4384 ラクスル 地に足をつけたプラットフォームでAmazonを模倣する by Ono

規制緩和・構造改革
と聞くとなぜか、良い印象がない。

規制緩和や構造改革は
社会課題の解決のために、政府が主導して動かそうとするもの。

社会課題解決のためとはいえ
既存の業者への影響を無視できないため、影響を軽減するため補助金を出したりする。
その結果、多くの場合、部分的に歪が発生する。

部分的な歪に対して、迅速に対応すればよいものの、
一度決めたことを否定できないからか?
または検証する余裕がないからか?
理由は不明だが、大きな問題に発展するような状況が起こる。

規制緩和、構造改革に対してネガティブな印象を持つのは
私たちが目にするニュースがそんな負の側面ばかりだからかもしれない。

運送業界にもそんな側面がある。
規制緩和により運輸業界への新規参入が容易となり、業界は慢性的な競争激化の状況に陥った。

平成2年に貨物自動車運送事業法施行された。
次の図の通り、新規参入事業者が急増し、ピーク時の平成19年には1.5倍以上に増え、6万3千社を超えた。
その後、輸送需要は伸び悩み事業者間の競争が激化、事業者数の増加率が鈍化するとともに退出事業者数が増加している。

 

 

増えた背景は平成2年、平成15年の規制緩和(トラック運送事業法例の見直し)の内容をみるとわかる。 

 

荷物の量が変わらないのに、新規参入が増えれば、荷主からは値引き要求があり、どんどん利益は圧迫される。
1回の運送の利益が少なくなるので、回数を増やしたり、1回あたりの輸送量を増やす。
トラック過積載問題
による事故が一時期話題となった。

・過剰労働による疲労や睡眠不足による事故
・過積載により、ブレーキが利かず止まれないことで起こす事故

しかし、これらはもうずいぶん前のニュースで、
最近はこれらのニュースがあまり聞かれなくなってきた。

〇変わったこと、変わらないこと

環境は常に変化しており、改善していることもある。
・原油価格の低下により燃料費負担が低下していること
・Eコマースの普及による荷物の増加で価格転嫁できるようになっていること
など。

改善していることはあるが、変わらないこともある。
そこから現在は違った問題が起こっている。

”ドライバー不足”
Eコマースの普及で荷物が増加するがドライバー数は横ばい。
”ドライバー不足”がニュースで報じられることが増えてきた。

しかし、ドライバー不足問題は、単純にドライバーが少ないため、とは言い切れない。

大手運送業者がドライバー不足を理由に値上げを提案し、値上げに応じられない場合
荷物は中小運送業者に流れる。

問題はここにある。
運送業者と荷主がお互いにどこにいるかわからないこと。

変わらないことは、
”運送業者にとっては荷主がどこにいるかわからない”
ということ。
荷主の存在がわからない中小事業者にとって
他の大手事業者や中間業者に頼るしか知る方法がない

後述するが、現在は依然として、荷主と運送業者の間に中間業者がはいり、
電話、FAXで受発注している。
中間業者が2重3重と入ってマージンをとっているため、最終の運送業者が儲からない状況が続いている。

”ドライバー不足”
が問題とされているが、
ドライバー不足問題を解決する方法は
既存のドライバーと荷主を効率よく結び付けること。
これによって問題を解決する。
これが、ラクスルが現在育成している”ハコベル”という事業だ。

中小の運送業者が儲かるようになれば、ドライバーも増えるかもしれない。
ドライバーを増やす努力よりも、ドライバーが儲かるようになり、自然に増加することを待つのが理想だ。

〇中小規模の事業者が大半を占める業界

〇市場を知る

日本通運、日本郵政、ヤマトHDなどで売上の約半分を占める市場だ。
大手しか見えていない荷主が大半なのは当然だろう。

しかし、前述の通り規制緩和で事業者が増えた。
(極論すれば)車さえあれば始められる仕事である。
事業者数に目を向けると、違った姿が見える。

〇いびつな事業者分布

事業者が増えた結果、現在どのような状況になっているか。
従業員数で分布を見てみる。
10人以下のトラック事業者が49%とほぼ半数
300人未満の運送事業者の中小規模のトラック業者が99.6%

従業員規模別 10以下 11-20 21-30 31-50 51-100 101-200 201-300 301-1000 1001以上
事業者数 30,451 14,335 6,476 5,235 3,706 1,369 311 211 82
構成比 49.0% 23.1% 10.4% 8.4% 6.0% 2.2% 0.5% 0.3% 0.1%

 

こういった多くの中小規模の事業者を効率的にマッチングすることで
多くの問題(ドライバー不足、ドライバーの過剰労働、過積載問題など)を解決につなげることが
できるのではないかと考える。

”足りないから増やす”
ではなく、
”足りないならITで効率化してみよう”

がラクスルの思想だ。

同社が手掛ける、集客支援やTVCMも同様だろう。
詳述するのはまたの機会とするが、
広告業界も中間マージンが大きすぎて
その犠牲になり過剰労働問題も依然として残っている。

多重階層構造による非効率をITで変えるラクスル。

以上、前置きが長くなったが、ラクスルの事業に目を向けていこう。

<ラクスルは地に足をつけたプラットフォームでAmazonを模倣する>

〇特徴

ラクスルの企業としての特徴は
・ビジョンが明確であり、ビジョンに沿った事業に集中していること
・KPIが明確であること
・マネジメントが自ら説明していること
・これらが理解できるようにIRができていること
と感じている。

同社に投資するかを検討するとき、投資家に問われているのは
事業価値を評価できるかということ。
短期的な視点で見ると買うタイミングは訪れないのではないか。

<レポート概要>

・何をする会社か
 ヴィジョン
 ターゲットとする市場
・業績
・事業別解説
 印刷のラクスル
 集客支援のラクスル
 物流のハコベル
・成長の裏にあるもの
・重視するKPI
・株主に利益で報いるのはいつか

<何をする会社か>

〇ヴィジョン

同社のヴィジョン
”仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる”

非効率な、日本の伝統的な産業に、インターネットの技術を活用して
産業構造を変えることでよりよい世界を実現する。

同社の事業は大きく三つ

①印刷のシェアリングプラットフォーム
”ラクスル” 2013年3月開始

②集客支援サービスのシェアリングサービス
集客支援の”ラクスル”
 印刷のラクスルから派生 2015年3月から開始
 2017年秋から TVCMの販売、駅貼り広告の販売を追加

③物流のシェアリングプラットフォーム
”ハコベル” 2015年12月開始

〇ターゲットはBtoBプラットフォーム

ターゲットは日本の伝統的な産業があるBtoB市場

市場規模をそれぞれ次のように定義する。

印刷のラクスル

 印刷市場は3兆円
 国内広告市場(インターネットを除く)は5兆円

物流のハコベル

 国内トラック物流市場は14兆円

<業績>

2019年7月期通期 会社予想(単位:百万円)
売上高 14,550 (前期比+30.2%)
営業利益以下は開示せず。
*現在投資期であり、機動的に投資判断を実施するため、利益の具体的な予想は出していない。

第2四半期
売上高 7,495(前年同期比 +52.9%)
営業利益 71
黒字化を達成した。

第2四半期までで売上高の通期計画に対する進捗率が高い事はポジティブに評価すべきポイントである。
印刷事業のラクスルは第2四半期に売り上げが大きく伸び、売上総利益率も拡大した。

印刷事業は同社の第3四半期にあたる、企業の年度末である3月から4月に伸びる季節性がある
その点で第2四半期の売上成長はポジティブサプライズとなったようだ。

ラクスルの累計ユーザー数の増加を見ると
2018年7月期 2Q末 555,050
2019年7月期 2Q末 783,755
と前年同期末比+40%以上の伸びであり、高い成長を維持している。

 

ハコベルの全体に占める割合は7%程度だが、
前四半期比、前年同期比でも高い成長率となっている。

売上総利益率は低下しているが、現在は利用拡大に向けた投資期間として
利用開始時の手数料ディスカウントを行っているため。
6%程度まで低下する可能性があるとしている。

〇事業の収益化

 印刷のラクスルはすでに事業利益拡大フェーズに入っている。
売上総利益率が安定的に推移している。
広告宣伝費はこれまで、時期によって変えてきたが、広告効果が分析できたことから
今後は売り上げに対する割合を考慮しながら平準化させる計画である。

広告宣伝の計画は現時点では売り上げに対する割合で考えているが、
今後も売上の成長が続けば、広告宣伝費の割合が下がり、広告宣伝費の負担が小さくなる分を
他の事業への投資に向かわせるだろうとみている。

<事業別解説>

〇印刷のラクスル

 WEBサイトで印刷の受注をして、提携する印刷会社に発注する
 提携印刷会社の会社数は非開示ながら数十社とのことだ。

 印刷会社ごとに印刷物の種類によって得意不得意があるため、
 多くの種類の印刷物を安定的に受注できるように、多くの印刷会社と提携している。
 後述するが、継続的に提携する印刷会社の募集をしている。

 累計登録ユーザー数は継続的に増加している。

 売上の8割を占める法人ユーザーの伸びが顕著である。

 法人ユーザーの伸びは広告効果もあるが、商品ラインナップの充実もあるだろう。

 同社WEBサイトの左側
 https://raksul.com/
 ”印刷サービス”の種類を見ていただくとわかるが、
 チラシ、名刺、ポスターはもちろんのことだが、
 のぼり旗、うちわなど、印刷できるものはほぼ何でも揃っている印象だ。
 提供する印刷物、紙の種類などのラインナップを徐々に増やしており、
 法人のあらゆる印刷ニーズにはほぼ答えられるように思われる。
 ”チラシならラクスル”とか”名刺ならラクスル”
ではなく、
 ”印刷なら、まずラクスル”
という体制を整えていると言えそうだ。

 リンクスリサーチでも名刺の作成はラクスルを利用させていただいている。

〇集客支援のラクスル

 印刷のラクスルには集客支援のサービスもある。
 https://raksul.com/products/#delivery
 新聞折り込み、ポスティング、DM、テレビCM、交通広告
 などがある。

 例えば、新聞折り込みで
 ”地図からのシミュレーション”
 というサービスがある
 https://raksul.com/shinbun-orikomi/map/

 同社のシステムでは印刷したチラシ
 ・どの地域で
 ・どんな種類のチラシを
 ・どの程度の枚数を配りたい
 と指定すれば、
 いくらかかる、というのがすぐにわかるシステムになっている。

 コストの可視化、チラシ配布地域の可視化など
 ユーザーインターフェースの工夫により
 チラシを利用したことがない企業にも利用を促すことができる仕組みを作り上げている。

 テレビCMについても、広告代理店のマージンが多く、いくらでできるのかわからなかったものを
 制作のみ30万円から、とコストを明確にすることで利用者が増え、リピートも増えているとのこと。
 https://tvcm.raksul.com/tvcm

 料金シミュレーションが可能で
 エリア指定、金額指定、放映局指定ができる。
 https://raksul.com/ad/tvcm/simulation/

 WEBサイトでは具体的な事例が多く、特に初めて利用する顧客にとっては判断の材料となりそうだ

 同社にはエンジニアとデザイナーが多数抱えている。
 正社員約130人のうち半数程度がエンジニアとデザイナー。
 日々開発、改善に注力している点も同社のサービス利用が増えている一因であろう。

〇物流のハコベル

 荷主と運送事業者のマッチングサービス

 現在、物流業界の課題として
 ・多重下請けにより、運送事業者の低収益化
  繁忙期には5次受け、6次受けまであるという異常事態
  そのすべての層に中間マージンが発生し、実際にドライバーが受け取る収入が少ない。
 ・電話やFAXの利用などアナログ業務による低生産性
  配送依頼のために何度も電話やFAXで連絡し
  返信を待つことで時間のロスが発生
  また、電話を利用することで間違いも発生する
 などがある。

 荷主と運送事業者がそれぞれお互いにいつ、どこにいるかわからない状態となっている。

 これをネットワーク化とデジタル化で解消しようとする事業だ。

 ビジネスモデルは
 ・マッチングによる手数料
 ・運行管理システムの利用料
 を受け取るモデルとなっている。

 第1四半期時点では注力領域を
 ラストマイル、都市内輸送
 と近距離に限定していたが、
 第2四半期では
 ハコベル カーゴ 軽貨物/ラストマイル
 ハコベル コネクト 一般貨物/都市内・都市間
 として、大型トラックの長距離輸送にも提供サービスの範囲を広げた。
 https://ssl4.eir-parts.net/doc/4384/tdnet/1664478/00.pdf
 2019年1月24日リリース

 軽貨物に比べて一般貨物のほうが単価が高く、市場規模も大きい。
 利用拡大による成長と共に事業の安定性が増すことも期待される。

 ”ハコベルカーゴ”
  ではWEB上で配送のマッチングと配送管理のサービスを提供。

 ”ハコベルコネクト”
  は運送業者のシステム利用料を無料として利用事業者を増やし、
  荷主企業からシステム利用料を受け取る。

 

 

 荷主企業は自社管理の車両や協力会社の車両を利用しているが、
 足りない時のスポットにハコベルを利用することで、余分に管理車両を増やすことなく、
 繁閑による調整がより柔軟に行うことが可能となる。

 荷主企業のシステムとハコベルのシステムは併用可能だが、
 利用が進めば、ハコベルのシステムに乗り換えるということも可能だろう。

 その結果、個別企業の非効率が解消され、ひいては物流業界の非効率解消につながる。

顧客事例として
 コクヨロジテム、ハマキョウレックスが挙げられている。
 ヤマトHDなども同社とのシステム開発について取引実績があり、同システムを利用する可能性もある。

*ヤマトHDについて
 2018年7月期第3四半期においてヤマトHDからシステム開発の受託売り上げを計上している。

 ”ヤマト”といえば、自社でシステム開発会社を持ち、先進的な物流システムを次々開発してきた。
 しかし、改めて見てみると、荷物の発送から受け取りまで、依然として紙が残るシステムであり、
 効率性が改善できていない印象を持つ。
 ヤマトHD自身ではそこに手を付けることができず、ラクスルに依頼したということではないか。
 その点では今後、ヤマトがどのようなシステムを提供するようになるかも気になるところだ。

<成長の裏にあるもの>

提携先の印刷会社には単純に印刷の空きラインの活用分の注文を出すだけでなく、
提携と共に、印刷作業効率化のコンサルティングも行う。

R&D用に自社で印刷機3台を保有し、印刷作業の効率化を実現するための研究をしている。

また、その研究人員にも印刷や生産管理に関するプロフェッショナルをそろえている
https://join.raksul.com/partner_print#support-member

提携先印刷会社一社一社と密につながり、生産効率性改善をすすめる。

以下のリンクはラクスルが印刷会社の提携先募集サイト
https://join.raksul.com/partner_print

提携会社一社当たりのラクスルの注文割合は多くて1割から3割程度。
お互いに依存度が高まりすぎないようにしている。

提携先2社のインタビュー記事が掲載されている。

ラクスルの成長を理解する上では
両社の記事とも必読と考えるが、一社の記事を一部抜粋してご紹介したい。

https://join.raksul.com/nishikawa

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株式会社ニシカワ印刷

事例 株式会社ニシカワ印刷|ネット印刷のラクスル

全売上高80億円のうち1割ほどがラクスルのプラットフォームを通じた売上となっている。

導入に当たって、社長を筆頭に変化を求める前向きなマインドが導入をスムーズに進めさせたのだろう。

ニシカワ印刷社長 西川誠一さま(以下、西川):
今でも印刷通販は「印刷業界の敵である」と思われている方はたくさんいるかもしれません。
ただ、私としては「今まで印刷屋がなぜ変われなかったのか」を問うべきだと考えます。
新しい業態が生まれ、世の中に認知されてきたことを、もっと真摯に受け止めるべきだと思うのです。

最初に松本さん(当社代表取締役社長CEO)とお会いした印象は、30歳前後にも関わらず、
印刷産業にとても明るい光を持たれていると感じました。
業界に長くいる我々は、成熟産業で、斜陽産業、マーケットもどんどん縮小していくだろうと感じている。
そんな中でも親父から会社を引き継いで、信じてついてきてくれる社員のためにも
何とか頑張らねば…というマインドを持った私からすると、非常に新鮮だったのを覚えています。
松本さんの言葉は前向きで新しく、「この人と一緒に何かを始めれば、
ニシカワにとっても何かが生まれるのではないか」と思いました。

──稼働初期は当社のメンバーも、週に一度は伺っていましたね。

生産本部 野上氏:そうでしたね!業務効率化のアドバイスをいただきました。
各工程の作業をビデオ録画して、動きの良いスタッフを参考にしたり、
「ここで10歩かかっているから改善すれば5歩で終わる」という細かい部分まで見たり。
次第にオペレーターの動作も揃ってきました。業務改善の過程では、
目標値を決めてクリアすることを喜びに変えるというスパイラルを常に続けていきました。
今までは広い工場で大きな輪転機を動かしてきたわけで、そういったきめ細やかさは発想になかったんです。

私たちは印刷で食ってきた人間としてのプライドもあるわけです。
そこへラクスルの方がストップウオッチを持ってやってきて(笑)。
「トヨタ式の改善なんて言われても…」というのが本音で、現場は苦労したと思います。
ただ、それらの改善提案も“must”ではありませんでした。
決して無理強いさせるわけではなく、当社の事情に合わせてアドバイスいただいて。
経営者にとってはありがたい機会でしたよ。固まっていたプライドを徐々に壊してもらっていたわけですから。

やはり、「人」の変化は非常に大きな成果です。設備は資金さえあれば導入できますが、
オペレーションするのは、あくまで人。
提携を通じて生産現場のマインドも変わり、社員も共感して付いてきてくれました。
こうした「企業文化の変化」が、ラクスルとの提携によって得た一番の成果と言えるのかもしれません。

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古い産業で、変化を求めるのは大変だったであろうことは想像に難くない。
しかし、印刷会社の社長がトップダウンで前向きに導入を進めたこと、
ラクスルがその姿勢を尊重して取り組んだことが良い結果をもたらしたということだろう。

ラクスルの成功は、インターネットを使ったとか、プラットフォームを作り上げた、
ということに見えるかもしれない。
とすれば、他の会社もできると思えてしまう。
しかし、そこには人と人のコミュニケーションがある。
この記事にあるように、提携先工場との一体となって進められたことが
信頼関係を構築し、成功につながったのだろう。

<重視するKPI>

〇重視するKPIの提示が明確でわかりやすい

 顧客からの信頼の総和=売上高
 顧客への付加価値、サプライヤーへの付加価値=売上総利益

 として売上総利益の最大化を重視

 さらにそれらを高めるためのKPIを提示することで
 自社がすべきことが明確になる。

 投資家は企業を見るうえで様々な指標を参考にするが
 成長企業に投資するうえで
 売上高成長率
 売上総利益率
 が重要な指標である。
 ・売上の成長により顧客の増加
 ・売上総利益率を高める、維持することで顧客への付加価値を高め、維持している
 ことにマネジメントがフォーカスを当てていることが同社へ長期投資する際に安心して投資できる。

 KPIを明確にすることは投資家だけでなく、社内に対してもやるべきことが明確になるため重要である。

<株主に利益で報いるのはいつか>

 同社の表面的な、短期的な利益だけを見ていたら投資機会は訪れない可能性が高い。

その理由はamazonの例を考えてみると理解できるかもしれない。
1994年創業、1997年にナスダック上場
創業から上場後の2001年まで営業赤字が続いた。

amazonは自社の事業領域の成長に投資し続けたためである。
その後も積極的な投資を続け、高い売上成長とは裏腹に営業利益率は二桁にもならない。
売上の成長を前提として、社会へ提供する価値に投資家がどれだけの評価をするか。
利益ではなく事業価値を評価することが投資家に問われているということだろう。

ラクスルの成長シナリオはプラットフォームビジネスを拡大すること。
 現在、ラクスルとハコベルで
 ・印刷業界
 ・広告業界
 ・物流業界
 のプラットフォームを構築した。

 現在印刷のラクスルは事業利益を拡大するステージに成長した。

 物流のハコベルは2015年12月開始。
 現在事業拡大のための投資期にあり、ラクスルが利益を拡大できれば、
 その分をハコベルへの投資も拡大する計画。
 投資期が続くことで利益が拡大するタイミングは当面先になる。

 短期的な指標では割高な状況が続く。
 同社の事業価値を評価し、事業の成長性とマネジメントの経営判断を信頼できるかどうか
が同社に等する際のカギとなる。

銘柄研究所

Posted by ono