企業は消費者を育てる意識を持つべき by Ono
花王が4月に発売した衣料用の洗剤
アタックZERO
(これ、洗濯洗剤の第3のイノベーションらしい、と言う話)
初めてみたのはドラッグストアの店頭だった
パット見た瞬間、ちょっと驚いた。
取っ手がついた容器の形状
濃縮液体洗剤ということで小型化。
CMや電車内の広告も始まった。
TVCMは基本的にスルーするので内容はほとんど見ていない。
若手男性俳優を揃えて注目を集めるだけ?の陳腐なCMに思えた。(マーケティング担当された方すみません)
そんなことで注目を集めなければいけないのかと。
その意図は以下に記述している。
この製品は、同社の長年の課題を解決した製品だ。
87年に「スプーン1杯で驚きの白さに」のキャッチフレーズで初めてのコンパクト粉末洗剤という革命を起こし、09年には「アタックNeo」で世界で初めて液体洗剤の濃縮に成功した花王。花王史上最高の洗浄力を携えた3度目のイノベーション
〇今回の洗剤は3度目のイノベーション
1回目のイノベーション
洗濯1回あたりの量をスプーン1杯とした、写真の手前のコンパクト洗剤。
子供のころ、洗濯機の上の棚に、大きな洗剤の箱があったのを思い出す。
1回あたりコップ1杯くらいの洗剤を投入していた。
1回あたりコップ1杯だから、販売する容器はかなり大きい。ひと箱4kgなんてものもあった。(↑写真の後方に並ぶ洗剤。)
4kgといえば
5kgのお米より少し軽い程度。
買い物の時にはこれだけでもかなりの重量。
かさばるため、大変だったのを覚えている。
それをスプーン1杯にしたのだ。
まさにイノベーションだ!
2回目のイノベーション
「アタックNeo」で世界で初めて液体洗剤の濃縮に成功。
私が学生のころに発売になった。
一人暮らしで、洗濯にこだわっていた。
液体洗剤は高かったので、一人暮らしの時に買うのは粉末洗剤だった。
新聞購読のおまけでもらったのは粉末洗剤だった。
粉末洗剤は溶けにくかったので、お湯で溶かして洗濯機に投入した。
今回がこれらに続く3回目のイノベーション。
(イノベーションの中身は後述)
ZEROの名前の意味は
1.落ちにくい汚れ0(ゼロ)
2.生渇きのにおい0
3.洗剤残り0
CMの意図が記述されていた。
コミュニケーションで新しさをアピール
花王はプロモーションでも新しい方向性を打ち出した。もはや使い古された「汚れ落ち」という言葉だけでは、テレビCMなどで新製品のすごさが伝わらないからだ。
そのため、アタックZEROは若手俳優イケメン5人組というこれまでなかったプロモーション戦略を採用。花王のファブリックケア事業部長の中尾良雄氏は、「(アタックZEROは)洗濯に深い関心を持たないミレニアル層がコアターゲット。この層との距離を縮めるため、旬で認知度の高い5人に(アタックZEROの魅力を)伝えてもらうことにした」と狙いを話す。
CMの意図はわかった。
しかし、CMがそれだけでいいのか、という話をしたいのだ。
私が最も重要なのは
”第3のイノベーション”
なのだからそれをアピールしないでどうするのかと。
汚れの落ち安さについて、画期的な開発であることが説明されているが、
特に注目したのは以下の部分。
原材料の調達について。
天然油脂原料を使用する界面活性剤の洗浄系への利用は、通常、その親油基の炭素数が12から14のものが主で、それ以上鎖長が長いものは水に溶けにくくなります。
一方、それら炭素数が12から14の油脂原料の、総油脂原料に占める割合は、わずかに5%ほどで、その少ない流通原料を、原料ユーザーであるメーカーが競って入手しているのが実状です。
バイオIOSは、アブラヤシの実から食用のパーム油を採取する際の搾りカスを原料としています。パーム油は、世界で流通する天然植物油脂原料(1.9億トン/年、2017年度)の中で最も多く使用されている汎用の油脂です。そのパーム油を採取する際の搾りカスである長い炭素数の固体性状油脂は、その用途が限られていました。このたび、そのような油脂原料が、バイオIOSというファインケミカル原料として有効に活用できるようになりました。これまで、ほとんど使われなかった油脂原料を有効活用できるという意味からも、また、将来的には藻類から採れる油を活用できるという理由からも、次世代を担う極めてサステナブルな基剤といえます。
今後ますますの世界的人口増加に伴い、洗浄用途に使用される界面活性剤使用量のさらなる増大が見込まれます。そのような社会事情の中で、洗浄の課題を解決し、社会の要請に応え、貢献できる原料がすなわち、バイオIOSです。
要点、つまり。。。
原材料の5%しかない原料を取り合っている現状の解決策として
そのカスから取得できるようになった。
すごいことなわけです!!
ただ、残念ながら原材料の刷新だけでは消費者は値上げを受け入れにくいだろう。
取っ手をつけ、プッシュ式で使いやすくすることで付加価値を感じ、
値上げを受け入れる。
きれいにするということに研究開発をしてきた、
長年の課題であった界面活性剤の調達について一つの解である
製品であることをなぜ消費者にアピールしないのか。
一般消費者が環境問題に注目しないのは、こういったCMばかりだからではないか。もっと環境問題を解決したことをアピールすべきだ。
こんな課題があり、その困難さをアピールし、その解決にどれだけの時間がかかったか、と。
その価値を伝えることが
消費者を育てる
ことになるのだよ
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません