7066 ピアズ リテールテックで成長を加速させる by Ono
ピアズ リテールテックで成長を加速させる
社名の由来
Peers = Peer to Peer
分け隔てない仲間・目的を共有する者達
ポイント
・NTTドコモに認められた実績
・リテールテックの成功のカギは現場主義
・中期経営計画を発表予定
表題の”リテールテックという言葉はまだ日本では定着していない言葉だが、次のようなものをさす。
小売り(リテール)事業にITやIoTの最新デジタル技術を導入することによって効率化する、小売業に変革を起こすこと。商品の店頭販売からEコマース、流通、広告、販促、レジ周りのシステム(決済システムやPOSシステム等)なども含む。小売りは人が最終消費者と直接・間接的に接するため、人対人。100人の顧客がいれば100の対応方法がある。提供するシステムも幅広く多岐にわたる。
<沿革>
2005年1月 創業
2006年5月 ピアズに改組
2019年6月 マザーズ上場
創業のきっかけは携帯電話の販売店でアルバイトをしていたことから始まる。
所謂ガラケーが広まり始めたころ、端末の変化のスピードが早く、かつ複雑で現場のスタッフが対応しきれない、モチベーション管理ができていない状態となっていた。そこで自らスタッフをまとめて、課題を解決し店舗の収益拡大を達成した。その実績に気付いたNTTドコモの本社が、他の店舗の運営にもノウハウを提供してほしいと声をかけた。
<事業>
店舗運営のコンサルティング事業を主力事業としている。
他の事業は小さく、開示していない。
私たちが日頃感じているように、キャリア各社が提供するサービスは常に変化し、拡大している。
当初は携帯のサービスの説明だけでよかったが、キャリア各社は携帯通信事業では成長が限定されるために新たなサービスを拡大させている。
事業はコンサルティングで変わらないが具体的なサービス内容は変化させている。
人手不足の解消のための販売ヘルパーの提供から始まり、携帯端末としてスマートフォンが登場したことで必要になった全く新しい知識研修の提供。複数の商材を売るようになり、端末と併せた販売方法の提案。さらに端末販売の競争が激化し、0円ケータイが当たり前になるなかで、価格ではなく価値をどのように伝えるべきか、適正な売り方を考え提案する、運営コンサルティングへと移行してきた。
より付加価値の高いサービスに移行してきた。その結果、高い成長と高い収益性を達成してきた。
<業績推移>
2020年9月期はコロナ禍の影響もあり残念ながら増収増益は途絶えたが、
リアルの現場の重要性は今後より一層高まると予想される。
2021年9月期の会社計画は
売上高 4,830百万円(前期比+38.6%)
営業利益 345百万円(同 +4.2%)
営業利益率 7.14%
コロナ禍をチャンスととらえ、高い成長を目指し投資を積極化するため利益率は低下するが、増益は確保する計画。
<特徴・強み>
筆者が考える同社の強みは以下の2点。
〇ドコモに認められた販売現場の問題解決力
2020年9月期のドコモ向けの売上比率は62.8%。
携帯の販売をしているときに、携帯キャリアのNTTドコモが発表した通信の高度化により実現する将来の世界のイメージに魅せられて、夢のような世界を実現することを自分の夢と思うように変わった。
ネットワークを広めることで描かれる夢のような未来を広げるお手伝いをしたいと考え、当時は同様の販売支援で収益性の高い事業が他にもあったが通信事業に特化して事業を続けてきた。
”やるならば、ドコモに認められ、信頼できるパートナーと言ってもらえるような会社にしたい”
という思いで事業を続けてきた。一人ではなくチームで高い目標をもって成長してきた。
前述の創業のきっかけで触れたとおり、現場で自ら販売していたこと、課題を自ら発見し、解決法を提案し解決してきたことが、同社の成長の源泉である。
ドコモ向けの売上の高さは問題解決力を認められた証左と言えよう。
〇団結力
高い成長を実現する上で重要なのは会社全体がチーム一丸となって目標達成を目指すこと。
同社が提供するコンサルティングの特徴はただ単に売り方を教えるのではなく、店舗販売員のチームビルディングにある。
提供する同社自身が強い団結力のもとで行動するために様々な取り組みを行っている。
例えば働きやすい環境づくり。
働きやすい環境で働いてこそ、社員が実力を発揮でき、顧客との良い関係も築けると考え、その為の仕組みづくりをしている。
その一つは
”子供が当たり前にオフィスにいる会社を目指す”
というもの。
同社は女性社員が多く、育休となってちょうきかん休まれては困る。
であれば、子供がいても働ける職場にするのが当然と考えて実施した。
実際に複数の女性社員が職場に子供を連れてきて職務に当たっているという。
もう一つ。社長と社員が良い関係を築くことができている上場時のエピソードをご紹介する。
桑野社長はマザーズ上場時の鐘は鳴らさず、選抜した社員にその役目を譲った。
・上場は通過点でしかない
・これまで頑張ったのは自分よりも社員である
と考えたとのこと。
それによって、
”次は一部上場で社長に鳴らさせよう”
と成長に向けた社員の意識が一層高まったとのこと。
顧客にチームビルディングサービスを提供する上で同社自身が実践していることが強みと言えるだろう。
<ドコモ偏重について>
前述の通り、同社の売上の62%がドコモ向けの売上である。
創業時から積み上げてきた成果である。
1社の売上割合が大きいことはリスクと捉えられる。しかし、売上額が急激に変化するようなものではないと筆者は考える。理由は次の点
①創業時から積み上げてきた信頼関係によるもの
②幅広いサービスを提供していること
①創業時から積み上げてきた信頼関係によるもの
同社はドコモから直接受注している。様々なサービスをスピード感を持って対応するためにドコモの各サービス担当者と密な関係を築いている。
ドコモに認められるような仕事をしようと起業し、実店舗の運営について課題解決の提案を行い、実績を積み上げてきた。価格ではなく積み上げてきた信頼関係を基にした取引であり、容易に変化するものではない。
②幅広いサービスを提供していること
事業はコンサルティング事業のみだが、サービス別の売上割合は分散されている。
付加価値の高いサービスほど他社に乗り換えにくいサービスである。
個別のサービスの取引が縮小されたとしても全体に占める影響は小さい。
NTTドコモに認められるサービスを提供してきたことが他の業界へ展開する場合でも強みになるだろうと考える。
*成長可能性に関する説明資料より
<成長戦略:現場主義のコンサルティングを他の業界へ展開>
実店舗の販売において人手不足が長期的な課題であり、解消のために効率化を実現する様々なシステムが提供されている。
トップダウンのコンサルティングやシステム提供は現場の混乱を招き、受け入れられずにコスト増となり、失敗に終ることが少なくない。成功のカギは現場を知っていること。これは業界を問わず共通することである。同社は現場からボトムアップで改善を積み重ねるコンサルティングを行ってきた。
通信業界で培ったノウハウを最新のIT技術も導入し、”リテールテック”に昇華させて他の業界へも展開する。
小売業は労働集約型で収益性が低い企業が多い。現場の非効率性がその要因の一つであり、改善の余地が大きい。同社のノウハウを適用できる余地は大きく、他業種に展開できる可能性がある。
<5月14日に より具体化した中期経営計画を発表予定>
同社はすでに中期経営計画(2021年9月期~2023年9月期)を2020年11月13日に発表している。
2021年5月14日の第2四半期業績の発表と併せて、注力事業や戦略をより具体化した内容を開示する予定。
*2021年5月14日発表の中期経営計画
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7066/ir_material_for_fiscal_ym/92507/00.pdf
<バリュエーション>
時価総額 45億円
株価 1,986円
会社予想PER 18.2倍
配当 未定
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