3963 シンクロフード フォローレポート 高成長持続 買収による連結決算 by Ono

2018年12月27日

シンクロフード
飲食店経営における支援ビジネスを飲食店プラットフォームビジネスとして展開。
収益の柱は求人情報だが将来的に有料化できるサービスを複数提供し
将来的にサービスの拡大が期待できる。

最初のレポートはこちら
https://double-growth.com/synchro-food3963/
サービスの特徴、強みなどわかりやすく解説しています。

〇株価

執筆時2017年9月19日 578円(分割考慮)

3月には3倍の1736円まで上昇したが
2018年6月18日終値 1,053円
(800円割れで底打ったような動きで本日も上昇中)

執筆時からのパフォーマンスは+82%
数字としては悪くないが
高値から半値以下まで下落しているのはちょっと耐えられないか。

1700円台まで上昇した時期には
”プラットフォーム関連”
といわれる企業が全般的に買われていた。
例えばアトラエ
https://double-growth.com/6194atrae/
も同じ時期に買われていた。

〇2018.3期は高い成長を持続(有料ユーザー数の増加 × 単価の上昇

 3月に株式会社ウィットを子会社化した為、連結決算の発表となったが、
 比較可能な単体ベースでみると高い成長を継続している。

 2018.3期(単位:百万円)
 売上高 1,377(前期比+30.9%
 営業利益 599(同+33.0

 成長の内訳
 有料ユーザー数の増加 × 単価の上昇
 2017年3月期累計 → 2018年3月期累計
 有料ユーザー数:6,674件 → 7,350 (+10%)
 期間単価:120,999円 → 149,602円 (+23.6%)
 
 また、期間単価について1Qから4Qまでの累積の推移で伸びを見ると
 2017.3期 1Q:68,686円 → 4Q:120,999円(+52,313円)
 2018.3期 1Q:78,558円 → 4Q:149,602円(+71,044円)

 期間単価の伸びは
 ・求人情報掲載のリピート利用
 ・オプションサービスの利用の増加(上位表示、スカウトメールなど)
 などによるもの。
 採用がしにくくなっているため、同社のサービス利用が増えている。

 *同社の求人広告料金は30日間19,800円+オプションと
 他社比で圧倒的な価格競争力がある。
 詳細な比較等はこちらのレポート参照
 https://double-growth.com/synchro-food3963/

 値上げについて
 値上げ余地は大きいが、値上げよりも各店舗が柔軟に利用できるように
 オプションの利用による期間単価上昇につなげる。

〇求人の好循環が成長を後押し

 同社の求人サイトは
 ・飲食店特化型
 ・オープニング物件がある (人材不足で好条件が期待できる)
 といった特徴があり、”飲食店で働きたい”と考える求職者が同サイトに集まる

 その結果
 飲食店が求人サイトを活用 低価格&採用率高い
 →飲食店:良い人材を獲得できた & 求職者:良い職場(店舗)を見つけることができた
 →新たな店舗への転職のときにも登録
 →飲食店で利用リピートと口コミでの拡大
 の好循環
 
 *ある大手チェーンで20人確保したいと複数の求人サイトに登録したところ
 20人中17人を同社サイト経由で確保した。
 他社サイトに比べて応募率、面接率が2割程度高かったという。

飲食店のライフサイクルで利用者の側に立った課金サービスの提供

 同社は飲食店向けに様々な無料サービスを提供している。
 無料サービスを入り口としてサイトに誘導し、有料サービスの利用に結び付ける。
 プラットフォームビジネスの好例である。

 有料化による課金の判断は飲食店のライフサイクルのフェーズで判断している。

 飲食店ビジネスのライフサイクルには4つのフェーズがある
 ①出店準備 → ②出店 → ③運営 → ④退店 → ①へ

 利用する飲食店のキャッシュニーズで無料、有料を判断する
 ①と②:飲食店ではお金に余裕がない。
  キャッシュアウトが先行するステージである。
  そこで無料で利用してもらう
 ③:順調に回りだしている成功店舗へのサービスで課金をする。

 開始したばかりの飲食店を無料サポートし、うまく回るようになったら課金する。
 その結果としてプラットフォームの価値が高まる、という考え方である。

”受発注システム”の有料化を視野に

 有料化する可能性のあるサービスはいくつかあり、開始時期も含め検討中だが
 最も有望なのは受発注システムと思われる
 現在、受発注のうち、発注側のシステムのみ無料で提供している
 ”PlaceOrders(プレイスオーダーズ)”
 http://www.synchro-food.co.jp/news/press/1750 (2016年11月リリース)
 発注する店舗側は発注先がFaxでもメールでもアプリから発注可能。
 発注履歴もスマホアプリで確認できる

 これに受注側のサービスを構築し、追加することで
 受発注両側にとって付加価値の高いサービスとなる。 

 ・すでに発注側で利用店舗がいること
 ・受注側は販売先獲得につながるため利用ニーズがあること
 で、有料化の可能性は高く、利用者増が期待できる

〇株式会社ウィットの買収による拡大期待

 1.5億円での買収。
 今期から売上で1億円弱、利益ベースではのれんの償却負担がありわずかにマイナスとなるが
 将来的に2つの事業の拡大に寄与することを会社側では見込んでいる。
 
 ①専門職(調理師・栄養士・管理栄養士などのスペシャリスト)の人材紹介
 給食事業所・施設の人材需要は旺盛
 1000名以上の人材データを保有している。
 すでにシンクロフードの求人とのマッチングすることで成約率を高めたい。

 ②飲食店M&A
 今後、M&Aにも注力する方針
 実績としては年間10件程度の案件を成立させてきた。
 シンクロフード社の実績は過去1年で数件にとどまるが、
 売りたい人(会社)、買いたい人(会社)がそれぞれ数百件あり、
 成立させれば手数料数百万円を両社から受け取れることになる見込み。
 ウィット社の買収で案件成立数を増やしたい。

<将来見通し>

高い成長の継続が期待できそうだが投資も続ける。

〇2019.3期会社計画は成長投資で増益幅縮小
 2019.3期会社予想(単位:百万円)
 売上高 1,864(前期比+34.0%)
 営業利益 661(同+11.0)
 後述する投資により増益幅縮小するが
 売上高営業利益率35.5%と高収益は変わらず

〇成長投資
 ・ウイット社とのITシステムの共通化
  将来的コスト削減
 ・人材強化のための採用コスト
  エージェントを使って採用
 ・広告宣伝費
  営業方法としてSEOは継続注力、口コミも効果は確認できている、
  より利用者増につなげるため、リスティング広告を積極的に利用する。
  売上に対する宣伝費率を徐々に高める。
  2018.3期6%程度から

〇本社移転
 少数精鋭で運営してきたが買収したウィット社も同じオフィスに受け入れるため
本社を移転する計画で、本社移転費が発生する見込み。

2018年12月27日銘柄研究所

Posted by ono