成長企業に不可欠なリソース 研究開発の捉え方 by Ono
成長企業に不可欠なリソース 研究開発
成長企業へ投資するとき、何を基準に投資すべきか
まず
“高収益企業”
がキーワードとなる
高収益企業の一つの基準を
営業利益率10%以上として考える
(10%未満が投資対象外ということではありません)
営業利益率10%以上とはどんな企業か
・競争力が高い製品・サービスを提供
・変化に対する耐性がある
・複利効果が活きる
売上総利益率が高い=付加価値が高い
営業利益=売上総利益 ― 販管費
販管費=売るためにかかる費用
付加価値が高い商品・サービスを販売するための費用をかけずに売ることができる
→競争力が高い
→売上総利益率高い & 販管費低い =高い営業利益率
現在高収益の企業
ではなく、
“これから高収益になるであろう企業”
は避けたい。
例えば
“XX市場はこれから伸びが期待できる”
という見込みは難しい。
・誰が言っているのか
・いつどれくらい伸びるのか
・自分だけが高い確信度を持てるのか
と言う点でその判断には専門的な知識が必要になる。
もう一つの理由は、
低収益 → 高収益
への転換は簡単ではないため
高収益を実現するためには
継続した投資、研究開発が不可欠
低収益企業は資金的な余力がない
よって
☆すでに高収益の企業を投資対象とすべき
と強調したい
高収益の企業に注目したうえで、高収益の背景を調査し、
その継続性の確信度を高める方がチャンスはある。
今回は高収益を維持し、成長を継続するためのリソースの一つ
研究開発にフォーカスを充てる。
研究開発は短期的に業績に寄与するものではない。
長期に継続してきて蓄積してきたからこそ成果に結びつくもの
“研究開発=付加価値創出の源泉”
である。
研究開発を継続してきたからこそ長期にわたって高収益で成長を継続している企業を例に挙げながら見てみたい。
6157 日進工具
過去にレポートで取り上げている
https://double-growth.com/6157-nstool/
超硬小径エンドミル(6mm以下)で国内シェアトップの企業。
2009年と2019年の開示資料を見る。(会社WEBサイトから)
まず開示資料から読み取れること。
・営業利益率の改善
2009年19.3% → 2019年27.5%
・足元で売り上げの伸びは鈍化
・配当性向16%→30%
・成長投資一巡か(仮定)
2009年 営業CF<投資CF → 2019年 営業CF>投資CF
・高い自己資本比率を維持90.2%→87.3% (堅実経営と判断)
同社は
研究開発により需要の顕在化を待つ
という特徴がある。
もちろん、研究開発とはそういうものだろう、と思われるだろうが
もう少しお付き合いいただきたい。
同社は
“誰がそんなものを使うのか”
とユーザー顧客に言われるような微細なエンドミルをニーズが生まれる前に開発してきている。その結果が現在の成長に結びついている。
過去の業績を見てみよう
売上高
研究開発費と売上高研究開発費率
リーマンショック直後で売り上げが落ち込んだ期も研究開発は継続している。
2016年以降は需要の拡大を受けて研究開発を積極化している。
この継続してきた研究開発が現在の成長の礎となっている。
研究開発を継続することのメリットはもう一つある。
社員のモチベーションである。
エンジニアは自分の仕事に誇りを持ってこそ高いレベルの仕事ができる。
自分の作っている製品が最先端の製品であることを誇りに思い、研究開発に没頭できる。
研究開発をコストとしてではなく、投資として継続するからこそ、成長を継続できてきた例である。
〇IRには積極的で
YouTubeでは企業紹介動画を掲載
同社の事業を把握することができるとともに競争力・技術力が高いことが確認できる
https://www.youtube.com/watch?v=RX6HM7nZFAY
ビジネスレポートには豊富な情報を掲載
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6157/ir_material_for_fiscal_ym1/67409/00.pdf
*打ち上げ原価の構成が確認できたりする
材料費率 約30% 人件費・労務費70%
〇投資タイミングを考えてみよう
高収益でも業績には波があり、いつ投資しても良いということではない。
様々な指標を長期で見ることで投資のタイミングを判断できる可能性がある。
例えば、長期で配当利回りを見てみよう。
次にPER
*5倍を切っているのはリーマンショック後の落ち込みのみ
高収益&高成長の企業だから、何か特定の指標を見ればわかるということはない。
適正なバリュエーションを算出するのは難しいが
複数の指標を見ることで投資対象企業に対する市場の評価を感じることができる。
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