企業研究 3939カナミックネットワーク 本当の地域包括ケアを実現する 

以前取材していいなぁと思っていたのですが、
株価がスルスルと上がってしまい、紹介できずじまい。
少し下落してきたので改めてご紹介。

3939カナミックネットワーク

 

〇名前の由来

カナミックネットワーク
介護を生き生きと活性化させるネットワークサービスを提供するという理念から
介護(カイゴ)と活性化(ダイナミック)そしてICT(ネットワーク)の三つを掛け合わせて誕生した。

〇何をしている会社か

介護事業者向けクラウドシステム 情報共有プラットフォームの提供
介護従事者向けネット広告も手掛ける

1997年の国会で制定された介護保険法に基づき
介護保険が施行された2000年に設立
創業者である会長が広告業界にいたときに
介護保険制度の広告を担当。

介護保険制度は
介護は社会福祉法人や特別養護老人ホーム(特養)で行うものという考えから
・在宅で生活しながら必要な介護だけを受けよう。
・民間の力も借りて長期的な高齢者介護の問題を解決しよう
という考えに変えようというもの。

 

〇非効率でIT化が進んでいない業界

 開始したはいいが、様々な問題を抱えていた。
その一つは患者の情報共有。

施設にいれば、必然的に行われる患者の状態についての情報共有。
3交代で次の担当者への申し送りをすることでしっかり情報共有ができる。

しかも限られた人数でたくさんの患者さんをみることができる。

在宅介護になると、患者の自宅が点在しており、同時に見ることができない。
移動時間もある。主治医と看護師とヘルパーさんというように職種ごと、
サービス毎に人が入り混じる
情報共有のための申し送りができない。

患者、主治医、看護師、ヘルパー、ケアマネージャー
が患者の状態、サービスの実施状況などの情報を共有するためには
それぞれが全員に情報を送る必要がある。

情報共有の手段は紙や電話、Faxなど。
非効率かつ質が悪い。

 

〇IT化による課題解決を思い立つ

そこで
”地域がつながるプラットフォームを作って
介護の業務システムを作れば面白いのではないか。”
”インターネットを使って介護の情報を共有するシステムを作れば品質が
担保できるのではないか”
と考えた。
その当時、インターネットを使った介護支援サービスは他にはやっていなかった。

2000年、メディアがテレビからインターネットに変わる過渡期
会長が広告業界にいたため、メディアの目線でとらえ
医療介護従事者が毎日使うシステムをインターネットメディアにすれば
面白いだろうと考えた。
質を上げることでメディアの力を獲得することができる。

〇特徴・強み

1.クラウド
 全体では介護事業に関わる業務をフルラインナップしている。
 他社が提供するシステムではレセプト・報酬の給付管理など部分的に
 提供するものは多いが同社システムは、
 帳票作成や営業管理、給与管理などカバーする範囲が非常に広い
 ワンストップで業務効率化が可能となる。

 システムは大きく2つのシステムで構成されており、2階建てとなっている。

 2階は”情報共有システム”
  自治体、医師会、中核病院などが導入
  そのシステムの利用者(看護師、ヘルパー、ケアマネージャーなど)は無料。
  情報共有の線が”網の目”から”利用者からシステムに向けた一方向になる”
  また、リアルタイムで共有できる。

 1階が介護業務システム
  レセプト(医療介護費請求)作成、帳票作成など
  他社ソフトも利用可能 2階を自治体、大手医療事業者が導入
  関わる事業者は無料で使用することができる
  他社製も利用可能だが、同社製を導入することで整合性、効率性があがる。

2.コンテンツ収入
 獲得した無料ユーザー向けの広告で
 介護事業者、利用者向けに特化した広告が可能

 

〇ビジネスモデル

・2階を無料で利用してもらい、無料ユーザーを増やすことで
 広告メディアの価値を高める
・無料ユーザーの1階システムを自社システムにリプレースさせ、
 有料ユーザー化する
というのが同社のビジネスモデル。

 

〇特に注目は地域という”面”でとらえて展開できること

 システムの導入を利用者一人一人に促すのではなく、
 自治体や大手医師会、中核病院が導入すれば
 そこの患者を担当する利用者が使うことになる。
 利用者にとって導入の資金的な負担がなく、利用による効率化が可能。

 自治体が導入=面で効率化することができる。

 面の中にいる利用者に対してシステム導入の営業活動がほぼ不要である。
 
 2017年9月期決算において数値で確認できる。
 クラウドサービス導入地域:370→616(前期比+66%)
 無料ユーザー:15,949→24,865(同+56%)
 有料ユーザー:35,472→46,002(同+30%)
 無料ユーザーの伸びが有料ユーザーよりも高い。

 

〇成長ポテンシャルは高い

 2017年9月期に導入地域数616となった。
 地域は中学校区(2~3万人に一か所)で数えており、
 全国で4,000~5,000ある。
 3割の地域導入でも倍増以上になる。

 高齢化により社会保障費が伸び続ける。
 介護費は2025年に20兆円になると推計されている
 2016年10.4兆円からほぼ倍増となる。
 同期間に
  介護事業所数は37万から71万へ
  在宅医療を行う医療機関は15,000から22,000へ

 高い成長が見込める市場で先行していることが同社の強みである。

 地域数の増加はジワジワと利用者数の伸びにつながる。

 

〇自治体に利用を促す”地域包括ケア”

 地域包括ケアシステムとは高齢者向けサービスを国主導ではなく、
自治体主導で行う。
”高齢者が“住み慣れた地域”で介護や医療、生活支援サポート及びサービスを
受けられるよう市区町村が中心となり、「住まい」「医療」「介護」
「生活支援・介護予防」を“包括的に”体制を整備していく”
というもの

 地域の在宅医療・介護連携体制を構築することを国から自治体に指示がでている。
平成30年4月までに実施が求められている。
つまり、来月までに構築することを求めている。

ここで
”介護業務システムを導入せよ”とか”IT化せよ”
とは言っていない。各自治体の判断に任せている。

例えば、事業項目のと取り組み事例で
・地域の医療・介護サービス資源の把握
とある。これを地図や紙ベースで管理することでも達成したことになる。
・医療・介護関係者の情報共有の支援
 情報共有シート、地域連携バスの活用により情報共有を支援

紙ベースでもできないことではないが、非効率な状況は解消されないままに
連携されることになる。

 

〇モデルケースとしての柏モデル

 柏市役所と3師会(医師会、歯科医師会、薬剤師会)、介護団体が協議会を作り
東京大学が事務局支援の立ち位置で入り、山本社長はここにシステム開発担当者として
参画した。
革新的な地域包括ケアのモデルとして国内外問わず様々地域から年間300件の
視察があるという。

柏市が2階のシステムを導入し、柏市全体の医療従事者がカナミックを使って
日々連携をしながら業務を行っている。病院、診療所、在宅療養支援診療所、
歯科、薬局、訪問看護、居宅介護支援、地域包括支援センター、
介護サービスなどが参加している。

個別に活動するのではなく、自治体と医師会が密接に連携することが
成功につながるということを示す。
地域包括ケアの成功モデルを作り上げようという試みである。

 

〇キャリアとの協業

 シニア派遣のキャリアと業務提携し、自社クラウドサービスに人材マッチング機能を追加。
人材不足の業界であるためニーズは理解していたが、人材紹介は人材を業界内で回すこと
であり、常にどこかで人材不足を発生させるものであるため、自社では人材紹介は
やらないことにしていた。
しかし、6198キャリアがシニアの人材活用によって今まで埋もれていた人材を
活用するという点で意見が合い提携につながった。

”人材紹介が儲かるのは知っているが、必ずしも業界を改善することにつながらない”
という、儲けだけではなく、業界をよくすることを視野に入れてビジネス展開を
考えている点は非常に好感を持った。

 

〇競合

競合を確認しておこう。
・介護事業者向けシステム
3794 エヌ・デーソフトウェア
 システム形態:クラウド型は2014年からスタート
  これまではクライアント・サーバー型だったため、データが分散している
 対象顧客:全般(主に大手 クライアント・サーバー型は導入コストが高いため)
2175 エス・エム・エス
 システム形態:クラウド
 対象顧客:中小零細事業者(倒産リスクあり)
3939 カナミック
 システム形態:クラウド(最も早く2000年から)
 対象顧客:大手、準大手、上場企業など
  (対象顧客が大手であり、エス・エム・エスと比べた解約率の差は大きいようだ)

・ネット広告
 エムスリー、メドピア
  対象:勤務医
 カナミック
  対象:介護関連従事者

特にクラウドサービスのシステムについては優位性が高いといえよう。

高齢化社会が進展する日本の課題解決に寄与する企業であるのは間違いなさそうだ。

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