野球がつらすぎる。やめてしまおう。長男の退部届け (子育てコラム#4)
野球少年の長男の話を2007年に書きました。2年後の2009年のコラムにはそのフォローアップがあります。
野球少年は、努力が実らず、レギュラーを外されてしまいます。
小学校5年生の夏でした。長男は「野球をやめたい」と親に相談
子育てコラム第4回
妻と私は長男の意見を尊重し、退部届けを書かせました。妻はいいました。よくがんばったよ。もう十分だよ。わたしもいいました。やめたいならやめていいんだ。好きじゃないなら、無理にやることじゃない。
以下は、2009年のコラムです。長男は6年生になっていました。
■2年が経ち、あの野球少年は?
小学校入学当時は、学校で一番背が低く、とにかく非力でした。
運動会では、短距離走では、体の大きな子には全く勝てませんでした。
そんなユウ君が、3年生に入部した野球クラブは、 過去20年間で何度も区大会で優勝している名門チームだけあって、レギュラーになるのも大変でした。
セカンドのポジションは、同僚に奪われ、しばらく補欠のセカンドとして、たまに試合に出る程度でした。
4年生では、外野にコンバートされました。 持前のミートのよさで、なんとかレギュラーになりましたが、打順はラストバッターでした。
素振りを繰り返すうち、血豆ができ、そのスイングは、少しずつ、力強いものになりました。
5年生になったばかりのことでした。
穴井監督に呼び止められ、「おい、ユウ、手を見せてみろ。やっぱり・・・」と監督。 みんなの前で、「こいつがうまくなったのは、これだけ努力しているからだ。 手が豆だらけだぞ。みんなも彼を見習ってくれ」と認められました。
再び、内野にコンバートされたユウ君は、捕球時のグローブの出し方に悪い癖があり、その癖を治せないでいました。 厳しいコーチの言葉に耐えきれず、5年生の夏に退部を決意することになります。 「なにをやってるんだ!」 「ポジション変えちゃうぞ!」 という若いコーチの罵声の中で、心が折れてしまったのです。
コーチ達にすれば、捕れないやつが内野を守っていては、チームが勝てない、 当然の厳しさでした。
ユウ君は退部を監督に告げると、すぐに、ベテランの岩永コーチが引きとめてくれました。 岩永コーチは、いいました。 「実は、俺も、練習が辛くて、やめたくなったことが何度もあった。でも、やめないで続けてよかった。」 もう一人の罵声を浴びせた若いコーチもいいました。 「厳しいことをいうのは、上手くなってもらいたいからなんだ。でも、言いすぎたかな。悪かったな。」
岩永コーチは、続けます。
「君は、野球が好きなのか、嫌いなのか、どっちだ。」
ユウ君は、こうこたえたそうです。
「野球は好きです」と。
岩永コーチは誘います。「好きなら、やろうよ。」
その後、しばらく沈黙があったそうです。
ユウ君は泣いていました。
ユウ君は踏みとどまりました。監督とコーチのおかげでした。
今年、ユウ君は6年生になりました。 区の大会でチームは、見事ベスト16に勝ち残りました。 あと3回勝てば、上位大会である都大会への出場が決まる。 バットの素振りは、欠かさずに行っている。 その甲斐があってか、春の地区リーグ戦では、打率は5割を超える実績を残すことができた。 3年前は、内野を超えなかった打球が、いまでは、外野を超えていく。 彼の努力は、彼を裏切らなかったのです。
今のユウ君は、 野球を始めたころのガムシャラな努力はしていません。 「もっと上手くなりたい」という気持ちは、前面に出ていません。
彼の今の努力水準は、監督やコーチから見れば、多少、物足りないかもしれません。 いまは、落ち着き、半ば、惰性、半ば、習慣のような「野球のある週末」です。 中級者ともなれば、初心のころのモーチベーションを維持するのは難しくなります。 巡航速度の中で、ユウ君は、「自分なりによくやっている」と思っているのだろう。 それでいいんだと親として思う。
どんな努力にも無駄な努力はない。
また、いずれ、自身の存在をかけて、超えなければならない障害が彼を待ち受けるでしょう。そのときに、彼は、必要に迫られて、自らの過去(初心)を振り返るでしょう。
P.S.
我が家では、夜9時消灯で、午前6時30分に起床ということにしています。 せっかく6時半に起きても、子どもたちは、DVDを見たり、だらだらとDSでゲームに興じてしまいます。
早起きしてもこれじゃ、意味がないのかな。 そう思った私は、子どもが起きたとき、子どもを外に連れ出し、散歩にいくようにしました。 なるべく運動をさせ、朝ごはんをおいしく食べさせようという魂胆です。
また、ゲームをさせるのではなく、 わたし自らが本を読んであげるようにしました。 最近、小前亮の「三国志1 桃園の誓い」を音読しましたが、子どもたちは、 劉備や曹操に夢中になりました。 こどもたちの「朝を変える」ためには、自分たち大人が変わらなければならない? 「朝を変える」ためには、大人も夜、早く寝る、というリズムが必要になるのだろうか・・・ また、早く寝るためには、早く帰宅する必要があるのだろうか・・・ という具合に、単に「こどもたちの朝のリズムを変える」ということが、 実は、わたしにとって、大変な努力を要するタスクである、と悟った次第です。(2009年)
本日、2017年8月1日。東日本医学部体育大会で大学二年生の長男は投手としてマウンドに登りました。結果は乱調。
2008年に退部届けを出した日のことをわたしは思い出していました。
いまさら、なのですが、穴井監督や岩永コーチに感謝をしました。彼らは選手が大人になっても野球を続けていることが本当に嬉しいのです。監督やコーチがいなかったら、彼は野球をやめていたんでしょう。
後に、わたしも次男のチームのコーチになり、穴井監督に仕えました。野球を知らない私ですが、小学生選手を叱責することだけは絶対にやらないように心がけたのです。
その後、三男、四男と小学校時代が続きます。わたしは結局、子どもを怒ったことは数えるほどしか、ほんの2−3回しかありません。親はガミガミ子どもを指導する必要はない!とわたしは考えています。
子育て ワンポイント
- 習い事は子供がやめたいならば、親は慰留せずにやめることを快く了承する

ディスカッション
コメント一覧
読んでいて自然と涙が出ました。
状況は違いますが、息子が来月の大会をもって野球を辞めます。経済的事情ですが。
努力が報われる事もあるんですね。
りんごさん
経済的な事情。お察しします。うちは最終的には長男が右肘の故障が癒えず大学の野球部を去年(2018年)に辞めました。ただ、大人になっても、楽しむ野球はできるのではと思います。努力が報われないことも多いです。だからといって努力しなければそれはそれで後悔が残るもの。今は大変でしょうが、いつか、大変だった時のことを懐かしく思い出せる時が来ることを祈っております。
初めまして。辞めなくて良かったですね。いま小5の息子が野球を辞めたくて休んでいます。親としてはもうすぐ6年になるので後悔してほしくなく、頑張って続けてほしいのですが。。
本人はだんだん行きづらくなっているみたいです。
ある日は次は絶対行くといいながらも当日になると行ける気がしないといい結局行けません。
野球は好きみたいですが、やりたい気持ちもわずかはあるようです。主力メンバー中心の練習で本人は球拾いばかり、まともに練習ができないのが続いてだんだん面白くなくなってきたようです。また監督やコーチも怖いと言っています。どうしたらよいでしょうか?
さくさん
監督やコーチが怖い。練習も主力メンバーが中心。とても残念な運営です。スポーツというものは厳しさも学ぶものですし、球拾いの経験は将来に活きることもあるとは思うのですが、
本人の気持ちが向かないならば、私なら本人が辞めたいというならば、それを尊重して、辞めさせます。そしてやめることは決して恥ではないです。そしてもったいないということでもないです。
お坊ちゃんは、素振りはしていますか? この時期の素振りの有無は大きいです。豆ができるぐらい素振りをする目安は1日に200スイングです。
200を5日続けられたら、練習で打ちたくなるはずです。そのぐらいの気持ちがあれば、辞めても辞めなくても、野球を嫌いにならないでしょう。
もし、お時間があって、彼が打ちたい気持ちが強いなら、平日の夜にでもバッティングセンターに連れて行ってあげてください。
小学校で5年生まで野球をやったことは一生、活きます。大人になっても楽しむことができます。
今、ここでやめたとしても、中学の部活で続けるかもしれませんね。違うスポーツでも文化部でも全く問題ないです。うちは、上の二人は野球でしたが、下の二人はバレーボールとサッカーでした。
長男も次男も高校野球はせずに大学で野球を再開しました。長い目で見てあげてください。長男は高校では生物部で次男は天文部でした。
うちはゲームでもなんでも打ち込めるものがあれば応援してきました。野球や習い事も大切ですが、子供の笑顔をみたいですね。
うちの場合のように、監督に相談するのがよろしいかと思います。本人が監督と二人で話をすることがプロセスとしては大切なことかもしれませんね。うちならば、本人に決めさせますが。辛いところです。心中お察しします。頑張ってください。
早速返信ありがとうございます!
素振りは毎日100してました。休みだしてやってません。野球は好きなので、バッティングセンターに連れて行ったりしたいと思います。今辞めて中学で野球部入れますか?野球やりたいと思って、自分の意思で入れはするけれど、同じチームの子たちが同じ中学の部活に入ってくるので、不安もあります。
監督は最後は仲間、早く決断しなくていいといっていました。残念ながら息子と話そうとはしてないですね、、兄も同じチームに入っていました。兄は中学では野球せずに、剣道部に入り、高校ではギターに熱中し、今はバンドをしています。長い目でみることはとても大事なことですよね。気づかされました。ありがとうございます。
親がすすめたわけではなく、自分が入りたいと言って入った野球、今度はやめたいという、甘えなのか、と色々見極めが難しいのですが、最後は本人の気持ちを尊重すべきかなと思ってきています。。長文ですみません。
もう少し息子と向きあってみます。
さくさん
小学生の時、ゆったりと過ごすことは大人になってから違ってきます。意欲がある大人になります。仮に野球をやめて時間ができたときに、大人の都合で勉強させたり他の習い事をさせたりするのではなくて、本当にやりたいことができるまで見守ることも親の辛抱の一つではないかなあとおもっています。小学校の時の、ゆったりと流れる時間を過ごした子供は、本当に踏ん張りが後になって、できるものです。お兄さんがバンドやっているのもよい影響を与えるでしょう。レギュラー以外が球拾いだなんんて今時の野球運営にはないです。中学では違うチームの子も、あるいは、野球初心者の子も入ってきます。やめても中学で仮入部がありますので、先輩たちに大歓迎されますよ。今時の中学の部活は、1年生も出すチームが多く、練習試合では、2試合組んで、1試合目は先輩、2試合目は控えの試合というパターンが普通です。まったりと過ごす時間が小さい時にあることは、あとで人生のスタミナになるでしょう。うちの3番目がそうです。習い事をしませんでしたし、ゲームばかりやっています。高校に入って急に誰も何も言わないのに勉強をはじめました。ギアが入る時期は人によります。40歳になってからギアが入る人もいます。長い目で応援してあげてください。
初めまして。偶然こちらを拝見してコメントさせて頂きました。とても理想です。うちの子は今6年にて野球は主人の会社の草野球チームの応援に行ったり主人とキャッチボール程度、4年で部活にはいりもっとうまくなりたいと5年の夏に硬式のチームに入り約1年経ちましたが選手同士の人間関係、監督コーチのいないところで下手、死ね、と言われる。などで元々感情表現が苦手で言い返すこともできない息子は最近週末朝になると下痢、腹痛で身体が受け付けなくなり休んでいます。ただ人数が少なく息子がいて9人なので試合の時は行かないと迷惑がかかると思い行きますが、練習の日は頑なに布団から出て来ないかトイレにこもります。
監督コーチに理由を伝えると、ダラけてる、メンタル弱い、それくらい言い返せ!で、主人もここを乗り越えろ!根性みせろ!お前がやめたら試合にでれなくなる!迷惑がかかる!と子供の心のサインを無視して無理やり飲み込ませています。
ここ1ヶ月は土日8回あるとしたら2日休み他は無理やり連れて行きますが全く笑顔もなく昼食、補食も誰とも話さず話しかけられずです。
私はそんな息子をもう見てられず人数足りなくて迷惑かけてもいいからやめて昨日いいよと言いました。
泣きながら辞めたい、お腹痛くなるし行かないと行けないと思うと心がモヤモヤする、本当の自分もだせない、笑えない、でも辞めると僕は弱い人間だよね?お母さんも困るよね(責任ある役員やってます)人数もいないもんね。と言われました。
それが昨日で今たまたまこちらを拝見しました。
私は迷惑かける事を今まで第一優先に考えてしまいましたが自分の子供のケアを考えようと決めました。どう思いますか?
長文申し訳ありません><
いちごポッキーさま
大変でしたね。心中お察しいたします。
絶対にやめるが正解だと思います。お父様のいうことや監督の言うことはには一理あるのかもしれませんが、私ならやめさせます。野球は10万もあるスポーツや趣味の中のたったの1つです。
中学生になれば、友達とボール遊びができます。それがどんな遊びであっても仲の良い友達ができて、一緒にゲームをしたりして、メンタルは強くなると思います。辛いことを乗り越える時期ではありません。9人しかいない中で、仲間を思いやれないチームメイトもコーチも失格だと思います。お子様は十分に頑張りました。やめた後も胸を張ってください。今はそう思えないかもしれませんが、すぐに、本当の友達と仲間ができます。もう少しだけ待って。楽しみにして待ってください。土日はゆっくりと好きなゲームでもして過ごせばよいのです。精神論を超えた残酷な虐待です。私ならば、彼らを批判せず、とにかくやめる、行かせません。
それでも、体を動かしたいなら、しっかりとしたコーチのいる土曜日と日曜日のサークル、コナミスポーツなどで、通常の正規のレッスンを受けてもいいと思います。そこでは
児童心理がわかるプロが教えているのですから。何か言われたら、よい指導者が見つかったので、子供がどうしてもその人から習いたいと言っているぐらいで。
お久しぶりです。あれから1カ月半息子の様子を見ていきましたが、辞める意思は変わらず9月末に退部すると決め、父母会会長にその旨を伝えていました。そしたら退部届けを出す前日に息子が出すのはやめて、迷いだした。やっぱ野球をやりたいと言い、親としても突然なことで驚きました。会長、コーチにはグラウンドにてその旨を(撤回しに)息子と行きました。
実はいま監督がある部員にしたことで3カ月の謹慎中なんです。それで部も変わろうとしています。ただ簡単には変わらないと思っていますが。そういうこともありながら息子もコーチから変わると言うことも言われました。ただ、保護者で集まりがあった中で戻ってきたとしたら代償はあると言われました。ほかの頑張ってる子供たちもいるからと。背番号授与のとき、下がるようなこと言われました。休んだ分、試合にしばらく出れないとかあるとは思っていましたが、背番号が下がるようなことを言われたことが引っかかってしまい、2月の背番号授与まで時間もあるのに、いまから事前に言ってくるコーチに納得がいきませんでした。その考え方が間違ってると。悩んでやっぱり野球がしたい、戻ってこようとしてる部員にバツを与えることをどう思われますか?せっかく息子がやろうとしてるのに辞めなさいとは言えないのですが、続けるにはそれを受け入れたことになりますよね。。続ける以上はその件を言いたいのです。でも逆に息子のためにも波風立てず言わない方が良いのでしょうか。長文になり申しわけありません。。
さくさん
お久しぶりです。よかったですね。素晴らしいことです。
親やコーチは色々言いますが、気にされないでください。当人たちは言ったことも忘れてしまいます。
2月までの時間があります。基本的に、背番号は努力で勝ち取っていくもの。
たとえ、背番号が低くても、守れたり、走れたり、打てたり、投げれたりすれば、活躍できます。
親やコーチのいうように機械的に決めるものではありません。どんな背番号でも意味がある背番号です。
抗議をする必要はないと私は考えます。あれまあ、へんてこりんなことを言う人もいるなあ、変だねえ、ぐらいで許し、言われたことはどこかへ流してもらっていいのでは?
言ったコーチは監督と一緒に背番号を決める権限のあるベンチコーチです。多分そうなると思っていますが。
戻ってきたらそうなるよと言うのではなく、今からの息子の頑張りで決めてほしいものです。
今まで背番号は関係ないと聞いてきましたが、、
言わない方が賢明ですね。
先程聞きそびれましたが、息子にはどのように励ましたらよいですか?
さくさん
そんなコーチがいるのですね。(呆れてしまう…)
息子さんには、お母さんからは条件をつけないで、「全力で応援する」と励ましてほしいですね。私の希望としては。
「辛いことがあれば、またやめてもいい」
危ないのですが、私はリビングでバトミントンのシャトルうちを100発、兄と弟にそれぞれ夜やってました。
子供にとってはストレスの発散になると思います。。。真芯で捉える練習としては、細い棒でもやっていました。
三振はしなくなります。
「練習なら付き合うよ。試合では三振を恐れず全力で振れ」と私なら言いますかね。
わたしもまた辛いことがあったときには今度は辞めてもいいと思っています。
全力で応援する!ですね!
今日も一緒に試合に行ってきました。
かかとが成長痛でかなり痛がっていてタイミングが悪いですが、、
バトミントンの羽、我が家もやってました。休んでる間は素振りしかしてないので、またやろうと思います!
細い棒でやったことなかったのでそれも良いですね。
アドバイスありがとうございました。