7196 Casa 来期に向けた足場固め by Ono
株式会社Casa 東証1部 証券コード:7196
2021年1月期の決算を受けてフォローレポート
ポイント
・特別調査委員会による調査報告書を公表
・2021年1月期は増収減益
・コロナ禍の影響が想定以上
・紹介手数料の上昇も影響
・2022年1月期は取引先見直しと投資を継続し次期の足場固め
・コンプライアンス体制の一層強化
<特別調査委員会の最終調査結果>
2021年2月16日 特別調査委員会の最終調査報告書を公表した。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7196/tdnet/1939693/00.pdf
1.特別調査委員会の最終調査結果
報告書に記載の通り、当社代表取締役と反社会的勢力との間に一切関係が認められなかった。
当社代表取締役の役職員に対するパワーハラスメントがあったとは認定されなかった
2.今後の対応
コンプライアンス体制強化策の策定(2020年12月25日 リリース)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7196/tdnet/1915922/00.pdf
信頼回復のための取り組みとして、社内のコンプライアンス委員会の拡充、内部通報制度の充実を項目として挙げた。コンプライアンス体制の強化策を着実に実行し、更なるガバナンスの充実を図る
*詳細は内容をご確認ください。
<2021年1月期業績>
2021年1月期は売上高10,226百万円(前期比+8.4%)営業利益1,031(同-32.3%)の増収減益で着地。
新規契約件数が伸び、増収を達成したが、コロナ禍の影響が想定以上で減益となった。
第3四半期時点で通期見通しに対する進捗率は
売上高 72.8%
営業利益 50.1%
と低水準にとどまっていたため、計画の達成は難しい状況であった。
減益幅が拡大した主な要因は2点
①コロナ禍で第4四半期に貸し倒れ引当金を積み増したこと
②紹介手数料が通期で上昇したこと
①コロナ禍で第4四半期に貸し倒れ引当金を積み増したこと
緊急事態宣言で第1四半期に求償債権残高が3,117百万円から3,628百万円に増加。
第2、第3四半期は新規契約が増える中でも回収に注力し、残高増加を抑制できたが
1月8日に新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて2度目の緊急事態宣言が発出された結果、
第4四半期に求償債権が増加し、貸倒引当金を積み増した。
②紹介手数料が通期で上昇したこと
紹介手数料が2021年1月期988百万円(前期比+23.3%)と増加。
第1四半期から紹介手数料の増加が顕著となっている。
主に管理戸数3,000件以上の大手管理会社の手数料が増加したため。
手数料増加の要因は主に2つ
・管理会社が管理手数料だけで収益をあげるのが難しくなっており、紹介手数料への依存度を高めている
・競合他社が採算を考慮せずシェア確保のため手数料を上げている
<2022年1月期 業績見通し>
2022年1月期の会社計画は売上高10,323(前期比+0.9%)営業利益832(同-19.3%)と売上はほぼ横ばい、二桁の減益の計画である。
売上総利益は横ばいを維持するが、社員の新規採用による固定費の増加、2021年9月より稼働する新システム移行に伴い旧システムと並列運用による一時費用の発生などによる販管費の増加が営業減益の要因となっている。
*説明会資料より
今期に取り組む主な施策は次の3点
①取引先の精査による契約社減少を新規契約者増加で補う
②小規模向けに注力し家主ダイレクトの導入を進める。
③大手向け営業活動の正常化
①取引先の精査による契約社減少を新規契約者増加で補う
前期のコスト増要因の一つであった、手数料増となった取引先との契約の見直しに着手する。
不採算の取引先との取引を見直すため契約件数減少で減収となるが、新規顧客の獲得による増収で補う。
同社によれば、高い手数料を要求する取引先の契約者は滞納率が高い傾向にあり、取引先の精査により求償債権の増加抑制も期待できるとのこと。
取引先の選別においては手数料負担の大きさだけでなく、滞納発生率も考慮し、より質の高い取引先を精査する。
②小規模向けに注力し家主ダイレクトの導入を進める。
特に自主管理家主にとっては集金が不要、孤独死保険が付帯されるなど、安心して大家事業を行うことができる。
自主管理家主市場は650万戸、年間30万戸の借り換え契約がある。
自主管理家主の業務はIT化が進んでいない分野。
同社システムの導入による効率的な経営の仕組みを提供する。
契約代理店数は11,298社の計画。
小規模代理店は手間がかかる一方で、分散されることにより特定の取引先の動向による業績変動が抑制される。
特に今回の特別調査委員会の調査が進むまでは大手取引先の活動がとまった。
一方で小規模向けは影響は軽微なものとなっている。
小規模向けの契約増加が同社業績の安定にもつながることが期待される。
③大手向け営業活動の正常化
特別調査委員会の調査結果の発表を待ちたいという顧客の意向を受け、大手管理者向けの営業活動が停滞していたが、調査結果が公表されたことで営業活動が正常化する
・審査機能をOEMで提供
2020年8月にリリースした”ダイレクトS”は個人信用情報を利用した審査業務を大手代理店向けに提供するもの。
・CasaWEBを提供
CasaWEBの導入により業務効率改善につながり、業務効率化を実現し取引継続につながる。
<リスク要因>
〇コロナ禍の影響が継続し、滞納発生率が高まること。
新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、再度の緊急事態宣言の発出の可能性がある。
求償債権の割合は5月のピーク時には一時的に10%を超えたが、現時点では落ち着いている。
再度の緊急事態宣言の発出となれば、滞納発生率が再上昇し、利益の圧迫要因となる。
同社は新規基幹システムを刷新し、9月に稼働開始予定。
同システムにより保証先の分析精度が高め、滞納発生を抑え回収の効率性を高める。
<株主還元策>
決算発表と併せて、増配及び自社株買いの実施を発表。
配当 30円(前期28円から連続増配)
自社株買い 取得総額2億円
<コンプライアンス強化>
強化今回の事案の発生を契機として内容を見直し、社内のガバナンス体制の強化に取り組む。
このような事案が発生するのは、上場企業として必要なガバナンス体制が整っていなかったと指摘せざるを得ない。
その点を同社自ら見直しに取り組み、上場企業として必要なガバナンス体制の整備を目指す。
内部のメンバーだけでなく、外部の有識者にも参加してもらい、より透明性の高い仕組みを作り上げる。
また、今回の事例を基に外部弁護士を入れた研修を実施するなど、新たな取り組みにも積極的に着手している。
コンプライアンス強化の内容、進捗等は今後より一層見える化を進め透明性の高い体制を構築する。
<バリュエーション>
時価総額 103億円
株価 931円(2021年4月20日終値)
会社予想EPS 48.3
会社予想PER 19.3倍
配当利回り(会社予想) 3.2%
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