4054 日本情報クリエイト (フォローレポート) コロナ禍の影響軽微 有料契約への移行進む by Ono
4054 日本情報クリエイト株式会社 東証マザーズ
*2021年2月28日 個人投資家向け説明会を開催。
事業内容の説明と2時間にわたる質疑に一つ一つ丁寧に回答。
以下は会社説明会部分についての動画です。
ぜひご覧ください。
以下、2021年6月期第2四半期業績発表を受けてフォローレポート
ポイント
・コロナ禍の影響は軽微で計画通りの進捗
・フリーミアムからの有料顧客化で成果が徐々に発言
・30期連続の増収に向けて積極投資
<業績>
2021年6月期第2四半期累計業績は売上高1,302百万円(前年同期比+10.3%)、営業利益339百万円(同+24.2%)と増収増益となった。会社計画の通期業績見通しに対する進捗率は売上高が50.8%、営業利益が61.3%となった。
ストック売り上げが419百万円、第2四半期の月次解約率は0.5%と低水準を維持しており、順調にストック売り上げを積み上げている。
〇コロナ禍の影響は軽微で効率性は向上
第2四半期単独の業績は売上高654百万円、営業利益176百万円、営業利益率26.9%。
第1四半期と比較しても増収増益、利益率は第1四半期25.2%から1.7ポイント改善した。
積極的な人材採用により、前年同期比14名の採用により増加したコストを吸収して利益率を改善した。
コロナ禍の影響は売上の面では軽微でほぼ計画通り。利益面ではコロナ前からリモート営業を行っていた効果もあり、外出が自粛される中で積極的にリモート営業を活用し、効率性が高まっている。営業面では非対面仲介サービス、クラウドシステムへのニーズが高まっている。
<事業別の状況>
〇管理ソリューション事業
第2四半期累計の売上高は874百万円。四半期比較では第2四半期の売上高は第1四半期とほぼ同水準。第1四半期の新規導入が好調だったため、新規導入のイニシャル売上が僅かに減少した一方で、顧客数増加によるランニング収益が上乗せとなり、第1四半期と同水準程度を確保した。
同社の主力製品である”賃貸革命”の新規導入と、最新バージョン”賃貸革命V10”へのバージョンアップによるイニシャル収益と、継続利用によるランニング収益を計上。賃貸革命はオンプレミス(システムを顧客オフィスに設置する)とクラウドの両形態で提供しているが、コロナ禍の影響でクラウドでの新規導入、クラウドへの移行が増えている。
依然として古いバージョンを利用している企業は多く、新規導入への営業と並行して、バージョンアップへの移行を提案している。旧バージョンと比較して、機能面、操作性が優れており、導入による顧客企業の効率性向上が見込まれる。丁寧に説明し、バージョンアップニーズは強い。
〇仲介ソリューション事業
第2四半期累計の売上高416百万円。四半期比較では第1四半期から約3%の増収。
無料で利用できる”不動産BB業者間物件流通サービス”(以下、不動産BB)を利用している顧客企業を有料サービスへ移行する営業の成果が現れている。”不動産BB”と連携するオンラインサービスである、”電子入居申し込みサービス”の導入事業者数が第1四半期の50から第2四半期は734と+684となった。また、”不動産BB”に登録した物件情報を自社WEBサイトに自動掲載できるツールの”Web Manager Pro”の導入も伸長した。
<2021年6月期 通期見通しに順調な進捗>
同社が発表している通期見通しは次の通り
2021年6月期 通期見通し (単位:百万円)
売上高 2,566
営業利益 552
通期見通しに対する進捗率は
売上高 50.8%
営業利益 61.3%
計画通り順調に進捗している。
前述の通り効率化が進んでおり、利益達成の面では余裕がある。
<30期連続増収に向けて>
通期見通しに対して順調に推移しており、達成に向けて引き続き積極的な営業を継続する。
さらに同社は説明会資料で30期連続の増収を目指す意志を表明した。
同社は中期経営計画を作成していないが、現在2021年6月期が同社の27期であり、節目となる30期まで連続増収に向けて、製品開発と人員採用を積極的に行っている。
仲介ソリューション事業は無料契約企業を電子入居申し込みサービスやWebmanagerなどの有料サービスへ移行を促す。管理ソリューション事業は新規導入とバージョンアップ対応による増収を達成する。同事業は主力製品である賃貸革命が不動産業界知識、IT知識を共に必要とするため、社員教育に時間を要するが現在の採用と育成の成果が来期以降の成長に寄与することが期待される。
長期視点での同社の経営判断に注目したい。
<バリュエーション>
時価総額 296億円
株価 2,140円(2021年3月15日終値)
会社予想PER 71.8倍
******* 以下、前回レポート *********************
4054 日本情報クリエイト アナログな不動産業界の業務効率を高める! by Ono
<同社の特徴・強み>
IT化の遅れた不動産業界に業務効率化ツールを提供
既存製品を徹底分析し新たな付加価値をつけて投入
日本全国に拠点を置き、地域密着でサポート
<沿革>
代表取締役社長 米津 健一 氏
創業までの経緯。
社長の米津氏は高校卒業後、豊田自動織機へ
モノづくりに魅力を感じて入社したものの、工場のラインで働くだけの仕事に対して
理想とのギャップを感じ、1年程度で退職。
地元の宮崎県都城市に戻り、社会勉強のために営業職につく。
学校や病院、職域に本を販売する営業をしていたとき、
パソコンを目にし、パソコンが業務に活用されるようになるだろうと感じた。
そこでプログラミングを独学で勉強して地元のソフト会社に就職。
エンジニアと営業の両面で会社の成長に寄与し、入社当時3人の小さな会社は退職する時には60人の会社まで大きくなった。
そこではエンジニアとしてのスキルだけでなく、経営のノウハウを得た。
同社が最初に販売したのが建築業向けの
”見積もり革命”
創業メンバーが建築業界の知見があったため建築業向けのシステムを開発したが、
建築業向けはすでに多くの企業がシステムを提供していたため、
さらなる成長のために他の業界向けの新製品の提供を検討。
すべての業種を分析し、後発でも収益性が維持できて売上を拡大できる業界を検討した。
判断基準は
・市場が大きいか
・競合に大手がいないか
・利益が十分確保できる価格で売れるか
ただ大きな市場をターゲットとするならば、
販売管理、給与計算、会計などがターゲットとなるが
すでに大手企業を含め、多くの企業が参入しており後発で参入することは難易度が高いと判断。
分析の結果、ターゲットとしたのは不動産業界。
同社が初めに提供したのが
”賃貸革命”
すでに市場には賃貸管理の製品はあった。
同社はまず、売れている複数の既存製品を分析し、優れた機能やノウハウを取り入れる。
さらに顧客に必要とされる、付加価値の高い機能を追加で開発し、新しい製品を作り上げた。
それが”賃貸革命”である。
製品開発に2年かけて市場に投入。
市場の分析、既存製品の分析から自社製品開発まで手間、時間を惜しまず、
既存の製品を上回る製品を開発、提供することができた。
ポイント:新製品開発で専門家を入れない
同社のユニークなところは、新製品開発において専門家を入れないこと。
大半の企業は新しい市場に参入する、新しい製品を開発するというとき、
その業界に精通した人材を登用するだろう。
社内にいないときは外部から招へいする。
知らないままで参入することはリスクが高いと考えるからだ。
同社の場合、
専門家、業者と話すと既成概念にとらわれてしまい、
新しい製品を作り出す障害になりかねないという考えから、
業界の専門家を入れずに社内で分析から開発まで行っている。
その後も同様に製品開発を続け、現在は6,000社以上の有償顧客がいる。
<事業内容>
不動産の仲介、賃貸管理の業務を効率化するためのシステムをワンストップで提供する。
大きく分けて以下の3つのサービスを提供
①業者間物件流通サービス
②仲介業務支援サービス
③管理業務支援サービス
内容は次の通り
①業者間物件流通サービス
不動産業者同士で物件情報を共有するためのシステム。
主に次の二つの業務をカバーする。
・元付業務:自社物件情報を登録して、他の不動産会社に共有
・客付業務:他社物件情報を仕入れて募集や広告
来店した顧客への物件紹介
*一般の消費者が利用する不動産情報のポータルサイトには
問い合わせをさせるためのおとり物件が掲載されている場合があるが
同システムは業者間で共有するためのシステムのため、
実際に存在する物件情報のみが掲載されている。
価格:無償
②仲介業務支援サービス
自社のオリジナルのホームページを作ることができる。テンプレートが用意されており、写真やロゴを選んでセッティングすることで簡単にWEBサイトを構築することができる。不動産BBを利用していれば、登録した物件データから掲載が可能。導入時は同社のデザイナーが作成をサポートする。
・導入会社数 約1,500社
年間150社程度増えている。
物件情報ポータルサイトへ物件情報を掲載する機能を提供するアプリケーション。
複数のポータルサイトに一括で掲載、データ更新ができる。
不動産BB、賃貸革命、売買革命に登録している情報を
アットホーム、HOMESなどのポータルサイトに一括で簡単に登録することができる。
登録可能なポータルサイト
アットホーム
ライフルのHOMES
suumo
CHINTAI
CENTURY21
APAMAN
など
・導入会社数 約1,500社
年間150社程度増えている。
③管理業務支援サービス
同社の主力製品で売上の65%程度を占める。
賃貸管理業務に関連するシステム
仲介業務、賃貸管理業務
の機能がある。
・仲介業務
https://www.n-create.co.jp/pr/product/kakumei-chintai/brokerage/
登録した物件情報をチラシ作成や一般消費者向けのポータルサイトに登録するための情報として利用できる。また、登録されている物件について契約者や契約条件を入力することで契約管理を行うことができる。
ネット広告やアットホーム、HOMESなどのポータルサイトに自社物件を一括で簡単に登録できる
*物件データ連携機能と同様の機能
不動産ポータルサイト
アットホーム ライフルのHOMES suumo CHINTAI CENTURY21 APAMANなど
管理物件の問い合わせに対する対応の履歴管理、修繕履歴の管理、家賃の入金、請求、送金などの家賃管理ができる機能を提供する。
*価格は端末数、登録できる物件数によって変動する
・導入会社数 約4,500 年間300~400社程度増えている
賃貸革命 (オンプレミスとクラウドで提供)
オンプレミス 4,000 (オンプレミス:サーバー等のシステム機器を自社オフィス内に置く)
クラウド 500
*コロナ化でクラウド版が増えているが依然としてオンプレミスが多い。
既存のオンプレミスもクラウドに移行したいが、
重要な顧客のデータを自社内に置きたいという考えが根強い為、新規はオンプレミスが多い。
・リードタイム(システム立ち上げまでの期間)
3回程度の訪問で契約に至るケースが多く、契約まで1~2か月程度。
その後、設定を行い立ち上げまでさらに1~2か月程度かかる。
・導入及び導入以降のサポート
成約後同社の専門部隊が顧客オフィスで導入指導、立ち上げなど、納品から設定まで行う。
導入後は自社のコールセンターでサポートを行う。
*問い合わせの9割が”賃貸革命”についての内容とのこと。
<特徴・強み>
主な特徴・強みは2つ
①不動産業務をワンストップで提供し業務効率を改善
②日本全国にネットワークを広げ、地域密着でサポート
①不動産業務をワンストップで提供し業務効率を改善
不動産関連業務の入り口から出口まで全てを提供する製品ラインナップとしている。
個別製品でも優れた製品を提供するが、同社製品で揃えることでデータ連携により業務効率が改善できる。
②日本全国にネットワークを広げ、地域密着でサポート
同社は日本全国に11拠点を置く(2020年5月末時点)。現地サポートにより、システムの稼働を早期に進めるとともに新たな課題の発生に対しても早期対応が可能な体制としている。自社でコールセンターを運営し、通常時にはコールセンターで製品利用のサポートを行うが、緊急時には訪問サポートができる体制を築いており、信頼関係構築につながっている。
製品の解約率が低い(後述)のは製品の品質だけでなく、サポート体制を充実による信頼関係の構築が寄与していると考える。
地域密着は営業においても効果がある。マーケティング部隊がWEBによる集客を行い、見込み客には営業担当が個別で訪問(オンラインツールも活用)して説明する。代理店営業も活用したことがあるが効果は限定的と判断し、自社での直接営業を徹底している。
以上の結果、解約率が低く抑えられ、業績の安定感が高まっている。
解約率の低さ 0.6%
ストック比率 61%
<業績>
〇業績推移
〇2021年6月期会社計画
27期連続増収
売上高経常利益率 23.8% → 24.4%
2021年6月期会社計画(単位:百万円)
売上高 2,566(前期比 +8%)
経常利益 626(同 +10%)
<成長戦略>
不動産業務全体をカバーする製品ラインナップとなっており、今後は自社製品を一層普及させることで不動産業務において不可欠な存在にしたいと考えている。
①無償サービス利用顧客を有償顧客化へ
②不動産業務の電子化推進を追い風にIT化が加速
①無償サービス利用顧客を有償顧客化へ
不動産BBで物件データを閲覧、または物件データを登録するのは無償で利用が可能。
現在、不動産BB導入事業者数は15,025事業所。
宅建業者は12万業者あり、不動産BBの導入事業者を増やす余地は大きい。
新規の導入者数を増やし、有償サービスの導入につなげる。
有償サービスの導入社数は6,102社だが、不動産BB導入社のうち有償サービスの導入社は
1,000社程度にとどまっている。既存の導入社向けにも有償サービスの利便性をアピールし、
有償顧客化することにも注力する。
*サービスリリース当初は有償で提供していたが導入が思うように進まなかった為、
4年前(23期)に無償化したところ導入が加速した。
②不動産業務の電子化推進を追い風にIT化が加速
3つのうち一番注目しているのは3つ目
世界最先端デジタル国家創造宣言
IT化が遅れている原因は
契約は紙で交わす
印鑑が必要
と法的に決められている。
これが2020年9月から来年の3月まで社会実験が行われ、来年に法制化される可能性がある。
紙が要らない、印鑑が要らない。不動産契約が変わる時代が来る。
それに先駆けて準備しているのは、電子承認による契約。
1契約ごとにトランザクション毎に発生するものになり、利用ごとに課金できる。
・不動産業者の世代交代もIT化を後押し
業者総数は12万でほぼ横ばいとなっているが毎年5,000社以上が開業、一方で5,000社以上が廃業している。新しく開業した、親から相続した、など世代交代が進み、若い世代の業者が増えている。
新しい世代によりデジタル化が遅れている不動産業界でIT化を後押しすることが期待される。
<バリュエーション>
時価総額 350億円
株価 5,070円
会社予想PER 85.0倍
PBR 23.3倍
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