4177 i-plug 今まで出会えていなかった企業と学生をつないで就活を変える by Ono
4177 i-plug レポート
”今まで出会えていなかった企業と学生をつないで就活を変える”
取材先の企業で聞くのは
”人手不足、採用できない”
”面接を設定しても無断で説明会を欠席する”
一方で、学生は何十社も面接を受けては不採用を連発している。
企業と学生の双方で、お互いのことを理解しない状況が起こり、
毎年66万人の大学生が卒業。
6万人が卒業時未内定者、13.7万人が3年以内に離職している。
双方にとって大事な時間が浪費されてしまっている。
学生にとって、就職活動に不安を抱え大学生活を楽しむことも出来なかったり、就職活動自体で消耗してしまい、勉強もできない状況とのまま1年以上を過ごす。勉強不足や精神的な消耗は就職後にも大きく影響を与えるはず。
”就職して気に入らなかったら辞めればいい”
などと無責任なアドバイスを目にすることがあるが、同社の中野CEOは現状の就活に対してメッセージを送る。
“1社目の就職をもっと大事に”
大学時代の就職活動は、社会人としての世界へ足を踏み出す第一歩。1社目の就職先がその後のキャリアに与える影響は少なくありません。そのため、はじめの1社を決定する過程となる就職活動に対して支援をおこなうことで、ミスマッチの解消を実現していきます。 価値観にマッチした就職を目指し、大学生と企業に真摯に向き合い、将来的には就職活動における選択肢を拡げるだけなく、大学生のキャリア観が育まれるような価値を提供していきます。豊かな人生を送る為に、多いに学び、多いに遊び、そんな成長を楽しむ大学生が多い日本にしたいと考えています。”
*トップメッセージより 中野代表取締役CEOより
*社長による同社事業の説明動画はこちら
[i-plug 4177] 新卒ダイレクトリクルーティングサービスに適性検査を搭載し、マッチング精度の高いサービスを提供|IRTV|上場企業の決算情報をショートムービーでわかりやすく
ポイント
・直接学生を狙ってオファーを送る ”ダイレクトリクルーティング”
・コロナ禍の影響でオンラインでの採用拡大
・IT系スタートアップで活発に使われているダイレクトリクルーティングを全業種へ
・オファーを確実に届ける仕組み
・将来のデファクトスタンダードへ
ミッション
つながりで世界をワクワクさせる
~次世代を担う若い人材の可能性を広げる仕組みを作る~
<事業内容>
求人企業から新卒の就活中の学生に直接オファーを送るコト(ダイレクトリクルーティング)ができるプラットフォーム「offerbox」を運営する。
”ダイレクトリクルーティング” とは自社にマッチする学生を自ら探してオファーする採用活動のこと。
求人サイトに登録したり、人材紹介会社に依頼して、応募や紹介を待つのとは違い、積極的に行動する採用活動である。
スタートアップやIT系の人材採用においては活発に利用されているもの。
送付したい学生を選別するにあたっては、学生が登録した情報だけでなく、子会社の株式会社イー・ファルコンが展開する適性検査の「eF-1G」(エフワンジー)の結果を利用することで自社が求める学生を選別することが可能になる。
サービス別の内容は次の通り
〇新卒ダイレクトリクルーティングサービス ”offerbox”
同社が提供するofferboxサイトに就職希望の学生がプロフィールを登録する。求人企業が内容を見て学生を選びオファーを送る。求人企業は学生からの応募エントリーを待たずに自社の採用基準に合った、自社で活躍しそうな学生に直接アプローチすることができる。学生にとっては、選択肢になかった企業からのオファーによって就職先の選択肢を増やすことができる。
就活に関わらないと知ることがないサービスだが
同社のサービスは
”最も利用した就職ナビ・逆求人サイト”
の調査の結果で3年連続ナンバー1の実績となっている。
【調査概要】
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査協力:楽天「みんなの就職活動日記」
調査対象:2021年卒の大学生・大学院生
調査方法:webアンケート
・ダイレクトオファーの増加
企業から学生へのオファーが急速に増えている。
グリーン:2023年卒向けの早期登録型の利用
レッド:2022年卒向けの成果報酬型も加えた利用
*データで見るオファー型就活 より
・企業登録数
直近(2021年6月末時点)では
8,714社(前期末比 +608社)
同社のデータによれば登録内容によって受けるオファーの数が増えている。
企業はデータをしっかり見てオファーを出しているということの証左と言えよう。
〇適性検査サービス ”eF-1G”
パーソナリティを194項目で捉えることができる適性検査。潜在的な能力や性格を数値化、可視化できる。
測定項目が194項目と業界最多。内定辞退率アップ、求める人材の特定などにも活用できる。
求人企業の従業員も30名まで無料で適性検査を受けることができる。
自社で活躍している社員の特徴を把握し、自社で活躍しそうな特徴を持つ学生を選ぶ参考にすることもできる。その結果、一定期間の定着とミスマッチを軽減できると同社は考えている。
<収益モデル>
offerboxの収益モデルは ”成果報酬型” と ”早期登録型” の2通り。
成果報酬型、早期定額型の順に概要を説明する。
〇成果報酬型
開始時期:政府の指針通り3年生の3月からオファー送信可能
利用料金:採用できたら1人38万円の成果報酬が発生
返金制度:内定辞退者が出た場合は1人38万円返金
〇早期定額型
開始時期:3年生4月ごろのインターンシップ開始期間からオファー送信可能
利用料金:採用計画の人数に対して1人当たり25万円の利用料を先払い
成果報酬:採用できたら1人38万円の成果報酬が発生(計画以上の採用に対して)
返金制度:採用できなかった場合でも利用料金の返金はなし 成果報酬部分は1人38万円返金
〇成果報酬型から早期定額型への移行
成果報酬型でトライアル利用して成果を確認してから早期定額型を利用する企業が多い。
初めて利用する企業は学生の質、マッチング精度、採用後の定着率などが確認できるまでは採用出来た時のみ費用が発生する成果報酬型から利用を開始する。効果が確認できればさらに低コストで早期に活動が開始できる”早期定額型”に移行することで計画的にコストを抑えた採用活動ができる。同社にとっても、入金が早期に行われるとともに収益が安定する。
〇サービス別の実績
サービス別売上構成
セグメントはHRプラットフォーム事業の単一セグメント。サービス別売上構成は次の通り
早期定額型への移行が増えており、利用企業数の増加によって成功報酬型の伸びが大きい。
〇収益構造
成果報酬型:内定確定時に受注=売上計上
早期定額型:利用開始したところで契約し、受注。利用期間で売上は按分計上する。
通年で利用するため、受注した期に約63%の売上計上、残りの37%程度が前受収益として計上し、翌期に売上計上となる
サービス利用による成果が現れ、
・早期定額型へ移行する企業が増える
・早期定額型で採用する人数を増やす企業が増える
ことにより、前受収益が積み上がる収益モデルとなっている。
同社は月次で ”主要KPI(速報)の推移” を発表している。
合わせて、四半期業績の ”前受収益” を事業の進捗状況の参考にしたい。
<特徴・強み>
主な特徴・強みは
・登録学生数の多さ
・企業の導入を促す料金プランとサポート体制
・オファーを確実に届ける仕組み
〇登録学生数の多さ
2022年卒の登録数ははすでに前年の登録数を超えており、
2021年6月末(7月16日の速報値)は 177,523人
となっている。45万人の就職希望者の4割弱を占める。増加幅は縮小するが、これから3月に向けてこれから来年の3月に向けて徐々に増加する見通し。
4割の登録は企業にとって他の求人手段と比べて利用の優先度が高まる数字と考える。
〇企業の導入を促す料金プランとサポート体制
料金の安さと初期導入において成果報酬型の提供により、企業の導入を促している。
成功報酬型で比較すると、人材紹介を利用した場合新卒の人材紹介における平均的な価格は約90万円。理系は約100万円の料金体で提供しているの一般的とのこと。同社は38万円と半額以下となっている。
〇オファーを確実に届ける仕組み
筆者が既存の仕組みと違い、特に注目したのは
オファーを確実に届け、開封につなげる仕組み
①オファー流通量の制限
②アプリによるプッシュ通知
①オファー流通量の制限
オファー流通量(企業から学生に対してオファーできる量)の制限
企業がオファーできるのは採用計画1名につき40枠のみ。
1名なら40枠、2名なら80枠としている。
学生が受けられるオファーは15企業からのみ。
双方が制限されることで厳選されたオファーが届けられ、オファーの開封率がアップする。
加えて、よい学生の枠が埋まらないうちにオファーするために早期登録型を選択することにもつながる。
②アプリによるプッシュ通知
offerboxはアプリ利用率が68%。
メールでは埋もれがちなオファー通知がアプリによるプッシュ通知のため
開封率が87%と高い確率となっている。
*データで見るオファー型採用 より
データとイラストで見るオファー型・逆求人型採用の実態|新卒採用向けダイレクトリクルーティングOfferBox(オファーボックス)
<業績>
売上高は前期比+36.4%の計画。
OfferBoxが同+42.9%と売上成長を牽引する。
成長に向けた投資をする為え、営業利益ベースでは減益の予想。
主な減益要因は投資によるもの
学生の登録数、利用企業数の増加に向けたプロモーション、人員拡充によるHR関連の費用増などを見込む。
販売費及び一般管理費の計画(単位:百万円)
・プロモーション関連費用 655 (前期比 +294)
・HR関連費用 1,241 (前期比 +381)
〇売上に寄与するKPIの状況
主なKPIは次の4つ
①学生登録人数
②企業登録数
③アクティブユーザー
④マッチング効率
①学生登録人数
繰り返しになるが、以下の通り、
2022年卒の登録数ははすでに前年の登録数を超えており、
2021年6月末(7月16日の速報値)は 177,523人
②企業登録数
直近(2021年6月末時点)では
8,714社(2021年3月期末比 +608社)
③アクティブユーザー
④マッチング効率
オファー承認率、承認件数が前年同期比で順調に上回っている。
<成長戦略>
①OfferBoxの新卒採用市場に置けるシェア拡大
現在、就活生の約40%が登録しており、オファーからの決定率も徐々に高まっている。
同社サービスが一層浸透すれば、企業が採用活動に利用する手段として優先順位があがり、
一層のシェア拡大が期待できる。
2026年卒の決定数20,000人を目指す。
20,000人に増やすために
・学生登録者人数の増加
・登録企業数の増加
・学生月間アクティブユーザー数(MAU)の増加
に加え、ビッグデータ等を用いたマッチングの効率化をすすめる。
②「eF-1G」の収益力向上を目指す
eF-1Gは昨年システムのリニューアルを完了したため、人員を増やし積極的に展開する。
③新規事業の展開
毎年4割の学生のプロフィール、eF-1Gのデータが登録され、企業とのやり取りが行われる。このデータを蓄積し、新たな事業展開を模索する。
まず①②への先行投資を行い、企業価値向上を目指す。
<同社の成長によって期待する就活の変化:個性を活かす就活に>
筆者は学生の就活にはオファー型が求められているのではないかと感じる。
*offerboxの学生プロフィールのイメージ
従来のエントリーシートでは表現できない、学生の個性が表現できる仕組みを提供する。
社会人として歩き出した時に入った会社での出会いがその後の社会人生活に与える影響は大きい。
”こんなはずじゃなかった”という価値観のミスマッチを無くすことはその後の生活を充実させることにつながるだろう。
大学時代は縛られることが少なく、自由な時間がたくさんある。
勉強する学生もいれば、遊びまくる学生もいる。
きっとそれぞれが個性的な過ごし方をしているはずだ。
同社サービスの利用が広がることで個性が活かせる就職活動が普及する未来を期待したい。
<バリュエーション>
時価総額 284億円
株価 7,300円
会社予想EPS 54.85円
会社予想PER 133倍
配当 無配
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