7199 プレミアグループ社長インタビュー by yano

2019年2月7日

先日、プレミアグループの社長にインタビューをさせていただく機会をいただきました。
社長には中長期の展望、成長戦略についてのお話を伺ってきました。

社長は、徹底した現場主義で率先してトップ交渉を行い、会社の成長を牽引されています。

自動車業界の中で様々な企業との提携など可能性を模索し、社長の成長に対する強い意思を感じました。
また社員のチームワークをとても大事にされており、そのような社風こそが生産性の高さにつながっているのでしょう。
既存事業の成長に甘んじることなく、新規事業で様々な収益機会を追及されています。

◆新規事業の中長期の成長戦略

 
① 既存事業の周辺事業 
ワランティ事業で発生する故障、修理業務を内製化するために子会社で整備鈑金の工場2箇所をM&Aで取得し、運営しており、中期的に全国10箇所程度まで拡充する。
買収した整備・鈑金工場の収益は黒字だ。同事業は10年後を見据えて展開している。中長期的に、整備・鈑金は自動車の性能向上により、壊れにくくなってきており、後継者問題などから、整備・鈑金の市場は縮小していくと予想されている。そうなれば、車の修理に出しても数カ月もかかるような時代がやってきて、自動車の販売にも支障をきたす可能性がある。そうなれば、ワランティを販売する現在の約2万店の加盟店にとって大問題となる。整備・鈑金工場を買収する理由は、将来的に加盟店には必ず整備ネットワークが必要になってくると見込んでいるからだ。整備ネットワーク網を保有することが、中長期で同社のクレジット事業、ワランティ事業の両事業において大きなアドバンテージにつながると考えているのだ。
さらに2018年秋からオートリース事業を本格的にスタートする。システムに数億円投資する。
個人向けオートリース市場は、これまで保有台数が大きく伸びなかったが、一般社団法人日本自動車リース協会連合会によると、2016年度は前年比24.5%伸び、20万7,308台と大きく伸びている
ガソリンスタンドが新規事業として積極的にリースの宣伝をしたことで認知されはじめたようだ。
オートクレジットと比較したオートリースのメリットとしては、リース期間満了後の残価予定額(下取り価格)を差し引いた金額を分割して支払うことができる。このため、オートクレジットと比較して、毎月の支払いは少なくなる。
オートリースの場合、支払い終了後の所有者はリース会社で、オートクレジットの場合の所有者は契約者本人である。ただし期間終了後には、新たにリース契約をして乗り換えることもできるし、残価を買い取って、自社の所有とすることもできる。
残価据え置きのクレジットを新車メーカー中心に行っているが、それとオートリースは類似の商品である。

オートリースの競合関係だが、オリコは18年3月期時点で取扱高が816億円(前年比
18%増)との開示があり、この分野では先行しているようだ。そのほか、ジャックスやアプラスなども展開している。

②他社との協業
2018年8月14日にUcarPAC株式会社と新しい中古車流通サービスでの協業を開始すると発表した。また相次いで8月15日にパーク24株式会社とキャッシュレス決済サービスでの営業連携を開始すると発表した。このような有力企業との協業は、同社(PFS)の営業力で約20,000万社の加盟店を掴んでいるから実現できた。
UcarPAC社は、中古車流通の仕組みを変えようとしている。現状、中古車販売業者は現車オークション会場または、衛星システムで現車オークション会場の画面を見ながら入札し、仕入れるほか選択肢がなかった。通常、中古車販売業者間の売買が複数回行われることが多く、中古車を売りたい人にとっても、買いたい人にとっても業者間の売買の分上乗せされた価格となってしまう欠点があった。また大手の中古車販売事業者に資本力で負けて、中小が買い取りにくいという問題点もある。
UcarPAC株式会社の仕組みは、車を売りたい個人が独自開発されたアプリ上で、車の修復歴など状態を入力し、近くのガソリンスタンドで1度査定を受けるだけで、会員となっている中古車販売店に一斉に情報が流れ、入札できる仕組みとなっている。価格面でも優位性がある。現車オークションでは出品手数料、落札手数料、成約手数料がかかっているが、UcarPACの仕組みは落札手数料のみとシンプルである。
2016年4月にサービスをスタートし、2018年8月時点で会員店数は5,000弱まで到達した。
同社が加盟店約20,000社にUcarPACの導入を促進し、その加盟店が落札すれば、落札手数料をレベニューシェアするというビジネスモデルである。加盟店側には導入コストはかからない。中小の中古車販売店の仕入れをサポートすることができる。

パーク24株式会社は駐車場ビジネスを軸にカーシェアを展開する企業である。派生事業として、持ち運び可能な無線端末のクレジット決済サービス「タイムズペイ」を店舗向けに展開する。2018年秋以降には各種電子マネーにも対応予定だ。
同社の加盟店は、中古車販売以外にも消耗品の販売や整備など収益機会の多様化をしたいニーズがあるが、クレジットカード決済に対応していないことが多い。同社が約20,000社の加盟店に「タイムズペイ」導入のための営業代行を行う。導入できれば、パーク24株式会社から手数料が同社に入るというビジネスモデルだ。導入コストとして、加盟店にはイニシャルコストはかからない。
同社には強力な加盟店ネットワークを持っているという強みがあり、それを最大限生かすために、今後も中古車業界を取り巻く様々な企業との協業を模索し、手数料収入の最大化も目指す。

 

③ 海外市場 
タイにおいては、2016年2月に上場企業Eastern Commercial Leasing p.l.c(ECL)に25.5%出資し、持分法関連会社として事業を展開する。タイは年間の自動車販売台数は約80万台弱で、そのうち9割弱が日本車であり、同社が優位性を発揮しやすい市場である。
タイではオートクレジット事業を展開しているが、2018年内に整備工場4工場の店舗網を構築し、今後はワランティ事業の展開も視野に入れる。
タイでは新車の販売台数は約80万台である。日本では中古車購入時ローンを利用する割合が約3割に対して、タイでは約9割が利用する。ローンの期間は3~4年程度と日本とほとんど変わらない。
ECLはタイ証券取引所に上場している企業である。市場シェアはまだ1%程度で成長率は非常に高い。中間層への車の普及を考えれば、成長ポテンシャルは非常に高い市場である。

インドネシアでは、2017年11月に住友商事株式会社と現地財閥sinarmasとJapan Bike Auctionの4社で自動車コンサルティングサービスを行うPt Premium Garansi Indonesiaを設立した。インドネシアの自動車販売台数は約110万台である。人口は2億5000万人と世界4位で潜在市場は大きい。住友商事は中古自動車のファイナンスの分野でシェア2割と先行している。住友商事と業務提携契約を締結し、そのネットワークに対して、同社のワランティを販売できるようになった。
海外事業は先行投資の時期だが、中長期の成長戦略では重要なエリアとして、積極的に取り組む方針である。

④ IoT
遠隔エンジン始動制御装置メーカーとして、リース会社やレンタカー会社に販売している。水道やガス・電気のように支払いがあれば車を利用できる仕組みで、与信環境が整わない中でもより多くの人の車の利用が可能となるため、東南アジア中心に海外での引き合いが強い。収益性は高いが、まだ立ち上げたばかりなので、事業規模は小さい。今後アジアでの展開で売り込む方針だ。

2019年2月7日銘柄研究所

Posted by 矢野