コラム 投資に関する調査方法について by 黒木 智

はじめまして、黒木です。

リンクスリサーチ社に客員アナリストとして参加しました。
リンクスリサーチ社の企業理念に共感し、「個人投資家の自立」や「金融リテラシーの向上」に少しでもお役に立てばと思い、今後活動いたします。

早速、初コラムです。
まず、株式投資における投資先を知るきっかけ自体は様々あります。
スクリーニング、新聞、雑誌、四季報、利用しているサービス、各種セミナー、イベントなど、
更には、最近ではツイッター、オフ会なども挙げられるかもしれません。
興味をもった企業について、何を基準に投資するのでしょうか。
チャート、ファンダメンタルなど色々ありますが、私が大事にしていることは
興味をもった企業についてまずはよく知ることです。

今回ご紹介するのは、これまで私が取り組んできた企業の調査方法についてです。
人によって様々なやり方がありますが、大事な資産の一部を投資するので、
「企業について可能な限り詳しく知り、強み弱み業界動向を把握する」方法の一例としてお考えください。

・WEBサイト

最近は多くの企業のWEBサイトが充実しています。
製品、サービス紹介も文章だけではなく、図解、動画など中身も豊富。
決算説明会の動画やアナリストレポートが掲載されている企業もあり、
多くを活用することができます。加えて有用なのが、採用活動のページです。
採用活動は新入社員向けに書かれていることもあり、非常にわかりやすいことが多い。
さらに、社員の体験談などから具体的な業務活動についてイメージを膨らませることも可能です。
また、企業理念やミッションについては、長期的発展は望めそうなのか、
理解できるのか、そもそもニーズはあるのかといった視点で慎重に確認します。

・各種開示資料

決算短信、決算説明会資料、月次資料、中期経営計画、有価証券報告書など。
上記資料については、目を通す方も多いはず。
いずれも重要ですが、ここで敢えて紹介したいのは、有価証券報告書。
法定開示書類であり、企業が開示すべき項目について定められています。
ページ数が100ページを超える企業もありますが、多くの情報が参考になります。
例えば、「事業等のリスク」という項目がありますが、
ここには会社がリスクだと考えている点が列挙されており、
リスクに対する対策や自社の強みが併せて記載されています。

一例として、日本M&Aセンターは9期連続最高益を達成しているM&A仲介最大手ですが、
事業等のリスクを確認してみます。

「日本M&Aセンター」の第26期有価証券報告書より(以下引用)

『事業等のリスク (1) 競合について
当M&A業界は、仲介業務を遂行するために必要な許認可等が存在するわけでもなく、
基本的に参入障壁が低い業界といえます。
当社グループが、優良な案件情報を全国から継続的、安定的に入手するために構築した
全国規模の情報ネットワークやこれまでの仲介実務の中で培ってきた当業界の固有のノウハウは、
短期間には模倣できるものではなく、当社グループが他社との差別化を図り
競争優位を確保できる重要な要因であると認識しています。
また、新規参入者の増加等による当業界の拡大は、
当社グループが主に取扱っている国内の中堅中小企業のM&Aマーケットの底辺の
需給拡大に直接的につながり、当業界の先駆者である当社グループにとっては
逆にそれが有利に働くのではないかとも考えております。
しかしながら、今後、競合他社と多くの案件でバッティングし受託価額が
下落するようなことがあれば当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。』
(引用ここまで)

このように参入障壁が低いことは認めつつも、ノウハウ自体は簡単に真似できず、
それだけではなく、新規参入自体は需給拡大から日本M&Aセンターに有利に働くと記載されています。
競合の参入はそれほどネガティブな材料ではないと。
すべて鵜呑みにはできませんが、こういった情報は有価証券報告書ならではで、
リスクと強みを確認できます。

・店舗調査、サービス体験、展示会

小売業、サービス業であれば、商品やサービスを購入・体験できます。
衣料、外食などはイメージしやすいかと思いますが、自身が興味のある業界であれば、
日常生活の中で企業調査を行うことができます。
自分自身がよく使う商品・サービスは、価格、品質、便利さなど何らか、
もしくは複数の点において、優れているポイントがあるはずです。
また不動産業などであっても店舗があるのであれば覗いてみたり、従業員と話してみたり、
その企業の強みは何なのか、他社より優れていると感じる点はあるのか、
訪れてみると感じることは多くあります。私は、一人のユーザーとして使ってみる、
触れてみることを大事にしていて、店舗の調査は楽しみながら行っています。
訪問時間がない時は、店舗やサービスを利用している方のブログなども参考になります。
株式投資のブログだけでなく、購入・利用しているユーザーの意見は貴重な内容ばかりです。

またインバウンドマーケット、フランチャイズショーなどの展示会も参考になります。
例えばフランチャイズショーには様々な上場企業が出店していますが、
ビジネスとして何がトレンドなのかわかる上に、フランチャイズ加盟店を
どうやって集めているかもわかります。良いフランチャイズというのは、
企業(フランチャイザー)、加盟店(フランチャイジー)が共に儲けて、
お客が集まるビジネスで三者ともハッピーなビジネスだと考えています。
投資候補がフランチャイズビジネスを扱っている場合、お客が集まるかも大事ですが、
加盟店が集まるかも同時に大事なことで、展示会に参加すると横断的にビジネスを比較できます。

・IR問い合わせ

電話でもメールでも可能ですが、投資先となりうる企業のことを少しでも知るために、
各種開示資料や店舗調査などから感じた疑問を問い合わせます。
基本的には「何がその投資候補の強みなのか」を深堀するための問い合わせです。
競合がない独占的なビジネスをしている場合は別ですが、競合との比較を中心に質問します。
開示資料にない前提ですが、例えば、シェアは何パーセントなのか、業界何位なのか、
なぜ営業利益率が高いのか、低いのか。また何故そのサービスは選ばれる状況にあるのかといったことです。
また真似されないように何を行っているのかにもスポットライトを当てます。
どの企業も必死で企業活動を行っており、参入障壁が低い儲かるビジネスであればすぐに参入してきます。
その対策は何かについてです。

いかがでしたか。今回は、4点を挙げさせていただきましたが、その他にも、
本、業界紙、社長のブログ、アニュアルレポート、アナリストレポートなど参考にできるものは
企業によって異なり、多々あります。
投資調査には時間がかかりますが、この中でもご自身に合うやり方があるはずです。
まずは企業の強み弱みは何なのかに重点をおき調査してまいりましょう。

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