理論株価クイズ001

-理論株価クイズ001-

A社もB社も現状の配当は5円です
将来の配当成長率の期待値はゼロとします
ところが企業のAの資本コストが20%でBは5%です
株価の価値は何倍違うべきでしょうか?

1) 期待値ゼロにより配当水準はずっと同じだろうから株価も同じであるべき

2) Bの方がAより4倍高くあるべき

どう考えたらいいの?

期待値って何よ! なんの期待値なの? 配当成長率の期待値ですね。配当成長率ってなに? まずはそこからですね!

配当成長率とは?

A社の配当が前の年に4円で今年5円になったとしましょう。すると配当は変化しています。この変化率を成長率と呼びます。配当が減るとマイナスの変化率になります。マイナスの成長率です。はい。リンクスリサーチでは連続複利ベースで物事を考えるので4円から5円の変化率gはLN(5/4)です。これはエクセル関数ならば=LN(5/4)で出せますね。関数電卓ならlnボタンで出せます。あるいは自然対数EXP(g)=5/4になるようなgがLN(5/4)です。とにもかくいもおおよそ0.2ぐらいの数字だと思ってください。

LN(5/4)=0.223143551

ここで諦めないで! 簡単です。グーグルでぐぐってください。「電卓」と。するとこんな画面になります。

このボタンの上から二段目で左から三番目にあるlnボタンをおして、あとは5➗4とおして=ボタンを押せば0.2231355131…と出てきます。これが配当成長率です。

配当成長率の期待値とは?

企業が営む事業は人間の経済活動がベースになっております。人間は細菌のように数秒間で爆発的に増加いたしません。そこでとてもマイルドな定常状態の中にわたしたちはおります。いま1000円で食べられるランチが明日になると5億円にならないは絶対にならないのです。わたしたちの吐く息の量が明日には500万倍にはならないのです。

わたしたち自身の活動のように、ほとんど動かないものを考えるのが投資なのですね。企業により配当の過去の推移は違っています。ほとんどの企業が安定した配当を出しています。

過去の配当を標本としてたとえばN年間のサンプルがあればN−1年分の配当成長率が得られます。その標本平均からt-分布をつかって母平均の95%信頼区間が出せます。その区間に配当成長率の期待値が存在します。母平均の区間はt-分布表とN-1で0.05を見れば出せます。おっと、ここで諦めないでください。標本分散も必要。おっと、諦めないで。とにかく標本から平均が出せること。その平均の前後に本当の平均があると推定されるってことです。クイズの前提は、期待値ゼロなので将来に渡りA社もB社ももっともあるべき将来配当は5円のままであることがわかります。期待値はリターンの要素でしかないのです。運用とか、投資っていうものは、リターンだけで語っては片手落ち。リスクとリターンの比率で投資判断を決めるのが正しい投資手法です。そのために理論株価っていうものがあるのです。だったらリスクの要素ってなんですか?

割引率 資本コスト リスク の計算

クイズでは、年率でA社の資本コストが20%であることが前提となり、B社のそれは5%でしたね。資本コストというものは、期待値からの外れ具合を保証するものです。いわば、損することを保証するためのコストです。たっとえば、TOPIXならば、年間の変動は率にすると20%ちょっとですね。おおよそです。もちろん変動自体が大きな年もあれば小さな年もあるけれども。概ね20%ちょっとというのがTOPIXの変動の大きさですね。ところが資本コストは20%かといえば、そうではなくてずっと小さい7%程度です。なぜ??? それは損することを保証する以上、得する確率は考えなくてよいからですね。損する確率は半分としても20%の変動の半分ぐらい10%が資本コストっていうものになります。ところが株式投資というものは、ほとんどが期待値近辺に分布しているので20%未満の変動となるケースが全体の7割以上なんですね。変動率は正規分布よりも中に寄っているわけです。そして正規分布よりもロングテールでもあるんですよ。おっと、ここで諦めないでください。このあたりも次回から説明してまいります。

それはそうと、株価ってどう決まるかーこれを需要と供給から説明するのではなく、キャッシュフローから説明するのが理論株価です。

理論株価って何? 

理論株価って簡単なんです。これは配当を資本コストと成長率との差でわったものです。

理論株価 = d/s 

ここでdは配当。sはr-gでrが資本コストでgが成長率でごわす…

このクイズの場合、A社の理論株価は資本コストrが20%で成長率gがゼロですから5/0.2= 25円。B社の理論株価は同様にして5/0.05=100円となります。

B社の株価は100円が適当でありA社は25円が適当なのですから、答えは2)ですね。B社の株価はAの4倍であるべき!だったのですね。

なんじゃこりゃと思われるかもしれませんが、N年分のサンプルを使うこと、統計的手法を使うことから、過去の多くのデータを将来のキャッシュフロー予想に生かしているのがDDMです。これがPERではリターンの要素はわかっても資本コストやリスクが株価に織り込めないのです。たとえば、PERが5倍であっても資本コストが市場平均の4倍ならばその株は、PER20倍で資本コストが市場平均よりも低い株の方よりDDMでは割高になってしまうのです。資本コストって大事なんですよ。投資家はリスクとリターンを天秤にかける生き物なのです。リターンだけで判断しては危ない目にあってしまいます。。。

yamamoto