取材メモ 3484 テンポイノベーション (東証マザーズ) by yamamoto

時価総額118億円 (執筆時2018年3月時点)

創業からの経緯 

テンポイノベーションは2005年の創業。 レインズ(牛角チェーン)の店舗の施工等から始まった。

何十億円規模であった。 内装等を手がけていた。 牛角はスケルトンにして、閉店時にオーナーに返していたが、か設備を残したまま上手に活用できないか、という思いがあった。

居抜き店舗にできれば、オーナーも空室期間がないし、工事内装も最低限で済む。

居抜き「ビジネス」を始めた。およそ12年前のことだったと思う。(2007年ごろのこと。)

チャーン店の牛角の居抜きで始まった同社であったが、牛角に止まらず、他店でも居抜きをはじめる。

焼肉の無煙ロースター機器などはそのまま活かせる。中古で売れば二束三文の時代。それはもったいない。

ビジネスをそうやって拡大していったのはよいのだが、メインの牛角内部との兼ね合いは年々難しくなってくる。 つまり、牛角がいい立地だと、よい立地は取り合いになる。レインズへの制約等があったので、やりにくくなった。 レインズも当時は過剰出店であったし、彼らの財務も悪かった。その後、レインズはMBOさえる。 そこでテンポイノベーションもそのタイミングで事業売却されたのである。

売却先はテレウェイブのテンポネクストであった。しかし、テンポネクストも経営が悪化する。(2009-2010年のことだったか。)

あっという間にその会社は10分の1の価値になった。 同社はまたも売却されることになった。

いろいろ候補あったが、名古屋で携帯販売事業を主に手がけるクロップスがM&Aを探していた。

クロップスはストックビジネスに魅力を感じていたという。

1)名古屋と東京で地域も違うこと、

2)業種的にも重ならないこと、

等が決め手になり、クロップスが株主となったのだ。 

その後、テンポイノベーションは順調に業績を伸ばす。現在、1200店舗を誇る。

クロップスが買った当時はまだ200−300店舗であった。

ビジネスモデルの説明

「大家のファンクションに徹する」 ビジネスである。つまり、物件のオーナーから物件を借りるのは同社である。

それをテナントにサブリースする。

同社には、トラブルの解決のノウハウがある。

顧客の 90%は飲食店である。 飲食店は、大家とテナントとのトラブルが起こりやすい。 臭いがついたり、不特定多数の人の出入りがある。騒音や騒ぎの問題もある。 テナントにとってはテンポイノベーションは大家であり、その面倒なところをうまくマネジメントできるのが同社の強みである。

たとえば、配管が詰まった場合、オーナーのせいなのか。テナントの使い方のせい?それを、もめないよう、テンポイノベーションは、プロとしてそこを仕切るわけだ。

つまり、オーナーとテナントの利害を調整できる管理会社のようなもの。

ただし、テナントからは家賃をもらい、持ち主のオーナーからも管理料をもらう。

テナントのメリットは多い。

個人ではなく、信用のあるテンポイノベーションは、個人よりも安く物件を借りれる。 できる限り優良物件を抑える。 不動産業者経由で情報をもらって仕入れることがチャネル的には多いにも関わらず、同社の営業マンは頻度多く、毎日、不動産業者を訪問する。そして、 営業担当一人あたりで月に1−2件借りられるか借りられないかというレベルである。希少性のある物件を最優先しているわけだ。そして、同社の高い信用を活かして、50万円でオーナーから借りる。それを例えば、5万円上乗せして、55万円でテナントに貸す、そのスプレッドが利益になる、というわけだ。

不動産屋の表に物件がでるときでは遅すぎるという。物件が公表される前に、物件を抑えるノウハウが同社にはある。

つまり、営業担当者と地域の不動産業者との長年の良好な人間関係がベースにあって成り立つ商売であるため、参入障壁は低いとはいえないのだ。

業者との関係を築く。足で稼ぐ。それが同社の強みでもある。

なんでも借りるわけではなく、首都圏だけをいま責めている。首都圏の1都3県に集中している。まだまだ開拓の余地は大きい。このビジネスは物件の家賃というよりは、物件の内容や立地などが重要だという。

居抜き物件は表に漏れてきたものでは、すでによい物件とはいえなず、表に出る前に、よい物件は抑えらてしまうそういだ。同社は、シンクロフードに10年前から情報を載せている。しかしながら、脱サラした店主が不動産屋を回っても、なかなよい物件はでてこないのが現実だ。

同社は営業担当者を駅別に割り振っているという。 たとえば、池袋駅担当ならば、ずっと担当が池袋界隈を回っているのだ。その地域の不動産業者を中心に何度も回る。よい物件が出たらすぐにりん議をあげる。基準は、同社の差益を乗せて「5万円」が基準となる。 100万円なら105万円。 造作物については売り切り。設備や重機の売りでも利益をあげるモデルだ。

オーナーのように、不動産物件を購入するのではなく、オーナーから借りて「又貸し」するので、投資効率は高い。

居抜き物件は、内装コストを抑えられるため、近年、人気であり、出店する人にとってもメリットは大きい。

外食では、居酒屋やラーメン屋は多いそうだ。 

テンポスバスターでは年間1割が退店率だという。 通常は2割のところ、半分の閉店率である。これはすごいことではないか。同社の物件が総合的に見てテナントにとってよい物件であることの査証であろう。

長期的には、一般論であるが、外食は店の半分は失敗してしまうそうだ。だから、 テナントが欲しているものは経営のノウハウではなくて「よい物件」そののも、だという。

そこで、同社のフォーカスは、コンサルではなく、物件のよさ、である。テナントに「いい物件」を紹介しよう!が同社のモットーだ。

良心的でもある。同社は、高額家賃からは勧めない。 なんと家賃10万円からやっているという。つまり、 「5万円」の利益ができるように、 自ら相場を崩さないように注意しているというわけだ!!!

実は飲食店向け不動産は面白い特質があるそうだ。

居住用とちがって、賃料相場はアバウトなのだそうだ。これは、知られていないことではないか。なんだかブルーオーシャンっぽいではないか、とわたしは思った。

たとえば、看板の大きさで家賃が違ったりすることもあるという。それは住居用ではありえないことだ。

つまり、飲食屋向け不動産相場というのは、正確な相場を持っていないグレーな部分があるらしいのだ。 ただし、同社には膨大なデータがある。たとえば、どの駅のどの路地ならば、この家賃である、ということをしっている。だから、同社には、飲食店の賃料のフェアバリューをはじき出せるシステムがある。

飲食や店舗は浮き沈みが大きい。 資金繰りが厳しい時、テナントは、従業員の給与や食材を優先してしまうからだ。

未回収家賃の回収はオーナーにとって、大変ハードな業務だ。

オーナーといっても楽な商売じゃないということだ。

また、同社の顧客には、大手チェーンの割合が少ないという。同社のテナントは7割以上が小規模なテナントだ。(価格交渉力がないところを相手にしている、といえば言い過ぎだろうか)

量よりも質重視へ

20−30坪が平均的な面積であり小さいところであっても5万円がとれるよい物件を同社は保有しちえる。率よりも定額の5万円が利ざやである、と経営が決めてから、同社は利益率が改善したという。

5-6年前に原社長がそう決断したのだそうだ。これは英断であった。

それ以前は、営業担当に任せてバラバラに決めていた。ケースバイケースといえば聞こえは良いが、ひどいときには数千円の利ざやも認めていたという。営業担当は、どうしても件数を追いかけてしまうものだ。

そこで、営業マンのボーナスの原資となる評価方法を変えた。件数ではなく、差益を評価に変えたののだ。

それまでの約定件数評価からランニング収益へと。

ボーナスは年4回という。多い回数であろう。

だが、そうはいっても、イニシャルの占める割合はまだ大きいという。つまり、礼金とか造作物でも儲けるためだ。 この差益基準の5万円は最低基準だという。とれるならばもっととる。募集を見つつ、随時5万円以上で対応するのだ。

同社の財産のひとつが、出店意欲の高いオーナーたちである。彼らを直接知っているから、彼らにまず提案するという。

さらなる成長のために、新卒採用へ

営業マンは100名程度。 2020年3月期は新卒を雇うという。  10ー20人規模で成長のための増員を計画。

営業という職種は、一般論では、つぶしがきく。労働市場の流動化が進んでいることもあり、営業職の離職率は首都圏においては低くはないのが普通だ。 同社の営業職の離職率も低くはないのだという。 基本的には採用は厳選しているが、ハードルは高く、採用される率は低い。 同社の目利きが効くとはいえ、まずは退店したところを同社は借りる。退店の履歴があると通常、テナントは嫌がる。 さらに、オーナーからみれば、同社が借りるが、それをテナントに貸す前提であり、つまり、「又貸し」が前提なので、ネガティブで悪いイメージを持たれやすいのだとか。それを払拭し、社会的な意義や事実を伝える地道さがなければ営業は務まらないのだろう。いやはや、大変なお仕事である。こういう大変な仕事を地道にできる人でなければならないのだ。 テナントさんが決まるごとにオーナーに「こういう方がこういう店舗をやるので」と丁寧に説明して承諾をとるのだとか。つまり、こういう律儀で人間的で丁寧な対応の積み重ねが同社をここまで大きくしたのであろう。そして、こうした不動産業界における良好な人間関係こそが同社の財産になっているのだ。

そんな同社が採用において重視するのは営業経験そのものよりも人間力だというのは頷ける。 実際、営業未経験が半分程度だという。同社は、本質的なことにこだわるので、以前の本社は築57年であり、甲州街道沿いでトラック走ると揺れるオンボロだった。質実剛健な会社であることがうかがい知れる。

(現在は、駅上の立派なビルであるし、立派な上場会社である。)

社員同士が押し合うフラットな組織 

組織運営において、重要なことは、なんだろうか。

どんな仕事もいずれは属人的になっていく。それではいけないという危機感が同社にはあるようだ。

同社は人に頼っていた知識を文字化している。

幹部社員全員で、職務を言語化したという。

こういうことができる会社は伸びるのではないか。

例えば、同社の社員であれば、消防法などの法律知識も必須になる。しっかり勉強した先輩社員がこれから勉強が必要となる新入社員に教えるような風土がある。互いに教えあう環境つくりがあるようだ。

社風を伺うと、「極めてまじめで、質実剛健がモットー」という

逆にいえば、営業の会社にありがちな「いけいけどんどん」というタイプの会社ではないのだとか。 

たとえば、こんな社員がいるという。誰に言われることもなく、資料を自主的に作る。たとえば、飲食業界の トピックスになったことを自分でまとめて、みんなのために、複写し、部署で配信する。

仕事に取り組む姿勢がまじめ。 みんな自分で考えてやる。

勉強会も部署横断的に。 アットホームだが、馴れ合わない。前向きに仕事をしつつも、緊張感を失わない。 

同社の特徴は、質の高い事業運営であり、それを支える質の高い社員と会社組織にあるのではないか。

たしかに、オペレーションの巧拙は大事であるし、社員のモチベーションの高さや経営陣の意識の高さが、業界の中での差別化要因になるのだろう。

たとえば、物件の仕入れに関しても、たとえば、社員間で自然な議論が出てくるという。物件の仕入れに関するチェックシートは同社のノウハウのひとつにすぎないが、シートもそのまま信じるのではなくて、社員間の議論を行い、数ヶ月おきにリプレイスするという。 この項目は新たに入れたほうがいいという議論が常にあるのだそうだ。このように、前向きに仕事の質を向上させるような組織であるという。 

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