6031 サイジニア 中期経営計画の注目ポイント アナリストレポート by Ono
このレポートでは中期経営計画のポイントとサイジニア社の特徴・強みについて解説する。
*9月1日の勉強会で山崎社長に登壇していただきました。
*下記のイメージをクリックすると資料を見ることができます。
1.中期経営計画の注目点
・収益力向上で営業利益のCAGR17%→46%へ
・ZETAに統一し経営資源の集中とブランディング強化
・株主還元の強化 配当性向30%へ
1.1 収益力向上で営業利益のCAGR17%→46%へ
収益力向上により営業利益の成長率を高める計画である。
1.2 商号を”ZETA株式会社”に統一し、経営資源の集中とブランディングを強化
クッキー規制の影響でリターゲティング広告が縮小していることを受け、2023年7月1日に構造改革の一環として、ネット広告サービスを株式会社ジーニーに事業譲渡した。これにより、主軸の子会社であるZETA社の業績が大半を占める。また、2024年10月1日にはデクワス株式会社を吸収合併する予定である。ZETA社はECサイト全般のカスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させるための一気通貫のハイエンドサービス「ZETA CXシリーズ」を提供する。分散していた経営資源をZETA株式会社に集中させ、CX事業のさらなる収益向上の実現に取り組む。さらに商号を「ZETA株式会社」に変更してブランディングを強化する方針である。
1.3 株主還元の強化
配当性向を高め、株主還元を強化する。前期までにM&A、事業譲渡、ソフトバンクからの自己株取得をおこない、まとまった資金を必要とする構造改革は一区切りとなった。中計期間以降においては高収益のZETA社の事業がメインとなる。2023.6期に初の配当を実施し、2024年6月期は配当性向20%の配当を実施した。半年決算の2024年12月期は特別配当を実施し、配当金3.5円(普通配当0.4円、特別配当3.1円)で年間7円に相当し実質増配の計画。さらに2025年12月期以降は配当性向を30%に高める。
2.収益力向上の詳細
2.1 利益率が高まる根拠
営業利益のCAGRが17%から46%に大幅に高まる計画だが、事業譲渡により業績の大半を占めるZETA社単体のみの2022年5月期から2024年5月期の営業利益のCAGRは55%と高い実績をあげている。高い成長率を維持するという見方が実態に近い。成長により売上規模が拡大する過程でも成長率を維持する根拠について整理する。
まず、収益構造としては限界利益率が90%以上と高く、自社開発かつストック型収益であるため、売上高の成長以上に利益が伸びる。ZETA社単体の実績の利益率は以下の通り、増収によって年々高まっている。
ZETA社単体の実績
2.2 売上高成長の3つの要因
より具体的な成⻑根拠については、2024年9⽉に開⽰する予定の「事業計画及び成⻑可能性に関する事項」において発表予定だが、これまでのZETA社単体の実績から読み取れる成長シナリオは次の3点となるだろう。具体的なプロダクトの特徴・強みについては後述する。
①既存顧客のアップセル・クロスセル
②成長するミドルエンド企業の乗り換え
③リテールメディアの成長
①と②によって成長を実現し、その結果、WEBサイトの価値が高まり③の非連続の成長につながる。この関係から
・まず現在成長しているSEARCH、VOICE、HASHTAGなどが先行して成長し、
・リテールメディア広告「ZETA AD」がその相乗効果を受けて売上を拡大させる
という順番で業績に寄与する可能性が高い。
①既存顧客のアップセル・クロスセル = 1社当たり売上高の増加
前期の実績では、顧客の平均単価が1198万円となり、前期比で158万円増加した。
1社あたりの売上高を高める要因は主に2つである。
国内のEC市場拡大を牽引するのは、有力な小売り企業を中心としたハイエンド層の顧客企業。「ZETA CXシリーズ」はEC売上高上位30位までの30%の企業が導入しており、ハイエンド層の企業の成長が同社の成長に寄与する。具体的には次のようなアップセルやクロスセルがある。
・取引拡大によるアップセル
売上の多くを占める「ZETA SEARCH」についてはサーバー1台あたりの売上が基準であるため、取引量の増加に伴い、サイト規模の拡大が必要となる。そのため、サーバーの追加や導入サイトの増加が行われる。
2024年6月期の新規顧客数は25社で、前期比4社の増加となったが、導入サイト数は199サイトに達し、前期比で31サイト増加した。新規顧客数以上のサイト数の増加は、新規顧客が複数のサイトに導入しただけでなく、既存顧客が新たなサイトに追加導入を行ったことを示している。
・複数プロダクトの導入によるクロスセル
1つのプロダクトを導入し、その効果が確認されると、さらなる効果を期待して他のプロダクトを導入する。
SEARCH、VOICE、HASHTAGを併せて入れている企業が増えている。
②成長するミドルエンド企業の乗り換え = 顧客企業数の増加
「ZETA CXシリーズ」の新規顧客数は25社(前期比+4社)であった。
ミドルエンド層以下の企業は、EC売上の拡大に伴い、同社のプロダクトへの乗り換え移行を進めている。もちろんハイエンド企業の乗り換えもあるが、企業数・サイト数ともに多いミドルエンド層以下の企業の移行が顧客企業数の増加に寄与する。ECサイトが成長する過程で、他社製品では能力不足が顕著となり、そのため性能の高い同社製品への乗り換えが進んでいる。
中でも、商品検索エンジン「ZETA SEARCH」の優れた性能が顧客企業の成長をさらに後押ししている。
具体的な性能としては、同時検索クエリ処理数は1000qps(1台当たりの検索クエリ処理数)に達し、インデックス更新速度も他社製品からの乗り換えにより6倍向上、またはそれ以上の向上例もあるとのこと。この高性能な検索エンジンは、顧客が求める商品を迅速かつ正確に見つけることを可能にし、顧客体験を大幅に向上させている。この結果、「ZETA SEARCH」の需要は急速に拡大しており、特にハイエンド層の顧客企業に採用されている。このような実績を背景に、成長するミドルエンド層以下の企業の乗り換えが期待される。
*「ZETA SEARCH」が成長をけん引している。
*マーケットの成長を牽引するハイエンド層の既存顧客企業にさらなる機能やサービスを提供して成長する。また成長するミドルエンド以下の企業を新規顧客として取り込む。
このように、サイジニアは顧客の成長を基盤に、自社の成長を実現している。顧客の成功が同社の成功を生むという相互依存の関係が、持続的な成長を支える重要な要素となっている。今後も、サイジニアはこの成長サイクルを維持し、さらなる市場拡大を目指すことが期待される。
③リテールメディアの成長
長期的に成長に寄与し、非連続の成長を生み出すことが期待されるのが、リテールメディア広告の成長、リテールメディア広告エンジンの「ZETA AD」の売上成長である。
2024年6月期の「ZETA AD」の売上高はまだ些少であった。中計期間においても同額を毎期の計画に織り込んでいる。成長を見込んでいるものの、売上成長タイミング、成長角度が現時点では判断できないため、計画未達のリスクを縮小した計画とした。
非連続成長が期待される要因は次の2点にある。
・収益モデルの違い
リテールメディア広告エンジンの「ZETA AD」は他のプロダクトとは収益モデルが異なる。他のプロダクトが導入サーバーの台数に基づく収益モデルであるのに対し、「ZETA AD」は顧客のリテールメディア広告の収益の一部を手数料として受け取る。つまり、顧客のリテールメディア広告の売上が増加するほど、同社が得られる収益も拡大する。
・UGCがもたらす価値向上
主力製品である「ZETA SEARCH」に加え、「ZETA VOICE」や「ZETA HASHTAG」といった利用者生成コンテンツ(UGC:UserGeneratedContent)が、ECの集客力を向上させ、リテールメディア広告の需要を高める重要な要素となっている。「ZETA SEARCH」は、ユーザーが求める商品を迅速に見つけ出し、「ZETA VOICE」は信頼性の高いレビューや口コミを提供することで購買意欲を刺激する。また、「ZETA HASHTAG」は関連性の高いハッシュタグを自動生成し、SEO効果を高めることで、サイト内でのユーザーの回遊率を向上させている。
・サイト価値が高まるとリテールメディア広告の価値が向上
これらのプロダクトによってサイトの価値が向上すると、「ZETA AD」のようなリテールメディア広告のニーズも高まる。ユーザーがサイト内での体験に満足し、商品探索や購入がスムーズに行えるようになることで、広告の効果も向上し、広告主にとっての投資対効果が高まる。結果として、リテールメディア広告市場におけるサイジニアの競争力が強化され、さらなる成長が期待される。
図のオレンジの矢印は各プロダクトのシナジー(効果が寄与する)の方向性を示す。
それぞれが影響を受けたり、与えたりする関係にあるが、広告(AD)のみ検索(SEARCH)、口コミ(VOICE、ハッシュタグ(HASHTAG)のすべてから影響を受ける。
*ZETA AD導入事例
丸井:マルイウェブチャネル
CROOZ:SHOPLIST.com by CROOZ
2.3 リテールメディア広告における強み
・検索連動型広告の優位性
サイジニアは、ECサイト内での検索連動型広告に特化しており、これがリテールメディア広告における大きな強みとなっている。検索連動型広告は、ユーザーが特定の商品を探している際に表示されるため、購入意欲が高いユーザーに直接アプローチすることが可能。このため、他の広告形式に比べて高いコンバージョン率が期待できる。
・ポストクッキー時代への対応
3rd Party Cookie規制の動向を見据え、リターゲティング広告に代わるソリューションとして検索連動型広告を強化してきた。この戦略により、プライバシーに配慮しつつ、効果的な広告配信を実現している。
2.4 リテールメディア広告市場での成長機会
リテールメディア広告市場は、EC事業者や実店舗事業者が提供するオンラインメディア広告の総称として急成長している。同社は、以下の点でこの成長市場において競争力を発揮することが期待されます。
・ECプラットフォームの拡大
ECサイト向けのCX改善ソリューションを提供しており、ECプラットフォームの拡大に伴い、その市場シェアを拡大する機会がある。
・高精度のターゲティング
ユーザーの購買行動データを基にした高精度のターゲティングにより、広告の効果を最大化し、広告主からの信頼を獲得する。
・新たな収益源の創出
リテールメディア広告は、小売企業にとって新たな収益源となり得るため、広告主からの需要が高まることが予想される。この需要に応えることで、さらなる成長を遂げることができる。
このように、検索連動型広告における強みを活かし、リテールメディア広告市場での成長を目指している。データドリブンなアプローチとポストクッキー時代への対応により、競争力を維持しつつ、広告主に対して高い価値を提供し続ける。
3.業績と見通し
3.1 2024年6月期の実績
2024年6月期の売上高は1,739百万円(前期比28.6%減)であったが、営業利益は498百万円(同30.9%増)円であった。7月31日にレンジで発表していた業績予想の修正のレンジ内での着地となった。期初計画に対しては売上高は未達だったものの、利益ベースで上回った。売上高が未達だったのは利益率が高いZETA単体のビジネスが好調な一方で、構造改革が想定以上に進み、ZETA単体以外の売上が縮小したため。
3.2 2024年12月期の計画
2024年12月決算は2024年7月から12月の6カ月決算。売上高は800百万円、営業利益45百万円の計画。前年同期間(2023年7月から12月)が赤字だったのに対して黒字化の予想。ZETA社単体の実績では前年同期間においても黒字を達成しており、増収により増益率が高まる計画となっている。
4.バリュエーション
時価総額 131億円
株価 1,020円(8月19日終値ベース)
予想PER 703.4倍
*6カ月決算、かつ売上及び利益が少ない期間の6カ月のため注意
中計期間の目標純利益ベースで時価総額から単純計算した参考PER
5. リテールメディア広告市場の成長機会
5.1 リテールメディアとは
注目度が高まっており、同社の長期的な成長をけん引することが期待されるリテールメディアについて整理する
・リテールメディアとは
「小売店が媒体社として提供している広告媒体」
小売店のお客さまである生活者の購買データや、小売店アプリの利用ログなどの行動データなど、小売店が独自に収集・所有するデータ、いわゆる「1st Party Data」を活用して、精緻なターゲティングを行い、広告やクーポン(販促のための割引券)を配信できること
・リターゲティング広告とリテールメディア広告の違い
従来のリターゲティング広告は3rd Party Cookie(他社サイトを含むWEBサイト閲覧者の行動を追跡する技術)の活用し、必ずしも買いたいと思ってないときにも出る広告であるのに対し、リテールメディア広告は1st Party Data(自社のアプリやサイトで登録してもらうことで収集した顧客データ)を活用し、検索した時=買いたいときに出る広告である。それによって精緻な顧客ターゲティングと広告効果の精緻化が可能となる
リテールメディア広告は次のように3つに分けられる
1.検索連動型広告
2.ディスプレイバナー広告
3.リアル店舗に設置されたデジタルサイネージ広告
1.検索連動型広告
検索連動型広告は、ユーザーが検索エンジンで入力したキーワードに基づいて表示される広告です。この分野の主要な競合には、Google広告やYahoo!広告があります。これらのプラットフォームは、検索クエリに基づく高精度なターゲティングを提供し、広告主に対して効果的なリーチを実現する。サイジニアの「ZETA AD」もこの領域でECサイト内での検索連動型広告を通じて、ユーザーの購買意欲を高めることを目指している。
2.ディスプレイバナー広告
ディスプレイバナー広告は、ウェブページ上に画像や動画を用いて表示される広告で、潜在顧客への認知拡大を目的としている。GoogleディスプレイネットワークやFacebook広告が該当する。これらのプラットフォームは、広範囲なネットワークを持ち、リターゲティング機能を活用して、過去にサイトを訪れたユーザーに対して広告を表示することができます。サイジニアは、これらと比較して、ECサイト内でのユーザー行動データを活用したパーソナライズド広告を強みとしている。
3.リアル店舗に設置されたデジタルサイネージ広告
リアル店舗のサイネージは、店頭や公共の場に設置されたデジタルディスプレイを利用して広告を表示するもので、店舗内外での顧客の購買意欲を刺激する。この分野は参入が比較的容易で取り組む企業が増えている。
5.2 日米の市場の違い
・米国ではすでに実績が拡大
米国ではすでに、Amazon、ウォルマートといった企業がリテールメディア広告で収益をあげている。
Amazon:
Amazonは2000年ごろからリテールメディア事業に参入
「Amazon Ads」の2022年の年間広告売上高は377億3900万ドル(約6兆円 前期比+21.1%)
ウォルマート:
リテールメディア「Walmart Connect」売上高 5000億円
売り上げ構成0.44% 利益構成5%
リテールメディア広告の利益率は60-90%と非常に高く、利益拡大に貢献している。
・日本でリテールメディア広告の拡大が遅れた要因
日本においてリテールメディア広告の拡大が遅れた要因は主に”分散した市場”と”組織体制の違い”にあると考える。米国のリテール市場は一部の⼤⼿リテール企業によって寡占化しており、ECが普及しているのに対し、⽇本市場はリアル店舗で買うことが主流で、地方はローカルスーパーが一定のステータスを持つこと。また様々な要因に寄りECの普及が遅れたため顧客データが集まりにくかったことにある。また、組織面では、日本企業は広報と営業部門がわかれて予算策定をおこない、広報=ブランディング、営業=販促、という文化がある。
メーカーにとってリテールメディア広告の利用は投資ではなく販促費用の側面が強く、消極的であったと考えられる。
5.3 日本市場に拡大の兆し
国内でも一部の企業ではリテールメディア広告で実績をあげており、ここ数年で注目度が急速に高まっている。EC売上高の拡大や、スマホアプリの積極的な活用による1st Party Dataが集まることで、リテールメディアとしてのサイト価値が高まっている。日本においてもリテールメディア広告が伸びるフェーズにある。
・中期的な市場の成長見通しが発表された。
日本においてもリテールメディアの市場規模が成長することが期待される。
EC事業者、デジタル広告の成長がリテールメディア広告の成長の中心となる。
・1st Party Dataの活用事例
ECの規模拡大とアプリ導入による1st Party Dataを活用した事例が、リテールメディア広告への活用が始まっている。
*マツキヨココカラの事例
・組織の改革
株式会社電通が顧客企業の既存の分離した組織体制に対して、リテールメディアの活用のために広告と営業の統合を促す取り組みを進めている。
国内においてリテールメディア広告の成果の発現、外部環境の変化、経営層の若返りなどによってメーカーによるリテールメディア広告の活用に対して前向きな動きが期待される。
6. サイジニア株式会社(10月よりZETA株式会社)について
6.1 創業からの歩み
サイジニア株式会社は、2005年8月15日に設立された。創業者である吉井伸一郎氏は、北海道大学の研究室でレコメンドシステムの開発を行っていた。この研究がきっかけとなり、同社を設立した。サイジニアは、設立直後からECサイト向けのレコメンドサービスを提供し、2007年には「デクワス.RECO」をリリースした。このサービスは、独自のアルゴリズムを用いてユーザーに最適な商品を推薦するものであり、EC市場での競争力を高める要因となった。2014年12月には、東京証券取引所マザーズ市場に上場し、企業としての成長を加速させた。その後、ZETA株式会社との経営統合を経て、現在は「ZETA CXシリーズ」を主力製品として展開し、リテールメディア広告事業に注力している。
6.2 社長の経歴
現代表取締役社長の山﨑徳之氏は、ソニーコミュニケーションネットワーク株式会社、オン・ザ・エッヂなどでエンジニアとしての経験を積んだ。2006年にZETA株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。ZETA社は、ECサイトのCX改善ソリューションの「ZETA CXシリーズ」を提供し、業界内での地位を確立している。山﨑氏は2021年7月にサイジニア株式会社の取締役社長に就任し、2024年4月には代表取締役社長に昇格した。彼のリーダーシップの下、サイジニアはZETAと経営統合し、CX改善ソリューションを中心に成長戦略を展開している。
7.顧客の課題と課題解決のためのプロダクト群
EC市場における顧客の課題は多岐にわたっており、特に以下の点が重要である。
7.1 顧客の課題
・集客の難しさ
多くのECサイトが存在する中で、消費者の注目を集めることは容易ではない。特に新規顧客を集めることは、競争が激化する市場において大きな課題である。消費者の関心を引くためには、差別化されたプロモーションや魅力的なコンテンツが必要である。
・ コンバージョン率の低さ
サイトへの訪問者を実際の購入者に転換することは難しい。特に、サイトの使い勝手や商品情報の充実度が不十分であると、コンバージョン率が低下する。ユーザーがスムーズに商品を見つけ、購入に至るプロセスを最適化することが求められる。
・ 顧客リテンションの課題
一度購入した顧客をリピーターにすることは難しい。再訪率を向上させ、顧客ロイヤルティを強化するためには、顧客体験の向上やパーソナライズされたサービスの提供が必要である。顧客との長期的な関係を築くためには、定期的なコミュニケーションや特典の提供が効果的である。
・ デジタルマーケティングの複雑さ
デジタルマーケティングの手法は多岐にわたるため、どこから始めるべきか、どの手法を選ぶべきかが判断しにくい。これにより、マーケティング戦略の最適化が遅れることがある。企業は、データ分析を活用して、効果的なマーケティング戦略を策定し、実行する必要がある。
これらの課題に対処するため、「ZETA CXシリーズ」を提供している。ECサイトの顧客体験を向上させるための多様なプロダクト群で構成されており、顧客のニーズに応じたソリューションを提供することで、課題解決を支援している。
7.2 主力製品 「ZETA CXシリーズ」の特徴と強み
サイジニア株式会社の「ZETA CXシリーズ」は、WEBサイトでの顧客体験を向上させるための多様なプロダクト群で構成されている。以下に主なプロダクトを挙げ、それぞれの特徴と機能について説明する。
1.ZETA SEARCH
ECサイト内の商品検索エンジンであり、ユーザーが求める商品を迅速かつ正確に見つけることを可能にする。高度な検索アルゴリズムを用いて、ユーザーの検索意図を理解し、関連性の高い結果を提供することで、コンバージョン率の向上に寄与している。
2.ZETA VOICE
レビュー・口コミ・Q&Aエンジンであり、ユーザーが商品についてのフィードバックを提供し、他のユーザーと情報を共有することを可能にする。これにより、商品の信頼性を高め、購入意欲を促進する。
3.ZETA HASHTAG
ECサイト内の商品説明文やUGC(UserGeneratedContent)を解析し、関連するキーワードを抽出してハッシュタグを生成するエンジンです。これにより、サイト内の回遊率を向上させ、SEO効果も高めることができます。ハッシュタグ検索は、ユーザーが感覚的に商品を探すことを可能にし、UXの向上につながります。
4.ZETA RECOMMEND
ユーザーの過去の行動データを分析して、関連性の高い商品を推薦するリコメンドエンジンです。これにより、ユーザーの購買意欲を高め、売上の増加を図ることができます。パーソナライズされた提案が可能で、顧客満足度の向上にも貢献している。
5.ZETA AD
リテールメディア広告エンジンであり、ECサイト内での広告配信を最適化する。ユーザーの行動データを活用し、パーソナライズされた広告を提供することで、広告の効果を最大化する。
6.ZETA CLICK
OMO(OnlineMergeswithOffline)およびDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューションであり、オンラインとオフラインの購買体験をシームレスに統合する。これにより、顧客の購買体験を一貫して向上させることができます。
7.ZETA BASKET
ECキュレーションエンジンであり、ユーザーが複数の商品を組み合わせてリストを作成し、共有することを可能にする。UGCを活用し、消費者の参加を促進することで、商品の訴求力や顧客ロイヤリティの向上を図ります。
8.ZETA DMP
「ZETA DMP」は、予測・パーソナライズソリューションであり、ユーザーのデータを分析して、最適なマーケティング施策を提案する。
などが主なプロダクトである。
7.3 「ZETA CXシリーズ」の強み
「ZETA CXシリーズ」の強みは、各プロダクトが持つ高度な技術とそれらの統合による相乗効果にある。「ZETA SEARCH」や「ZETA RECOMMEND」は、高度なアルゴリズムを用いてユーザーのニーズを的確に捉え、パーソナライズされた体験を提供することで、顧客の満足度を高めている。また、「ZETA VOICE」を通じてユーザーの声を集めることで、商品やサービスの改善に役立てている。「ZETA CLICK」は、オンラインとオフラインの購買体験をシームレスに統合し、顧客の利便性を向上させる。さらに、「ZETA BASKET」はUGCを活用し、ユーザーの参加を促進することで、ブランドのエンゲージメントを高めている。
これらのプロダクトが連携することで、ECサイトはユーザーに対して一貫した高品質な体験を提供することができる。各プロダクトのデータを統合的に活用することで、より精度の高いマーケティング施策を実現し、顧客のライフタイムバリューを最大化することが可能である。このように、サイジニアの「ZETA CXシリーズ」は、ECサイトの競争力を強化し、持続的な成長を支える重要な要素となっている。
以上
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