミーティングに参加していただいた、ひとりひとりの顔が思い出されて非常に悔しい気持ちになってしまいました。

野村證券にはMSワラントの提案を金輪際してもらいたくない

MSワラントは行使価格がそのときどきの株価よりも10%近い下の値段で株券が発行されるため、第三者割り当てを受けた側が多額の利益を得られることになります。

今回のケースでは野村證券がこのMSラワントを会社側に提案しました。

上場企業は社会の公の器ですから、資金調達は公募増資で行うのが筋です。ロードショーなどの説明をしっかり公に対して行えば、希薄化ほどは株価は下がりません。戦略がしっかりとして新規の投資に対するリターンが計算できるからです。

ところが、公ではなく、私的な第三者への増資となってしまったので、既存投資家だけが損をすることになりました。

一年の中でもっとも地合が悪いときに、MSワラントを野村證券が強行する姿勢に憤慨しています。

MSワラントは投資家の敵です。それを臆面もなく提案し続けている野村證券。彼らには市場の前線で顧客と接している多くの営業パーソンがいます。市場の信頼を損ねることをすれば、彼らが非難の矢面に立たされます。野村證券には長い歴史があります。その看板に泥を塗るような行為であり、先輩諸氏は泣いていることでしょう。

日本の証券市場を健全にリードしていかなければならない証券業界のトップランナーが、こんなことばかりをしていたら、日本市場は地雷だらけの戦場となってしまいます。マーケットを汚す行為は許されるものではありません。野村は日本市場を守る立場のはずです。野村證券には猛省を促したい。

野村證券はMSワラントの提案を金輪際しないでもらいたい。いかに企業からの要請があってもです。

また、おおやけの器たる上場企業は金輪際、絶対にMSワラントを発行してはなりません。経営危機ならば話は別かもしれませんが、そうではないのならば、MSワラントによって株式価値を自ら貶める行為は許されません。

市場は誰のものでしょうか。特定の第三者が約束された利益を得るところであってはなりません。上場企業や大手証券のモラルが問われているのです。