仕事なんて人生かけるほどのものじゃないぜ。毎日は遊びにすぎない
自分で運用会社を作って金融機関からお金を預かっていた。2006年のころに書いたもの。
社是「Enjoy Every Moment!」ができた経緯
ファンドマネージャーは、日々、企業訪問の繰り返しです。
先日、ある証券会社を取材のため、訪問したときのことです。
エレベータでその証券会社の女性社員と一緒になりました。
彼女は制服を着ていました。
今尚、多くの金融機関では制服があります。
わたしが訪れたのは本社で、店頭ではありません。
本社スタッフも制服を着ているのです。
彼女は「何階ですか?」と親切にもわたしの降りるべき階を聞いてくれました。 わたしがエレベータを先に降りるとき、少し怯えたような感じで、深くお辞儀をして送り出してくれました。
こう書けば、この会社は教育が行き届いていると思われるかもしれません。
しかし、そのとき、わたしは、 「この会社は、この女性従業員のもつ潜在的な能力の何%も引き出してはいない」 という気持ちになっていました。
あくまで表面的な感想ですが、それでも、 「こういう(従業員の力を真剣に引き出していない)会社には投資できないな」 と逆に思ってしまったのです。
投資家として投資に値するのは、従業員がやる気に満ちてモーチベーションが高い組織です。 それでは、モーチベーションの高い組織は、そうすれば構築できるのでしょうか。 わたしがいろいろな会社を訪問する中で考え、また、実際に、企業を経営してみてわかってきたことを紹介していきます。 (ただし、独断と偏見に満ちております。)
1) 暇つぶしだよ。みんな同じだ。
■人生は大いなる暇つぶし■
「人生は大いなる暇つぶし」 と考え始めて幾年か経ちました。
休日に終日パチンコをして、いくら時間とお金を「浪費」したとしても、あるいは、高尚な古典文学作品をじっくりと読み味わったとしても、その両者の時間の使い方、お金の使い方に優劣があるわけではありません。
どんな人のどんな時間の使い方にも、序列はつけられないものです。
どんなに密度の濃い人生を送ったとしても、どんなに意味のない時間を送ったとしても、人生に優劣の差があるわけではありません。
他人が他人の人生を評価することはできないからです。
テレビドラマを見るよりは、小説を読んだ方がよいという人がいます。
テレビを見ようが、小説を読もうが、どちらも暇つぶしです。
小説は、読み手を意識して書かれています。 いわば、面白いネタや枠組みが最初から仕掛けられています。 テレビドラマと大差ありません。
詰め将棋や数学の問題を悪戦苦闘して問いている時間も、頭を使っているというだけで、暇つぶしにしかすぎません。 (頭を使う方が、建設的で健康的であるとはいえるでしょう)
物事や人物に優劣はありません。 あるのは違いや区別だけです。
その違いや区別を生かすのが組織です。
2) 仕事なんてただの商売。人生をかける価値ない
(商売なんかに真剣にならないほうがいいよ)
■働くことも暇つぶしだ■
「働くことも単なる暇つぶし」と考えて深刻にならない。
働くことは商売。商売は生きる手段。目的ではない。 人生の目的ではないのだから、単なる仕事にすぎないってわけ。
仕事は生きるための手段。手段は手段以上の価値は持たない。
一緒に遊ぶ(働く)メンバーが考えた我がチームのミッションは、「毎日が遊びだ!」でした。
日本語では、「毎日が遊びだ」にしましたが、 英語では‘Enjoy Every Moment!’としました。
一瞬、一瞬を惜しんで楽しく遊ぶチームにしたい。
投資家であれば、経営者の方々にお会いして、成長事業をじっくりと分析するわけですから、楽しくないはずがありません。
たかが仕事。考えあまり深刻にならないことです。
この日本には疲れている人が多すぎます。
特にブラック企業に勤めている方々、しんどいなと思ったら会社を休んでもらいたい。
「楽しむ」という意識が自然に生まれるまでゆっくりと休むことをお勧めします。
3) 遊びましょう
■ただ遊ぶ■
暇つぶしには優劣はありません。人間に優劣がないので。それだけのこと。
社会の生産性の向上に貢献する暇つぶしは、仕事と呼ばれるものです。 楽しくてやりたいことがあり、それが経済性を持てば仕事となり、そういう仕事は暇つぶし的な楽しさが伴います。
楽しく生きる秘訣は、生産手段を持たない場合、つまり貧乏な場合、好きな事に経済性を持たせることです。楽しく暇をつぶすことが必要です。 毎日、真剣になれて、楽しく、充実して過ごせるものを見つけた方がよい。 極めるのに何年(あるいは何十年)という時間がかかる、 真剣に取り組んでも、上手くいかない、難易度が高い、そういう物事を計画的に真剣に取り組むことで、充実感や達成感が得られるのでしょう。本当に楽しいことは、努力を重ねても到達できないような困難なものでもある。たとえば、ある分野で学問をする、真理を追求する、というのは最高の道楽ですよ。
単純な作業や過酷なノルマや過度のコンプライアンスは、いずれも、会社をつまらなくする元凶です。
経営者の仕事は、会社から管理する「行き先ボード」を撤去することです。 人事管理ソフトはサーバーから抹消しましょう。 人事部は解散しましょう。
すべてプレイヤーで経理や雑用は社長から始めましょう。その後は、経理や秘書はくじ引きで順番にやりましょう。 制服や管理されたりすると、誰も信じられなくなります。
4) 身体がなによりも大事
■ノルマよりも自分の命の方を重視してほしいな■
以前、ノルマのある職場で働いたことがあります。 年配の方が、体調を崩して、ノルマ達成が難しくなったときがありました。 そのとき、彼の直属の上司が、「早く体調を直せば、まだノルマ達成は間に合うから」といったとき、わたしの血が逆流してしまいました。
体調が悪いなら、仕事が楽しくできる状態ではありません。 それなら、体調が完全に戻るまで、彼は仕事をすべきではないのです。 そこで、わたしは、 「ノルマなんてやらなくていいんですよ。ノルマよりも身体の方が大切です。 体調が悪いのに、無理して会社にいらっしゃることなんてないんですよ。 ノルマが本当に必達なら、会社が代わりに無理してでもやりますよ。さあ、帰りましょう!みんなも無理することなんかないからね!!楽しくやろうよ」 と大きな声で言ってしまい、本当に、その人を無理やり帰してしまいました。
(ノルマなんて会社がコストを余分にかければなんとかなるものです)。
会社がコストを惜しんで従業員に無理をさせるということは人権の侵害で、持続可能な成長とはいえません。 企業はいまこそ、性善説に立ち返った経営を取り戻してほしいと思っています。
5)お金をかけないから遊びは楽しくなる
■楽しむことにお金はかからない■
企業が設備投資をしたり、人の教育をしたりするのに、お金をかけすぎる嫌いがあります。
英会話学校に行かなければ英語が話せないとか、
ジムに行かなければ運動ができないとか、
参考書がないと勉強できないとか、
人は結構、これがあったら、何々ができるのに・・・と考える傾向があります。
これらはすべて逃げの口上です。
本当にやりたいなら、あれこれ考える前にもうやっています。
実際に、創意工夫があれば、お金をかけずに、何事もチャレンジできます。 本当にやりたければ、どんなに劣悪な環境でもやるものです。
なにがあっても挫けずに、やり抜きたいと真剣に思えるものが見つけて、そのテーマで遊ぶのが社会人のオツな生き方です。
会社は性善説以外にない。
■まとめ だよーん■
ひとりひとりが暇つぶしを見つけ、遊び倒す。
企業経営者は性善説をとり、経営者をやめる。
みんなをただ応援する。
人事部は廃止。リストラするなら、会社をたたみましょうね。
コンプライアンスは撤廃する。
すべて平等に。
商売はたんなる遊びであるから、これからは職場ではなくて、遊び場と呼びましょう。「会社に行く」ではなくて、「いまから遊びにいってくるね」といって家をでましょう。
都内のオフィスは引き払いましょう。夏は軽井沢、冬は沖縄。大概は寝転んでごろごろすること。 本当にやりたいことが見つかった組織は、お金がなくても工夫してごろごろ、ごろごろとやりたいことをやる。ギリシャ人のようにゴロゴロして床に寝転がって哲学しましょう。
高い投資効率はこのような「遊び心」から生まれるものです。 仕事とか会社とか、侮辱するわけじゃないけど、人生をかけるほどのものじゃないぜ。
Enjoy Every Moment! by 山本 潤 (やまもと じゅん)
ディスカッション
コメント一覧
当方、37歳派遣社員、会社の昼休憩に拝見させて頂きました。
私の事を書いても、全く意味はありませんが、単純作業のコールセンター仕事をし、頭痛持ちが平常運転となり、ブロック注射をしながら、こなす日々です。
不躾な物言いで恐縮ではございますが、山本様の様な、経営者の方と巡り会えたら、人生心強いと心底感じました。
皆様も人生色々あるように、私自身もありましたが、全ては自分が選択したこと。
午後の部(仕事)、への勇気を頂きました。
素敵なブログ、ありがとうございます。
一彦さん、
お忙しい中を、わざわざ投稿いただき、ありがとうございます。
マーケット関係やってますと、他人がダメだと判断するものの中に宝物があるものです。
だれがなんといおうが、一時間仕事をしたら一時間の価値が絶対にある。その価値は絶対に他者が否定できないものです。仕事にはプラスの価値しかない。マイナスの価値の仕事なんか、世界中、どこにもないのです。
せっかくみんなでプラスの価値を積み上げているのに、それに対して文句いう上司や同僚や後輩がいたら、そいつらは足し算さえできない間抜けです。
ご自身のことを大切にしてほしいです。
55歳で異動10年前に鬱を発症した部署です。内示の時点から頭の中がおかしくなっています。以前いた部署ですが経験のない業務を担当することになりました。前任者は退職、管理職も転職のため、半月くらいしかおらず、担当スパンの広がった管理職のもと、進め方もよく分からず、少しでも前に進めようと努力していました。しかし、すでに決まっていた企画はポロポロで尻拭い状態。引き続きの時におかしいと思い質問していましたが、いざ企画が動き出す時に、各方面からダメ出し。管理職は忙しく相談できない。自分が馬鹿だから前に進めないんだと。一カ月が経過し、休職か退職か悩んでいます。
こんさん、コメントの承認遅れてすみませんでした。いま気がつきました。大変でしたね。ダメ出しする方は何も考えていないのですね。ダメだしは無責任ですね。
私も常にこんな考えで仕事してます。日々仕事に追われて寝て休んでまた仕事。そして仕事中に、仕事って何だ?何をそんな皆必死なんだ?暇つぶしだろうにこんなものはと冷静になります(追い詰められてたりしてものんびりやるタイプです)。これからたくさんの意見の違う人間に出会う事は確実ですが、この考えだけは常に自分にあるのだろうなと思います。後はそうですね、凝り固まった考えでしょうか。ネットに毒され過ぎて将来どうするのだの、正社員じゃなきゃ厳しいよだの。生き方は人それぞれ。働き方改革、ではありませんが、未だに正社員に固執するのは時代遅れでしょう。明日は我が身で、これからは少子化。一人の人間が出来る事は限られますが、間違いなく、多くの仕事を任されるでしょう。何でも出来るようにならなくちゃ、ではなく(一人に単位に雑用が溜まる時代になるのは間違いない)のんびりとこなせばいいんです。出来ない事は無理せず。様々な事に脳を絡み取られたときに思うようにしてる事があります。
どうせいつかは死ぬ、だったら今日を自分らしく、のんびり生きよう。誰の指図も気にするな、楽しめと。
おっしゃったスタンス。わたしはとてもいいと思います。いろいろと厳しくつらいことはあるかと思いますが、あまり気にしないでほしいです。ちょっと頑張れると思ったときに、その分、頑張ることがあってもいかもしれませんが。よいことがあったり、なにか気分が少しよいときとかに。
面白く読ませて頂きました。ありがとうございます。
現在無職33歳先月会社を退職しました。
蓄えは少しだけです。
絶望はしていなく、なぜか希望があります。
ぼくが、経済的に不自由なく暮らしていくためのアドバイスありましたら教えて頂けると嬉しいです。
アドレス:richter0522@gmail.com
宗一郎さま
希望! 33歳は非常に若いのです。
経済的に不自由なくいきていくことを目的とするのであればアドバイスはなかなか難しいです。
社会的に意義があることをやってみようととするのであれば、経済的に不自由でも仲間が支えてくれます。
何をしたいのか。何が問題なのか。何ができるのか。いろいろと試行錯誤しながら、立ち止まり、考えてみてください。
アドバイスは、自分でトコトン考え、行動することです。メールをお送りましす。1ヶ月ぐらい後に、おいしいものでも食べにこれますか?東京までは?
読んでいて希望を持ちました。ありがとうございます。
もうすぐ27歳になる現在転職活動中(無職)です。
激務から教員の道を諦め、転職を決意しましたが臨時教員が職歴として見て頂けず面接で苦戦し続けるばかりです。
また親の目が気になり正社員にどうしても固執していますが、自分がやってみたいことがだいたい派遣社員さんがやっているお仕事で、どうするべきか悩んでいます。もしお目に留まりましたら、アドバイスを頂けるとありがたく存じます。
ハルカさん
27才にもならない若いハルカさんには大きな可能性と明るい未来が待ち受けています。
教員の激務は社会問題になるぐらいです。
二つの考えがあり、どちらも正しいのですが、体力と心に余裕があれば、まず、正社員の仕事の中でも、一見、つまらないことでも、自分なりの工夫で面白くすることは可能です。
二つ目の考えは、これも正しいのですが、好きなこと、やりたいことを優先すべき、というものです。
好きなこと、やりたいことであっても、疲弊するような職場環境では成長することは難しいのです。
職場は入ってみないとどんな職場かわからないという不安があります。
月並みなアドバイスは以上です。
これは私の考えです。
教員の夢があって、それを激務から諦めた経緯は、簡単に心の傷は癒えるものではありません。
しばらくゆっくりとされて、断る勇気を鍛え、余裕を大事にして、集中して仕事ができると思えるまで待ち、
再度、勉強して、教員に再チャレンジしてください、というのが私のアドバイスです。
そして、日本の教員の職場環境をなんとか仲間とよい方向へと変えて行って欲しいのです。
一人ではありません。きっと、同じ境遇で思いの方々がいます。
ハルカさんのチャレンジは、激務に悩む日本中の教員の目指すロールモデルになります。
奇想天外で何を行っているんだと思われるでしょうが…教員の激務をなんとかしたいと思っている人は多いはずです。
私の父も教員でした。激務から心筋梗塞でぶっ倒れてしまい、その後は、部活を免除されましたが、大変でしたよ。
夢を諦めて吹っ切れることができればよいのですが、ふと、20年後、30年後に、教員という夢を思い出してハルカさんが寂しく思ってしまうのではないかと危惧してしまいます。
まずは休み、心に休息を。
そして、断る勇気を鍛え、
教員へ猛勉強して、よい先生になって、日本の将来を作って欲しいです。でも、今は、無理しないで欲しいです。ただ、ゆっくりと休んで欲しいです。周りの目は気にしないで欲しいです。
山本潤さん、なんて優しい人なのでしょう。
一つ一つのコメントに丁寧に、時間をかけて返してくださる(経営というものをやられている方の意見は
重みやリアリティがあります)姿勢や
仕事疲れが満映している日本の中で
「人間すごいんだぞ!」って臆面もなく言える姿勢や
実績に安心感があります。
『たかが仕事』って一番仕事してくれる人が
言ってくれること。
この安心感は計り知れません。
あなたの社員がとっても羨ましい笑
「仕事に追われなければ、金に追われなければ
みんないいやつだったんだ。」
と言ってくれるような優しい一つ一つの助言、
身に染みます。
僕もあなたのようなデカく頼もしく、
オツな人になりたい
華衣流(ケイル)さま
こんな古い投稿をよく見つけていただきました。コメントまでいただきありがとうございます。
給料払っているから何か言いたくなるという人もいるし、自分より「仕事」をやっていないように見える人もいるし、いろいろ各人言いたいことはあるのは当然のことです。でももし、わたしが何か気になるならば、自分でやれば済むこと。人にわざわざ指令を出してやれというまでもないこと。人から何かを言われることは人間にとって楽しいことではないです。「勉強しろ」と子供に言って勉強する子供など世界中に一人もいないと思います。会社の常識が社会の非常識になっているところもあります。自戒を込めて、敬い、寄り添い、励まし、認め合う、分かり合うというコミュニティでありたいと思います。共に何かを作っていきましょう!