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ノースサンド(446A)ベイカレントクローンとして誕生したPMO量産コンサル

1. 日本独自モデルとしての、ベイカレント式PMO量産の台頭

2010年代半ば以降、国内コンサルティング市場では、ベイカレントを源流とした実行支援型のコンサルティングが広がった。これらの企業は、若手を大量に採用し、1〜2年の短期育成でPMOの下流領域を担える人材を量産。顧客企業のIT刷新プロジェクトに常駐し、進捗管理や調整などのPMO業務を担う。

ベイカレントが立ち上げたこのモデルは、ベイカレント出身者が設立した、ライズコンサルティングやノースサンドが、それぞれの独自性を付与して継承していく。これらが急成長している背景には、国内企業全体で、PMO人材が長期にわたって慢性的に不足していたという課題がある。

2. SIerと情報シスの硬直が30年間放置される

欧米では1990年代以降、IT企画と開発運用をつなぐPMO職務が企業内で整備が進み、国際資格としても制度化された。一方日本では1970〜80年代から、開発はSIerへ外注、情報シスは保守、という形が固定化、その硬直状態が30年間近く続いた。事業側がIT企画を主導する文化も形成されず、要件定義から進捗管理を誰が担うのか曖昧なまま、SIerと情シスの間で役割がねじれ続けた。

この不自然な状態は長くにわたって、日本お得意の根性論で埋められてきたが、2000年台に入ってDX投資が急拡大し、クラウド移行や基幹刷新が本格化してくると、いよいよ誤魔化しが効かなくなった。ここに目をつけたのがベイカレント、そしてそのクローン企業。PMOを大量に送り込める企業として需要が爆発した。

米国ではPMOは上流の専門職だが、日本で量産されているのは大半が下流PMOである点に大きな差がある。

3. ベイカレント出身者による創業と、PMO需要バブルの波

ノースサンドは、創業者および社内取締役3名のうち2名がベイカレント出身で、2015年に設立された。当時は大企業のレガシー刷新案件が集中していたタイミングで、PMOの不足が可視化し始めていた時期。

同社の売上は22/01期以降、毎期1.6〜2倍と急拡大してきた。背景としては、まずDX投資が2020年代に入り本格的に立ち上がったことがある。また、コロナ禍で基幹刷新プロジェクトが一時中断された反動で2022年に大企業が一斉にプロジェクトを再開したことも追い風となった。それに加えて、リモートワークの定着によって情報システム部門と事業部門の断絶が深まっていたこともある。またそこへ、「2025年の崖」(経済産業省「DXレポート」)のタイムリミットが迫り、PMO人材を必要とせざるを得ない状況が高まっていた。

4. 採用倍率33倍 コンサルブランドで若手を大量確保

ノースサンドが提供するPMO人材は、抽象度が高い上流の戦略領域と異なり、議事録や進捗管理などの再現性の高いスキルが中心であるため、論理性とコミュニケーション力があれば早期に戦力化しやすい。

同社はこれを、コンサルティング職として売り出し、若手の志望者を大量に獲得していく。25/01期は倍率33倍に達した。

推進フェーズ中心で残業が少なく、労働環境が比較的安定していること、そして現在はPMO需要が異常に強くて給与水準が上がっている(直近の平均年収685万円)ことも、若手採用を後押ししている。また、こうした理由から、低い離職率も実現できている。

5. 2025年以降はPMOバブルの収束と緩やかな成熟フェーズへ

現在のPMOバブルは永続しない。基幹システム刷新の発注の山は2025〜27年頃にピークアウトすると見られ、その後は運用フェーズへ移行する。同時に、他のコンサル企業も毎年PMO人材を大量育成しているため、これまで不足していた運用PMO層の供給は徐々に緩和していくだろう。このため、中期的には単価の下押し圧力がかかりやすく、同社の成長も成熟フェーズへ移行していくと考えられる。

6. IPOは経営陣のExitと信用力向上が目的

ノースサンドのIPOは初値1,200円で、新規発行分として約108億円を調達。売出しは約95億円で、最大の売り手は創業者の前田氏(約28.8億円)。続いて取締役の佐々木氏、執行役員の加藤氏・小松氏がそれぞれ19.6億円、前田氏の資産管理会社が7.2億円、河野氏が3.9億円と続く。

IPOのタイプとしては、一定の資金調達を得つつも、PMOバブルの需要が最も強い現在のタイミングで、創業陣がリターンを確定させにいった側面が大きいIPOだったと考えられる。

また、同社は人月モデルの事業であり、本質的には大規模な設備投資を必要とするわけではない。IPOの主要目的は上場による信用力向上と大株主のエグジットであると考えられる。

以上

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