7730 マニー 特許から読み取れること by Ono
7730 マニー
一年で株価は約2倍。
単純なPERなどの指標で見ていたら買うチャンスは訪れない。
真の競争力を探り、
企業の将来に向けて自分の妄想を膨らませて、
自分を信じるのが成長企業への投資。
あくまでも信じるのは自分。
自分の理想とする社会にどの企業があってほしいのか。
投資しているポートフォリオは自分自身を映す鏡
ポートフォリオ=自分の将来
と言い換えてもよいでしょう。
そのためには、その企業をよく知る必要があります。
企業が積極的に開示していることはもちろんのこと、
様々な情報源から分析企業のことを調べなければならない。
自分の未来を託すのですから当然。
今回取り上げる 7730 マニー
2008年にポーター賞を獲得
レポートもあります。
ポーター賞獲得時のレポートをどうぞ
https://www.porterprize.org/pastwinner/data/winners2008.pdf
ただし、こういった情報は多くの投資家に瞬く間に共有され、
この”レポートのみ”を投資判断の材料とすることは意味がない。
レポートの中身の理解度を深めることで、
自分なりにレポートの価値を高めることができる。
理解度を深める
とはどういうことか。
ポーター賞は詳細な調査を基に決められているが
レポート内の記述には、
それってどういうこと?
という部分も多い。
例えば、レポート内に以下のような記述があります。
”戦略を可能にしたイノベーション”
•錆びにくいが加工しにくかったステンレス材を手術針に加工する技術(1961 年、世界初)
• 折れにくく切れ味の良いステンレス線材の開発(1967 年、1988 年)
• 世界で最も良い切れ味が要求される眼科縫合針と眼科ナイフに使われるナノサイズの刃先加工技術
• 直径 140 ミクロンの針を可能にするレーザードリリング技術
• 独自の品質評価基準の開発と評価データの公開
• 社長を含む管理職の公募制度
具体的にどういうことでしょうか?
考えてみてください。
きっと、
”なぜ、加工しにくかったのか?”
”折れにくく切れ味の良いステンレス線材の開発?”
” なぜ直径 140 ミクロンの針ができなかったの?”
”なぜ可能になったの?”
・
・
・
”なぜ? なぜ? なぜ?・・・・”
が頭の中で並びますね。
結局、大半の投資家の結論は
”ポーター賞とったんだからスゴイんだよなぁ”
というところに落ち着くことになるでしょう。
専門外の方であればあきらめざるを得ないのでしょうか。
そんなことはありません。
内容は
だいたいのことは特許に記述されています。
例えば、最初の
•錆びにくいが加工しにくかったステンレス材を手術針に加工する技術(1961 年、世界初)
• 折れにくく切れ味の良いステンレス線材の開発(1967 年、1988 年)
• 直径 140 ミクロンの針を可能にするレーザードリリング技術
あたりに関して。
グーグルパテントを利用します。
検索キーワードは
会社名に加え、”シリコーン”、”アイレス”、など関連すると思われるもので
検索。
多数検索結果が出てくるのでその特許の題名から
関連すると思われる特許を読む。
その結果見つかったのは以下のような特許。
世界特許 WO2012029689A1
シリコーンを塗布した縫合針とその製造方法
ページ数は23ページもある、いや、23ページしかないのだ。
図解入りで、丁寧に解説されている。
この特許の文章部分を要約すると以下のような内容だ。
手術器具は切れ味が重要
研磨では肉眼では平滑な鏡面でも
顕微鏡的に見ても鏡面ではない。
電解研磨、化学研磨などどんな研磨でも凸凹はできる。
刺通(しつう)抵抗を低減させるのには限度がある
そこで表面へのシリコンをコーティングすることも行われた
塗布方法は従来、シリコーン液に縫合針を浸漬する(液体に浸す)方法で
針全体にシリコーンを塗布していた。
しかし、全体を塗布することは無駄
また、手術回数が増えるたびに抵抗が増加する傾向があり、
回数が増えても抵抗が増加しない針が望まれていた
〇アイレス縫合針の場合
糸を元のほうで固定する
塗布する際に糸を入れる止まり穴にシリコーンが入り込むと
固定力が低下する。
シリコーンが入らないようにするために、止まり穴に水を入れて
シリコーンが侵入するのを防止したが、
縫合針が細く小さい為、水が入りにくく、侵入防止が困難だった。
同製造方法では、必要な部分にのみ噴霧する
シリコン塗布した縫合針とその製造方法
シリコンに漬けるのではなく、噴霧する
漬ける場合、乾かすたびに加熱乾燥が必要
噴霧は加熱乾燥が不要で室温での乾燥ですむ
例えば、8時間×4→8時間×1になる 製造時間が4分の1になる
先端部分にはシリコン層がつき、元の部分には一部しかつかない
無駄なシリコンが不要になる
切れ味を維持するため、4重にコーティングする
もう一つ
〇アイレス縫合針の製造方法
日本特許JP2006280479A
150μm以下のアイレス縫合針で糸を指す部分の穴あけ方法
150μm以下の針にレーザーで穴をあけると、穴が変形したり、
アナがずれて強度が極端に落ちたりすることがある
それを回避して、大量生産を可能にする技術
まず、150μm以上の針に微小パルスレーザー光を複数回当てる
→穴の変形を抑える。
その後、針を研磨して細くする。
研磨しすぎると、
・金属内部は芯に向かって柔らかくなるため強度を保てない
・研磨のばらつきが大きくなる
実験的に研磨の最大が20μmであることを見出した
以上。
読んでいて
なるほど、そう来たか!
と、むち打ちになりそうなほどうなづいてしまうw
この発見が投資のだいご味の一つと言っていいだろう。
また、企業は開示情報に特許について記載することはほとんどない。
しかし、特許を基に質問をすれば、
”そこまで調べてきたのか”
と企業側の反応は必ず変わる。
もちろん、一つや二つの特許で全てわかることではない。
特許には様々な見方がある。
それを紹介するためにセミナーを企画している。
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特許情報、知財情報は短期的な投資成果にはつながらないかもしれないが
他の投資家と違う視点で企業を評価することができる。
特に、難しいと思われているからこそ、やる価値がある。
すでに5回目。
初めての方にもわかりやすく解説します。
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