7199 プレミアグループ ーユニークなビジネスモデルを支える営業力ー by yano

2019年2月7日

2月の株式市場は大荒れでしたが、嵐は想定よりも素早く過ぎ去ったなという印象です。市場リスクはどの銘柄でも一様に受けますが、固有のアルファの源泉がある企業は大荒れ相場の中でも素早く値戻し、上昇基調に乗ったように思います。

金利収入を稼ぐ会社は銀行から資金を調達して総資産を膨らましてビジネスをしている関係で、ROAやROE、自己資本比率は当然低いのですが、プレミアグループはそうではありません。仕組みをうまく作っているので、ROAやROE、自己資本比率も高いのです。

同社は2017年12月に東証2部に上場した新しい会社です。

では早速、会社の沿革から見ていきましょう。

沿革

同社の前身であるプレミアファイナンシャルサービス株式会社は、2007年に設立された企業で、ガリバーインターナショナルの孫会社ジー・ワンクレジットサービスが前身である。代表の柴田氏はジー・ワン出身である。

リーマンショックでガリバーが事業売却することになり、2010年に事業譲渡という形でSBIホールディングスに引き受けてもらった。その後、2013年にSBIから丸紅子会社のアイ・シグマ・キャピタル株式会社に100%売却された。

2015年6月にあおぞら銀行、兼松株式会社、株式会社エスネットワークス、東京スター銀行の出資によって設立されたAZ-Star株式会社が出資受け入れのための受け皿会社として、株式会社AZS一号を設立し、プレミアファイナンシャルサービスの株式を取得。

2015年7月にプレミアグループ株式会社に社名変更した。

同社経営陣の意向としてIPOがあり、それを了承の上での設立であった。

IPO価格は2220円、売出価格は2320円

 

自動車金融サービス事業を提供

オートクレジットとワランティが売上の99%でそれ以外の子会社は今後の収益貢献。

売上比率は、オートクレジット76%、ワランティ23%の構成になっている。

車のディーラーにローン提供し、ディーラーが最終顧客にローンを販売するBtoBtoCモデルで、全体の85%が中古車、15%が新車(軽)新車ディーラーはスズキやスバルなどとなっている。

元々ガリバーの孫会社だったが、現在のガリバー売上比率1%未満と特段依存しているわけではない。

中古車買う人の3割がローンで7割がキャッシュ(銀行借り入れの場合もキャッシュカウント)のようで、この3割がターゲットとなる。

 

市場動向

中古車の登録台数2010年~2011年の650万台をボトムに2012年から2016年は680~690万台で横ばいと安定的に推移している。

この登録台数のうち、中古車業者間での販売もあるので、実際にエンドユーザーの中古車の販売台数は4割から5割程度である。

このような環境下でオートクレジット(新車含む)の信用供与額の金額が上昇している。

2013年は3.59兆円、2014年は3.73兆円、2015年は3.9兆円、2016年は4.17兆円と上昇している。市場成長率は年率で5~6%伸びている。

信用供与件数はここ数年230万件台と横ばいだ。

これは、1件あたりの金額が上昇していることが理由のようだ。自動運転などで新車の金額が上がっていることが背景にある。

 

業界淘汰でライバル減少

業界全体としては、2007年12月の改正貸金業法の影響を受けて、上限金利の引き下げで過払い問題を抱えて、業界の淘汰が進んだ。20数年前には信販系は9社あったが、業界淘汰で現在は4社に集約された。その間、同社はまったくその影響を受けないで成長してきた。  

 顧客ポテンシャル

中古車販売店9万店あるが、主要な生業としているところは3万店でこの3万店が今後のターゲットとなっている。営業マンは飛び込み一日20社をKPIで管理。アイパッドを持たせていて、ルートセールスも決めたルートにしている。  

ディーラーは信販会社を複数社使っているが、同社の営業により、同社がその中でシェアをあげているのが現状のようだ。

ライバルとは、審査スピードや金利など同じレベルである。違うのは営業マンのマインドと生産性が違う。他社は車以外の信販をやっているので、中古車ディーラーへの営業へのマインドが異なる。

取引先は17000店の中古車販売店、スバルやスズキの新車ディーラーが顧客となっている。

オートクレジット比率は、オリコは67%、ジャックス57%、アプラス48%と大体5割くらいの比率でオートに特化しているわけではない。同社のオートクレジット比率は98%とほぼオートに特化しているのは同社だけである。

家電・メーカー系では、イオンフィナンシャル52拠点、取扱高非開示とMMCダイヤモンド(MUFG)7拠点、取扱高非開示。

オートクレジットの取扱高だが、オリコは17/3期時点で110拠点、オートクレジット取扱高8120億円、アプラスは17/3期時点で54拠点、オートクレジット取扱高1542億円、ジャックスは17/3期時点で65拠点、オートクレジット取扱高5393億円、セディナは最新データは非開示だが、10/3期時点で40拠点、オートクレジット取扱高2523億円。

オートクレジットに同社は2007年に参入した後発であり、まだ取扱高は同業と比較すると小さい。

オートクレジット取扱高、債権残高 共に高い伸び 

 

取扱高は17年3月期940億円。

上述した大手信販系と取扱高を比較すると、同社は年間まだ940億円の規模とかなり小さいことがわかる。

ここ数年は年率2割成長を実現している。シェア拡大による高い成長を実現している。 

債権は小口で平均120万円程度を貸し付けており、債権残高の回転期間は4年弱程度である。

債権残高は17年3月期1733億円、16年3月期約1435億円、15年3月期約1250億円

拠点数は15箇所

 

ユニークなビジネスモデル

①17年3月期時点で95%にあたる1647億円が銀行との提携ローンで、同社のBS上にオンバランスされない債権である。5%にあたる58億円が自社債権で自己資金を使う。

自己資金の5%に該当する部分は銀行の形式的な審査に通らない人が実質的な返済能力は銀行の基準と変わらない人を自社債権という形で受けている。

提携ローンは住信SBI、オリックス、楽天の3行で現在他の金融機関との話もある。

提携ローンの場合、同社は資金の取次ぎのほか、連帯保証や審査やローンの回収代行を行う。銀行と加盟店間の資金の取次ぎのタイムラグが2週間程度あり、同社が間に入ることで2週間の資金の融通を行っている。

 

②ストック型収益

収益は金利収入を計上し、費用は一括で計上。

2017年9月時点で未実現収益134億円がある。BS上の金融保証契約111億円(オート)、その他金融負債23億円(ワランティ)に該当する。これらは今後の売上となる繰り延べ収益である。繰延収益がバランスシート上、負債勘定になっている。提携ローンに関しては、会計方針は信販会社の裁量に任され、手数料を一括で計上しているところもある。フローの取扱高の獲得に依存していれば、収益は金利収入であってもストックとはいえない。

③貸倒は100%保険でヘッジ

貸倒引当の繰り入れや取崩しによって、各年度の利益の振れがなくなる点が大きなメリットである。毎期保険料が費用で発生するモデルで、貸倒の引当や費用化の必要がない。

金利について

顧客への金利を加盟店が決めるので、バラバラだが、平均7%の金利を顧客が負担する。町の加盟ディーラーごとにそれぞれ仕切金利を提示、仕切り金利以上の金利のスプレッドがディーラー利益(同社にとって販促費に相当)(固定)、銀行金利1%(固定)なので、プレミアの取り分として、営業収益は約4%で落ち着いている。

新車は自動車メーカーが車の販売促進のために低金利を提示していたり、住宅ローンと比較すると金利7%という水準は非常に高い印象を受けるが、中古車ローンの市場は大体7%程度と高いそうだ。同業のオリコやジャックスも同程度の金利で仕切り金利などの仕組みも同様である。

また、オリコは親会社がみずほということもあり、一部提携ローンの仕組みも行っているが、中古車販売の代理店(JU)などを使って、直販をしていないので、キックバックも必要で同社のような高収益なビジネスモデルは構築できていないのが現状のようだ。

延滞債権率

3ヶ月延滞率 13年3月期1.6%→17年3月期1.1%

1ヶ月延滞率 13年3月期1%→17年3月期0.9%

延滞債権から貸倒まで移行するのは、大体半分程度のようで、実際の貸倒率は0.5%程度であるようだ。

貸倒れは保険会社に保険料として支払う。保険料は貸倒率0.5%プラスアルファ程度である。保険会社へは前年の貸倒率実績に応じて毎期料率の見直しで対応する。この延滞債権率が下がることで保険料が低下する仕組みになっているので、先行指標として動向には注目したい。

延滞債権率はここ5年右肩下がりで低下してきている。ノウハウやデータの蓄積、システムの精度向上が延滞債権の低下につながっている。また販売店も質の高いところを中心に付き合いを広げているという現場の努力もあげられる。

2007年に創業して、リーマンショック時には債権がまだ少なく、影響は小さかった。

 

ワランティ事業

自動車保険は事故で起こったもので、ワランティは自然故障に対する保険を指す。家電量販店で5年保証など付けている仕組みと同様の保険だ。

ほとんどの中古車にはまだ付いていないのが現状だが、一部の販売店では独自の保証として1ヶ月から半年程度の緩い保険を付けている。

同社はこの分野では先駆けでワランティの保険2年を積極的に拡販してきた。この市場規模はまだ小さく、草創期であるが、同社がトップであるようだ。

保険料に関しては、走行距離などで変わってくるが、2年で平均2.6万円保険料。ただし、この平均価格は同社の売値で、実際の販売価格は加盟店の裁量に任されている。

提携先のリクルートの「カーセンサーアフター保証」が同社のOEM商品として、一番販売している。また東海ネクステージの保証も同社のOEMを販売している。

累計39万台の修理ビッグデータを保有しており、この豊富な修理ビッグデータに基づいて、ワランティ商品を開発し、適切なプライシングをしている。今後はこの蓄積データ活用と故障修理の内製化に取り組んでいく方針。

<ワランティ取扱高の推移>

15年3月期 16億円

16年3月期 19億円

17年3月期 22億円 

加盟店から顧客がワランティの販売をすると同時に代金支払いを開始し、その後同社に加盟店から代金支払いがなされる。同社と顧客で保証契約が締結される。自然故障が発生した場合、同社に連絡をし、顧客は整備・板金工場に入庫する。整備・板金工場から同社に修理代金見積もりが発生し、審査を通過した場合、修理が行われる。納車が終わった後、修理代金を同社から整備・板金工場に支払われる仕組み。

ワランティ事業の加盟店は17年3月期末で17461社。スタートした10年3月期は2000社程度で、16年3月期は15000社強であったので、成長率が非常に高い。

成長戦略

①既存事業のシェアアップ 

②周辺事業 

ワランティ事業で発生する故障、修理を内製化するために子会社で整備板金の工場2箇所をM&Aで取得し、運営している。

③海外市場  

タイ16年2月~上場企業に25%出資。1.5バーツで出資、現在4バーツの株価。タイは自動車販売台数の9割が日本車という同社が優位性を発揮しやすい市場。17年11月住友商事と現地財閥と3社でワランティの会社をインドネシアで設立した。マジョリティは持たないで持分の範囲で現地の信頼パートナーと組んでだまされないように展開している。

④IOT 

遠隔エンジン始動制御装置を事業化。GPSが乗っていて、電源を入れるとエンジンがかからなくなる。海外での引き合いが強い。

 

金利

金利には敏感ではないが、超低金利でやや微減だが、落ちきった感じ。金利上昇はトップラインの金利収入上昇という面ではポジティブ。120万円程度の小口債権なので、金利上昇により、支払いが滞り、貸倒率が悪化すりリスクも比較的小さい。

 

バリュエーション

  • 株価   2739円(3月1日終値)
  • 時価総額 165億円
  • PER 13倍
  • PBR 3倍
  • 配当利回り 3%
  • ROE 16%

 

 

 

 

 

 

2019年2月7日銘柄研究所

Posted by 矢野