企業は大きな勘違いをしている ー時価総額で中小型に属する企業のIR活動で感じること by Ono

2018年12月20日

リンクスリサーチをスタートさせて1年

私たちは個人投資家の方へのセミナーを多数開催させていただきました。
繰り返し参加していただく方も多く、大変感謝しております。
ありがとうございました。

それと並行して多くの企業に訪問取材を継続し、このサイトにユニークな企業、

応援したい企業について自由にレポートしてきました。

そんな一年でとても驚いたことが2つ
・勉強熱心な個人投資家が非常に多いこと
・反面、評価がされていない企業がまだまだ多く、それらの企業がIR活動に試行錯誤していること

”企業を知りたい個人投資家”

”自社を知ってほしい企業”
両社の利害が一致しているのにも関わらず埋まらないギャップ。

最大の理由は企業の勘違いにあると思っています。

中小型に属する企業のIR活動の多くは
〇機関投資家向け
×個人投資家向け
でしょう。

”機関投資家向け”にはやるけど”個人投資家向け”はやらない

主な理由は
①個人投資家向けのIRをどうやっていいかわからない
②個人投資家は短期

③機関投資家向けは証券会社が設定してくれるから
④機関投資家は長期
ということですが、

 

企業は大きな勘違いしています。

②機関投資家よりも個人投資家は”長期”です
 企業をよく知ろうと勉強し、その企業の”ファン”になります。
③証券会社が設定してくれる機関投資家IRは機関投資家のためです! 決して企業のためではありません。
 短期の機関投資家に説明するために活動するなど無駄なコストです
機関投資家は大半が短期です
 一カ月単位でパフォーマンスを求められます。
 そのため、変動リスク、流動性リスクを受け入れることが出来ず
 結果的に、中小型の大半に投資することはできません。

機関投資家にIR活動をしてもそもそも買えないのです。

〇証券会社のIPOゴールがひどい

さらに残念なことですが、
証券会社が企業に提案するものは企業のためでないことが多い

機関投資家IRだけでなく、
MSワラントの提案など、
その提案は証券会社の利益になること

IPOが目的(に見えてしまう)企業を
”IPOゴール”と非難することが多いですが、
IPOは証券会社にとっての目的であり、企業をIPOさせる、

”IPOゴール”

の証券会社が大半。

IPO以降、企業のフォローをしない。IR活動の手伝いをしない・・・。

これこそIPOゴールでしょう

IPO後のアナリストのカバレッジは1割程度だそうな。

あるセルサイドアナリストは、人数が少ないことを理由に
”カバレッジしたくなるような企業になれ”
”カバーしてほしければ企業価値を高めろ(時価総額を高めろ)”
と当たり前のように言ってしまいます。

ということで、私は取材をしながら、必ずこの勘違いを伝えつつ、

”個人投資家”へのIRを強化すべき

と伝えるようにしています。

そして、個人投資家向け勉強会への参加を促しています。

〇個人投資家向け勉強会

リテラシー向上の一環としても、企業に直接質問をできる場を設けたいと考えました。

直接取材させていただいている私たちであれば、企業に直接お願いをしてつなぐことができる。

個人投資家側は、これまで10年以上、勉強会を主催してきたアイルさんに東京での勉強会開催をお願いしました。
そして東京キャッシュフロー勉強会をスタートさせることができました。

企業にとって個人投資家の生の声を聞く機会であり、
個人投資家にとっても企業の社長や役員などのマネジメントに直接質問できる場であり非常に好評でした。

企業選別においては、ビジネスがユニークな企業、
成長が期待できる企業、努力しているのになかなか投資家に伝わらない企業
(もちろん、どの企業も努力していることは認識しておりますが)
など様々な観点で選んでおります。

長期的に参加者の投資パフォーマンスに貢献できれば良いと思いますが
必ずしもそうはならないかもしれません。

大幅下落すると、責任も感じてしまいます。

・・・・が、2019年も引き続きご紹介させていただきます。

厳しい相場が続くかもしれませんが、ぜひ、ご参加ください。

 

<結論>
企業は個人投資家向けIRを強化すべき

企業は個人投資家に目を向け、個人投資家の言葉に耳を傾けるべき

証券会社による提案はほとんど自社の利益

企業のための提案はないと思ったほうがいい

(必ずしもそうとは限らないかも、と一応フォローしておきますw)

 

個人投資家の皆さんもしっかり調べて企業に直接取材してください!

2018年12月20日コラム

Posted by ono