理論株価クイズ012 リスクプレミアムの計算

理論株価クイズ 012 リスクプレミアムの計算

株価の変化率(年率)が以下のように分布するとします。

つまり、期待リターンを中心に株価変動率が左右対称に2σ(標準偏差二つ分)の範囲で分布をすると仮定します。上の図は確率密度分布です。つまり、横軸にリターン、縦軸は確率となります。

最もあり得るのはE(return)となる三角形の中心の期待リターンです。ここで問題です。分布が上記のような三角形の場合、株式投資のリスクプレミアムはいくらになるでしょうか。σを用いて答えてください。

(解答の例)

投資におけるリスクとは何でしょうか。それは期待リターンを下回ることです。分布の前提ではその確率は半分です。期待リターンを下回る幅は0より大きく2σまでです。

左側の三角形が期待リターンを下回るケースですし、その確率は50%。その幅は0より大きく2σよりも小さい。

 中心からの距離をxとした時、xまでで確率が25%になるような点を考えます。重心を考えるのですが、この三角形と相似の小さな三角形で底辺の長さが2σ-xの三角形を考えます。この底辺の長さ2σ-xの小さな三角形の面積が0.25になるようなxを求めると、それが損を保証する適当なレベルということなるからです。それではxを求め、そのxに期待を下回る確率50%をかけるとそれがリスクプレミアムとなります。

まず、上記の三角形の高さを求めてください。高さは、底辺と高さをかけて1になればよいわけですから、高さは1/(2σ)です。三角形の傾きは高さを底辺の長さで割ったものですから、傾きは1/(2σ)/2σ= 1/(4 σ^2)ですね。

つまり、等式(2σ-x) x (2σ-x)(4σ^2) = 1/2 を解けばよろしい。xは2σからルート2σを引いたおおよそ0.6σが答えになります。

リスクプレミアムは0.6σx1/2 = 0.3σが答えになります。 

筆者について

山本 潤 (やまもと じゅん)  

ダイヤモンドフィナンシャルリサーチ投資助言部にて投資判断者を務める。株の学校長期投資ゼミの講師。コロンビア大学大学院修了。哲学・工学・理学の3つの修士号取得。外資系投資顧問のファンドマネジャー歴20年。

日本株の成長株投資を得意としている。外資系投資顧問会社クレイ フィンレイ日本法人共同パートナーで日本株及びアジア株の運用などを経て投資教育の会社を設立。現在も年間200社前後の会社訪問と投資判断を行っている。


1997-2003年年金運用の時代は1,000億円を運用。


その後、2004年から2017年5月までの14年間、日本株ロング・ショート戦略ファンドマネジャー。月刊マネー誌『ダイヤモンドZAi』誌上の銘柄分析を10年以上続けている。


過去20年超の機関投資家としての運用戦績は年ベースで17勝4敗の勝率8割超(同期間の日経平均は、12勝9敗)。

現在は、DFR(ダイヤモンド フィナンシャル リサーチ)投資助言部において日本株ポートフォリオ22銘柄で投資判断の助言サービスを行っている。2019年8月2日まで年初来7ヶ月間でTOPIXを8%上回る成績を提供している。