子育てコラム #26 住む場所とyou-tubeへの対処法

子育てコラム 第26回

「みんなの運用会議」のHPの上のタブから「教育・一般教養」を選び、さらに「子育て・教育」を選ぶと、過去25回の子育てコラムが読むことができます。

今回は、「教育格差」をなんとかして越えようというテーマです。大卒だろうが中卒だろうが意識で乗り越えることができるでしょう。住む場所や環境についてもコスパのよい方法をご紹介します。

松岡亮二さんの「教育格差」(ちくま書房 2019年)を読みました。

多くのデータに裏付けられた客観的な主張と熱い想いが迫ってくる良書です。

内容は本書でぜひ、お読みいただきたいのですが、
両親の生まれや住む地域が子供の将来に大きな影響を与えているということを示しています。

松岡さんは、客観的なデータとして都市部と非都市部での大学進学率、両親大卒と非大卒の家庭の大学進学率などを示していきます。
大卒の親の子供は大学に進学し、そうではない親は子供の大学進学率が低いことを示します。

大卒の親は、子供に習い事を習わせ、塾にも行かせ、親子の会話も多く、蔵書の数も多く、子供の「なぜ」という質問にも向き合う傾向があるそうです。
客観性を示すため、大卒という条件を使用していますが、要は、こういうことです。

高卒だろうが中卒だろうが、大卒だろうが、無関係に、子育てに重要なこととして、あげられるのは??

=子育てに重要なこと 親の学歴ではなく、考え方と接し方=

1) 子供に関心を寄せること:今日、学校で何があったの。男の子(女の子)だったら彼女(彼)はどんな人?
 親子間の会話。会話であって、命令ではないことにご注意。
子供がゲームばかりやっている。ゲームはダメという前に、どんなゲームなの。どこが他のゲームと違うの? どういうところが面白いのか?

むしろ、大卒の親の方が、スマホを取り上げたり、テレビの視聴時間を制限したりしていますが、逆効果になるリスクがあります。つまり、「親は全く私の気持ちがわかってくれない」という気持ちを子供が持ちます。そうなると勉強は強制になり、たとえ偏差値70を達成しても、将来伸びない大人になります。自分が楽しくやることでしか一流は生まれないのですから。強制は好奇心を削ぐだけ。逆に、全くの放任も感心しません。コミュニケーションをしっかりとった上での親子間の信頼関係を構築する努力は親の義務でしょう。

逆に、仕事が忙しく、子供の相手する暇がない方々もいらっしゃいます。命令口調ではなく、会話のキャッチボールができるような時間があればいいのになあと思います。

2) 子供の将来の夢や進学を否定しない
大学を卒業していない親であっても、大学を否定する言動は謹んで欲しいと思います。自分は大学には行かなかったし、必要はないと思っているとしても、様々な専門性や広い教養をつけるためには一定の学習期間は必要です。
親が大学に行かなかったから子供の私も行かないでもいいと思えば、子供は勉強に興味が持てないでしょう。
大学に行く前提で考えていると子供に小さいころからしっかりと伝えて欲しいのです。
大学が全てではなく、好きなこと、やりたいことが別にあればそれでよいのです。

ただ、選択肢として子供に大学進学を用意するのも親の務めです。(実際に行くか行かないかは別にして用意はする)
奨学金もありますし、バイトなどをすれば、なんとか、学費は賄うことができます。そうでない限り、親の金銭負担は大きなものになります。
大学院進学も今では当たり前です。公立高校であれば浪人も覚悟です。子供に進学への意思の強さがあれば、お金の問題はなんとかなります。
金銭的な理由で、進学という選択肢を狭めないようにする努力が親に求められます。
 (各学校に授業料免除制度があります。親の年収が平均的かそれ以下であれば何らかの奨学制度が利用できます。)

この2つです。子供のすることに関心を持つこと。そして、進学の選択肢を用意し、(お金)の心配をさせないこと。

親が大卒だろうが中卒だろうが、そういう形式的なことは重要ではなく、子供に対する姿勢が重要であると思います。

=親が本を読む=

後、できれば、好ましいことは、親が本を読むこと。
たくさん親が本を読む。子供がなんだろうと思ってそれを開く。親子でその本のことを話す。
こういうパターンがあります。
絵本などは、親子で読めます。図書館がありますので、まめに借りてあげてください。
学校の図書館も有効活用してください。

=子供が夢中になるYou-tubeやゲームを まずは知ること、肯定すること=

子供がyou-tubeばかり見ている。
なぜでしょうか。
それは、とても面白いからです。
こんなに面白いものを見ているのに、それを頭から否定されたら、子供は面白いことがいけないことだと思い込んでしまう。
仮に親が制限をかけると、せっかくの面白い番組が自己逃避の道具になって自己に子供がこもってしまいます。

子供はそうは言っても、自分自身の進路を考えています。
年に一回か二回、進路について、親子で話すようにしています。頻度はその程度で。

親が子供に勉強のことを毎日ように口うるさく言っても、逆効果です。
面白くないばかりか、ますます勉強が嫌いになります。

子供の見ているyou-tube。何がそんなに面白いのだろうか。肯定的に見てあげてください。
単にくだらないだけでは、それほど子供が夢中になるわけないじゃないですか。
なんらかの非常に突出したエレメントが番組にあるのです。
番組は子供のツボを押さえているのです。
それが何かを知り、you-tubeを肯定し、価値観を押し付けないこと。
ただし、一方で、進学するためには、どれだけのことを覚えないといけないのか。どれだけのことを理解しなければならないのかは認識させましょう。

=自然に勉強するようになるまで待つ(忍耐が必要ですが頑張ってください)=

子供のゲーム時間に制限をかける必要はなく、制限をかけることで親子間の関係が悪くなるリスクがあります。

待ちましょう。

将来の夢を子供が持つようになり、高い目標を持ったときに、子供が自分で変わります。
スマホばかりいじっていたのに、ある日、スマホを家に置いて学校に行くようになる。
やることに優先順位をつけ、自分で自分を律することができるようになります。

制限をかけると、それはいやいやの勉強になるだけです。
ゲームを制限して勉強に時間を回しても楽しい勉強ではないからです。

うちの4人の子供も、長男は高校に行ってからスマホをいじらなくなりました。
次男は中学の時から、ゲームはしなくなりました。
三男も高校に入ってから、自然に机に向かうようになりました。
四男は中学生ですが、思い切り動画ばかり見ています。
それでも、受験があるため、自然と自分から勉強するようになると考えて親は勉強のことを何も言いません。

=受験よりも普段の生活が重要 受験よりも日々の過ごし方=

公立高校に進学させる場合、高校一年生がもっとも重要な時期です。
高校受験の勢いを殺さないように、大学受験が高校受験の何倍も大変であることは伝えておくとよいでしょう。
まずは、数学と英語。この2教科は、高校一年生で徹底的に自学することが難関大学に進学するためにはどうしても必須になります。
高校一年生の学年順位や偏差値はとても重要です。
みんなが高校入学後にだらけるのは、大人が勉強を強要してしまうからです。
大学生でも5月病というものがあります。

自分で自分を律して自分から勉強をするようになると、違いは大学に入学してから明瞭になります。
大学にはGPAという成績があり、単位の質を示します。アカデミックスコアですから、死ぬまでまとわりつくものです。
勉強が好きになった子供は好成績を納めます。
学部時代のよい成績が大学院への進学を可能にします。
成績のよい順に、留学先が用意されています。交換留学生は国費ですから、将来に大きく関わるのです。

高校でも成績が重要になります。受験が本番ではないのです。
高校でトップクラスの成績をとることで、海外留学も一部、公費の負担で行くことができます。

そのためには、小学校のとき、中学校のとき、子供が夢中になってやりすぎるようなとても面白いこと(ゲームやyou-tube)に制限をかけないことが肝心だと思っております。

長男の同級生は灘高や開成といった有名校の出身が多いのですが、偏差値70を取っても、彼らの多くは大学では落ちこぼれています。 
それは小さい時から勉強をさせられていたので、学問に興味ができないようです。

=住む場所が重要=

ただ、こんな私でも、住む場所は考えました。
都内で最も実績がある公立小学校と公立中学校を選び、その学区に住居をかまえようとしたのです。

次男の出身校と同じ日比谷高の息子さんを持つ、monpapaさんがブログを書いています。

-ブログ日比谷高校を志す君に贈る父の言葉 by monpapaさん-

そこに過去4年の日比谷高校入学者数トップ10の中学が公表されています。
私たちは6人の家族ですので、住むスペースもそれなりに必要ですので、100平米の住居を探しました。
家賃はできるだけ安く。そして、学校は都内でベストな公立学校に。それが以下の候補です。

-日比谷高校への入学者ベスト10-
平成27年-30年度4年累計
 
公立中学名    日比谷高校合格人数/生徒総数 % マンション賃貸家賃
文京区第六中学     15人/338人 4.4%    条件に合う賃貸なし
町田市 つくし野      15人/776人  1.9%      8.5万円 (66平米)
品川区 伊藤学園    14人/390人 3.6%    23万円 (92平米 一戸建て) 
江戸川区 清新第一   14人/490人 2.9%    18.7万円 (107平米)
千代田区 麹町     13人/370人  3.5%    29.8万円(87平米)
江戸川区 西葛西    13人/751人  1.7%                10.5万円 (63平米)
大田区  東調布    12人/540人 2.2%     15.2万円 (65平米) 田園調布南
江戸川区 東葛西    12人/729人 1.6%       8.9万円 (64平米)
世田谷区 桜丘     11人/456人    2.4%                15万円 (72平米)
世田谷区 弦巻     11人/348人 3.1%                 13.8万円 (67平米)

家賃は、文京区や品川区は高く、千代田区麹町も非常に高いことがわかります。
日比谷高校の合格者ベスト10に江戸川区の中学が3つ入っていますが、手頃?な家賃です。
世田谷区と町田も家賃は手頃です。

お金があれば文京区になるのですが、残念ながら、学区にはSUMOで探しても条件に合う100平米クラスの物件はありませんでした。
町田は職場から遠く、親に負担が大きすぎます。
品川区と千代田区は物件が高い。
職場から近い江戸川区の中学で、もともと西葛西に住んでいたこともあり、
水害時に水没しないで地域防災の拠点となっている清新一中を選びました。
清新町はマンションは古いのが難点ですが、その代わりに100平米クラスの広いマンションが多く、値段もそこそこでした。
環境は申し分なく、清新第一小学校の男子のほとんどが中学受験をしないで、一中に進学します。
このように公立中学にも大きな学力の格差があるのですが、それは中学校や小学校のホームページをご覧ください。
学力調査の結果を載せている中学校は結果がよいところが多いのです。
多くは結果を伏せています。
清新一中と一小は調査結果を載せています。成績は東京都の平均を二桁点数も上回っています。
小学校への通学路に車道はなく、信号も不要。サッカーしながら通学できます。

周りの親が教育熱心な方々なのは、西葛西地区が大手商社や大手銀行の寮が多いこと、そして、裁判官の住む団地があること。
クラスには親が弁護士や医者が珍しくないからです。

清新第一小学校は宿題の量がかなりあります。そして添削も厳しい。

学習習慣がつくようなシステムがあるのです。

住む地域にこだわることができるならば、評価の高い公立中に行かせ、その分、貯金をするか、塾に行かせることもできます。
私立に通う子供たちは通学の手間がかかるので、その分、公立中学生は勉強やクラブ活動に多くを費やすことができるのです。

そうはいっても、所詮と言っては言い過ぎかもしれませんが、公立中学は公立中学です。教育内容や施設は私学のほうが断然よいと思います。公立は、登校拒否もあれば、いじめもあります。清新町の学校は、それでも、まだましな公立というだけのことです。勉強をやるのは本人。そして、保育園時代からの友達に囲まれて地域で育ってほしいと思います。私学で友達がお金持ちの子供ばかり偏ることも心配でした。普通の生活の中にある、普通の学校で頑張ることを望みました。

=おわりに=

両親の学歴も子供の教育に影響を与えることを考えると、親としてできることのほとんどは書き尽くしたと思います。
住む場所を選定すること。
子供の進学を金銭的理由で諦めないこと。
子供がはまっている超面白い動画をくだらないと一蹴しないこと。
制限をかけず、受験を待つこと。
子供の「よい」変化は必ずやってきます。

あまり子供を不必要にいじらないでほしいです。暖かく、肯定的に子供を認めてあげてほしいなあと思います。

子育て・教育

Posted by 山本 潤