4264 セキュア セキュリティ分野へのAI実装で存在感を発揮

2023年9月3日の東京勉強会に登壇していただきます。

参加申し込みはこちらから

https://tokyo-study-20230903.peatix.com/

 

ポイント

セキュリティをターゲットにビジネスの種を世界中をまわってリサーチ

AIの実装側でセキュリティ分野で持続的な成長が可能な地位を確立

大量データの管理はオンプレミスに優位性あり

セキュリティに対する意識の変化が導入を後押し

上方修正した見通しに対して高い進捗率・営業利益ベースで超過

持ち込まれる豊富な案件に対して不足するリソースが解消に向かう

<沿革>

設立は2002年だが、現在のビジネスになった2010年が第2創業の年と位置づけている。

これまでの事業の変遷、経営判断について振り返る。

〇セキュリティ分野でのイノベーションを模索

学生時代より、テクノロジーを駆使した社会的価値のある事業の展開に関心を抱いていた。その中で、セキュリティ分野において、セコムが機械警備を導入して以降、顕著なイノベーションの欠如を感じ、革新的なテクノロジーによるイノベーションの可能性を見込んでいた。

初期の検討段階では、BtoBセキュリティビジネスの展開を視野に入れていましたが、当時の市場環境はセキュリティの必要性よりも、プライバシーに関する意識が強く、戦略の再検討を余儀なくされた。

20年前に、ピッキングを主手段とする空き巣事件が増加する中、個人のセキュリティニーズに注目した。この背景を踏まえ、BtoC市場向けのセキュリティ家電の提供を開始し、新たな価値提供を試みた。

 

〇リーマンショックの発生を機にビジネスをピボット

社会のニーズを予測してのサービス提供は、順調な売り上げを実現していたが、2008年のリーマンショックを契機に、先行して資金を必要とするビジネスモデルの持続可能性に疑問を抱くようになった。ちょうどその時期に、セキュリティに注目した当初にビジョンとしていた監視カメラのAIを用いた画像認識技術が現実的になりつつあったことから、既存事業の売却を選択。この社会的変化・技術的変革を機に、2010年に新しいビジネスモデルへとシフトした。

 

〇AIはソフトの開発ではなくハードの実装側に立つことで強固な地位を築く

当時のセキュリティ業界は日本の大手電機メーカーや中小企業が提供するシステムが中心だったが、シリコンバレーなどのIT大手も参入する可能性を感じた。セキュリティ分野で継続的に成長を続けることができるポジションを探るため、世界中をリサーチしてまわり、競合となる企業や今後の参入者を研究。シリコンバレーの企業や、中国、韓国、台湾、ヨーロッパ、イスラエルなどの企業と積極的にコミュニケーションをとった。そこで感じたのは、重要なのは、AIの開発側になるか実装側になるかという点。まず、AIの開発においては大量のデータ、リソース、優秀なエンジニアが必要であるということに着目。

シリコンバレーがソフトウエアが得意なのに対し、日本はハードウェアが得意である。将来的にも継続するであろうと考えた。その中でハードウェアのスペックや互換性など、日々進化し新しい組み合わせが生まれる領域での持続的なノウハウの更新が、競争優位性を生むと考えた。そのため、ハードウェアとソフトウェア、特にAIの実装面にフォーカスを当てる方針に転換した。

たとえ進化したAI技術が登場しても、ユーザーが自分たちで独自にインストールすることは困難である。実装する側がどのAIをシステムに組み込むかの決定権を保持することができると判断。この領域でのリーダーシップを維持し、業界での揺るがない強固な地位を築く方向に舵を切った。

<事業内容>

セキュリティ分野で次の3つのシステム・サービスを提供する

SECURE AC(入退室管理システム)

SECURE VS(監視カメラシステム)

SECURE Analytics(画像解析サービス/その他)

〇SECURE AC(入退室管理システム)

顔認証で業界シェアトップ

カード認証、指紋認証、顔認証などを用いた、各種入退管理システムを利用したソリューションサービス。

例えば、別々の入退管理システムと勤怠管理システムを組み合わせることで、総務の管理業務だけでなく従業員の打刻手間も減らし、従業員の満足度も改善する。

例えばラクスルは指紋認証を採用

”セキュリティレベルは高く、管理は簡便なセキュアの指紋認証にメリットを感じて”

新しいオフィスは随所に社員のストレスを軽減し、モチベーションやテンションを上げられるような工夫が凝らされている。入退室に関しても、社員証などのICカードを入退室の際にかざす、といった一般的な“会社感”はできるだけ出さず、さらに特別な動作が増えるといっためんどうくささも排除したい。というラクスルからのオーダーに対して「指紋による認証」を提案した。

「未来感があって、映画みたいでワクワクする」と好評をいただき、採用が決定。

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〇SECURE VS(監視カメラシステム)

豊富な種類のカメラとシステムアレンジで顧客ニーズに最適なプランを提供する。エントリー(クラウド)とエンタープライズ(オンプレミス)の2つのタイプがある。

レコーダーを社内施設に設置・運用したくない、初期費用を抑えたい場合はエントリー(クライド)。カメラやレコーダーを社内に設置・運用したい、複数台のカメラを24時間常にモニタリングしたい場合にはエンタープライズ(オンプレミス)を導入する。

・エントリー(クラウド)

はじめて監視カメラを導入する場合でも、映像を記録するレコーダーは不要なため容易に設置可能。録画映像はクラウドに保存され、モバイルデバイスでいつでもモニタリングが可能。カメラは常時クラウドに接続されているため、アップデートは自動で実行され運用管理の手間がかからない。

・エンタープライズ(オンプレミス)

1つのシステムで、カメラを4台から10万台まで管理できる非常に大きな拡張性を備えている。様々な規格に対応し、異なる規格でも録画装置を統合しての監視が可能となる。従来のアナログカメラとネットワークカメラなど異なる世代、メーカーのカメラであっても一元化したシステムとして管理することが可能。

 

〇SECURE analytics(画像解析サービス/その他)

高性能な顔認証エンジン、ステレオビジョン技術を使用して空間内の行動を可視化するソリューション。 店舗やレジャー施設にて顔認証により来店客の属性を分析し、ステレオカメラにより来店客数、滞在人数、レジ待ち時間、施設内の混雑度情報を データにて提供する。時間や曜日による店舗改善や最適なスタッフ配置スケジュールの指標として利用可能。

・システムを活用したアプリケーションを多数提供する

例えば、施設の混雑状況を可視化「混雑カウント」

経験値で測っていた施設内の混雑度をステレオカメラによって人数計測し、5段階のアイコン表示で混雑度を見える化するサービス。混雑度の計測は、最先端のステレオビジョン技術を採用した高精度3Dセンサーを利用する。一つのデバイスで様々な計測を高精度で実現。 エントランスのEnter/Out だけではなく、指定したエリアのEnter/Outの設定も可能。

運用開始から3ヶ月ほど経過すると、有効なデータが保存されるため、混雑度の予測が可能になる。 混雑度予測が可能になると、混雑のパターンが見えるため、来館するお客様は施設内の行動を計画しやすくなる。

 

解析した混雑データはクラウドサーバーに保存されるため、ローカル環境のサーバーは不要。

また、人物検出の解析時に利用する映像は録画保存されていないためプライバシーの保護が考慮されている。

〇顧客ターゲット

現在の顧客の割合は店舗が4割、オフィスが3割、工場が1割とそれ以外という構成。

ターゲットにしてオフィスや小売店店舗、工場・データセンターと物流施設などを顧客ターゲットとしている。オフィスの場合、従業員数でいうと、10名以上から数百人、数千人規模のオフィスがターゲットになっている。小売店店舗は数百店舗、数千店舗運営してるような企業様で、しっかり監視カメラ席で運用して効果を発揮したいというようなところが多い。売り場面積で言うとコンビニより大きい売り場面積の小売店が多く、スーパーやドラッグストア、いわゆるGMSなど大型のショッピングセンターが我々の主なターゲット先になっている。工場は、食の安全の意識が高まっており、コンビニに並んでる商品を作ってるような大型の食品工場にも導入実績がある。

 

<オンプレミスかクラウドか>

同社のシステムの多くはオンプレミスである。セキュリティシステムにおいてのクラウドシステムとの違い、優位性などについて考える。

〇台数の多いセキュリティシステムはクラウドが合わない

一定程度のクラウドニーズはあるもののセキュリティ業界はクラウド化は進まない、オンプレミス中心の展開となると同社は見ているクラウドのニーズはあるが、マーケット全体の10%に満たないと見ており、その背景は次の二つ

監視カメラが扱うデータ量が膨大で割高

カメラ1秒間に1個2~5メガの画像を動画にすると、1秒間30コマ(fps30)程度流れてくる。例えば1店舗100台~200台と流れてくると、データ量が膨大になる。コストの面で見ると回線費用とクラウドのストレージコストが非常に大きな負担となる。クラウドコンピューティングは1日にわずかの時間しか利用しない人たちがコンピュータリソースをシェアする為に割安に使えるメリットがあるが、24時間ずっとデータ送り続けてと書き込むとクラウド利用料の方が圧倒的に割高になる

②リーガル面の優位性が高い

日本は個人情報保護や罰則規定など、法律面では後進国で、EUなどの進んだ地域を見ると個人情報が漏えいしたときの罰則規定のペナルティが非常に大きい。

個人情報漏洩による罰金が一発10億円からというようなところもある。監視カメラのデータはもしもの時には必要となるものの通常ではあまり使えるメリットがない。一方で個人情報が溜まってるようなもののため、クラウド活用のメリットに対して漏えいしたときのリスクを比較すると圧倒的にリスクが大きい。EUなどではセキュリティシステムはクラウドに置かないっていうような形にレギュレーションが変わってきてるところが増えている。また日本の企業はクラウドでのデータ管理に関して、依然としてネガティブな評価をしているところもある

以上のことから、セキュリティ分野ではクラウドを活用したシステムはマーケットとして拡大が限定的であると考えている。

<業績(単位:百万円)>

〇第2四半期累積業績

売上高は2,634(前同比+70.4%)、営業利益は201(同+236 黒字転換)

サービス別でみると、成長を牽引したのは売上高構成比の大きいSECURE VS(監視カメラシステム)が1,793(前同比+82.6%)、SECURE AC(入退室管理システム)が752(同+51.3%)、SECURE analytics(画像解析サービス)が88(同+33.2%)

 

〇通期見通し 営業利益ベースでは超過達成も見通し据え置き

通期見通しは売上高4,400(前同比+30.0%)、営業利益130(同)と増収増益の計画。第1四半期の発表時(2023年5月12日)に期初に発表した通期見通しの上方修正を発表した。

第2四半期累計業績は、通期見通しに対して売上高の進捗率は59.9%、営業利益は超過達成している。
第3四半期以降に投資を計画しており、投資金額が不透明なため通期見通しは据え置いた。
受注案件が豊富で通期見通しの達成確度は高まっている状況にある。

 

<注目ポイント>

中長期で高い成長が期待できると考える注目ポイントは次の3点。

①意識の変化

コロナ禍で実施されたリモート勤務からオフィス勤務への回帰が進み、オフィス移転やリニューアル案件が増えている。前述のラクスルの指紋認証システムのようにカードを利用した物理的な入退館システムから顔認証や指紋認証などへのニーズが高まっている。例えば社員証などのICカード認証なら、写真を撮影して貼ったり、専用のプリンターで印刷する必要がある。カードのコストも数百円かかる。紛失すると、それまでのカードを停止し、再発行することになる。

コロナ禍前は導入に当たって抵抗があった顔認証が、コロナ禍でビルや医療機関への入室時に顔を写して体温を測ることが当たり前となった。顔を写して入館することに対する抵抗が軽減され、メリットに対して評価する声が一層高まるだろうと考える。すでにそういった動きがあり、同社の好調の背景となっている。今後も一層進むことが期待できる。

 

③豊富な案件を持ち込むパートナーの充実

当初はスタートアップやアーリーアダプター的な顧客企業が多かったが、徐々に大企業でも導入の意識が高まってきた。現在手がける案件の9割がパートナーから持ち込まれたもの。

同社のセールス・マーケティング担当がパートナーから持ち込まれた案件の内容を精査し、パートナーと一緒に成約につなげる。

オフィスリニューアルやビルのバリューアップ時にセキュリティをどうするかという課題が必然的にあがるようになっているが、自社でオフィスや工場、店舗のセキュリティ導入のタイミングをつかむのは難しい。

200以上のパートナーは顧客に密着して動向を常に把握し、リニューアルや移転のプロジェクトの情報を得て一緒に提案してほしいと持ち込む。

③社員リソース不足の解消が成長加速につながる

パートナーの充実に対して成約につなげる社員のリソースが不足しているのが課題となっていた。

多数の案件が持ち込まれるものの、案件を成約に結び付ける自社の社員のリソース不足でカバーしきれていない状況にある。2022年12月期からセールス・マーケティング人員を強化している。

社員の戦力化には約1~1.5年かかり、来期以降は積極採用の効果が徐々に現れる。

現在も積極的な採用を続けており、長期的な成長に寄与することが期待できる。

<バリュエーション>

時価総額 78億円
株価 1,698円 (2023年8月23日終値)
会社予想EPS 20.08円
会社予想PER 84.56倍
実績PBR 9.5倍
無配

 

 

成長株投資, 銘柄研究所

Posted by ono