プラットフォームビジネスについて2

2017年10月25日

セミナーに向けて着々と準備を進めております。
参加者の皆様、宜しくお願い致します。
 
寝苦しくて耐えられず、ひんやりマットを買ったら
あっという間に秋ですね。
 
この季節は落語では”目黒のサンマ”
”んー!美味じゃ!!”
・・・サンマが食べたくなる小野です。
 
 
プラットフォームビジネスは切り口が多く、
やはり、前回だけでは書き足りないので
個別銘柄の話に入る前にもうちょっとだけ書きたい。
 
前回:プラットフォームビジネスについて
 
 
要旨:
プラットフォームビジネスの拡大方法はいろいろある
先行者メリットはあるが、
絶えず、価値向上の意識を持っていることが重要
価値が維持できていること、今後も価値向上が期待できることが大事
競争力の源泉は何か
競争は大事だね
 
 

〇プラットフォームビジネスの拡大方法

 プラットフォームビジネスはそのプラットフォームを利用する
 両者が増えることが相乗効果で規模が拡大する
 と説明したが、別な方法で拡大させる方法がある。
 わかりやすい例の一つは、片方を無料にして、もう一方から手数料を取る
 というモデル。
 便利なサービスを無料で提供することで利用者を急速に増やすことができる。
 まとまった数の利用者がいれば、もう一方の利用者にとっては魅力的なサービスとなり、そのサービスを利用することに手数料を支払う。
 この方法は早期の拡大が可能になる。
 とはいえ、スタートダッシュだけでは他者が同様の戦略を行えば簡単に追いつかれるのでそのあとの戦略が不可欠だ
 マラソンでスタート時にダッシュしてトップに立ったが、そのあとあっという間に集団の中に・・・
 

〇”最新”は一瞬

 ”最新の機能を搭載した最新の機器”
この”最新”はその機器に一瞬だけ与えられる形容詞
機器は買った時点が最も魅力的、高効率である。
最新の機器を買ったときはその時が最も最新で、
(というか、契約した時点が最も最新であり、使い始めたときは
 すでに一部価値が下がっていると考えることもできる・・・悲しいw)
技術革新は日々進み、競合他社は対抗した製品を開発・導入する。
一日ごとに価値が下がる。
導入した顧客にとっては減価償却を待たなければ最新の機器に変えることはできない。
 
WEBベースのサービスは短期的に改善、バージョンアップ、
機能追加ができる。”最新”を維持できるかもしれない。
 
 

〇先行者メリットを維持し続けるために

先行者メリットはあるが、同じサービスを続けていたら、
他者が真似をして参入してくるだろう。
uberもすでに複数の企業が参入してきているようだ。
 
 同様のサービスで他社が参入してきたとき
確認すべきは、マーケットが拡大しているかどうか
マーケットが拡大している状況では問題ない。
むしろ歓迎すべきかもしれない。
他者の参入により認知度が高まり、同社の売り上げ拡大にもつながる。
しかし、マーケットの成長が鈍化したときには要注意だ、パイの奪い合いになる。
 

〇リスク要因

前回はマネジメントリスクについて書いたが
他にも気になるリスクがある。
 
参入障壁の低さ
である。
 
WEBベースのビジネスは
初期投資が少なくて済む為、参入障壁は低い
 
例えば、uber
時間の空いている自動車(ドライバー)と乗客のマッチング
必要なのは、
アプリ開発とシステム投資と広告と人件費
最初の小規模でスタートする時点ではかなり低額で抑えられる。
アプリ開発は優秀なエンジニア数名集まれば片手間レベルだろう
 社内開発なら給与ではなくストックオプションだってあり
システム投資はクラウド環境はほぼタダ同然
 個人でGoogleCloudPlatformやAmazonWebサービスを利用してみるとわかるが
 個人の利用レベルでは無料で利用できる。
 とはいえ、無料で利用できるスペック(性能)は自分のPCと同じレベルなので
 拡大を見越して、そこそこのスペックで構築すると思うが。
 
当たり前のことだが、あえて言うと
クラウド環境の利用の特徴は
システムの初期導入費用で大きな割合を占めるであろう
自前でのサーバー環境のハード導入が不要であるということ。
 
初期費用の低さは参入障壁を下げている大きな要因の一つ。
 
 

〇参入障壁を高くしているもの、”競争力の源泉”は何か

 初期費用低いことだけを取り上げて、参入障壁低いよね
というと、きっとその企業から怒られるだろうw
その企業が競争力を維持しているのはそれまでなかったサービスであることも要因の一つだが、
もっと大きな要因は、
営業力、現場力
だろう。
他社がまねをして事業を開始しても
顧客企業とのつながりなしには利用する顧客は増えない。
現場を理解して、現在のサービスだけでなく、今後の方向性についても
実際の顧客と接する中で得られた問題点を解決しようという”未来への期待”が、
サービスの価値を維持するのである。
先行者メリットとは、顧客とのネットワークであり、それを作り出した”人”がいることである。
 
 

〇競争は質の向上につながる

 同業他社が
サービスを受ける側にとっては
・選択肢が増える
・質が高まる
 評価者が増える
 
・先行者優位を維持するためにサービスの改善・新たなサービスの追加
 

〇競争が企業を強くする

 uber のCEOが退任に追い込まれた
これも企業が成長を続けるうえで企業を強くする行動の一つだろう。
多くの人に利用され、認知度が上がり、企業の社会性が高まった。
 
 
成長スピードが早いことが魅力であるとともに、
競合も入りやすいという点では
投資家としても事業環境、競争環境、競合の動向にも注意を払う必要がある。
 
 
あーーまた長くなった。
 
小野
 

2017年10月25日成長株投資, 成長株投資の理論と分析手法

Posted by ono