再生エネルギーどうあるべき?? -EFONの考え- by yamamoto

2018年9月6日

EFONとFIT

企業紹介で、以前、EFONの島崎社長に取材をする機会に恵まれ、少し、リンクスリサーチでも紹介させていただいた。

さて、日本は3・11からFIT制度による再生エネルギーへの傾斜が起こっている。

FITは形を変えた税金ともいえまいか。原発一辺倒だった大手電力会社。不安定な再生エネの普及には一貫して反対であったが、じわりじわりと普及は進み、いま、イノベーションもあって、火力発電や原発発電のコストを下回るという見通しも出てきているのだ。だが、まだ割高な再生エネルギー。それをFITで普及させようとする政府の苦肉の策でもあったのだ。太陽光などは随分と安くなったのだが。

さて、EFON島崎社長のお考えでは、日本国民の税金を投入する以上、お金が海外に流出してしまっては本末転倒なんだという。(あくまで社長の個人的な意見)

その議論は風力発電にも通じる。風力発電システムの大手は押し並べてGEなどの海外勢である。何十年も海外勢にメンテナンスなどを依存することになるのはどうなのか。そんな国民的合意はあるのか。そうおっしゃるわけだ。

おっしゃることはよくわかる。

ただ、法律に抜け穴がある以上、その税金や補助金や制度を狙って大量の資金が再生エネ設備に向かったのがこの数年間であった。知り合いにも太陽電池をど田舎に敷き詰めて「ごっつぁんです!」と不動産など比較にならない高い利回りで再生エネで運用している人も多いのだから。

そんなFITだが、日本の再生エネがこの制度だけに頼っている現状は否めず、結果として、FITは投資家から見れば、はなはだ持続不能な一時的な措置でしかない。

不透明感を嫌うのが投資家である以上、再生エネルギー関連銘柄の将来性は不確かである分、バリューはつかない。株価も安くなる、というわけだ。

そんな中で、EFONは、まじめに、バイオマスエネルギーを日本の木材をつかって発電している。島崎社長の真意は、うちは発電もするが、山を作っている会社であり、木を育てるのが仕事である会社だ、という強い自負をお持ちだ。そんなEFONだが、FITの制度の中で、収益の最大化を目指して、様々な工夫をしながら事業運営していることは以前書いた。

いまのEFONは、電気の販売には興味がなく、販売はテクノにすべてお任せ。そして、激変緩和措置が切れる20年3月以降、FIT制度がどうなるかわからないということもあり、販売先のひとつとして、再生エネ電気を高くプレミアムで売っているベンチャーみんな電力の大石社長を引き合わせてみたのだった。

わたしはひとりのアナリストとして、EFONとみんな電力とを引き合わせるのは仕事では全くないが、わたしの問題意識としては、EFONは販売をこれまでのように外部に委託したままでいいのか。欧州のようなFIP(フィードインプレミアム)への熱意はないのか。あるならば、多少でも自助努力すべきではないか。そんな考えが心の中にあったので、EFONに直接その考えを確かめたい、というのがわたしの本音であった。

みんな電力

みんな電力はIT会社といってもよいが、低圧中心の発電所(学校に設置された太陽光発電等)から電気を仕入れて、意識の高い消費者に電力を売っている。クラウドで電力需給の調整をして、すべてをオンラインで帳票管理をしている。 みんな電力は、「顔がみえる電力」を売りにしている一風変わった会社でIPOを目指している。 大石さんは、元々、凸版印刷で新規事業を担当していた。電子事業、Fansionなど新規事業を11年間運営されてきた。みんな電力設立、そして独立したきっかけは、面白く、2007年当時、電車で携帯の電池が切れてしまった大石さんが、目の前に座っていたお姉さんがカバンに太陽電池のキーホルダーをつけているのを充電に使わせてくれないかと頼んだことが起業のきっかけだったという。このお姉さんが作る電気なら200円でも買いたいと思った。

考えてみれば、お金にも色はあるんじゃないか。同じ1万円でも拾った1万円と母親が苦労して渡してくれた1万円とでは意味が違う。電力だってそうなんじゃないか。

原発から仕入れるのではなくて、地元の知り合いの町工場の屋根からの電気を使いたいという人もいるはずだ。そして、あの3.11が来て、 電力自由化もやってきた。

 「顔が見える電力」。一風変わっている。 女子大で講演した。あなたが使うドライヤーのコンセントの向こう側に意識を向けたことありますか。 地元に貢献できる電気を使いたい?それとも日本を汚染する電気を使いたい?そう聞いて回った。みんな、ふるさとにお金が落ちた方がいいという。

アップルコンピュータなど意識が高い企業にみんな電力は電気を供給しているという。

学校の屋根の上に太陽光をつける。 卒業生が電気代で母校を応援できる。月100円、どうせなら学校の電気を買おう。

大石さんによれば、再生エネにはひとつひとつストーリーがあるという。地域のことをすごく考えてやっているので、地方の発電所にはストーリーがちゃんとある。そのストーリーに価値があるというのだ。ならば、その価値を顕在化させたいと。

そういう話を大石さんから島崎さんにしてもらって、将来の再生エネ、不透明なりにどんな議論になるのか、わたしは興味深く二人の議論を聞いていたのだ。

EFON社長 と みんな電力社長との対談

EFON島崎さん

「再生エネは制度に依存している。未来を描くのは大変だという印象を持っている。

未来の枠組みか、いまは見えないなあ。POST FITの議論はそんな簡単なことじゃない。 CO2の係数で低いもの、インセンティブがないとね。 ライフサイクルCO2の話を評価する仕組みがないとダメ。 」

みんな電力大石さん

「電力会社にいいたい。電源を価値化してよ。 小売は一般的に競争力がない。 電気を選択する時代はくると信じてる。 」

EFON島崎さん

 「売電は全部テクノでうっている。 電気をうることにあまり興味がない。 あまり面白くないからだ。ここに興味がないといってしまうと申し訳ない。本来のEFONの仕事は、本音をいえば、 木を買うこと、だと思っている。 木を買いたい。  この山とこの山に携わる人たちのために。だから、うちはバイオマスをやりたい。 スギとヒノキになってしまうが。

バイオマス以外は、 風力にしろ、地熱にしろ、箱物のように作ったら終わりだ。太陽光もそうだ。 風力発電、すべての部材が輸入品。 国民の富が海外に流出するのでどうか。一方、バイオマスは、国内の木材を使う限り、地方を活性化させ、林業を再生できるポテンシャルがある。」 

1時間ほど熱い議論を横で聞いていた。かなり専門的な話や生生しい話になったので、そこはすべて割愛した。(世界規模では森林がどんどん減少している。貴重となる木材の価値は遠い将来、上がるだろう。EFONの主張は全く正しい。)

人の縁 帰り道で

こうして二人の社長の初顔合わせ、情報交換会は、無事終わった。FITの先を見据えて、といえばかっこいいけど、そんなに簡単な話ではなかった。

大石さんたちには、環境緩和措置が終わる2020年3月期あたり、EFONも外部販売一部する可能性もあるんじゃないかと伝える。大石さんはいますぐじゃないけど、すべては人の縁だから、いつか一緒にEFONさんと仕事ができるようなったらいいな、とおっしゃった。

循環型社会というが言うは易し。島崎社長は木を植える、森をつくり、山をつくりというが、本来、すぐ成長する針葉樹じゃなくて、落葉樹なんかが古来日本にはふさわしいけど、木こりさんには木こりさんの生活もある。そういう単純な話でもない。

そうなんだよね。現代日本では、あれかこれかで二択のように問題を捉える傾向があるけど、本来、物事はとっても複雑。こうすればよい、という解決策などない。

EFONの方々とこうした話ができて、かえって、よくEFONのことが理解できたような気がした。

投資家は結論が好き。じゃあ、どうなのと。ありきたりだけど、誰が社長であっても、いまあるFITの中で最善を尽くす、しかないかな

わたしの考えはシンプル

競合する再生エネ、その中で、輸入ものだろうが、国産だろうが、それは投資家にはどちらでもいい。経済原則からは、競争力のある再生エネルギーに行き着く部分が大きいだろう。

それが投資家としての基本的な立場だろう。バイオマスについては、地域社会の政治で決めればよいことだ。

しかし、島国日本で高いものに拘れば、産業の競争力は損なわれてしまう。

再生エネルギーや電気自動車の話は、10年前、20年前だったら夢物語であったことを思い出してみよう。それが、急激に競争力をつけたのは、中国勢が頑張ったからだとは言えまいか。

その中国を支えた技術の多くは日本のものであった。結果として、輸入の太陽電池ばかりになったが、さらなる低価格を目指さないわけにはいかないだろう。

ひとつ、勉強になった、ということでしかない。

2018年9月6日コラム

Posted by 山本 潤