9769 学究社 ー調査メモー

2020年2月26日

学究社(9769)の調査メモです。

この記事は面白そうな企業を見つけたらとりあえず調べてみて、その記録を書くためのものです。

基本的に公開情報を元に作成します。インタビューなどは行っていません。

1 東京都中心に学習塾enaを運営

中学、高校、大学受験の学習塾enaを運営してます。受験したことがある人は名前ぐらいは聞いたことがあるかも。個別指導もやっています。これ以外に芸大や医大、内部進学指導もやってるようです。

決算スライドに寄ると、特に都立中学、都立高校の入試対策に強く、合格実績も一番(これ塾によって基準が違います。学究社は「10時間以上の指導実績」があれば合格者にカウントしてるそうなので他社より緩い基準です。)だそうです。

2 業績

ROICと利益率です。 ROICが2割台、利益率も10%台です。すごい。

(千円単位)   2018 2019
売上 売上高 ¥10,304,142 ¥10,568,629
  営業利益 ¥1,579,159 ¥1,293,516
  利益率 15.33% 12.24%
       
ROIC 短期借入 ¥83,172 ¥165,336
  年内返済の長期借入 ¥83,172 ¥165,336
  長期借入 ¥69,580 ¥784,790
  株主資本 ¥3,506,301 ¥3,853,833
  税率 30.90% 30.60%
  ROIC 29.16% 18.06%
       

参考のためにナガセもみてみましょう。

(千円単位)   2018 2019
売上 売上高 ¥45,949,367 ¥45,682,501
  営業利益 ¥5,156,060 ¥2,666,695
  利益率 11.22% 5.84%
       
ROIC 短期借入 ¥492,180 ¥680,480
  社債 ¥20,806,300 ¥19,882,500
  長期借入 ¥8,739,630 ¥9,059,150
  税率 30.90% 30.60%
  ROIC 11.86% 6.25%

悪くはないですが、最近調子悪い感じですね。

下は日本産業分類別の3年平均ROICと3年平均営業利益率です。 学究社(9769)は競合他社と比べてもかなりROICが高いようです。 (データの都合上ナガセが入ってません)

コード 会社 日本標準産業分類(小分類) ROIC OPRMAR
9769 学究社 学習塾 29% 15%
4714 リソー教育 学習塾 20% 10%
4745 東京個別指導学院 学習塾 19% 13%
4668 明光ネットワークジャパン 学習塾 10% 11%
9696 ウィザス 学習塾 9% 6%
9795 ステップ 学習塾 9% 24%
4718 早稲田アカデミー 学習塾 9% 5%
4720 城南進学研究社 学習塾 5% 5%
4735 京進 学習塾 3% 3%
9778 学習塾 3% 8%
2179 成学社 学習塾 3% 2%
4705 クリップコーポレーション 学習塾 3% 7%
4678 秀英予備校 学習塾 2% 2%
9760 進学会ホールディングス 学習塾 0% 3%

3 需要と競合

学習塾なので生徒の取り合いですよね。いい高校は増えない。生徒も少子化で減ってく感じ。生徒の取り合いかもしれない。

下は主要な都立高校、都立中学の受験者数です。どちらも5年前と比べて減少中。

高校 H31 H30 H29 H28 H27
日比谷 588 556 574 605 722
西 417 452 467 466 502
三田 403 452 474 476 491
国立 421 447 393 461 489
戸山 575 533 515 541 491
青山 535 555 508 597 644
立川 406 461 402 393 458
八王子東 334 391 345 375 374
合計 3679 3847 3678 3914 4171
中学 H31 H30 H29 H28 H27
小石川 1032 1039 998 1018 882
白鴎 932 958 946 980 1024
両国 812 772 820 1003 1045
桜修館 976 931 988 1074 1137
富士 572 603 653 593 631
大泉 769 852 809 877 895
南多摩 909 842 787 894 886
立川 608 649 738 722 829
武蔵 593 535 534 583 593
三鷹 1078 956 976 1061 1140
合計 8281 8137 8249 8805 9062

中学受験のほうが受験者数がはるかに多いです。受験はストレスフルなので回数が少ないほうが良い。中学で決めて、あとは大学でもう一回、と考えるのは普通かも。

中学生をどれだけ取り込めるかですね。

競合も多い。中学受験であればena以外にも、Z会、栄光ゼミナール、日能研、サピックス、四谷大塚・・・たくさんあります。

どちらがどのくらい違うのかは聞きに行ってみないとわかりませんね。東京で競争してる塾より、ステップ(9795)のほうがいいかもしれません。ここは神奈川で地域独占敷いてるようです。

4 財務

財務データを見てみましょう。

資産の大半は建物

前受金は受講料でしょう。受講終了時に売上計上するのだと思います。借入は校舎新設に使うのかな?

CFも特に問題ありませんね

気になること

短信見ると・・・

一方で、首都圏の私立大学の定員厳格化や、2020年の教育改革の不透明感による不安の高まり を受けて、首都圏では私立中高受験需要が高まる状況になっております。このような状況を受け、都立中高一貫校対 策の更なる充実を図るとともに、私立中高対策にも取り組み、生徒・保護者様のニーズにきめ細かく応えることので きる学習指導に取り組んでまいりました。

私立シフトが進んでるんですね。競争優位が陳腐化するかもしれない。

ここは注意が必要です。

まとめ

・儲かってますが競争環境次第です

・生徒をどのくらい囲い込めてるかが鍵

・生徒がこのまま私立受験に流れると業績に悪影響があるかも

2020年2月26日銘柄研究所

Posted by 古瀬雄明