-理論株価クイズ006- ゆとり教育は悪か?

2019年7月4日

理論株価クイズ006

問題です。連続複利ベースで増収率を計算したところ、

ある年の増収率は10%で翌年の増収率は20%だったそうです。

都合何%増収になりましたか?

A) 10%+20%で30%

B) 1.1×1.2=1.32なので32%

答えはAです!

こういうのをひっかけ問題と言うのでしょうか? 連続複利と断っているので連続複利ならば、EXP(a)EXP(b)がEXP(a+b)になるので当然、Aが正しい。Bは単利の考えです。(a, bは任意の実数, EXP()は指数関数)

単利計算ってそんなに簡単ではありません。なんと%がわからない大学生が一定以上いるらしいですね。ある年に売上が10%増えて、その次の年に20%売上が増えたら、最初の年からは売上は何%増えましたか?と聞かれて10+20=30で30%です!と答えるのがゆとり世代らしくて、これは間違っているそうですね。まあ、世間的には売上の増収率は慣習的に単利ですから、確かに間違っています。でもファイナンス工学専攻の学生にとっては、10%と20%の複利の足し算は30%なんです。この問いは、「連続複利」と断っているところがひっかけです。この条件がなければもちろん、答えはBです。私もゆとり教育には反対でした。

単利の平均の出し方

N年でaがbになった。b>aでもb<aでもa=bでも結果は同じですが、とにかく単利は以下の考えで平均を算出しなければなりません。途中経過を入れると複利計算の考えを導入しなければならないので。。。最初aから始まって紆余曲折は省いて最終的にbになったのであれば使うのはN年、aの値、bの値の3つだけです。

aがcになって最終的にbになった時、cの情報は使わないのですね。a(1+gN)=bが基本式です。(1+gN)=b/aですので、

gN=b/a-1より、g=[b/a-1]/Nが単利の平均値としてください。理論株価クイズ005までの中で、1が2になって1に戻るケースがありました。この場合、2になったことを無視して、1が1になったという事実だけを用いてください。それをこの式に入れますと、g=[1/1-1]/2=0となり、やはり単利であっても、平均成長率は0になるはずです。終わりよければ全てよし。途中経過の情報は不要です。ただし、この単利の計算では、やはり大きな値、100万倍になったとか、1000倍になった、10倍になったなどのケースではb/a-1の1がb/aと比べてものすごく小さいため、ミスリードする場合があります。期初の1に対して毎年どの程度増えるのかという概念が単利です。いつまでたっても昔の1という数字を気にしているから大きな数字や長い期間を考えるときに単利は不向きなんです。例えば銀座の土地が70年で100倍になったとしたら、(100-1)/70 = 99/70です。年率100%以上で上がることになり、肌感覚と違うものになります。一方で、年複利の考えでは、100^(1/70)=1.068…となり、複利計算では年率7%程度の平均ということになり、現実感が出てきますね。1.068を70かけたら100になる。だから7%で複利で70年回せば100倍を超える値になります。

 

以上!

2019年7月4日成長株投資の理論と分析手法

Posted by 山本 潤