3134 Hamee 競争激化のECで顧客の長期成長を後押しする
3134 Hamee
ポイント
・スマホケースのヒット
・広告をしなくても売れてしまう理由とは?
・ECサイト事業者として培ったノウハウをシステム化
・業務支援システムの成長を決める要素は何か?
経営理念
https://hamee.co.jp/ir/principles
MISSION
クリエイティブ魂に火をつける
驚かせたい、喜ばせたい、幸せにしたい……。
想像を膨らませ、没頭する。
才能を最大限に発揮し、挑戦し、成し遂げる。
クリエイティブ魂は、まさにそのとき、燃え盛る。
まずは、Hameeの一人ひとりがクリエイティブ魂を燃やす。
そこから生み出すアイデアにテクノロジーと知恵を結集し、
体感する顧客のクリエイティブ魂に火をつける。
燃え盛るクリエイティブ魂が、世界をより良くすると信じて。
VALUE
「笑顔と入魂」
そこに愛があるか?
進化・成長しているか?
自分事として動いているか?
同社の主要事業は次の2つ
”コマース事業” 主にスマホカバー(iPhone向けが中心)をECサイト及び卸売り販売する
”プラットフォーム事業” ECサイト事業者が活用するクラウド型業務支援システム
コマース事業:
スマホケースの ”iFace” が主力ブランド。
”iFace”は主に自社で生産、その他は仕入販売の形態をとっている。
9割が日本向け。
ECは自社店舗 大手ECモールに出店して販売する。
卸は大手雑貨量販店、家電量販店向けに卸している。
プラットフォーム事業:
EC事業者の業務支援を行うシステム ”ネクストエンジン” を提供
納品連絡、フォローアップメール、受発注、倉庫への出荷指示などのバックヤードの業務を一元管理、
自動化するシステムを提供し、ECショップの事業者の業務を効率化する。
<沿革>
1998年設立
社長の樋口氏が大学生の時にWindows95が普及。
将来的にインターネットがビジネスのプラットフォームになると考えた。
当初はインターネットでスーパーを作ろうと考えたがうまくいかなかったが、
その中で一つヒットしたのが携帯ストラップであった。
初期の携帯電話につけるアクセサリーで、2000年には楽天に出店して販売した。
順調に売れてはいたものの、携帯ストラップは一個一個の単価が安いという課題にぶつかり成長するのが難しかった。
他にも成長を阻む課題は多く、
・受注、在庫確認、封入、名前書いて送付、すべてを一個一個やらなければいけない。
・複数のECサイトで販売するためにはそれぞれに情報を登録しなければならないが、
システム毎に仕組みや使い方が異なるためシステムごとに担当者を一人ずつ付けないといけない。
といったことから利益が残らないという状況に陥った。
どう自動化するか、一元管理するかが経営課題となり、
効率化して利益を生み出す為のシステム”ネクストエンジン”が生まれた。
<業績推移>
四半期別の推移を見ると
・コマース事業の売上・利益ともに成長続く
・プラットフォーム事業の利益率改善が顕著であり利益での構成比率が高まっている
<ビジネスモデルと各事業の特徴>
2つの事業がシナジーを持って運営されている。
〇プラットフォーム事業
ECの業務効率化 プラットフォーム
ネクストエンジン https://next-engine.net/
特徴は次の3点
①ECサイト事業者(同社)が構築したシステム
②シェアトップ
③API連携可能によるカスタマイズ性
①ECサイト事業者(同社)が構築したシステム
自社でECサイトを運営する中で課題を解決してきたノウハウによって構築されたシステムである。
例えば、ECサイト運営会社のシステム変更がある場合にも先行して対応することが可能となる。
②シェアトップ
導入会社数 4,351社(2020年10月末現在) 年間600社以上増加しており、シェアトップを維持している。
③API連携可能によるカスタマイズ性
2013年12月にAPIを公開したことで外部デベロッパーが開発した各種アプリの接続が可能となった。
〇EC業務の自動化、EC事業者の経営効率化の機能を提供する
複数のネットショップの管理一元化、複数のネットショップの在庫数表示を同期させる機能をもつことから
複数のネットショップを運営する事業者にとって利便性の高いシステムである。
①一元管理
複数店舗で新商品を売ろうとするとすべてのサイトに登録しなければいけないが、同システムを利用することで在庫の一元管理が可能になる。
②自動化
ネットショップの運営において発生する次のようなルーチン業務を自動化する。
商品登録 → (注文あり) → 在庫確認 → 確認メール → 受注処理 → 連絡メール
ECサイト毎(楽天、Amazonなど)に仕組みが違うため、担当者を分けていたものが、
同システムを導入することで業務が効率化され、担当者一人で運営が可能となる。
*イメージ図
導入前
↓ 導入後
受注から商品管理まで自動化により効率化され計画的な運営が可能になる
〇ターゲット顧客企業は楽天出店の企業?
同社は楽天に出店している企業を主要な顧客ターゲットとしている。
ECサイトの中でも楽天は出店手数料が高い部類にあり、しっかり本気で取り組まなければ成功しない。
本気で取り組んでいる店舗は多店舗展開している企業が多く、同社のシステムの恩恵を受けることができると考えている。
楽天の出店数は50,000店弱となっており、業務管理システムを未導入の店舗は依然として多いため、引き続き同社の顧客としてアプローチする
〇継続性が高い
同システムはEC事業の運営のワークフローに係わるシステムであり、一度導入すれば離脱は置きにくい。
加えて、API連携により周辺の関連システムと連携された自社独自のシステムとなるため、
競合システムへのスイッチングコストは高まる。継続性が高い安定したビジネスとなる。
〇従量課金で顧客の成功とともに成長する
利用料金は従量課金としており、
ベース1万円で400件までの手数料を含み、
401件から1000件まで1件当たり25円。
専任の担当者を一人おくよりも低コストに抑えることができる。
<コマース事業>
自社ブランド ”iFace” のiPhoneケースが主力商品でコマース売り上げの9割を占める。
自社企画品と500社の仕入れ先から仕入れた商品を販売している。
販売する機種をiPhone中心に絞っているのは、1機種の販売期間が長く在庫リスクが抑えられるため。
Androidは1機種当たりの販売量が違うため、少量多品種となり、在庫リスクも高まる。
韓国で見つけたものを日本で販売し、WEBサイトでヒット商品となったところ店舗でも扱ってくれるようになり、卸販売が拡大。
その後自社企画商品の店舗販売もできるようになった。
卸販売の拡大が自社企画品の販売ルート開拓につながり、現在では自社企画品が大半を占めるまでに成長した。
自社企画品は自社のデザイナーがオリジナル商品を制作する。ディズニー、ムーミンなどの人気キャラクターの商品化権を取得し、
10,000種類以上の商品を販売状況を分析し売れ筋商品をリアルタイムで把握。2019年10月には韓国の連結子会社が製造機能を取得し、
自社商品の規格・製造から物流・販売までフローで統括している。
〇iFaceヒットのきっかけ 広告をせずに売れ続ける理由は?
自社企画品の成長を牽引したのが ”iFace” ブランドのiPhoneカバーのヒット。
iFaceの価格帯は3,000円~4,000円と若干高い。それでもヒットしたのはなぜか。
きっかけはアイドルグループのももいろクローバーZが”iFace”を使用しているのがある写真に写っていた為、
ファンの間で一気に購入が広がり、大ヒットにつながった。その影響で”iFace”の購入層は10代から20代の女性が多い。
他にも、様々なアイドルのミュージックビデオには多数、同社の”iFace”出てくる
例えば、以下のMVを見ると、冒頭の数十秒あたりから出ている。
アイドルのMVにおいて、スマホがある事が映像として不可欠であり、同社のケースが使われ続けている。
・カントリー・ガールズ『One Summer Night ~真夏の決心~』
・こぶしファクトリー『これからだ!』
・Juice=Juice『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』
・金澤朋子『黄色い線の内側で並んでお待ちください』
*実は皆さんのことをよく知らないのだが、閲覧数は結構あり人気のあるグループのようだ。
自社で広告費をかけなくても、売れてしまう理由はここにある。
〇海外
・コマース事業
iFaceがメインだが、日本での販売価格のレンジは3,000から4,000円であるのに対して、
米国で販売されるケースの中心価格は15ドル、1500円程度。
iFaceを米国で同価格帯1500円程度で売るわけにはいかないため新しいブランドを立ち上げようとモバイルアクセサリーブランド
”PATCHWORKS”事業を譲り受けた。
https://www.strapya.com/categories/21740_22464.html
現在すでにアメリカで展開を開始している。
・プラットフォーム事業
海外でネクストエンジンが導入される条件として”多店舗展開”、複数のECサイトの活用が必要な市場環境が考えられる。
その点では韓国が日本と似ており、韓国市場向け「ネクストエンジン コリア」を展開。
米国、中国共に市場は大きく、注目したいところだが、それぞれの国の競争環境をみると、
米国はamazon一強、中国はTモール一強ということでECを多店舗で積極的に実施する企業は少ないと思われ、
同社のネクストエンジンの採用は難しい。
<成長イメージ>
中期経営計画を発表している。
2021.4期会社予想 → 中計期間最終期2022.4期 (単位:1,000,000円)
・グループ目標
売上高12,832 → 13,800以上 +7.5%
営業利益 1,778 → 2,200 +23.7%
・プラットフォーム事業 増収増益で成長を牽引
売上高 2,059 → 2,600 +26%
営業利益 661 → 880 +33%
・コマース事業 売り上げ横ばい 営業減益
売上高 9,990 → 10,000 +0.1%
営業利益 2,561 → 2,300 -10%
〇事業別の取り組み
プラットフォーム事業:注目は顧客企業の売上増への貢献
成長を続けるために様々な取り組みを行うが、中でも長期的に注目しているのは
ネクストエンジンのデータ活用による顧客企業の売上貢献である。
・クラウドシステムの導入目的はコスト削減であり値上げの難易度は高い
多くの企業がクラウド環境を活用した低コストのシステムを提供している。
顧客にとっては導入時点でシステム投資のために数千万円、数億円ということはなくなり、
成長過程に応じた低コストでの導入が可能となり導入企業数が増えている。
導入顧客数を伸ばした企業はサービス向上による値上げを目論むが
システムの導入企業にとって導入の目的はコスト削減である。
コスト削減のシステムでコスト増は受け入れにくい。
つまり、値上げの難易度は高いと筆者は考える。
そこで同社が考えるのは保有データを活用した顧客企業の売り上げ増加への貢献である。
・同社が重視するのは受注処理金額
ネクストエンジンにとって受注処理件数は連動する数値で重要だが、受注処理金額を意識している。
受注処理金額とは日々売買している金額のこと。現在7,000億円強だが2021年4月期末には1兆円を予想する。
その流通総額に課金できる仕組みを模索している。
具体的な例では
レコメンドメール
ECで注文してもらう → 発送の準備が整う → 発送メールを送る
商品が到着したら → 感想メール ”どうでしたか?感想お聞かせください”
というやり取りがある。
同社には4000社以上の在庫データがあり、このメールを送るときにこの方だったらどういう商品が好みかをAIが判断して好みの商品をメールに差し込むといった仕組み。
さらに、AI全自動メルマガ「manekine(マネキネ)」
自動でメルマガを作成するシステム。現在は開発段階で無料で提供しているが、こちらも顧客記号の売上増への貢献による収益向上を目指すアイディアの一つ。
ネクストエンジンは効率化、コスト削減のシステムであり、顧客の売り上げ増加につながるものではない。
とすると、値上げは難しい。1件当たりの売上増は見込みにくい。
もし、売上につながるサービスなら売上に見合う手数料を払うのではないか。
これまで販売していた受注処理金額を活かした、かつEC事業者の売上増に貢献することを目指す。
〇コマース事業 iFace のブランド力向上に注力
現在はiFace Reflectionが好調。一層のブランド力強化のためのプロダクト開発に加えて、ブランディングのための投資も行う。
新規に提案する自社企画商品として、例えば、アパレル向け商材のブランド ”salisty” ハイエンドの方々へ。
アパレルの様に季節ごとに付け替えてもらうような提案をする。
<バリュエーション>
時価総額 326億円
株価 2012円
会社予想PER 25.3倍
配当利回り 0.4%
配当性向 10%
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