チャンスはピンチの顔をしてやってくる
4月が終わり5月に入りました。
3月中旬を底に反転し、株価は徐々に戻して一息ついてGWを迎えています。
中小型株市場では一部で異常な上昇をする企業も多く、
多くの個人投資家が元気であることが確認出来て少しうれしく思います。
このGWを使って3月の下落でどんな投資行動をしたか振り返ってみましょう。
そこで学んだことはなんでしょうか。
ベテランの方の多くが実感したのは
・過去の経験則が役に立たなかった。
・過去の経験則にこだわりすぎてしまった。
・自分の過去の経験を過信してしまった。
過去の経験をいかすのは当然の行動ですが、
”過去の経験を肯定するために、行動しなければならない”
例えば
”過去PBR0.8倍が底だ”。
ということを経験として知っている。
その過去の経験を肯定するために
今まで取ったことのないリスクをとってしまったのではないでしょうか。
併せて、SNSのデメリットの大きさも実感しました。
宣言するとその通り行動することに縛られる。
”知っているのだから行動しなければ”
という自己肯定欲求に加え、
SNSを使っていることで成果を上げたときに他人からも認められたいという欲求。
そして、その投資行動によるリターンを得る欲求。
非難はしていません。
私も欲の塊ですから、自戒を込めて。
車を運転しているとき、スピードが高まるほど視野は狭くなりますね。
短期で大きく下落したので、早く行動しなければと視野が狭くなってしまった面もあるでしょう。
このGW、自粛期間は、そんな自分との向き合う時間としてちょうどよいかもしれませんね。
◎”チャンスはピンチの顔をしてやってくる”
閑話休題
”チャンスはピンチの顔をしてやってくる”
こんな言葉をたまにみることはありませんか。
株式市場ではリスク=ボラティリティ(変動の大きさ)ですが、
3月中旬に日経VI指数はピーク時60にタッチしました。
今は30台で推移しており市場のリスクは低下しています。
変動が大きい時、誰しもがピンチと感じるでしょう。
3月中旬は多くの投資家が”ピンチ”と感じていました。
そのピンチをチャンスととらえて投資した方は短期的にもリターンを得られました。
ピンチに行動したからこそ得られた。
投資家にとっては一息ついたという状況かもしれませんが
企業にとっては長期的にピンチが続いています。
緊急事態宣言による自粛期間が延長されました。
むしろ、影響が出るのはこれからであり、長期的にはピンチがまだまだ続くでしょう。
今まで想像していなかったことが起こる。
◎キャッシュリッチ企業を探そう?
今までになかった不況が来る。
倒産する企業がどんどん出てくる。
だから
”キャッシュリッチ企業を探そう”
という機運が生まれました。
個人的にはこれには疑問を感じてしまいます。
”リスクを取れない投資家”
が
”リスクを取れずにキャッシュをため込んでいる企業”
に投資してリターンを得られるでしょうか。
キャッシュリッチな企業に資金の使途を聞くと
ほとんどの場合、明確な回答を持ち合わせていませんでした。
・今後のM&Aの機会を待っている
・今は割高で変えない
こんな回答が多かった。
企業がお金を使うのか。
いつ何が起こるかわからないとお金をため込んでいた企業がこのピンチを
”やっときた、チャンス到来”
と行動するのだろうか。
注目している。
企業は投資家にお金の使いっぷりを見せてほしい。
それでもキャッシュリッチ企業を探したい
という方に一つクイズを出します。
Q.上場企業が保有する現金の評価
上場企業が保有する現金100万円はいくらで評価されているでしょうか
①もちろん、100万円!
②140万円超
③60万円未満
ヒント
ここで考えるべきは
保有現金を
・高く評価する要素
・低く評価する要素
を考え、どちらを市場は重要視しているか
まず、高く評価する要素
資金調達コスト(負債利子)
保有現金を使うことで負債利子を支払わずにする。
機会損失
投資のチャンスがあった時に投資する資金がないために逃すリスク
一方、評価を低める要因
非効率な資産運用
現金を活用しないため期待収益率分を減額して評価
情報の非対称性(エージェンシーコスト)
無駄遣いするのではないか、
答え
③60万円
”低めるであろう要因”の2つが大きい
保有現金の評価を高める要因は効果は小さい
・ゼロ金利でほぼ負債利子は無視してよいレベル
・金融緩和で資金調達は容易なため、機会損失は発生しにくい
”いつか是正される”
という反論があるかもしれない。
しかし、多くの投資家が見ていて、放置されているという現実を受け入れたほうがよいのではないかと考える。
それでも、投資したいというのであれば、もう一つ企業を見る判断基準をお伝えするべく、
クイズを出したい。
Q.100万円の現金の評価 60万円と言いましたが
36万円~70万円と差があった。
差がついた要因として挙げられたのは何か?
①企業の成長ステージ
②コーポレートガバナンスの良さ
③財務体質
ヒント
①企業の成長ステージ
とは、資金の重要度は企業の成長ステージで違うだろうという考え
成長期、成熟期、衰退期で評価が違うのではないか
②コーポレートガバナンスの良さ
説明責任を果たし、社内外でガバナンスが優れたと認められた企業かどうか
③財務体質
財務体質の良い企業が保有する現金と、財務体質が悪い企業が保有する現金には
おのずと評価が分かれるはず、という考え
答え
②コーポレートガバナンス
下記の財務省のレポートでは
コーポレートガバナンスが平均的 36万円
コーポレートガバナンスが良い 70万円
と示されている。
現金の利用目的が明確でないと36万円程度にしか評価されない例もあるということ。
コーポレートガバナンスがよい企業は株主及び投資家との信頼関係が築かれている
ということ。
*日本企業の現預金保有行動とその合理性の検証(財務省財務総合研究所総務研究部)
https://www.mof.go.jp/pri/research/discussion_paper/ron305.pdf
もしキャッシュリッチ企業を探すのであれば、
・コーポレートガバナンスが良い企業
または
・改善しようと行動している企業
という点に着目してはどうだろうか。
そして、投資したならば株主として、コーポレートガバナンスの強化を訴えて、
低評価を是正する行動をしてみてはどうか。
ただやみくもに
”株主還元しろ”
というアクティビストではなく
何に使うのか
を説明してもらうべく、行動してみてほしい。
その行動が市場全体の評価を上げることにつながる。
チャンスはピンチの顔をしてやってくる。
今、このピンチはチャンスと捉えて行動を開始したい
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