4054 日本情報クリエイト 来期の成長加速に向けて (第3四半期のフォロー) by Ono

2021年6月4日

4054 日本情報クリエイト 2021年6月期 第3四半期決算のフォローレポート

ポイント

・第3四半期は順調な進捗で上方修正

・配当開始

・採用が順調にすすむ

・仲介ソリューションに注力

・来期以降の成長に向けて投資を進める

<業績>

〇第3四半期の業績

2021年6月期第3四半期の業績は売上高1,942百万円(前年同期比 +11.4%)営業利益453百万円(同 +19.9%)となり、

順調な進捗で増益率が高まった。第4四半期も足元の好調が続く見込みであり、通期計画を上方修正した。

通期で前期比二桁の増収増益に上方修正。配当(期末5円)も開始した。

修正幅は大きくないが、足元の好調な状況を確認できた点はポジティブ。

第3四半期は不動産業界は繁忙期のため、商談の機会が減少することから新規導入が伸びにくいが、想定以上に好調で新規顧客を獲得している。

 

 

 

クラウドサーバー原価の上乗せと社員の新規採用を積極化し一時的に利益率が低下。

 

ソリューション別の状況は以下の通り

〇管理ソリューション

同社の主力商品である”賃貸革命”のクラウド版への移行需要が高まり、IT導入補助金による拡販も順調に推移し、売上高は1,294百万円となった。

〇仲介ソリューション

無償提供している業者間物件流通サービスの電子入居申込機能のサービス連携先の家賃保証会社やライフライン取次会社(入居希望者にインターネットや新電力などを代行して案内する会社)を増やし、商品の付加価値向上に注力。
新規に家賃保証会社7社と提携を開始し、提携会社数は合計24社に。
付加価値向上によるアップセルにもつながり売上高は630百万円となった。

 

〇解約率低水準でストック売り上げを積み上げる

第3四半期の解約率は0.3%と継続的に低水準を維持している。顧客企業は無料サービスの業者間物件流通サービス「不動産BB」と連携するシステムの導入により業務の効率化が可能となる。また、導入後はコールセンターによるサポートも行っており、利用方法がわからずに解約、ということが抑制され解約を低水準におさえている。

その結果、ストック売り上げが積み上がり、安定的な収益源となっている。

 

<通期業績見通し>

通期計画は売上高2,615百万円(前期比+10.1%)、営業利益584百万円(同+11.3%)の計画。

 

 

第3四半期業績の通期計画に対する進捗率は売上高が74.3%、営業利益が77.7%である。

同社の顧客は第3四半期が繁忙期となり、第4四半期に商談活動が活発化する。

同社の計画においても第4四半期の売上拡大を見込んでおり、

通期見通しに対して第4四半期単独の業績は売上高673百万円、営業利益131百万円。

 

 

前年比、前四半期比で増収の計画だが営業利益率は19.5%。

前年同期が23.1%だったのに対して20%を下回る計画である。

主な要因は、

・顧客ニーズが強く、特にクラウドシステムのサーバー導入原価があがったこと

・採用が順調に進んでいるため販管費が増加すること

などによるもので、次期の売上につながるコスト計上である。

 

〇IT導入補助金2021の補助対象ツールとして認定

「賃貸革命10」「売買革命10」「非対面仲介サービス」「スタート・バリュープラン」がIT導入補助金の補助対象ツールとして認定を受けた。導入時にかかる費用の最大2/3(最大450万円)を補助金として受け取ることができる。IT導入補助金申請のサポートも行っており、同社サポートによる補助金採択率は94%(2020年5月29日締切分)と高い水準の実績となっている。

第4四半期から来期の増収要因となることが期待される。

 

<目線は来期へ 仲介にも注力>

現状は主力製品である「賃貸革命」の管理ソリューションが同社の業績を牽引するが、
来期以降、仲介ソリューションにも一層注力する。

仲介ソリューションでは「WebManagerPro」、「物件データ連動」サービスを提供する。

「WebManagerPro」は無償で利用提供している業者間物件流通サービス「不動産BB」から物件情報を自動掲載が可能、物件データ連動はsuumo、athomeなどの不動産ポータルサイトへ一括でデータ掲載が可能であり、導入不動産会社の業務効率化を実現している。IT化が遅れている不動産業界においてニーズは強く、営業担当を増員して直接顧客にアプローチし、リモート営業も活用し、新規顧客獲得に注力する。

〇順調に採用が進む

同社の強みは各地域に支店を置く地域密着と丁寧なサポート。新規顧客獲得においても計画通り人員採用が進むかは重要なポイントである。

今期は営業担当社員を中心に20人の採用を計画しており、順調に採用が進んでいる。

リモート営業、リモートサポートも活用しているが、地域密着が同社の強みでもあり営業マンを増やすことで新規顧客の獲得につながる。

順調に進めば数回の訪問で顧客化につながり、契約から導入までのリードタイムは 賃貸革命で1~2か月、WebManagerProはより短期間に導入が可能である。

人件費が先行するが、売上計上までの期間は比較的短期間となる。

 

〇新サービスの開発

同社は製品・サービスの付加価値を高めるために、新たなサービスを継続してリリースしている。

2021年6月には同社の主力製品である「賃貸革命」のオプションとして

”経営支援サービス”

をリリース予定。計画通りに開発は進んでおり、来期以降の業績への寄与が期待される。

 

<バリュエーション>

時価総額 253億円

株価 1,895円(2021年6月12日終値)

会社予想PER 62.3%

 

 

****** イニシャルレポート(2020年10月5日作成) ビジネスモデルや特徴・強みを詳細に解説しています *********

4054 日本情報クリエイト アナログな不動産業界の業務効率を高める! by Ono

 

<同社の特徴・強み>

IT化の遅れた不動産業界に業務効率化ツールを提供

既存製品を徹底分析し新たな付加価値をつけて投入

日本全国に拠点を置き、地域密着でサポート

 

<沿革>

代表取締役社長 米津 健一 氏

創業までの経緯。
社長の米津氏は高校卒業後、豊田自動織機へ
モノづくりに魅力を感じて入社したものの、工場のラインで働くだけの仕事に対して
理想とのギャップを感じ、1年程度で退職。
地元の宮崎県都城市に戻り、社会勉強のために営業職につく。
学校や病院、職域に本を販売する営業をしていたとき、
パソコンを目にし、パソコンが業務に活用されるようになるだろうと感じた。
そこでプログラミングを独学で勉強して地元のソフト会社に就職。
エンジニアと営業の両面で会社の成長に寄与し、入社当時3人の小さな会社は退職する時には60人の会社まで大きくなった。
そこではエンジニアとしてのスキルだけでなく、経営のノウハウを得た。

同社が最初に販売したのが建築業向けの

”見積もり革命”

創業メンバーが建築業界の知見があったため建築業向けのシステムを開発したが、
建築業向けはすでに多くの企業がシステムを提供していたため、
さらなる成長のために他の業界向けの新製品の提供を検討。

すべての業種を分析し、後発でも収益性が維持できて売上を拡大できる業界を検討した。

判断基準は
・市場が大きいか
・競合に大手がいないか
・利益が十分確保できる価格で売れるか

ただ大きな市場をターゲットとするならば、
販売管理、給与計算、会計などがターゲットとなるが
すでに大手企業を含め、多くの企業が参入しており後発で参入することは難易度が高いと判断。
分析の結果、ターゲットとしたのは不動産業界。
同社が初めに提供したのが

”賃貸革命”

すでに市場には賃貸管理の製品はあった。
同社はまず、売れている複数の既存製品を分析し、優れた機能やノウハウを取り入れる。
さらに顧客に必要とされる、付加価値の高い機能を追加で開発し、新しい製品を作り上げた。

それが”賃貸革命”である。

製品開発に2年かけて市場に投入。
市場の分析、既存製品の分析から自社製品開発まで手間、時間を惜しまず、
既存の製品を上回る製品を開発、提供することができた。

ポイント:新製品開発で専門家を入れない
 同社のユニークなところは、新製品開発において専門家を入れないこと。
大半の企業は新しい市場に参入する、新しい製品を開発するというとき、
その業界に精通した人材を登用するだろう。
社内にいないときは外部から招へいする。
知らないままで参入することはリスクが高いと考えるからだ。

同社の場合、

専門家、業者と話すと既成概念にとらわれてしまい、
新しい製品を作り出す障害になりかねないという考えから、
業界の専門家を入れずに社内で分析から開発まで行っている。

その後も同様に製品開発を続け、現在は6,000社以上の有償顧客がいる。

<事業内容>

不動産の仲介、賃貸管理の業務を効率化するためのシステムをワンストップで提供する。

大きく分けて以下の3つのサービスを提供

①業者間物件流通サービス

②仲介業務支援サービス

③管理業務支援サービス

内容は次の通り

①業者間物件流通サービス

”不動産BB(業者間物件流通システム)”

 

 不動産業者同士で物件情報を共有するためのシステム。
主に次の二つの業務をカバーする。

・元付業務:自社物件情報を登録して、他の不動産会社に共有

・客付業務:他社物件情報を仕入れて募集や広告
      来店した顧客への物件紹介

*一般の消費者が利用する不動産情報のポータルサイトには
 問い合わせをさせるためのおとり物件が掲載されている場合があるが
 同システムは業者間で共有するためのシステムのため、
 実際に存在する物件情報のみが掲載されている。

 価格:無償

 

 

②仲介業務支援サービス

”Web Manager Pro”

 自社のオリジナルのホームページを作ることができる。テンプレートが用意されており、写真やロゴを選んでセッティングすることで簡単にWEBサイトを構築することができる。不動産BBを利用していれば、登録した物件データから掲載が可能。導入時は同社のデザイナーが作成をサポートする。

 ・導入会社数 約1,500社
  年間150社程度増えている。

”物件データ連携”

 物件情報ポータルサイトへ物件情報を掲載する機能を提供するアプリケーション。
複数のポータルサイトに一括で掲載、データ更新ができる

不動産BB、賃貸革命、売買革命に登録している情報を
 アットホーム、HOMESなどのポータルサイトに一括で簡単に登録することができる。

 登録可能なポータルサイト
  アットホーム
  ライフルのHOMES
  suumo
  CHINTAI
  CENTURY21
  APAMAN
  など

 ・導入会社数 約1,500社
  年間150社程度増えている。

③管理業務支援サービス

”賃貸革命”

同社の主力製品で売上の65%程度を占める。

 賃貸管理業務に関連するシステム
 仲介業務、賃貸管理業務
 の機能がある。

・仲介業務

 https://www.n-create.co.jp/pr/product/kakumei-chintai/brokerage/
 登録した物件情報をチラシ作成や一般消費者向けのポータルサイトに登録するための情報として利用できる。また、登録されている物件について契約者や契約条件を入力することで契約管理を行うことができる。

ネット広告やアットホーム、HOMESなどのポータルサイトに自社物件を一括で簡単に登録できる

*物件データ連携機能と同様の機能
不動産ポータルサイト
 アットホーム ライフルのHOMES suumo CHINTAI CENTURY21 APAMANなど

 

賃貸管理業務

  管理物件の問い合わせに対する対応の履歴管理、修繕履歴の管理、家賃の入金、請求、送金などの家賃管理ができる機能を提供する。

 *価格は端末数、登録できる物件数によって変動する

 ・導入会社数 約4,500 年間300~400社程度増えている
  賃貸革命 (オンプレミスとクラウドで提供)
   オンプレミス 4,000 (オンプレミス:サーバー等のシステム機器を自社オフィス内に置く)
   クラウド 500
   *コロナ化でクラウド版が増えているが依然としてオンプレミスが多い。
    既存のオンプレミスもクラウドに移行したいが、
    重要な顧客のデータを自社内に置きたいという考えが根強い為、新規はオンプレミスが多い。

 ・リードタイム(システム立ち上げまでの期間)
  3回程度の訪問で契約に至るケースが多く、契約まで1~2か月程度。
  その後、設定を行い立ち上げまでさらに1~2か月程度かかる。

 ・導入及び導入以降のサポート
  成約後同社の専門部隊が顧客オフィスで導入指導、立ち上げなど、納品から設定まで行う。
  導入後は自社のコールセンターでサポートを行う。
  *問い合わせの9割が”賃貸革命”についての内容とのこと。

<特徴・強み>

 主な特徴・強みは2つ

①不動産業務をワンストップで提供し業務効率を改善

②日本全国にネットワークを広げ、地域密着でサポート

 

①不動産業務をワンストップで提供し業務効率を改善

 不動産関連業務の入り口から出口まで全てを提供する製品ラインナップとしている。
個別製品でも優れた製品を提供するが、同社製品で揃えることでデータ連携により業務効率が改善できる。

 

②日本全国にネットワークを広げ、地域密着でサポート

 同社は日本全国に11拠点を置く(2020年5月末時点)。現地サポートにより、システムの稼働を早期に進めるとともに新たな課題の発生に対しても早期対応が可能な体制としている。自社でコールセンターを運営し、通常時にはコールセンターで製品利用のサポートを行うが、緊急時には訪問サポートができる体制を築いており、信頼関係構築につながっている。

 製品の解約率が低い(後述)のは製品の品質だけでなく、サポート体制を充実による信頼関係の構築が寄与していると考える。

 地域密着は営業においても効果がある。マーケティング部隊がWEBによる集客を行い、見込み客には営業担当が個別で訪問(オンラインツールも活用)して説明する。代理店営業も活用したことがあるが効果は限定的と判断し、自社での直接営業を徹底している。

 

以上の結果、解約率が低く抑えられ、業績の安定感が高まっている。

解約率の低さ 0.6%

ストック比率 61%

 

<業績>

〇業績推移

  

〇2021年6月期会社計画

27期連続増収
売上高経常利益率 23.8% → 24.4%

2021年6月期会社計画(単位:百万円)
売上高 2,566(前期比 +8%)
経常利益 626(同 +10%)

<成長戦略>

 不動産業務全体をカバーする製品ラインナップとなっており、今後は自社製品を一層普及させることで不動産業務において不可欠な存在にしたいと考えている。

①無償サービス利用顧客を有償顧客化へ

②不動産業務の電子化推進を追い風にIT化が加速

 

①無償サービス利用顧客を有償顧客化へ

 不動産BBで物件データを閲覧、または物件データを登録するのは無償で利用が可能。
現在、不動産BB導入事業者数は15,025事業所。
宅建業者は12万業者あり、不動産BBの導入事業者を増やす余地は大きい。
新規の導入者数を増やし、有償サービスの導入につなげる。
有償サービスの導入社数は6,102社だが、不動産BB導入社のうち有償サービスの導入社は
1,000社程度にとどまっている。既存の導入社向けにも有償サービスの利便性をアピールし、
有償顧客化することにも注力する。

*サービスリリース当初は有償で提供していたが導入が思うように進まなかった為、
4年前(23期)に無償化したところ導入が加速した。

②不動産業務の電子化推進を追い風にIT化が加速

3つのうち一番注目しているのは3つ目

 世界最先端デジタル国家創造宣言
 IT化が遅れている原因は

  契約は紙で交わす
  印鑑が必要

 と法的に決められている。
これが2020年9月から来年の3月まで社会実験が行われ、来年に法制化される可能性がある。
紙が要らない、印鑑が要らない。不動産契約が変わる時代が来る。
それに先駆けて準備しているのは、電子承認による契約。
1契約ごとにトランザクション毎に発生するものになり、利用ごとに課金できる。

・不動産業者の世代交代もIT化を後押し

 業者総数は12万でほぼ横ばいとなっているが毎年5,000社以上が開業、一方で5,000社以上が廃業している。新しく開業した、親から相続した、など世代交代が進み、若い世代の業者が増えている。
新しい世代によりデジタル化が遅れている不動産業界でIT化を後押しすることが期待される。

 

2021年6月4日成長株投資, 銘柄研究所

Posted by ono