3923 ラクス 楽にするための・・・・ by Ono

2018年12月27日

書いていて思うのは
楽しいこと、面白いことは人に伝えたくなる
あれもこれも・・・
ということで長くなってしまって、まだ伝えたりない。

要旨:ニーズが強い

楽楽精算の高成長
 市場が大きい 現在2,000社 →10万社がターゲット

 価格競争力が高い 1,000万円以上のコスト削減を300万円以下で

 単位当たり価格が小さい(他社の参入障壁)

メールディーラーの高収益

 シェア7割

 EC化率の伸びとともに成長

見えないコストを削減する3923ラクス

多くのサラリーマンが会社で苦痛に思うことはなんだろう・・・

〇週末の恒例行事

毎日営業で顧客回り
週末に今週の営業活動を振り返る

”月曜日はXX社に行った・・・
最寄駅は池袋
”乗り換え検索”を立ち上げて電車賃を確認
ここ有楽町から池袋まで、と。
出た、200円”

”火曜日はYY社
最寄駅は表参道
有楽町から表参道170円”

”水曜日はZZ社
最寄駅は横浜
検索・・・あ、定期区間(有楽町から川崎)が入ってるから
川崎横浜間か220円、と”

”木曜日は・・・・”

 

・・・何気ない週末のルーチンワーク。
一週間ならまだいい。
たまに、つい忙しくて月末にため込んでしまう。
一か月分だと、手帳を見直して、どこに行ったか調べて
あっという間に午前中は過ぎてしまう。
気が滅入る。

同じことをしている人は社内に多数いる。
複数の人間がこれをやると困るのは

承認者と経理部
承認者:内容のチェック
経理部:恒例の月末残業

本当は
”ご苦労様”
の一言も言いたいところだが
月末に山のような申請・・・。
金額が間違っていたり、領収書がなかったり、
つい、
”こんなにためないでください”
”また金額間違ってます”
愚痴も言いたくなる。
言われたほうは
”稼いでるのは俺だ”
”こんな何も生み出さないことに苦労するなどばからしい”

で、結局、社内の軋轢を生み出す。

これを解決して、社内をハッピーにするのが
ラクスの”楽楽清算”

(ドラマ仕立てでお送りしました。・・・ジャ〇ネット、じゃないんだからw)

〇IT化が遅れる経費、交通費精算

営業活動、資料作成、様々な場面でIT化が進んでいるのに
経費精算、交通費精算のIT化が進まない。
進んでいるようですすんでない。
未だにエクセルだったり、紙だったり
領収書コピーしたり
なんとアナログな
申請の方法が多少変わっただけで
関わる人の手間は変わっていない。

さらに紙がエクセルになっても
紙で保存するのがエクセルで保存しているだけ。
しまいにはエクセルでも保存、紙でも保存
というばからしさw

”経費精算、仕方ないよな”
と思って受け入れている人も
”俺は稼いでるんだ、無駄なことやらせるな!”
という人も同じ時間を使っている。
後者のほうは心理的なストレスも大きいので失っているものは大きいかもしれない。

経費精算にかかわる人は申請者だけではない。
”申請者”
”承認者”
”経理担当者”
楽楽清算はこの3者にとってメリットがある機能を提供する。

申請者
 交通系ICカード取り込み
  いつ、どこからどこまで利用したか一発読み込み
 入力内容のチェック
 スマホ対応

承認者
 規定違反チェック
 スマホ対応

経理担当
 定期区間の自動控除
 会計ソフトとの連携

など

〇コスト削減効果

ラクス社が公表している

楽楽精算導入により、経費精算にかかるコストの削減効果は
1382万円 (従業員1000名企業の場合で、経費精算にかかる時間をコスト換算)
これをラクス社が公表する価格設定の価格では
30,000+20,000(100ユーザー)×10倍
=230,000(月額)
230,000 ×12=276万円(年額)

*ラクス社が公表する価格設定
初期費用100,000
月額費用(~50ユーザー)30,000
 50ユーザー追加 +10,000
 100ユーザー追加 +20,000
 その他、様々な追加オプションがある

〇会社が開示している数字とは違った見方で考える

冒頭で月末にまとめて交通費精算をする例をあげたが、
申請者本人が月に半日、承認者と経理担当者も関わり、
一人あたり月に1日を交通費精算に充てられるとして
社員の時間の5%程度は経費・交通費精算に充てられるということ。
年収400万円の5%=20万円
社員一人当たり年間20万円のコストがかかっている
1000人の社員の場合、年間2億円!?

さらにその時間に社員が生み出すであろう売上が上乗せされる。

(削減効果に
 +その時間に社員が生み出す価値
 +さらに心理的ストレスの排除=プライスレスw
 便利さに加え、心理的ストレスの排除が最もスイッチングコストを高めているんだろうなぁ)

〇強みは圧倒的な価格競争力と現場との密着

楽楽清算はカスタマイズなしですぐに導入可能
月額30,000円
価格競争力は圧倒的でしょう。

カスタマイズするシステムは高くなる
・一社ごとに保守が必要
・導入前に時間がかかる

ユーザー側は投資に消極的
・売り上げに貢献しない(コスト部門)部門へのシステム開発には消極的

カスタマイズをせず、現場から吸い上げた問題を
機能更新の優先順位に反映させることで製品の価値を維持する。

顧客のニーズを拾い上げる中で、最もニーズが高いと考える開発案件から
機能を取り込み、継続受注につなげる。
カスタマイズしないということは
開発した機能は導入全社が利用できるということである。
ある企業にとってニーズがあって導入した機能が他の企業にとってもニーズがあった、ということも意識して優先順位を決める。

それを拾い上げるのが営業というわけだ。
営業が現場の声を拾い上げて開発につなげる。

導入している顧客にとっては価格が変わらないのに使い勝手がよくなる。

ということだ

 

〇余談:プラットフォームについて

プラットフォームについて2
で書いたが、
クラウド事業はコストが小さいから
参入障壁が低い

コスト削減効果、便利さがスイッチングコストを高めたと書いたが
スイッチングコストを高めるのは
・常にアップデートすることで
価値が維持することである

制度改正、使い勝手など、開発案件はとどまらない。

顧客にとっての現時点での満足感に
開発を常に継続することで将来的にも満足が続くという
期待感がスイッチングコストを高めるのである。

楽楽精算の解約率は4%程度だそうだ。

 

〇成長の可能性=市場規模を考える

楽楽精算は中小企業を対象としている
日本国内には50名から1,000名の会社が
12万社程度ある
現在ラクスの導入社数が約2,000社
コスト削減への貢献を考えれば(ざっくり)10万社の20%程度まではイメージできるのではないか
20,000社を想定してみる。

20,000社達成の時期はいつか
代理店を使うことで年間導入社数は増えている
直近では年間導入会社数は800社程度
2020年以降は年間1,000~1,500社ペースにのるのではないか
とすれば10年くらいで20,000社は可能な水準だろう。

このサービスの将来性を信頼して投資するのであれば10年の成長ステージに投資するということになる。

 

〇業績推移を確認

1社あたり売り上げは月6万円程度で、年々1社あたり売り上げは上昇している。

上記価格設定から算出すると、
・1社あたりのユーザー数は平均300名程度で
・徐々に1社あたり平均価格が高くなっている
ことが確認できる。

平均単価を高めているのは
年間の導入社数が伸びているのでその初期費用が増えていることと
一社当たりのユーザー数が増えていること

50人から100人の企業からの導入が多かったが、
代理店を経由するようになり、顧客の規模が大きくなっている
現在の受注の4割は代理店経由だそうだ。

 

*一社当たりの売り上げが6万円でないのは、私は開示資料そのままの数字から計算しており、会社の計算式と違うため(後日確認)

 

20%に近い営業利益率

 

将来の業績を考えると

売上の前提となる

導入会社数 × 社員数

でみると

導入会社数の増加スピードが高まり、導入会社の社員規模が拡大する

と、両側が大きくなる傾向にあり、

業績拡大スピードがあがるとみることができる。

 

〇こんなにアピールしているのにまだ赤字!?

で、この事業はまだ黒字になっていない
というより
黒字にしていない。
マーケットが大きい為、確実にシェアを獲得するための積極的な投資
・営業人員
・システム開発
・広告宣伝
に注力している。

今期追加投資をしなければ黒字という。

競争力のある事業は売り上げが拡大すれば黒字化は時間の問題である。
来期以降は売り上げの規模とともに積極的な投資を進めたとしても赤字になるリスクは小さいだろう。
限界利益率が高いビジネスでは、売上の伸びによりコストの負担は低減する。

 

〇収益の柱は・・・メールディーラー

楽楽清算が成長率が高く、面白い!と先に紹介したが、今期は損益フラット程度

現在の同社の収益の柱は”メールディーラー”

メールディーラーは

顧客とのメール対応を複数の担当者で行う際に、共有するサービス

メール管理・共有サービスのアプリケーションでシェア7割

企業のEC化が進む中で、メールを介した顧客とのコミュニケーションが増えている。

日本のEC化は遅れている。

楽天、ZOZO など伸びているが、日本全体ではまだ10%程度。

今後も企業は試行錯誤しながらEC化を進める。

自社でECサイトを構築する、または楽天、AMAZON、ZOZO、など一部のプラットフォーマーやネット小売りに集約されるとしても、顧客とのメールコミュニケーションは増える

メールディーラーが対象とするのは1億円以上の取引があるような一定規模以上の事業者。

一定規模以上の取引があり、複数の担当者でECサイトを運営する際に

メールの共有、管理などメールディーラーの機能が生きる。

導入会社数は2017年8月時点で4000社程度 シェア7割
自社の成長が市場拡大をけん引している状態。

現在も投資をしているが、市場の動向を見極めつつ、成長鈍化のタイミングで投資を抑制し、キャッシュカウの位置づけに切り替える。
市場のシェアが高い為、一定期間はキャッシュカウとして利益貢献しそうだ。
また、市場鈍化の要因として、顧客との問い合わせ窓口がチャットになることを想定し
メールと同様の役目を果たす
Chatdealer
を開始した。
*Chatに切り替わるとするとLINEも同様のことができそうなので、動向は注視しておきたいところだ

その他は簡単に触れておく。

〇IT人材事業

自社で未経験者を正社員として採用し、JAVAに特化し、短期間(3か月程度)研修して派遣する
WEBサービス事業者に絞って派遣する。
SI企業には派遣しない。SI企業は案件がなくなると派遣期間終了となる。
WEBサービス事業者(楽天など)は常に案件が継続しており
 2017年3月期は前期比増収減益。
IT技術者はある程度技術と経験があると条件のよい転職先がある。
離職を抑制するため給与を上げるなどの待遇改善したため、減益となった。
採用と転職による離職を差し引きして社員数+10%程度を見込んでいるという。
IT技術者も人手不足であるから、社員数に応じた売り上げの成長を想定。
低成長ながら安定的な収益源と理解すればよいだろう。

〇他
 他、低価格月払いの様々なサービスを開始しており、徐々に成長を待つということで横眼で見ておけばよいだろう。

 

2018年12月27日銘柄研究所

Posted by ono