資産形成への一歩
株式投資とは
株式投資と聞くと、なんとなくリスクが高くて敷居が高そうとか、実際どうすればいいか分からないというイメージを抱く方がほとんどだと思います。
たまに個人投資家の方でも大きな資産がある方がおりますが、そのような方はごく少数で、個人の金融知識はかなりバラツキがあるように感じます。
やのやは運用会社で証券アナリストをしていましたが、その仕事を友人に話してもピンと来る人はいませんでした。
これまでやのやは機関投資家として海外のお金や年金基金など大きなお金を増やしてきましたが、大事な顧客の資産を預かっているという認識の低い金融機関の存在を見てしまい、失望もありました。それに残念ながら、日本経済全体の景気回復にはつながりませんでした。
このままではいけない、このおかしな金融の仕組みを変えたい!というのが私たちの想いです。
これからは本当に資産形成が必要な個人に寄り添って、個人の目線でいっしょに考えていきます。
業界にいたときは言いたくても言えなかったこと、書きたくても書けなかった銘柄のことを発信していきたいと思います。金融業界にいても、金融のこと知らない人ってたくさんいます。ひどいものです。
機関投資家として株式投資をしていたからこそ、分かることってたくさんあります。
実体経済が良くならない訳
バブル崩壊後、株価は長期低迷を続けたせいか、日本人は金融リテラシーが低いとよく言われます。ダウやS&Pは右肩上がりなので、アメリカ人は金融資産のうち、株式が47%もあります。ちなみに、日本人は16%です。
2012年の安部政権誕生し、金融政策として物価目標2%と決めて金融緩和を異次元で進めるという「アベノミクス」のおかげで、株式市場は2008年10月の6885円が大底で、その後の震災、民主党政権を経て、2012年6月の8200円台を底に大きく上昇し、直近では20000円を超えています。
実体経済に恩恵がないと感じる人が多いのは金融資産のうち株式の割合が低く、資産効果が小さかったせいでしょう。
金融業界の裏話
ちまたにあふれる金融や投資の本は、機関投資家が自ら書いた物が少なく、大体は金融評論家が書いているもので、日経平均やTOPIX、世界株式などに連動するインデックス投資を勧めるものがほとんどです。少し金融リテラシーのある方はインデックス投資をしている方もいます。
なぜ金融評論家がインデックス投資を勧めるのでしょう。
それは、彼らが実際に株式投資をやったことがないからだとやのやは思っています。
優良な銘柄に投資すれば、市場平均以上のリターンを出せるし、リスクはコントロールできるということを知らないのです。
彼らが勧めている理由を見ると、手数料も安いし、日経平均やTOPIXを買うから分散になり、下手なアクティブファンドよりリターンが出ることもありますよというだけの理由です。
インデックスファンドとは、日経平均に連動するインデックスファンドは225銘柄、TOPIXに連動するインデックスファンドなら東証1部の約2000銘柄を組み入れて運用するものです。
これだけたくさんの企業を投資していれば、肝心な個別銘柄の善し悪しでは動きません。日本経済全体の動きを大きく受けます。つまり、マクロやグローバルでの資金の流れという需給の影響は大きく受けるでしょう。
マクロ環境を想定して、どうポジションをとるかを決めるのはプロでもとても難しいです。
各証券会社のエコノミストが年初に日経新聞で相場見通しを出しますが、上下幅を大きく取って予想し、予想になっていないのをご覧になったことがあるかと思います。トランプ大統領就任で株価下がると予想していたプロも多かったですね。
相場の方向性は当てるのは難しいので、その状況にいかに対応するかと、いかに個別銘柄で日本経済に関係なく、伸ばしていける企業を見つけられるかが大事なのです。
インデックスファンドに過去約30年投資した場合のリターンは、なんとマイナスです。
日経平均の最高値は1989年12月の38957円、今は20000円前後、TOPIXの最高値は1989年12月の2884ポイント、今は1670ポイント前後です。つまりそれぞれ、48%、42%も下落しているんです。
この約30年間日本経済はバブル崩壊後低迷した状態で、直近の日銀の金融緩和によっても、実体経済まで波及していません。
この先だって、人口減少、少子高齢化など考えれば、良くて横ばいだろうというのが大方の見方でしょう。
実質GDPはというと、1989年は382兆円、2017年は528兆円とこの間38%も増えています。この間、上場企業の内部留保を増やしています。大企業の経営者や株主である資産家と従業員である個人とで、二極化が進行しただけなのです。
世界的に見て労働分配率は低いままでで、給料が上がらないので、家計は消費に回らない。景気実感がないのです。
一方で、個別銘柄で長期投資して、この30年間大きく株価が上昇した銘柄は列挙できないほどたくさんあります。
どんな会社かというと、株価は業績に連動するので、この30年間業績を右肩あがりに伸ばして、倍増させた会社です。個別銘柄を厳選して投資して、その会社の株主になることが、資産形成への近道なのです。
では、手数料がインデックスファンドより少し高いアクティブファンドを買って、ファンドマネージャーやアナリストに銘柄選択をお任せするのはどうなのでしょう。
アクティブファンドとは、様々な観点から銘柄数を限定して、インデックス(市場平均)よりも高いリターンを上げることを目的にしたものです。
もちろんアクティファンドの中には、市場平均のインデックスに勝るものも劣るものもあります。運用者の手法は様々で運用者の腕次第なのです。インデックス並みに銘柄を200~300とか保有しているアクティブファンドもあり、ほとんどインデックスと変わらないようなものまで玉石混合です。
アクティブファンドは、個人向けの投資信託もあれば、特定の年金基金や財団のための私募のファンドもあります。
アクティブファンドの中でも、銘柄数を20~50くらいに限定しているファンドで成績を上げているファンドは優良だと思いますが、そういうちゃんとリスクをとって、ちゃんとリターンを上げているファンドは少ないのが現状です。
やのやたちは、アクティブファンドの中でも絶対リターンを追求するファンドでアナリストとして銘柄選択していました。市場全体が下がっても、リターンを上げるために、市場リスクを排除する必要があって、TOPIXを空売り(ショート)していました。
つまりTOPIX以上に上がる株を買って(ロング)し、TOPIXを空売りしないとリターンは出ませんね。
やのやたちのファンドは、設定来から絶対リターンを着実に積み上げてきましたが、個人の方に販売していなかったので、残念ながら個人は買えませんでした。
個人には販売していないものもあるし、運用者の投資手法を理解して、目利きしないといけませんが、肝心な事は目論見書には書かれていません。
また個人でファンドを目利きするのもそもそも投信の運用者自体分からないから無理があります。ほとんどの投資顧問や証券会社の営業マンは自分も理解できていない金融商品なのに、手数料を上げるために販売しているのが現状です。
販売手数料や信託報酬(運用管理手数料)など手数料がかかります。
販売手数料はノーロードという無料のものもありますが、多くは2~3%も取っています。さらに信託報酬は毎年1.5~2%程度もかかります。たとえば1000万円投資すると最初に20~30万円減って、毎年15~20万円も手数料がかかることになるのです。さらに配当収入や優待もありません。
分配型投信という個人に毎年分配金を出すものは、複利効果は得られません。運用成績が悪いモノになると、運用資産の中から分配金を出す全くもって不可解なことをしたりしています。
自分が買いたいと思えない商品を顧客に売ったりしています。このようなことをしているから、投信全体のイメージが悪くなって、日本人の金融リテラシーを向上させようという風潮にならないんでしょうね。
個別銘柄に投資する
自分で企業を目利きできる力を磨いて、自分でポートフォリオを構築しましょう。
余計な手数料はかからないし、なにより実践をとおして、一生物の金融知識が身につきます。
自分で銘柄を吟味して、投資すれば、大きなマクロの金融ショックが起きたとしても、抵抗力のある銘柄を組むことだってできます。
また、自分の強みがある分野にフォーカスして投資することで、人よりも優位な情報で銘柄判断をすることだってできます。
機関投資家はとにかく慎重にあらゆる観点からその銘柄の可能性を探ります。機関投資家だから、人のお金で気楽ということは全くなく、(特に外資系や独立系は。日系はサラリーマン型なのでお気楽な人は多いかも。。)自分の成績と職業をかけていますから、本気です。
個人はゆっくり考える時間と自分で決めた投資期間を持てるのです。
これは最大の武器です。
てっとり早く儲けるという方法はありません。
方法論をしっかり学んで、銘柄研究をして、じっくり選んで投資することが大事です。
その方が安心して保有できるので、精神衛生上もいいです(笑)
チャンスは平等
ネットで情報はいつでもタイムリーにどこでも取れる時代です。
チャンスは機関投資家も個人投資家も平等です。
情報は平等だけど、受け取る側の反応次第だということに尽きると矢野は思います。
情報を知りたいという好奇心と、学びたいという意思、その上で自分の頭で何を感じて、何を考えるかということです。そして、行動したかです。
株価の動きだって、いち早く察知できた人と後から知った人では大きく違うことを想像していただいたら分かると想います。情報は平等なのに、それにいつ気づいたか、行動したかどうかで成績は違ってきますよね。
ディスカッション
コメント一覧
やのやさんへ
個人投資家のみなとみらいです。
コラム拝読し、思わずコメントしたくなりました。以下に記します。お役にたてば幸いです。
これからもよろしくお願いします。
わたしが投資を学ぶ理由 2017.10.7
by みなとみらい (生涯学人)
今、わたしの手元に新聞の切り抜き記事がある。
日付は2003年10月5日。ちょうど14年前になる。
あの頃はメルマガ「億の近道」に啓発され、株式投資を始め試行錯誤していた頃である。
この記事は忘れられない言葉のため、大切に保存している。
この記事を読むたびにこころが熱くなり、わたしが投資を学ぶ理由は変わらない。
いつまでも。
「個人投資家よ。知識武装しマーケットへ出よう!」
以下の新聞記事を引用させて頂きました。
2003年10月5日(日曜日)の日本経済新聞・朝刊
日曜日の人生設計
もう一つの幸福のルール
『投資を学ぶ本当の理由』
著者:橘 玲
教師ならだれでも子供の成績が努力のみで決まるわけではないことを知っている。
だが能力格差に触れるのは学校ではタブーだ。教育は生徒の平等を前提に成立している。
よい成績は優れた能力の証明ではなく、頑張った子供に与えられる報酬でなければならない。
投資の果実が元本に大きく影響されるのは金融の世界では常識だ。元本百万円を年10%で
運用しても10万円にしかならない。一億円を年5%で運用すれば収益は500万円で、それだけで
日々の生活が賄える。そのうえリスクや運用コストはこちらの方がずっと低く手間もかからない。
経済合理的に考えるならば元本百万円しかない人は資産運用などせずに働いたほうがいい。
年10%の運用益をコンスタントに達成するのはプロでも困難だが、年間10万円の追加収入を得る
のはさほど難しくない。そのうえ投資はリスクがあるが働けば確実に利益が増える。効率的に
投資できるのはまとまった元金のある人だけなのだ。
だがこんな身も蓋もない話はどの本にも書いていない。資産運用について語るときは、
すべての投資家が等しく元金を持つことが暗黙の約束事になる。これは教育において、
すべての子供が平等に知性を持っているのとよく似ている。資産の多寡で投資家を差別しては
ならないのだ。
とはいえ、十分な元金のない投資は無意味だと決めつけるわけではない。
好むと好まざるとにかかわらず私たちはいずれ現役を引退し、第二の人生を歩むことになる。
老後とは生活の糧を労働から得るのではなく、年金と資産運用のみに依存することだ。
高度成長期の日本人の人生設計は、できるだけ早くマイホームを購入し、定年までに住宅ローン
を完済するというシンプルなものだった。不動産という万能の資産さえあれば株式や債券を保有する
必要は無く、マイホームの含み益を温存したまま公的年金と企業年金で豊かな老後が実現できた。
だが今やそのすべてが崩壊の危機に瀕している。
地価はバブル崩壊後十余年を経ても下げ止まらず、東京都心部は別として、首都近郊や地方では
下落率はさらに拡大している。株価下落と会計制度の変更で企業年金の解散が相次ぎ、公的年金は
際限のない保険料引き上げと給付削減を繰り返している。
給与は減り、退職金は廃止され、終身雇用制は能力主義と容赦のないリストラにとってかわられた。
だが今も多くの人が時代遅れの設計図にしがみついたままだ。
老後は誰でも一人の投資家になる。成功の方程式はもはや役に立たない。そのとき金融市場に
ついての何の知識もなければ、どうやって自分と家族の生活を守れるというのだろう。
私たちが投資を学ぶ理由はここにある。
以上
みなとみらいさま
ご投稿いただき、ありがとうございます。考えさせられる内容でした。
まだ資産運用についてしっかりと考えている人ってごく一部ですよね。
国がこれまでの年金制度や医療制度など社会保障を継続して、それを赤字国債で埋め、膨らんでいるにもかかわらず、マスコミがしっかり報道しないから
多くの人は危機感がないのでしょうね。
それに高齢者中心に金融詐欺なんかも増えてますよね。
ひとりひとりが金融リテラシーを高めて、早いうちから株式投資で資産形成をしていくことって大事です。