日本の株式市場を変えるスチュワードシップコードの威力
スチュワードシップコード
耳慣れない言葉に感じると思うが
株式投資の世界ではここ数年の間に注目されている言葉である。
コーポレートガバナンスの向上を目的とした機関投資家の行動規範である[1]。機関投資家の支配力を活かしたソフトロー(Soft law)の一種であり、企業経営の収益力を向上させたり、企業不正を監視したりもする。いまや国際標準であるが、英国発祥の紆余曲折した制度である。
ということ。
やっぱり少しわかりにくいかw
かなり簡単に言うと
機関投資家としてお金を預かって運用してるんだから、
責任をもって投資先企業に対して、意見を言いましょう。
というもの。
英国発祥だが、2014年に日本版スチュワードシップコードが出された。
2017年に改訂された。
日本では、金融庁が2014年に日本版スチュワードシップ・コードを制定、2017年に改訂を行った[7]。強制力に欠けるとはいえ、従来、株主総会等で会社提案を追認することが多かった生命保険会社や機関投資家も、加入者の利益を念頭に議決権行使を行う傾向が見られはじめている。第一生命保険の場合、2018年4月から6月に開かれた株主総会1799社のうち会社提案について1件以上反対した会社は204社にのぼった[8]。
ジワジワとしかし、着実に浸透してきている。
それを表すのがこの記事
企業年金などを運用する部門の責任投資グループリーダー、松原稔(51)のもとを上場企業の役員らがこぞって訪れた。6月の株主総会を控え、議決権を行使する同社に「感触」を尋ねに来たのだ。松原はこの日、5社と面談した。ここ3カ月では約100社だ。
じゃ、今まで意見を言ってこなかったの?
運用割合を見ると
国内株式が25%(±9% 乖離率の許容分)
そのうち、90%がパッシブ運用
パッシブ運用とは、
市場の動きを表すベンチマークどおりに運用すること
で市場平均並みの収益率を確保することを目指す方法。
ということは、
市場平均並みの実績を上げるためには
投資先企業を選ばない
ということ。
つまり、
どんな経営をしていても、投資するということ。
収益性が悪い事業を継続しても、
社会的に批判をあびることがあったとしても、
そんなことは関係がなく投資していた(は、ちょっと言い過ぎですが)
ということで、
GPIFからパッシブ運用の運用機関として運用を委託されている運用会社は
できることがほとんどない。
非効率な企業が入っていることがわかってもインデックス投資するしかない。企業と対話する意味があまりない。
パッシブ運用でも意見が言える立場になった
しかし、スチュワードシップコードがパッシブ運用の世界を変えた。
言いたくても言えなかったことが、正々堂々と言えるようになったということ。
経営について疑問があれば、
それに対して意見を言える。
企業と対話をできる。
その下地ができた。
特に、次の点に注目したい。
https://www.fsa.go.jp/singi/stewardship/list/20171225.html
スチュワードシップ・コードの受入れを表明した機関投資家のリストにおいて、
信託銀行等、投信・投資顧問会社等、生命保険・損害保険会社に分類される機関投資家において、
従来公表していた項目に加え、
「議決権行使結果の公表の有無」
「反対行使の理由の公表の有無」
どのような判断をしたか、の公表を求められている、
つまり、
いい加減な判断はできないということ。
実効性の高い制度になることが期待できそうだ。
上場企業としては、今まで黙って投資してくれた、
モノ言わぬ投資家
が
モノ言う投資家
に変わった。
冒頭で紹介した記事がその証拠である。
これは無視できない。
今は少なくなったかもしれないが、
シャンシャン総会
(株主総会で会社の思うように議案を承認すること)
が難しくなる。
ゆっくりだが大きな流れになりそう。
企業の目線がより機関投資家側に向きそうな流れではあるが
この変化は喜ぶべきだ。
ESG、SDGs、スチュワードシップコード
など個人投資家の間では、
意外と不人気だ。
”どうせ、変わらないんでしょう。”
”株価のパフォーマンスにはほとんど影響ないでしょう。”
と。
しかし、この変化は大きい。
徐々にだが日本企業は確実によくなる。
ゆっくりだが、大きな変化だ。
個人投資家も投資先企業には意義のある提案をしよう。
それが投資家の役割なのだから。
まだのんびり構えている企業もあるかもしれないが、
株主軽視の企業は早晩慌てることになるかもしれない。
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