9386 日本コンセプト 2018年度決算説明会レポート by 古瀬雄明

2019年3月1日

事業の詳細はフルレポートをご覧ください。

前期好調。今期も増収増益予想。

2018年度は増収増益。売上高は事前予想に12千万ほど届かなかったものの、それ以外の数字は事前予想を上回った。(下表参照)

(百万円)

2017/12

2018/12期 予想

2018/12期 実績

前期比

予想との差

売上高

11,705

12,285

12,165

3.9%

-120

営業利益 ()

1,865 (15.9%)

1,935 (15.8%)

1,939 (15.9%)

3.9%

+4

経常利益()

1,772 (15.1%)

1,878 (15.3%)

1,914 (15.7%)

8.0%

+36

純利益()

1,245 (10.6%)

1,299 (10.6%)

1,346 (11.0%)

8.2%

+47

今期(201912月期)の予想は以下の通り。増収増益を見込んでいる。

(百万円)

2017/12

2018/12

2019/12(予想)

前期比

予想増加率

売上高

11,705

12,165

12,710

+545

+4.5%

営業利益

1,865

1,939

1,985

+46

+2.4%

経常利益

1,772

1,914

1,950

+36

+1.9%

純利益

1,245

1,346

1,349

+3

+0.2%

ガスタンクコンテナ事業は大幅な売上増

同社は201712月期より液化ガスの保管、再生、回収、破壊サービスを開始している。2017 12月期の売上高はわずか2200万円であったが、201812月期にサービスが本格始動し、売上高が23600万円までのびた。同サービスが連結売上高にしめる割合は2%と僅かではあるが、同社はこのサービスの大きな飛躍を期待している。

成長が期待されるガスタンクコンテナ事業とはどのような事業なのか。

ガスの処理とは何をするのか?

例えばエアコンを製造する工場があったとする。この工場はエアコンの冷媒であるフロンガスを海外から輸入しているとしよう。フロンガスはガスタンクコンテナで輸入され、工場のタンクに保管されたり、ボンベに小分けにされたりする。

基本的にガスタンクコンテナは洗う必要がない。使う際は他の気体が混じらないよう注意しつつ、同じ気体を入れて何度も使い回す。

反対にボンベは使い切りである。一度使ったら捨ててしまう。

ガスの回収

ガスタンクコンテナは安全のために2.5年に1回、中身をカラにして検査をする必要がある。カラにするにはバルブを開けておけばいい・・・・・わけではない。中身をきちんと回収しなくてはいけない。

小分けにされたボンベを廃棄するときも同様だ。これもいきなり潰せばよい・・・・わけではない。ボンベの中身を回収してカラにしなければ廃棄できない。

再生

ボンベやコンテナの中のガスはいったん一つの場所に回収される。それから不純物を除いてまた使う。これが再生である。

破壊

フロンガスの中には過去に製造された環境負荷の高いものもある。こうしたガスは回収されたら破壊してしまうこともある。(破壊には様々な方法があるが、同社の事業では高温で加熱して不活性化している。)

高まるコンプラ意識は追い風

こうした、回収、再生、破壊は工場の担当者がそれぞれ別の業者に依頼して行っている。例えばボンベ一つとっても大きさはまちまちで、中には移し替えが必要なケースもある。ただ中身を吸い取って破壊や再生に回せばよい、というわけではない。すべてケースバイケース。とても面倒だ。

面倒だからといってバルブを抜いて捨ててしまえ・・・というわけにもいかない。フロンガスは人体に無害とはいえ、みだりに放出することは違法。遵法意識が高まる昨今、ルール違反がバレたら会社の信頼に関わる。

同社のサービスを利用すれば、運搬から処理までまとめて行える。面倒なことがひとつ減るわけだ。

ガスの処理が行える運輸業者は国内ではいまのところ同社だけである。

後追いは難しい

他の運送会社も機械と人と土地があれば同じ事業を始めるのではないか?

おそらくそれは難しいだろう。

設備を揃えて行政の検査を受けるのに数ヶ月程度(役所なので対応は迅速ではない)。ケースバイケースに対応するためにノウハウの蓄積が必要だ。

顧客の反応はよい

同社の顧客の工場では液体だけでなく気体も扱っているところが多いようだ。

既存の顧客に、液体だけでなく気体の取扱もオファーすればよいので営業もしやすい。実際引き合いも多いようである。

追記: 懸念

国内工場が縮小して、外国に移ったら荷物が減ってこの会社終わりじゃん?

と同僚から突っ込まれた。たしかにそうだ。と思ってちょっと考えてみた。

シャンプーを作る場合を考えよう。

  1. 国外の工場から完成品(パックに詰まった状態)を輸入する
  2. 国外の工場から完成品(パック詰めまえの液体)を輸入する
  3. 国内の工場に原材料を集めて生産する

が考えられる。

(なお、以下に書くことはすべて筆者の推測である。現実と違っているかもしれない。)

1)の場合は費用は節約できるが輸送が手間である。パックや緩衝材のぶんだけスペースが無駄になる。コンテナへの積み下ろしも面倒だ。輸送すれば壊れることもあるだろう。このケースが増えるとタンクコンテナの利用が減る

2)の場合は輸送が多少楽になる。液体は結局タンクコンテナに詰めるだろうからこのケースが増えてもタンクコンテナの利用が減ることは考えにくい

3)は生産費用が高額になるかもしれないが、必要なときに必要なだけ作れるので楽といえば楽だ。MADE IN JAPANと言えるのも良い(中国産やベトナム産のシャンプーではちょっと格好が良くない。)。原料が液体なのでこれもタンクコンテナで輸送したほうが楽。

筆者が生産者なら2)か3)を選ぶかな。と思う。1)はなるべく避けたい。

2019年3月1日銘柄研究所

Posted by 古瀬雄明