-理論株価クイズ003- 運命的に儲かる株式投資!?

-理論株価クイズ003-

どう考える?

おやおや、またヘンテコな問題が。株絶対やった方がよい?? そんなことってあるわけないからBが正解ですね。

そもそも投資というものは、個別案件ごとに売り買いを決めるものですから。全部まとめて投資は善とか悪という議論は不毛です。この議論を一般化するには追加の情報が必要です。株式投資の収益率の分布状況が必要ですが、この問題の場合、どうやら、収益率の算出法に問題があるようです。

株価が50%下がり半値になったら元に戻るには100%の上げで倍にしなければならない。だから、株式投資はすべきではない

クイズとしては上のクイズと題意は同じです。この議論、何がおかしいのでしょうか。まず、第一に、半分下がることと倍上がることが、質問者にとっては確率が違っているのが問題ですね。

つまり50%下がることの方が100%上がることよりも圧倒的に多いと考える方は確かにいると思います。

もっと小さなパーセンテージで見ればどうでしょうか。確かに1%下がることと1%上がることが同様に起こりそうです。そうなると、株式投資って大きく下がったら大変なんだ。元に戻せないんだ、ということになります。損切りの重要性の説明の箇所にこの議論が出てくるのでご注意を。この議論は間違っているからです。

単利のワナ! 大きなリターンは単利で収益率を計らない理由

単利というのは、S円がT円にN年間でなったとした時、年率の単位RはRN= T/S-1という式です。

つまり、 S (1+ RN) = Tという計算。

例を上げて計算してみましょう。3年で2倍になると収益率Rはいくらでしょうか。

1+3R =3を計算すれば良いので、3R=2ゆえ、R=2/3=0.6666..が答えですね。

一見便利な単利ですが、大きなリターンの計算には使えません。たとえば、銀座の土地が150年で100万倍になったとき、実際、その程度の上げらしいのですが、単利で利回りはどうなりますか?

999,999=150RですからR=666,666.666…%です。そんなバカな。実感と違いますね。私たちの実感とは前提条件によって、こんなに違和感があるものなのです。頼りにしてはいけません。実感だけを。(実感だけを頼ってはいけないというのと実感は頼ってはいけないという主張の違いがわかりますか??) 単利でものを考える場合、大きなパーセンテージを考えるときはものすごく注意が必要なのです。単利で20%上がることに対応する下落率はマイナスの20%と思っている方が多いと思いますが、全くの誤解です。1/1.2-1が正解。単利20%の上昇に対応する単利の下落率はマイナスの16.7%です。

単利で物事を考えるには非常に多くの不便な工夫が必要なのです。金融の理論というものは端的に言えば収益率というアクセルと資本コストというブレーキの二つです。このアクセルとブレーキが単利計算では全く違ったものになってしまうのです。100%の株価の上昇は思い切りアクセルを踏んだら出せるのですが、100%の株価の下落はどんなに強く単利のブレーキを踏んでも到達はできません。そしてブレーキとは2×1/2=1とする1/2がブレーキ。ブレーキとはディスカウントファクターと呼ばれる割引要素なのです。金融理論でのブレーキは逆数になります。1.2の逆数1/1.2がブレーキです。つまり、1+RN=T/Sの逆数はS/Tです。(1+RN)=T/Sでしたね。単利で物事を考えるのはむしろ難しいのですよ!!

2 x 1/2 = 1 金融理論の初歩

単利で物事を考えている人々が絶対に身につけなければならない作法があります。それは100%の上昇を100%の下落と対比させないことです。単利の+Rと-Rとが対応することはありません。言いたいことは、100%の上昇と対応するのは50%の下落です。100%の下落ではないのです。先ほどの記号を使って言えば、T/Sに対応するのはS/Tという倍率です。株価が3倍になることに対応する株価の下落は株価が1/3になることです。これを単利表現すれば200%と-67%ということになります。1+Rに対応するのは(1+R)^-1なのです。

さて、問題の答えです。

50%下がったら100%上がることが考えられます。この二つが1/2と2/1で対応するからです。100%下がったら0/1になるため対応するのは1/0で無限大です。無限大上がることが対応します。ゼロから有が生まれるのか!!!!そんなことがあるのか!!!という問題は奥が深いので別の機会に。単利でものごとを考えるのは、天動説で天体を説明するようなもので至難の技なのです。どんなファイナンスの教科書にも1/(1+r)という逆数を使っているのは、単利の世界の悪い習慣です。私たちは、連続複利Rが連続複利-Rに対応するという美しい左右対称の収益率を持っているのです!!この美しい左右対称の収益率のお陰で、アクセルとブレーキの性能が噛み合って投資に役立てることができるのです!!

単利よ!さらばじゃ!! さらばじゃ!!単利よ!!! (次回に続く)

わしらは何でもかんでも連続複利にして考える癖がついているので+Rには-Rをそのまま対応させることができる。

そして積分も微分も超簡単になるので取材中に株価が理論的に出せる。こんな便利なもの=連続複利はいわば、株式投資における地動説のようなものと私は考えております ですですですですよ。