6229 オーケーエム 海運業界の脱炭素実現に寄与 by Ono

2024年2月6日

6229 オーケーエム

2月25日(日)の説明会に登壇していただきます。

https://tokyo-study-20240225.peatix.com/

ポイント

・がっちりマンデーに登場あり

・船舶排ガス用バルブで世界シェア40%超

・高い技術力

・海運業界の脱炭素実現に不可欠の製品

<会社概要>

株式会社オーケーエムは1902年に鋸メーカーとして創業。1950年ごろから日本の高度成長期において建築、電力、船舶、各種プラントなどの産業に使用されるバルブの専業メーカーに転換し、製造販売を拡大してきた。バルブとは、液体やガスなどの流体を制御するためにパイプラインを開閉する機械部品で、流れを調節したり、完全に止めたりする機能を持つ。

         

〇がっちりマンデー

2021年2月21日にがっちりマンデーで紹介されました。

わかりやすく説明されています。

以下のリンクからご覧ください。

https://note.com/gacchiri/n/nf243dbef810e#6eo6N

〇製品種類:

主にバタフライバルブ、ナイフゲートバルブ、ピンチバルブを製造。特にバタフライバルブが売上の84%を占める。(2023年3月期)

・バタフライバルブ

下の輪の中の円盤である弁体(配管内の流路を開閉する部品)を回転することで、水や空気、ガスなどを止めたり、絞ることで流量を制御することができる。流量を調整する機能に優れ、省スペースでも設置できるのが特徴。

・ナイフゲートバルブ

鋭いエッジを有するプレートを出し入れすることで開閉し、流体を流したり、流体を切りながら止める機能を持ったバルブ。粉粒体、固形物、ペースト状の紙パルプなどの流体に使われています。

・ピンチバルブ

ゴムチューブを押し挟んで流路を開閉するバルブです。ナイフゲートバルブと同様、ヘドロや紙パルプなど固体寄りのドロっとした流体に使われています。

同社が強みを持つ製品でもある船舶排ガス用バルブについての紹介動画

・オーケーエム「船舶排ガス用バルブの世界」

<特徴・強み>

同社の強みは

・顧客企業の様々なニーズに対応したカスタマイズ生産

・新しい技術によって時代が求める製品を提供する開発力

であり、その結果、現在の主力製品である船舶排ガス用バルブの世界シェア50%を実現した。(直近のシェアは40%超)

 

〇カスタマイズ生産

約80%の製品がカスタマイズ生産で、顧客のニーズに合わせた製品を提供する。顧客のニーズに合わせ形状、サイズ、材質など10万種類以上の組み合わせによるカスタマイズが可能。

 

顧客ニーズの多様性への対応

様々な産業で使用されるバルブは、その用途や要求される性能が大きく異なります。たとえば、化学工業用のバルブは耐腐食性、耐薬品性などが求められ、電力業界では高温・高圧などに耐えることが必要です。

カスタマイズ生産により、これらの特定のニーズに合った製品を提供することができます。

技術的な複雑性への対応

特定の産業では、非常に高度な技術が要求されます。例えば、船舶用エンジンでは特定の排ガス処理システム用のバルブが必要となります。材質、流体制御方法等の組み合わせによるカスタマイズ生産によって、これら複雑な技術要求に応じた製品を開発・提供することを可能としています。

専門的なニーズを持つ顧客にとって、その要求に応えることができるメーカーは限られており、競争上の優位性を確立することにつながっています。

〇競争力を生み出す独自の実験設備

他社にはない高温流体試験や低温流体試験などの独自の実験設備を持ち、製品の信頼性と技術力の向上に寄与。2020年に滋賀県野洲市に新たな研究開発センターを設立し開発に注力しています​。

試験設備としては高温流体試験、ファイヤーセーフ試験、キャビテーション試験、低温流体試験といった、高度な試験が可能な設備を備えています​​。

  1. 高温流体試験

機能: 最高700度までの熱風を発生させてバルブの性能を評価する。

重要性: この試験は、バルブが極端に高温の環境下でもどのように機能するかを試験することができます。例えば、高温の蒸気やガスを扱う産業設備では、バルブが高温に耐えうることが不可欠です。

高温流体試験装置を独自に設計・開発したことが、後述するMAN社から船舶排ガス用バルブの製造販売認証ライセンスを取得できた要因となった。

  

  1. ファイヤーセーフ試験

機能: 可燃性流体を通す配管で使用されるバルブが、火災等で焼損した状態でも一定の性能を保つかを評価する。

重要性: この試験により、バルブが緊急時にも機能を維持できるかを確認します。例えば、火災時にもガス漏れを防ぐことができるバルブは、安全性の高い設計が求められる場所で必要です。

  1. キャビテーション試験

機能: 配管浸食、騒音、振動などの原因となるキャビテーション(液体の泡の発生と消滅)発生時のバルブの性能や特性を評価する。

重要性: キャビテーションは、特に液体を高速で移送する配管系において問題となります。この試験によって、バルブがキャビテーションを制御し、配管の損傷を防ぐ能力を持つかを確認できます。

  1. 低温流体試験

機能: 液体窒素を投入してマイナス196度の低温状態でバルブの性能や特性を評価する。

重要性: この試験は、バルブが極低温の環境で正常に機能するかを確認するために重要です。例えば、液化天然ガス(LNG)などの低温で保管・輸送される物質を扱う産業では、このような低温に対応したバルブが必要です。

これらの試験設備により、バルブはさまざまな厳しい条件下での性能と耐久性を実現し、顧客の使用条件により近い環境において一定の要件を満たす高品質で信頼性の高いバルブを製造している。

〇船舶排ガス用バルブの世界シェア40%超

船舶排ガス用バルブを製造できるバルブメーカーは世界で6社あるが、同社のシェアは世界で40%超、国内は90%以上となっている。エンジンデザインの世界的なライセンサーMAN Energy Solutions(以下、MAN社)、スイスWinterthur Gas&Diesel Ltd(以下、WinG&D社)の2社から認証を受けている。(2社で市場占有率90%超)

 

・環境規制強化に即座に対応した船舶排ガス用バルブ

国連専門機関のIMO(International Maritime Organization:国際海事機関)による環境規制により、船舶からの排気ガス中の大気汚染物質(NOx、SOx 等)濃度の低減が求められています。船舶の排ガスには硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などの大気汚染物質が含まれており、環境に与える影響も大きい。このことから IMOは環境規制を強化、2016 年から大型の船舶には排気ガス処理装置の搭載が求められています。この処理装置のキーデバイスである船舶排ガス用バルブの製造には、製造販売認証が必要であり、同社はIMOの環境規制に対応したバルブをMAN社と共同開発しました。

 

*経済産業省による2020年版グローバルニッチトップ企業100選に選定された。

世界市場のニッチ分野で勝ち抜いている企業や、国際情勢の変化の中でサプライチェーン上の重要性を増している部素材等の事業を有する優良な企業を経済産業省が選定したもの

ttps://www.okm-net.jp/uploads/files/200812GNT2020OKM.pdf

 

<業績>(単位:百万円)

〇第2四半期累計業績

・船舶排ガス用バルブは他社の価格攻勢を受ける

2Q累計業績は売上高4,446(前年同期比+4.9%)で過去最高を達成。営業利益は、288(同-5.8%)と減益。売上高は陸用、船用ともに市場環境が回復傾向にあることから増収を達成した。船舶排ガス用バルブが競合他社の価格攻勢が継続する影響を受ける一方で窒素酸化物3次規制(NOxTierⅢ)に対応する環境規制対応船の建造比率の高まりを受けて堅調に推移した。利益ベースでは原材料価格の高止まりや販管費の増加が影響して減益となった。

・過去最高の受注残

受注残は陸用・船用ともに堅調に増加し、2023年3Q以来の過去最高を更新した。

  

〇通期見通し

生産体制見直し終了と市場の追い風を受ける。

通期見通しは売上高10,000(前期比+9.1%)、営業利益725(同-11.9%)と増収減益の見通し。

陸用、船用ともに市場環境が回復傾向にあることから売上高は過去最高を見込む。競合との価格競争圧力、原材料価格の高止まりや物流費用の上昇の影響で減益の見通し。

第2四半期累計業績の通期見通しに対する進捗率は売上高が44.5%、営業利益が39.7%。

第2四半期には国内工場の生産体制見直しに注力し、生産調整を行ったが第2四半期末時点で生産キャパシティは平常並みに回復。受注残高は高水準であり、市場の追い風もあり、通期見通しは達成する見通し。

<成長戦略>

2031年3月期に売上高200億円を目標とする中期経営計画「Create200」を掲げる。
その中で2025年3月期までの第1次中期経営計画を作成した。
2025年3月期までを”変革期”、それ以降を”成長期”と位置づけている。

  

〇海運業界が脱炭素社会を実現するうえで不可欠の存在に

近年、地球温暖化による気温の上昇、極端な気象現象の頻発、海面上昇、氷河の融解、生態系への影響など、世界的な気候変動に直面しています。これらは化石燃料の燃焼、森林伐採、工業活動などによる温室効果ガスの大気中への放出が主な原因とされています。特に、過去数十年間にわたるCO2濃度の上昇は、地球全体の気温上昇を引き起こし、異常気象の増加、生物多様性の損失、食料生産への影響など、人間の生活環境に直接的な脅威をもたらしています。これらの気候変動の影響は、地球規模で観察されており、すべての国々がその対策に迫られています。

各国政府や国際機関は、温室効果ガス排出量の削減を目指し、さまざまな政策や規制を導入しています。特に、国際海運業界では、海上輸送による環境への影響を軽減するための具体的なアクションが必要とされています。IMOは、船舶からの排出ガス削減に向けた新たな規制を策定し、実施してきました。この取り組みは、海運業界や造船業界における環境保護技術の開発と導入を促進しています。これにより、船舶の排ガス処理技術、特に排ガス用バルブや環境保護装置の需要が拡大しているのです。

環境規制

同社にとって海運業界や造船業界を取り巻くIMOによる環境規制強化は同社の船舶排ガス用バルブを含む環境保護装置用バルブの需要拡大につながる。IMOの船舶に関わる規制強化はNOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)による大気汚染や海上汚染の軽減がある。その他にも、船舶のCO2排出削減など、規制対象項目が強化されている。

IMOの船舶環境規制

国際海事機関(IMO)は、船舶からの有害な排出物を削減するために、いくつかの環境規制を設けています。これらの規制は、特に窒素酸化物(NOx)と硫黄酸化物(SOx)の排出を対象としています。

 

NOxに関しては、2000年1月に最初の規制(1次規制)が開始され、船舶の排出基準を定めました。その後、2011年からはさらに厳しい基準(2次規制)が導入され、排出量を最初の基準から約15〜22%削減することが義務付けられました。そして2016年には、さらに厳しい3次規制が施行され、1次規制時と比較して80%のNOx削減を要求しています。特定の地域(排出規制海域、ECA)では、新造船にこの3次規制が適用されます。

 

SOxについては、2020年1月から、全世界の船舶用燃料に含まれるSOxの濃度を従来の3.5%から0.5%以下に削減する新たな規制が始まりました。これを達成するためには、硫黄分が少ない燃料を使用するか、SOxを燃料から除去する装置(SOxスクラバー)を船舶に設置する必要があります。

 

これらの規制に対応するため、船舶はエンジンの改良や排ガス処理装置を装備する必要があります。NOxを削減するためには、選択式還元触媒(SCR)や排ガス循環システム(EGR)などの技術が用いられます。これらの技術は、船舶エンジンから排出される有害物質を減少させるために重要です。

 

環境規制の強化は、船舶からの汚染を減らし、海や大気を守るために重要なステップです。このような取り組みは、船舶の排ガス処理技術に関する需要を高め、関連する装置やバルブの製造・販売に機会を提供しています。

 

船舶排ガス用バルブ需要見通し

MAN社との共同開発による2ストロークエンジン用の排ガス処理バルブ(SCRとEGR用)の需要予測について触れており、新型コロナウイルスの影響で船舶の完成が遅れる可能性があるため、需要予測を見直す必要があるかもしれないと述べています。

 

さらに、この企業はNOx(窒素酸化物)だけでなく、SOx(硫黄酸化物)を処理するためのスクラバー用排水バルブも製造していること、そして船舶が外来種の拡散を防ぐために使用するバラスト水処理装置用のバルブも提供していることが紹介されています。

 

また、環境に優しい新燃料(LNG、水素、アンモニア)を使用する新型の船舶が増えると予測されており、この企業はそうした新しいタイプの船舶向けのバルブ開発にも取り組んでいます。特に、国際エネルギー機関(IEA)の報告書でアンモニアが船舶燃料として重要な役割を果たすと言及されており、2050年には船舶燃料の約44%がアンモニアになると予測されています。

 

簡単に言えば、この企業は船舶の排ガス処理技術をリードしており、新型コロナの影響にも対応しつつ、環境に優しい未来の船舶に向けて新しい技術を開発している

〇投資・研究開発の継続

2020年に滋賀県野洲市に研究開発センターを設立しました​​。

継続的な研究開発投資を行うことが長期で競争力を高め競合に差をつける事につながる。

・次世代エネルギー対応の製品開発

極低温流体を安定的にシールするバルブや、液化水素を封止するバタフライバルブの開発に取り組んでおり、これは次世代船舶の代替燃料や水素社会を支えるインフラに対応することを目的としています​​。

この取り組みは経済産業省の支援事業にも採択されています​​。

・極低温流体と液化水素用バルブ

極低温流体を安定的にシールするバルブや、液化水素を安定的に封止する構造を備えた大口径バタフライバルブの開発に注力しています​​。
この「液化水素用大口径バタフライバルブの研究開発」プロジェクトは、経済産業省のサポイン事業に採択されました​​。

以上のポイントから、高い技術力を必要とするニッチ市場でのリーダーシップ、継続的な研究開発による新製品の開発により成長を目指しています。

<バリュエーション>

時価総額 64億円

株価 1409円

会社予想PER 12.74倍

PBR 0.69倍

 

2024年2月6日成長株投資

Posted by ono