-理論株価クイズ005- ファンドマネジャーの虚偽報告!?

理論株価クイズ005 

あるファンドマネジャーのNAVは以下の通りでした。

ファンド設定NAV 10000円

一年後NAV 20000円

二年後NAV 10000円

彼は胸を貼ってプレゼン資料に書きました。えー、私のパフォーマンスは、年率で25%です。([100+(-50)]/2=25)

顧客は思います。この人ってすごい。年率25%の平均のパフォーマンスなんてなんて素晴らしい!!

このパフォーマンスのプレゼンは正しいですか?それとも間違っていますか?

A) 正しい。100 + (-50)を2でわるから平均パフォーマンスは25%だもの

B) 間違い。何言ってんの?バカじゃない? 設定時1万円のNAVが二年で1万円に戻ったのだからパフォーマンス評価は年率ゼロ。だから年率パフォーマンスはゼロ。

理論株価クイズ004の時にはあえて言及しなかったのですが、今回の理論株価クイズ005は前回の004と同じ問題です

これがわからないとまずいなー。ちょっと待って。どうしたらよいの?もちろん、答えはBです。間違っている!

連続複利で考えると

当たり前のことですが、運用は結果が全て。1が1に戻ったらパフォーマンスはゼロです。

100メートルを走る時に途中の順位は無関係です。金融も同じ。1が2になって1になろうが、1が半分になって1に戻ろうが結果は1が1になったということです。1が1だから変動率はゼロ。連続複利では1が2になることをLN(2/1)=0.693147… 一方で、2が1になることはLN(1/2)=-0.693147…です。連続複利では平均はゼロです。

平均=[+69 + (-69)]/2=0/2=0

それじゃ、理論株価クイズ004の時、期待値25%ってなんだったの?と疑問に思われたなら嬉しいです。あの10サイクルの連続投資案件の期待値は連続複利ベースではゼロだったのです。10回の五分五分の施行で、勝ち5回で負け5回が最もありえる結果で、それは1が1に戻るだけだったのですね。

めちゃくちゃな運用をして最終的に資産を吹っ飛ばした人々が最も評価されるおかしな株式市場! 

類似問題として、1を100にしてゼロに吹っ飛ばしてしまったファンドマネジャーを評価してください。

単利ならば9900%と-100%の平均でなんと年率平均4900%を叩き出したファンドマネジャーとなります。ですが、冷静に考えると1の元本を最終的にゼロにしてしまったのですから、連続複利では平均マイナス無限大の最もバカなファンドという評価になります。どちらを使いますか? 単利をそれでも使うのでしょうか。Twitterではいくら儲かったとか何倍にしたとか言っている人々の中には単にめちゃくちゃな運用をして最終的に大損する人々が多数いますが、そういう人が最も評価されるのが株式市場です。おそろしいことです。めちゃくちゃ下手くそを尊敬するなんて。

(小声 そういうことをしているのが株の雑誌とか株のメルマガとかです。恐ろしいです。)