中国による廃プラ輸入禁止の影響

廃プラは今後どうなるのか?

要興業のレポートで

中国が廃プラスチック類の輸入を制限し、総輸出量の約85%が日本から輸出できなくなった。

と書いた。

中国は2017年7月に制限の方向性を示し、同年12月から輸入制限が実施された。この急激な変化に国内の企業は対応できずにいる。

たとえば要興業だけでなく、廃棄物処理を行うフジコー(2405)も建設系リサイクル事業において・・・

減収・減益。旺盛な需要を踏まえ期初計画通りに焼却施設等の経年劣化による補修工事を行った。従来は破砕処理後に外部委託する廃棄物もあったが、廃プラスチック類の海外輸出規制の影響等により、委託先も受入制限を強化しているとともに処理料金も高騰しており、受入数量そのものを制限せざるを得なかった。(ブリッジレポート 2018年2月27日)

という結果を出している。

資料をベースに試算してみると、中国の輸入制限で廃プラスチックがだいたい16%〜18%ほど増える計算になる。

事態は深刻である。

が、後述するように時間が経てば何らかの形で処理されていくと思われる。短期でみれば再生プラスチック製品を使って製品を作るような企業は材料が安くなるためプラス。廃プラスチックの販売に関わる企業は売上にマイナスの影響があろう。

(注 : 要興業については、「廃プラ処分費がこれから増えるか減るか」よりも、「処分費の増分をうまく顧客に転嫁できるか」がカギになる。売りか買いか判断するのは、1Qぐらいになって、価格転嫁の進捗が判明してからでも遅くないと思っている。)

まずプラスチックの流通過程を見てみよう

プラスチック製品の流通過程は「プラスチック循環利用協会」の「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」が詳しい。

大まかに書くと

2016年に・・・

  • 樹脂は1075万トン生産され
  • それに再生樹脂53万トンが加わって消費される
  • 排出される廃プラスチックは899万トンで、
  • このうち23%にあたる206万トンが再生プラスチックや繊維として再利用される
    • それ以外は燃料に再利用されたり、ゴミとして処分されたりする
  • また、206万トンのうち輸出されるのは145万トン

である。

では、どのくらい廃プラが還流したのか?

衆議院の環境委員会(201年4月17日)の発言を見ると

中村(裕)委員 環境省からいろいろ御説明を聞きますと、我が国の廃プラの総排出量というのは九百万トンほどあるそうです。そのうちの百四十万トンが中国に行っていたということで

言及されたのがいつの統計かは不明だが、だいたい排出量が等しいので2016年のものと推測できる。

900万トンのうち140万トンが輸出分。この140万トンが国内に還流すると国内の廃プラは 18%増える計算になる。(要興業の決算資料では129万トンが中国への輸出。こちらをベースに計算すると、総量は16%増える計算。)

廃プラのダブつきはどうやって解消されるのか?

大半はゴミとして埋め立てや焼却処分されるだろう。昨年から行政が助成金を設けて介入しているが対応は十分ではない。

ある程度は東南アジア諸国など中国以外国へ輸出される。しかし、それらの国は中国と同様の輸入制限を行っていくだろう。

ゴミとして処分される

中国の輸入制限は世界的な問題になっており、アメリカでもリサイクル業者が困り果てている。

日本もアメリカなどと同様にプラスチックのまま焼却処分したり、埋立処分したりすると思われる。

ニューヨーク・タイムズの記事によると。

せっかくゴミを分別したが、処理して輸出できないのでそのまま処分場に埋めるしかない状況がレポートされている。

家庭ごみは企業が収集し、処理工場に運搬され、売れそうなゴミが仕分けられる。こうしたゴミはその後、企業や地方自治体は米国内や米国外の処理業者に販売される。いくつかの州や市ではこうした仕分け業者に、プラ、紙、ダンボールなどを処分場に持っていくことを禁止している。

ただ、今回の事態を受けて、オレゴン州、マサチューセッツ州、ワシントン州のいくつかの自治体などはこうした規制を撤廃して、売れなくなってしまったゴミを処分場で処分することを認めている。

オレゴン州環境品質局のPeter Spendelow氏は「リサイクル会社はゴミを売ることで稼いできました。それがおカネを払ってゴミを処分してもらうようになっています。」と話す。

東京都内の処分状況

都内の処分場のデータをみてみよう。

図: 東京臨海リサイクルパワーの総処分量と、それに占める廃プラの分量(単位はトン)

「東京臨海リサイクルパワー」という焼却処分施設がある。東京の臨海部にあるこの処分場は、1日550トン(都内の廃プラ排出量の3分の1)を処理できるかなり大きな施設のようだ。この施設は廃棄物の処分量を種類ごとわけてに毎月公開している。このデータを見ていくと2018年4月になって廃プラスチックの処分料が急に増えたことがわかる。

総処分量は9,000トン〜12,000トンのレンジ内で上下しているのだが、廃プラスチックだけ今年の4月に入って10,000トン台を突破している。過去4年間を見ても一番大きな数字である。

行政がなんとかする

今回の問題は業界全体の問題である。ゴミが積み上がっていいこともない。また、埋め立てや焼却処分をしてリサイクル率が下がるのもの好ましくない。行政はどのように認識しているのだろうか。

先程の衆議院の環境委員会(201年4月17日)の発言を見ると

○武部大臣政務官 

環境省としましても・・・プラスチックリサイクル整備の高度化に対する国庫補助制度を昨年末に緊急的に創設し・・・固形燃料化設備等の導入補助もあわせまして、今年度も引き続きリサイクル体制の整備を支援する予定です。今回の中国の輸入禁止に伴う国内への影響、今、中村委員のお話があったとおりまだ四カ月でございますので、今後どのような影響が出てくるかということもしっかりと注視し・・・

○中村(裕)委員 

武部政務官から、緊急的に高度化設備導入促進事業という事業を取り入れたという答弁がございましたが、これは十五億円という予算のようでありますけれども、私、まだまだこんな予算では対応できない・・・第四次の計画に盛り込んでいくことも当然ですけれども、更に予算の充実を図っていただいて対応していただくようにお願いしたい・・・。

○武部大臣政務官 

今お話しいただきました緊急的に創設いたしましたプラスチックリサイクル高度化設備緊急導入事業なんでございますが、現在十四件の採択がされております。これからもまた、要望をよく調査しながら、この事業も含めてしっかりと対応してまいりたいと思います。

「やる気はあるけど規制が始まってまだ数ヶ月、補助金ぐらいしかできなくて。」

というニュアンスを感じる。

2018年も同様の助成事業の募集をしているようだが、すぐに効果があるかどうかは疑問である。

他国への輸出が始まる

ある程度は中国以外の国へ輸出されると思われる。が、輸出先も徐々に受け入れを規制していく。結局自国のゴミは自国で処分する必要になるだろう。

NHKのクローズアップ現代ではタイ、ベトナム、マレーシア、そしてインドネシアなど東南アジア諸国が受け入れ先になるのではないか、と言っている。

ただ、業界紙recycling today

・東南アジア諸国では、中国が受け入れていた年間7百万トンを受け入れるのは不可能なこと

・東南アジア諸国も中国のように規制を始めること

・現に2018年5月23日からマレーシアは廃プラ受け入れるのをやめたこと

を伝えている。

また、別のニュースによれば、インドネシアは今年4月から古紙を輸入する前に、輸出先での全量検査を要求しているという。いずれ他国でも、廃プラの輸入が制限されるかもしれない。

(アイキャッチ画像引用元)

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