正しい情報源を確保し、アップデートすることを怠るな
現在、気候変動へのリスクの高まりからESGが盛り上がっている。
これを一時的なものと捉えるか、継続的な不可逆のものと捉えるか。
それぞれの見方があるだろう。
必要なのは、なぜこのように盛り上がっているのかを正しく理解すること
一時的なものと捉えているひとの多くは情報がアップデート出来ていない可能性がある。
確認できる情報を集めたうえでフラットに判断しているだろうか。
例えば、不祥事があった企業について
その不祥事に対応して、健全な企業に建て直したとしても
その変化を捉えようとせずに
”あの企業は不祥事を起こした企業だから”
とレッテルを貼ったままの評価をしたりしているようなことはないだろうか
例えば、ESGを一時的なモノと捉えている人は
昔のSRIファンドが設定された時のイメージが残ったままで
アップデートされていないのかもしれない。
ESGはSRIファンドとは全く違ったものだ。
冒頭でも書いた通り、今回、ESGが盛り上がっている背景には
気候変動リスクの高まり
がある。
私も実は少し前まで気候変動は一時的なものだろう
と考えていた。
陰謀論的な見方も少し入っていたのかもしれない。
しかし、今は
全面的にESG推進に賛成
気候変動リスクにまったなし
と考えている。
私は
事実を捉えること、アップデートすることを怠っていた
それはこのESGの盛り上がりをきっかけに
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の資料を見直し、
専門家の認識が大きく進捗しているということを知ったのがきっかけだ。
〇昔から専門家は指摘してきた。
二酸化炭素排出量の増加による気候変動(=温暖化)
のメカニズムは60年近く前から言われてきた。
1957年の国際地球観測年に米国の科学者ロジャー・レヴェルが、気候変動について
「人類は、過去に実施したことがなく、
将来もやり直しができない壮大なスケールの地球物理学的実験を行おうとしている」
と発言している。
そこで、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)は気候変動問題を化学的に解明し、その取り組みを分析する国際機関を1988に共同で設立した。
それが IPCC(気候変動に関する政府間パネル) である。
IPCCの役割は、
”自ら研究を行うのではなく、最新の化学的な知識を集めて報告書としてとりまとめ、
各国の政治家や行政(政策決定者)などに対して情報を提供すること”
IPCCは政策に対して中立的であることが掲げられている。
(それでも、信用できない、という方は一定割合いるだろうが、それは仕方がない)
IPCCは定期的に次のような報告書を作成している
①気候変動に関する総合的な科学的・技術的評価報告書
②気候変動に関する特定の問題に関する報告書
③温室効果ガスインベントリの作成のための方法論を提示する報告書
などがある。
例えば、こちら
IPCC 1.5℃特別報告書( 2020年4月発行)
最近のNHKでも特別番組が設定されていた。
気温が1.5℃上がると地球にどんな影響を与えるかというもの
これは②のIPCCが気候変動に関わる特定の問題に関する報告書の一つ。
時間があるときにぜひ見ていただきたいが今日はアップデートということで別の資料に目を向ける。
継続的にアップデートされてきた報告書がある
①気候変動に関する総合的な科学的・技術的評価報告書
について
現在第6次を評価報告書を作成中
これまで第5次評価報告書を公表している。
それぞれの概要をまとめると次の通り
IPCCが発表した報告書の評価を時系列でみていこう
第1次評価報告書(1990年公表)
”観測された気温上昇の大部分がこの自然の気候変動性によることもあり得る。
一方、この自然の気候変動性と他の人間の活動による機構の変化が、より大きな人為的な温室効果による温暖化を相殺しているかもしれない。
観測により温室効果の増加を明白に検出することは10年以上かけてもできないだろう”
と、このときは人間の活動による気候の変化の可能性をしているものの、証明が難しいという見方を示した。
第2次評価報告書(1995年公表)
”証拠を比較検討した結果、人間の活動によるものと識別可能な影響が気候に表れていることを示唆している”
とここで、すでに人間の活動による影響を明確に示す表現をしている。
1995年、今から26年前である。
第3次評価報告書(2001年公表)
”新たなより確かな証拠によると、最近50年間に観測された温暖化のほとんどが人間の活動によるものである”
”最近50年間に観測された温暖化のほとんどが温室効果ガス濃度の上昇によって引き起こされた可能性が高い”
と表現が強調されている。
今から20年前 皆さんは何をして何を考えていましたか?
第4次評価報告書(2007年公表)
”過去半世紀の気温上昇のほとんどが人間の活動による温室効果ガスの増加による可能性がかなり高い”
とさらに強調
14年前です。
第5次評価報告書(2014年公表)
”気候システムの温暖化については疑う余地がない”
”人間の活動による影響が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高い”
ここまで言われている。
出所:気候変動から世界をまもる30の方法
https://www.amazon.co.jp/dp/4772614451/ref=cm_sw_r_tw_dp_BKZWYKPR15GTC7N4QSPV
この間、私は、いや、あえて言う
私たちはこの情報を受け入れなかった。
情報をアップデートしていなかった。
今、冷静にこれらの情報を見直してみる。
世界の専門家が継続して分析した結果である。
それを覆すまでの根拠を私たちは持ち合わせていない。
もちろん、専門家も間違えることはある。
しかし、以前よりも不透明だったことが明確になり、かつ、
気候変動リスクへの対応を先送りしてきたことにより
リスクが明らかに高まっているということ
を理解して対応しなければならない。
企業が対応すべきリスクとして、優先順位が圧倒的に高まっているということである。
特にBtoB企業がグローバルで活動を仕様と考えれば、取引先は気候変動への対応、CO2削減を求めてくる。
対応しなければ売上を失う可能性がある。
さらに投資家が求めている。
もし、半信半疑の企業であったとしても対応せざるを得ない。
私たちはできる限り一次情報にアクセスし、できなければ信頼できる情報源を確保し
常にアップデートすることを心がけなければならない。
それが 長期で株式投資で負けない方法 と 大きな声で叫びたい!
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