投信の不利と直接株式投資の有利

2017年9月20日

 

::::みんなの運用会議の準備::::

個人投資家にとって、投信と直接株式を保有する場合の年間の見えるコストと見えないコスト(機会損失)の大きな差について。20%と試算した。つまり、投信で保有する場合と個別株で直接保有する場合の差は20%ということ。これは20年で50倍の開きになる壊滅的な差だ。(連続複利)

1)販売手数料の不利 最大で2%

投信の場合、小口のお金を集めようとするから、販売員が必要になる。

昔は効率的であったことが今では非効率になってしまうことがある。

販売員を雇うと彼らを養うために投資信託を乱造しなければならない。 高度成長のときは、それでもよかった。右肩上がりの経済がコストを隠してくれた。いま、成熟した経済下とあっては、よい株は少ない。長期の運用は成長株への厳選投資でなければ儲からない。

販売員のために、証券会社のために、1年に1回、乱造投信を顧客に乗り換えさせる。

約1-2%の投信の販売手数料の差は大きい。

2)成長株を見逃す不利 あえて成熟株を買うという不利 最大で10%

小さなままならば投資対象は4000銘柄なのに、投信にしてしまったので、流動性の高い1000銘柄しか買えなくなる。これらは成熟株が大多数だ。それらに200−300銘柄分散投資をしているのが投信だ。

あえて成熟企業に投資せざるを得ないから、期待収益率が2−10%低くなる。はい。2%個人投資家の損。個人ならROE10-50%の企業数銘柄20銘柄に最小分散できるのに。残念である。

直接保有の20銘柄のROEが20%で投信で300銘柄で ROE10%がいっぱいいっぱいならば、この10%の差は複利効果で年々拡大していき、とてつもない差になる。

3)投信の毎日投資決定方式という高売買回転による毀損 最大2%

さらに、個人が直接買えば、不要である投信の内部の高い回転売買率。

投信回転率は200%。とても高い。個人の長期投資なら20−30%程度であろう。

はい、キャッシュ比率高めて、はい、キャッシュ比率低めてとか、顧客のお金で投機を繰り返す投信。 証券会社への手数料は0.2%程度かもしれないが、売買スプレッドやマーケットインパクトを考慮すれば、さらに1%が顧客の損失となる。 たとえば、100円で売り物、99円で買い物があれば、100円で売れるか、99円で売れるかのどちらかであり、 スプレッドコスト0.5%は顧客が負担するコストである。はい。1%の追加の損。 個人なら1日10万円以下の約定は無料。月に200万円のインフローでポートを組み、長期保有すれば手数料はゼロ。

さらに、外貨ものは為替のスプレッドが抜かれている。高金利通貨の場合5%程度を抜く。

4)運用報酬や信託報酬 最大で2%。個人はゼロ。

さらに、成熟株の300銘柄への分散投資に運用報酬が発生するのだ!!

信じられないことである。運用報酬に信託報酬。ああ、2%以上が抜かれる。

5)優待利回りや配当利回りの完全放棄 最大6%

さらに、個人の直接保有であれば、優待が得られる。利回りで2−3%程度の価値。これは大きな機会損失だ。 また、投信は現金配当を払わないものもある。直接投資なら3%程度の高い配当がもらえる。現金配当と優待とをいれると6%の不利だ。投信の高いコストと低いROEから投信内部配当はコストになって消えてしまうのだ。年間の運用報酬や何々報酬を合わせると配当利回りより高いのだ。

投信は生活を見てくれないが、優待は米やら商品券で生活も支援してくれる。 なんだかんだ、金融機関のすることは不利なことばかり。機関投資家の腕には差があるが、数年よいところは、お金が集まると自然にダメになる。ダメなところは初めからダメ。腕のよいファンドマネジャーは血の滲み出るような努力をしている。だが、上記の機会損失10%や実費での高コスト数%により、長期ではTOPIXをたったの500%程度上回ることが精一杯である。これではよいリターンとはいえない。投信に預ければ、金融マンたちのサラリーに消えていくだけ。日本では貯蓄から投資の流れを一方的に阻害してきたのは日本の金融業界であった。

全部足せば、年間10−20%程度の「ぼったくり」であろう。

ああ、だからだ。10年で資産を100倍にした人をわたしは何人も知っているが、株式を直接買った人ばかり。 投信で金持ちになった人は歴史上、一人もいないのではないか。いたら教えてほしい。確率的にはいないはずである。

年間で20%の20年の連続複利は50倍。長期で積み立てると大きな差になってしまうのです。 つまり、普通に直接株を保有したら50倍になるものが、投信を購入すれば倍にすらならない。わたしの実感にあっている。

 

なぜ運用会議を準備するのか

 

ということで、みんなの運用会議は、リテラシーの向上と100人のスーパー個人投資家による具体的な銘柄提案で、 個人投資家と上場企業とを直接結びつける歴史的な試みを開始します。そして、これは歴史的必然。 わたしたちがやらなくても、誰かがやる。

1)機関投資家がバリエーション計算を怠ってデタラメばかりしている。個人はきちんとリスクプレミアムを算定する

2)機関投資家がスタイルドリフトがひどい。個人は一貫した高成長路線で長期保有を貫く

3)機関投資家は四半期の費用項目ばかり取材。個人は、時代の精神や社会の潜在的な需要を記述する

4)機関投資家はTOPIXに勝ったとか負けたとかを宣伝する。個人は10年で100倍を全力で目指す

そうすることで、 個人投資家100人が連携する 期待収益率が数十%のポートフォリオをそれぞれに構築

一貫した厳選高成長投資

お得な優待はまるまる上乗せ

あらゆる不要なコストを工夫して省く

最小分散はアプリでスマホで一瞬で計算できる

それでも、個人がこの不利益を知らないのは、こういうことを書く人がいないから。

あえていえば、山崎元さんが勇気を持って書いていらっしゃる。

みんな証券会社や機関投資家や銀行から大量の宣伝費や広告費ももらっている。

日経やダイヤモンドや東洋経済も本当のことを書くわけにはいかない。

これはどの分野でも同じ。 私立学校は自由に宣伝できるから、マスコミは宣伝費ほしさに中学受験を悪くいうはずがない。 一方、公立は宣伝をしない。

でも、普通に、個人で取材をして、どんどん資産が増える人は多数いるから、みんなは騙せない。

そういう人にとっても、われわれは価値のあることをしたい。 一緒に勉強し、連携し投資アイデアの質を互いに高めあう、という試みをしようではないか。

人は協力し、連携し、大きな仕事をすることができる。

複利の力を味方につけることがリテラシーの基本命題だ。

複利の力は、工夫と連帯によって獲得できる。 人任せでは老後は惨めだ。 楽しいイベントも連携すればできる。 イベントをたくさん考えようではないか。

リテラシーの目的は長期保有に値する企業を見出す力

2017年9月20日成長株投資の哲学  

Posted by 山本 潤